1999年12月号

STAYS ON MY MIND / SANCHEZ
[VP / VP1636]

もう15年程のキャリアになるサンチェス、アルバムとしては久々となる本作は、様々なプロデューサーで脇を固めたもの。特に3曲参加してるJoe Fraiserのロイド・キャンベルによる曲の出来が素晴らしい。オリジナルに加え、スリー・トップスの「It's Raining」やケン・ブース「My Love Is Gone」、アッシャー「You Got It Bad」等のリメイクも収録。パーフェクトな王道ラヴァーズ・レゲエ・アルバムだ。[輸入盤](鎌田和美)

YOUR LOVE / GLEN WASHINGTON
[VP / VPCD-1635]

今だデビュー当時の印象が強いシンガー、グレン・ワシントン。大ヒット曲がないためか、知名度や人気はその後伸び悩んでいる気もするが、結構コンスタントに作品をリリースしている。本作は活発的な動きを見せるキャンベル夫妻による人気のジョー・フレイザーから。シングルで出た「Burning Fire」以外はオリジナル曲でしっとり聴かせてくれる。良質なトラックと渋い声に渋いメロディ、地味ながら佳作。[輸入盤](大場俊明)

BETTER COLLIE & LOUD & LONE 1998-2001 / LOUD & LONE
[A-LONE MUSIC / SA-331-2001]

スペインのルーツ・ユニット、ラウド&ローンの89年〜01年までに録りためた作品集。70年代ジャマイカのサウンドからブリティッシュ・レゲエまで様々なテイストが楽しめる。バンド・スタイルによる演奏はA・パブロ、ウェイラーズ、ミィスティ・イン・ルーツ等の思わせるクールな雰囲気がムンムンと伝わってくる。インストゥルメンタルとヴォーカル、そしてダブによるレアな自主制作盤。 [輸入盤](長井政一)

ROOTS BLOODY ROOTSMAN / THE ROOTSMAN
[[THIRDEYE MUSIC / TEMCD-018]

イングランド、ブラッドフォードのサードアイからのニュー・リリースは、96年から去年までに録音された12"シングルをまとめたもの。内容はニュー・ルーツ、ドラムンベース等の懐かしいナンバーも収録。今では入手困難となったいわゆる“レア”なチューンも多い。因みにこのレーベル、日本でも人気のあるダブ・レーベルなので、興味のある方は是非とも聞いて欲しい一枚。[輸入盤](長井政一)

BONDAGE / V.A.
[VP / VPCD-2179]

B.マーレイとC.スミスによるIn The Streezからのリメイク・リディムの1ウェイ。はて?何のリメイクかと思ったけど、聴けばオリジナルはヘプトーンズがStudio 1で歌ったボブ・ディランの「I Shall Be Released」のリメイク。“束縛”とはタイトルの付け方が洒落てますね。メンツはS.マイノット、シズラ、ケイプルトン、ナチュラル・ブラック、L.M.Jとベテラン、人気者、成長株と揃い踏み。[輸入盤](鎌田和美)

DUBWISE AND OTHERWISE 2 / V.A.
[BLOOD & FIRE / BFCDS905]

常に上質な70年代のルーツ・レゲエ/ダブ作品を発掘、編集しリリースし続けている信用印付のレーベル、ブラッド&ファイヤーのサンプラー盤パート2。つまりパート1以降に出していた当レーベルの作品を中心に良い曲だけ(17曲)を抽出したものだけあって、内容に疑う余地は皆無。数曲含まれるロング・ヴァージョンこそダブを理解する鍵とも言えるだろう。価格も入門用にとかなりリーズナブル。[輸入盤](大場俊明)

THE TROJAN RECORDS SAMPLER 2002 / V.A.
[TROJAN / TJACD001]

CDはモチロン、LP、7インチ、10インチ、12インチに至るまで怒濤のリリース・ラッシュを開始したトロージャンのサンプラーCD。スカからルーツ期まで、ジャマイカ音楽のトップ・レーベルとして膨大な数の音源を所有するトロージャンのコンピレーションだけに収録曲も名曲ばかり。スカタライツの「ガンズ・オブ・ナバロン」からアルシア&ドナの「アップタウン・トップ・ランキング」迄年代順に全20曲。[輸入盤](小池信一)

JAMAICAN MEMORIES TROJAN / V.A.
[TROJAN / TJACD 014]

60年代後半、ロック・ステディ〜アーリー・レゲエ期のナンバーを収録したオムニバスの初CD化。オリジナルLPは12曲収録なのだがCD化にあたり16曲がプラスされ全28曲とヴォリューム・アップ。内容の方はジャケのイメージそのまま、カリブ海の美しい夕日が良く似合うナゴミ系のホンワカ・サウンド。アルバムの約1/3を占めるインスト・ナンバーがかなりイイ味出してます。オールド・レゲエ・ファンは要チェック! [輸入盤](小池信一)

AT DUB STATION JAMAICAN RECORDINGS / SLY & ROBBIE MEETS BUNNY LEE
[JAMAICAN RECORDINGS / JRCD006]

バニー・リー関連の貴重なダブ音源をリリースし続けているジャマイカン・レコーディングスの最新作。スライ&ロビーが参加した楽曲のダブを収録したもので、ミックスはおそらくキング・タビー。低音を目一杯ブーストした地鳴りの如きバスドラ、大きなウネリを生み出しているグルーヴィンなベース、この2つの音を聴くだけで十分ブッとべる。元ネタはジョニー・クラークの曲が多い。[輸入盤](小池信一)

シャギー・ベスト・アルバム〜ミスター・ラヴァー・ラヴァー/シャギー
[東芝EMI / VJCP-68378]

往々にして大ヒット曲が出ると、過去の作品のベスト盤が出るのが世の常だが、本作もアーティストの意向なのかレコード会社の意向なのか…。そんな邪推はさて置き、シャギーのヴァージン時代のベスト盤だ。一聴して懐かしくもあるが、決して古臭くなってないところは彼だけでなくプロデューサーの手腕も大きかったのだろう。『Hot Shot』で彼を知ったファンも納得できるほど、隅から隅まで佳曲が詰まっている。(大場俊明)

大式/ドギー・スタイル
[スパノバ / CLA-30005]

東京のライヴハウスで活動するこのドギー・スタイルは、60〜70年代の王道ロックをルーツに持つバンドだと思うが、その中にボブ・マーリーや映画『ロッカーズ』等の70年代のジャマイカのチンピラっぽい精神も合わせ持つバンドだ。実際、ヴォーカルはこぶしを巧みに回す熱きロッカーだし、演奏もやたら骨っぽい。しかし、その熱さ、骨っぽさは、ロック以上にレゲエからの影響を感じてならないのだ。(大場俊明)

リディム&ヴァイブレーション/V.A.
[ザイノーマス / ORA-1030]

レゲエと言っても決して一言では括れないほどリズムや趣向は多様化し、どんどん面白いことになっている。勿論、日本に於いても同様なのは周知の通り。本作は日本でレゲエをキーワードに活躍するアーティストが14組も参加した、言わばシーンのサンプラー的な内容。殆どが既発のものだが、どのアーティストもこんなに個性的だったのかと改めて再認識。こだま和文、SpinnaB-ill、Dry & Heavyの未発表曲も有り。(大場俊明)

エクスタシー/アヴァーント
[ユニバーサル/UICC-1051]

ここ数年のR&B界における“シカゴ旋風”の立役者スティーヴ・ハフとのタッグを継続させての2作目。そのひた向きな歌声は、カラリとしたロマンチシズムを湛えたスロウで映えるが、引き締まったボディのアップでも魅力を発揮。ゲスト参加したチャーリー・ウィルスンとのデュエットでは大先輩を立てながらも堂々としたパフォーマンスを見せつける。「R・ケリー風」からも見事脱皮した彼のオレ節を聴け!(石澤伸行)

ザ・ウェイ・アイ・フィール/レミー・シャンド
[ユニバーサル/UICT-1011]

モータウンが「21世紀のマーヴィン・ゲイ」と銘打って送り出す白人シンガーのデビュー作。70年代ソウルにどっぷり浸かった音楽体験とマルチな楽器使いが織り成すのは、キダー・マッセンバーグが惚れ込んだというのにも納得のニュー・ソウルな世界観。生な感触に裏打ちされた自由な音楽フォーマットは、その青臭い歌声を包み込むように深く多彩だ。ドライなエロスを含んだヴォーカルにも耳を奪われる。(石澤伸行)

スター・キティーズ・リヴェンジ/ジョイ
[ユニバーサル/UICU-1023]

ダラス・オースティンの御加護の下、8年前にデビュー、その後いくつかの客演を重ねるもアンダーグラウンドな存在となっていたジョイの新作。ルーシー・パールへの参加が伝えられる彼女だが、ここではアトランタ特有の煮えたぎるようなブラックネスを放出。ダラスやオーガナイズド・ノイズに加わってプロデュースを手掛けるラファエル・サディークまでもが、問答無用のファンク道を貫い

ベリー・オブ・ザ・サン/カサンドラ・ウィルスン
[東芝EMI/TOCJ-66137]

約3年ぶりとなる新作。前作ではマイルス・デイヴィスを歌でトリビュートした彼女だが、今回はジャズから少し距離を置いての演目となった。ロバート・ジョンソンらのブルーズ曲に加え、ボブ・ディランやジェイムズ・テイラーをカヴァー、ブラジリアンを含めた米国音楽のルーツを広く深く考察するかのようなパフォーマンスが並ぶ。彼女の孤高なる美学に憧れたインディア・アリーが参加しているのも要注目だ。(石澤伸行)

センシュアス/エリーシャ・ラヴァーン
[カッティング・エッジ/CTCR-13159]

2年振りの5作目。ポップな意匠を湛えながらも確かなR&Bの旨味を提供してきた彼女だが、初の完全セルフ・プロデュースとなった本作では、意外にもオーガニック路線へと大きく舵を取ってきた。メロウな質感たっぷりのヴォーカルに添えられたサウンドに生な感触を多く配合、自らの新たな魅力に光を当てている。フル・クルー以外に目立ったゲスト参加はなし、ピンで勝負をかけてきた彼女の新局面を体感しよう。(石澤伸行)

ガールズ・ヴォイス・スタジオ11/嶋野百恵
[ポニーキャニオン/PCCA-01641]

朝本浩文、ブルーイ、アジャパイらモエ嬢馴染みの顔に加え、広い畑から制作陣を招いた3作目。特にDJフミヤ、ファンタスティック・プラス・マシーン、ソウルボッサ・トリオらが提供するサウンドは、わが国のクラブ文化の恵みをそのまま表すかのようで、聴いているこちらまでもが幸せな気持ちになってくる。デヴ・ラージやマミー・Dによる渾身のファンク・チューンでのガチンコ勝負は本作最大の聴きどころだ。(石澤伸行)

P・トレイン/キイコ
[東芝EMI / TOCT-24744]

キイコのセカンド・アルバム。今回はムーミンやケイソンといった自由人系アーティストを迎えつつ、前作同様、ブラック・ミュージック全般の様々なリズムの上を軽やかに泳ぐように歌っているが、その自由度は前作以上ではないだろうか。それはツイギー、ユウザロック★と組んでスマッシュ・ヒットとなった「フリーダム」の経験で、何かモヤモヤしてたものがふっ切れたのではないかと思うのだが…。(大場俊明)

TALKATIF / ANTIBALAS
[NINJA TUNE / ZEN CD66]

ニンジャ・チューンからの新作はブルックリンを拠点に活動するグループ、アンチバラスの新作。昨年リリースの『Liberation Afro-Beat Volume1』ですでにお馴染みとなっている彼らのサウンド・カラーであるフェラ・クティばりのアフロ・ビートを引き下げての再襲来。更にはジャズやロックなどの要素を現代のクラブ・ミュージック的を散りばめつつ、まさしく怒濤のグルーヴを展開している。[輸入盤](高橋晋一郎)

ドルフィンズ/ソウル・ボッサ・トリオ
[徳間ジャパン / TKCJ-72351]

ゴンザレス鈴木の個人プロジェクトとなったソウル・ボッサ・トリオの7枚目のオリジナル・アルバムが到着。在日韓国人女性シンガーであるアン・サリーを起用し、フローラ・プリムにジン・コルトレーン、シーウインドやアジムスなどのカヴァーを挟みながらブラジリアン・テイストを全面に押し出したサウダージ・フレイヴァーたっぷりの仕上がり。それもネイティヴではない日本(東京)っぽさがリアルな印象。(高橋晋一郎)

フェノミナ/ティカ
[V2 / V2CL-6012]

傑作のファースト『Weight-Less』から一年、武田カオリと石井マサユキによるユニット、ティカの待望のセカンド・アルバムが届けられた。ファーストの印象が木陰だとするならこのセカンドは快晴の空と言わんばかりの見事なドレス・チェンジを見せている。勿論ティカの核となる繊細な音楽性は失わずのシフト・アップで非凡なその才能を感じずにはいられない。カフェからダンス・フロアへ。よりオープン・マインドに。(高橋晋一郎)

センティール/オマール・ソーサ
[ミュージックキャンプ / BG-2006]

キューバ生れのピアニストの最新アルバム。もちろんキューバ音楽をルーツに持つ彼だが、世界の黒人音楽の要素をリズムだけでなく精神的にも吸収したからこそ生まれる、そのダナミックかつスピリチュアルな作風は、本作でより研ぎ澄まされ頂点を迎えたようだ。タイトルの意味はスペイン語で“感じる”とのこと。特にスピリチュアルな音楽を求める輩には、彼の想いを感じ取って欲しい。(大場俊明)

ボッサ・ハウス・'N'・ブレイクス2/V.A.
[KSR / KCCD-068]

シリーズのVol.1もナイス・セレクションだったコンピレーションの第2弾。ハウスがダンス・ミュージックとしてだけでなく、リスニング・サウンドとしても充分に通用する証拠にもなるこの選曲はタイトル通りハウスを基調にボサノヴァ・テイストを盛りこんだ洗練された楽曲が並ぶラウンジな雰囲気で統一。収録されたのはバー・サンバやミスター・ヘルマーノからハンドレッド・バードに至るまでフリークのVIP。(高橋晋一郎)