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2007年8月 アーカイブ

2007年8月 1日

Elephant Man / Get Physical

Elephant Man
Get Physical
 
Text by Thunder Killa / Photo by Joseph Cultice
 

約4年振りに全世界に向けメジャー・アルバム『Let's Get Physical』をBad Boy(!)とVPの共同制作にて堂々完成、日本先行発売となったダンスホール、ニュー・ダンスのアイコン、エレファントマン! 今回は届けられたこの最新作を聴きつつ、彼自身の発言も交え、聴きどころ、注目曲を紹介してみたい。
 
前のアルバムとなる『Good 2 Go』から4年(!)と言えば一昔の様に感じるが、ジャマイカのシーンでの活躍は相変わらずなんで、コアなファンからすれば別段久し振り感は無し。とは言え、北米及び全世界をターゲットとなるとそうは行かないのだろう。この間、『Over The Wall』(もう懐かしいコトバだねぇ…)なるアルバムが、発売予定として街中にステッカーが貼られるまでしながら未発売で終わり…なんて事もあったが、その辺りの顛末から。
 
「『Over The Wall』はDef Jamからリリースされる予定だったんだ。でも当時レーベル内で揉め事があって、VPからストップが掛かっちゃって。そんな時、P.Diddyが声を掛けてくれてね。Bad Boyのある奴がDiddyに俺のパフォーマンスを一度観た方がいいって言ってくれて、Hot 97主催の俺が出たショーを観に来てくれたんだ。で、俺のステージを見終わったらすぐに駆けつけてくれて『エレファント、一緒に仕事しよう』って言ってくれたよ。それからVPとDef Jam、弁護士、それにBad Boyとの話し合いになり、色んな事をクリアにしてからやっと正式にBad Boyとの契約にこぎつけたんだ。だから今回のアルバムをリリースするのにこんなに時間がかかったんだよ」(Elephant Man。以下括弧内発言は全て彼によるもの)
 
そんなP.Diddyとのリンクが見事に反映されたのが今作であり、北米マーケットを非常に意識した、それでいて、ここがこの男の“押し出しの強さ”であろうか、その個性は薄れない非常にいいバランスなのである。当然、ゲスト陣もシャギー、バスタ・ライムス、リアーナ、ワイクリフ等々、超豪華である。
 
「バスタとは昔から友達なんだけど、俺がテキサスでショーをやってる時、バスタが俺の事を探してるって聞いたんだ。彼のアルバムで一曲一緒にやって欲しいって。それで曲を書く事になって。そして、俺も自分のアルバムに是非参加して欲しいって頼んだんだ。彼だけでなく、ジャマイカン・アーティストにも参加してもらいたかったから、誰がいいかなと考えた時、シャギーだとすぐ思ったよ。それで、“The Way We Roll”ができたんだけど、クレイジーな曲に仕上がった。リアーナは“Pon De Replay”をやった時から、自分のアルバムに参加して欲しいって頼んでたんだ。レコーディングした曲はもともと『Over The Wall』に入る予定だったんだけど、結局リリースされなかったから、今回このアルバムに入れる事にしたんだ。この曲は彼女の今のヒット曲“Umbrella”なんかよりもずっと流行るはずさ。女の子達にきっとウケて、みんなワイルドになるはずさ」
 
リード・シングルとなる「Five-O」にはワイクリフと今作のキーマンとなるP.Diddyが参加。意外にもバンド感のある音でのヘヴィな曲に仕上がっている。その内容も軽妙、お気楽が身上だった今までのエレファントとは一線を画すものだ。
 
「世界中どこに行っても、ポリスはいるだろ。中にはまともなポリスもいるけど、ろくなポリスは殆どいないのが事実だ。悪い奴を捕まえるポリスはいいけど、何も悪い事をしてなくてもむやみに逮捕したがる奴がいる。パリス・ヒルトンやらリンジー・ローハンやらもどうでもいい車の違反で捕まったりしてる。そんな時、『世の中問題なのはお前らポリスの方じゃないか』って思ったんだ。だから俺はこう歌うんだ。『調べても調べても調べても、何も見つかりゃしない。捜しても捜しても捜しても、何も見つかりゃしない。奴ら、捜索だとかいって話をでっちあげようとしてる。弁護士が助けてくれたけど、俺は取り調べを受けている』。もし、吸ってたり、運転中に酒を飲んでて、ポリスがやってきたらどうにかするんだ。隠すなり、飲み込むなり、とにかく青いライトが光ったら自分でどうにか捕まらないよう工夫するんだ。絶対、奴らに捕まったりするんじゃない。俺はお前らのために悲しんでやったり、釈放してやったりできない。だから自分達で用心するようこの曲を作ったんだ。“Five O”は、みんなへの警告の曲だよ。例えキミがいい奴でも悪い奴でも、泥棒でも、牧師でも弁護士でもね。『調べても調べても調べても、何も見つかりゃしない。オーオーオーオー』。気をつけろ、Five Oはどこにでもいるよ」
 
ここでちょっと、この原稿の裏話的な話になっちゃうんだが、元となるインタビューが録られたのが今年6月のニューヨーク。曲が出揃った段階だったようだが、リリース直前に僕が手に入れた収録曲が決定した音源には入らなかった曲の話が多かったのがホントの所だ。恐らくタイトル曲の予定だったろう「Let's Get Physical」もオリビア・ニュートン・ジョンのアノ曲からのインスパイアされた曲との事だし、エリが得意とする“替え歌”路線の曲は権利の問題でダメだったのだろう。只、これが全体として聴いてみると功を奏しているとも言えるのだ。“替え歌”路線が封じられた分、本来持っているスキルの確かさやトピックの豊富さが新鮮に響き、豊富なゲスト陣と共に前作からのステップ・アップを際立たせる事に成功している。
 
「俺のモチベーションは神様だよ。神様が与えてくれた才能を無駄にはしたくない。ハイプな事や今流行ってる事だけに集中してはダメなんだ。自分が将来何をしたいのか、自分の進みたい道を考えなければならない。そんな時は神様にお祈りするんだ。自分の望んでるところまで辿り着きたい、そしてそれを超えたい、ファンのためにいい音楽をどんどん作っていきたいって。でも、そうするためには悪い事に巻き込まれちゃいけないんだ。例えそうなったとしても、どうにかそこから自分で抜け出さないといけないんだ。完璧な人間なんていない。でも、自分の事は自分でなんとかしないと。まず神様が一番。そして自分自身を愛する事。他人をリスペクトし、人生で何を求めてるかを知る事が大切だ。金のために音楽をやってるなら、一度金を儲けたらその金を持ってもう二度と戻ってくるな。もし本当に音楽を愛して将来アイコンになり、本に載るようなアーティストになりたいなら、心から音楽と向き合うんだ。そしたら神様が力をかしてくれるはずだ。
 
『Let's Get Physical』
Elephant Man

[Victor / VICP-63857]










ELEPHANT MAN ALBUM DISCOGRAPHY

「Scared From The Crypt」Scare Dem Crew [TVT / 6440](1999)


「Comin' 4 You!」[Greensleeves / GRELCD261](2000)


「Log On 」[Greensleeves / GRELCD266 ] (2001)


「Higher Level」 [Greensleeves / GRELCD270 ](2002)


「Good 2 Go」 [VP / Atlantic / WPCR-11763] (2003)


「Monsters Of Dancehall The Energy God」
[Greensleeves / GRELCD605] (2007)


Clevie Brownie (Steely & Clevie) / Unmissable Story extra pieces from Ruffn' Tuff vol.9

Unmissable Story extra pieces from Ruffn' Tuff vol.9
Clevie Brownie

 
Interview by Shizuo "EC" Ishii / Translated by Mizuho Takahashi / Photo by Masataka Ishida
 

 
私の本名はクリーヴランド・ブラウニー。この世界ではスティーリー&クリーヴィの片割れのクリーヴィとして知られている。私の音楽キャリアは、32年前にブラウニー兄弟5人で「ブラウニー・バンチ」というヴォーカル・グループでデビューしたのが始まりだ。1972年のことだね。後に兄弟で楽器を演奏するようになり、私はドラムスを担当した。そのうちに、だんだん、兄弟それぞれが違うバンドでミュージシャンとして活動することが多くなったので、グループは自然消滅し、私はドラマーに転身した。キーボードの練習をしていた(ウィクリフ)“スティーリー”(ジョンソン)に出会ったのはその頃のことだよ。
 
長男のグレン・ブラウニーはジギー・マーリーやジミー・クリフやモンティ・アレキサンダーと一緒にやっていたベーシスト。守備範囲が広く、レゲエもジャズも自由自在だ。次男のダルトン・ブラウニーはフレディ・マグレガーのギタリストでビッグ・シップ・プロダクションの共同経営者。三男のノエル・ブラウニーはキーボード奏者で非凡なプロデューサーでもある。四男のダニー・ブラウニーは、以前はMain Streetのプロデューサーだった。今もMain Streetはあるが、音楽としてはゴスペルに転向した。シェヴェル・フランクリンを始めとする、現在ジャマイカで最高のゴスペル・シンガーたちをプロデュースしている。で、五男が私だ。  
 
ブラウニー一族は音楽の才能に恵まれているよ。どうやら、そういう血が受け継がれているらしい。例えば私の甥で双子のリチャード・ブラウニーとロバート・ブラウニー。リチャードはこの業界ではShamsで知られているね。T.O.K.なんかを手がけているダンスホール系の売れっ子プロデューサーだ。ロバートのほうはシャギーのギタリストだ。そのうちわかるが、Shamsの妻はシンガーで、フェイス・ブラウニーの名前で間もなくデビューすることになっている。グレン・ブラウニーの妻もシンガーだしね。私の子供たちがレコード・ビジネスに参入するのも時間の問題だろう。
 
※    ※    ※
 
スティーリーに出会ったのは、私がドラマーに転身したばかりの頃。彼もキーボードの修行中だった。多くの人がスティーリーと私が本当の兄弟だと思っているが、血はつながっていない。でも、本当の兄弟のようだよ。考えていることも同じだしね。彼とは1974年からずっとコンビを組んでいる。最初のレコーディングはオーガスタス・パブロのプロダクションだった。あのセッションでスティーリーがキーボード、私がドラムで参加して以来、ずっとコンビを組んでいるんだ。縁があったんだろうね。二人で膨大な数の曲を作ってきたよ。他の人がどう思っているかはわからないが、私はグルーヴがあるという点ではスティーリーの右に出るキーボード奏者はいないと思っている。スティーリー&クリーヴィという組み合わせは凄く独特で、その可能性は無限だ。どんなジャンルの音楽でも限界はないね。
 
※    ※    ※
 
80年から約8年間、私はサー・コクソンと一緒に働く機会に恵まれた。スタジオ・ワンの専属ドラマーだったんだ(※80年代に「スタジオ・ワン・バンド」というバンドがあったが、こちらの実態はフレディ・マグレガーのバック・バンド。クリーヴィがドラマーとして参加していた。当時、スタジオ・ワンに縁のあったミュージシャンで結成されたグループだったため、この名前が付けられた)。スタジオ・ワンは私にとっては学校だよ。あの当時はレコードで音楽を聴くと、ハッキリと細かいところまで聞こえない部分があったんだが、スタジオ・ワン(のスタジオ)ではマスター・テープから直に音を聞くことができたんだ。私はそれにオーバーダブをしたり、昔の曲を今風にアレンジしたりといった作業を任せられ、とてもよい経験になったね。私もスティーリーもオールド・スクールの音楽が好きだったから、よくトレジャー・アイルやスタジオ・ワンやランディーズなどの古い音楽を一緒に聴いたよ。あの時代の音楽には影響を受けたし、後に、それが自分達が創る音楽の中で重要な味付けをするスパイスになってくる。
 
スタジオ・ミュージシャンとしてドラムを叩いているうちに、時代は流れて、コンピューター・テクノロジーの時代がやってきた。バンドに参加してツアーに出たり、もっとライヴ・パフォーマンスをすればよかったのかもしれないが、私はそうしないで、ドラマーとして自分が感じることを全てコンピューターに打ち込んでいった。スティーリーも同じだ。でも、そのおかげで、私たちのプログラミングは独自性が高まったと思う。サウンドを作るのは確かに機械だが、そこに自分のフィーリングを加える。そうすると、例えば、Dawn Pennの「No, no, no」のような曲になるんだ。あれはプログラムした音にライヴの音を加えたものだが、それによって人間臭さという要素が加わって、暖かい感じの音になっているだろう?[次号に続く]
 
 
■DVD
「Ruffn' Tuff 〜 Founders of The Immortal Riddim」DVD
監督:石井 "EC" 志津男
[Dex Entertainment / DXDS-0064]


  
■CD
「Ruffn' Tuff 〜 Founders of The Immortal Riddim」
O.S.T.

[Overheat / OVE-0100]
¥2,625(tax in)カリプソ、スカ、レゲエなど全16曲のベスト・セレクション。

 
■BOOK
「Ruffn' Tuff:ジャマイカン・ミュージックの創造者たち」
監修:石井“EC”志津男
A5判/192ページ

リットーミュージック¥1,890(tax in)

出演者の中から13名のインタヴュー+石井、石田、落合のエッセイ集。

Fire Ball / 10 Years History

Fire Ball
10 Years History
 
Text by Naohiro Moro / Photo by iGa-c
 


 
「Place In Your Heart」は、Jungle Rootsでキーボードを担当するDry & Heavyの外池満広氏のプロデュースで、ミックス・ダウンを同じくDry & Heavyの内田直之氏が担当。外池氏制作の温かみのあるトラックに、Crissの歌をフックにし、Chozen Lee、Truthful、Jun 4 Shotの3人がマイクを回していくという、前のシングル曲だった「Bird Man」を彷彿させるシンプルな構成で、メジャー・デビュー以前のFire Bを想起させる。内田氏のミックスも絶妙で、レゲエとしての高い完成度と、普遍的な楽曲としての良さを併せ持ったFire Bらしいメッセージのこもった1曲だ。シンプルな中にも、印象的なコーラス・ワークがさり気なく施されていたりして、2002年のメジャー・デビュー以来、様々な挑戦をしてきた、今の彼等だからこそ出来た曲な様な気がしてならない。
 
Fire Ballの結成は、当時、MC/エンジニアを担当していたTruthful(当時はまだSticko)のNYエンジニア留学からの帰国がひとつのきっかけだったという。
 
「オレらが97年にやった『火と拳ツアー』の頃には、もうFire Ballを名乗っていたと思うよ。オレが帰って来た年だから。Simonと2人で『Fire Ball』って名前はどう?って言ったんだよね」(Truthful)
 
当時のメンバーは、Criss、Lee、Junの3人。これを機会に、3人で構成されたステージが増えて行く。コンピCDなどで作品が多く発表されていたChozen Leeは、既に注目が集まっていた時期の様に思う。
 
「最初の頃やってたのは、単純にマイク・リレーだったね。Crissの歌をフックに、間のヴァースを持ち歌で埋めていくみたいな」(Chozen Lee)
 98年にYoyo-Cがロンドンより帰国、翌99年にFire Ballに加入。Crownのサウンド・プレイの一翼を担っていたStickoがアーティストTruthfulとして更に加入。5人体制となったFire Ballの存在感は増していった。それを象徴する様に、2000年には日比谷野音の「Soul Rebel」にFire Ballとして正式に登場。この頃の唯一の全員参加曲「We Are Fire B」は、CD化されたライヴ音源「Soul Rebel 2000」に収録されている。
 
同じ2000年、画期的なテープ作品『Life Style』の発表に続き、レーベル「Life Style Records」を発足させたMighty Crownは、本格的に音源制作を開始。まずはインディーズ・レベルでのコンピレーション・アルバム『Life Style Records Com-pilation Vol.1』の制作に着手。その主軸は当然Fire Ballだった。ここで現在のFire Ballのスタイルを最初に表現した曲「Fire Ballのテーマ」が作られた。5人のキャラを損なうことなく、複雑に絡み合いながら疾走していくそのスタイルは、ソロ集団だった彼等が、後に、ひとつのグループとして進化していく前触れだった言える。
 
これを機に、Fire B はメジャー進出に大きく動き出すが、Yoyo-Cがここでが脱退。以降、ソロとして独自の音楽世界を創造して行く。今、改めて時系列に並んだベスト・アルバムの中で「Fire Ballのテーマ」を聞き直すと、彼の声の存在感に気付く。
 
メジャー進出の際、Fire Bは自ら「ハイテク」というテーマを課し、ハーモニーと複雑な掛け合いを全面に打ち出し、それまでシーンになかったスタイルの「ひとつのグループ」へと進化を果たした。それはマイク・リレーともユニゾンとも違う高い音楽性を問われるものだったと言える。
 
「ライヴでのお客さんの反応とかも、“Fire Ballのテーマ”以降、変わったな、って感じはあったね。こういう感じでいいんだ、みたいな感触があったと思う」(Jun 4 Shot)
 
「“Bring It On”が出来た頃かな。やっと何となく形が出来たかな、って思えたのは」(Truthful)
「最初は全てが手探りの中でやっていたから、ファースト・アルバムを作りながら,同時にFire Ballというグループも作っていった、っていう感じだね」(Criss)
 
以降、年イチのオリジナル・アルバムをリリースという、ハードな制作活動を続け、作品毎に様々な実験を繰り返してきた。ヴァイブス満タンの1枚目。「よりコアに」を目指したセカンド。横浜(=現場)回帰を意識したサード。コンセプチュアルな世界観で統一された4枚目。そして、その音楽性は、前作、5枚目の『Sounds Of Revolution』で、ひとつの高みに到達した感がある。同アルバムは、深みを増したサウンドに加え、メジャー・デビュー以来、メンバーがばらけたコンビでの曲も収録したりと、余裕と貫禄を感じさせる内容だった。
 
同時に、Fire Ballの活動とシンクロする様に、「横浜レゲエ祭」も、八景島、みなとみらい、横浜スタジアムと、拡大成長を続けてきた。多くのアーティストが、現在のシーンの隆盛に貢献して来ているが、彼等のフロンティア精神が大きな役割を果たしてきたことに異論を唱えるものはいないのではないだろうか。
 
「今までやって来た複雑な掛け合いとかコーラス・ワークは、誰にも真似出来ないFire Ballを作り上げるために絶対必要だったことなんだ。オレたちがいろんなことに挑戦してきたのは、オレたちの音楽が “ファイト・ミュージック”だからなんだよ」(Chozen Lee)
 
彼等は戦い続ける。ジャパニーズ・レゲエを取り巻く環境も、今後、何時、どの様に変化して行くかも予測もつかない。だから我々はFire Ballの戦いを見守り続けていくしかないのだ。
 
「The Best Of FB」(初回盤)
Fire Ball

[EMI / 2CD+DVD / TOCT-26284]


「The Best Of FB」(通常盤)
Fire Ball

[EMI / 2CD / TOCT-26286
 
 









FIRE BALL DISCOGRAPY

[singles]

1st Single
「LIGHT UP THE FIRE〜FB:着火のテーマ〜」
TOCT-4449
2003/1/29




2nd Single
「KICK UP」
TOCT-4506
2003/5/28




3rd Single
「アンジェリータ」
TOCT-4589
2003/10/8





4th Single
「UNDER THE BLUE LIGHT〜ハマのテーマ〜」
TOCT-4696
2004/4/21




5th Single
「Joyful Days」
TOCT-4823
2005/2/23





6th Single
「キットヒット
〜踊るカルマン〜」
TOCT-4858
2005/4/20





7th Single
「撫子MANGO FRUITS -FBDB-」with BACK DROP BOMB
TOCT-4913
2005/9/22




8th Single
「BIRDMAN」
TOCT-5006
2006/5/17




9th Single
「PLACE IN YOUR HEART」TOCT-40015(CD+DVD)TOCT-40016(CD)
2007/6/6




Concept Single
「Dancehall Fiesta
〜レゲエ祭のテーマ〜」TOCT-22250
2004/7/28

 
[albums]



1st Album
「火の玉」
TOCT-24829
2002/6/19




2nd Album
「BOOK OF LIFE〜炎の章〜」
TOCT-25067
2003/6/27




3rd Album
「FIST AND FIRE」
TOCT-25377
2004/6/23




4th Album
「999 MUSICAL EXPRESS」TOCT-25685
2005/6/8




5th Album
「SOUNDS OF REVOLUTION」TOCT-26045
2006/7/12


 
[DVDs]



PV & Live DVD
「FB THE MUSIC VIDEO AD2001-2005」
TOBF-5354
2005/2/23




Live & Document DVD
「横浜レゲエ祭2003」
TOBF-5254
2003/11/12




Live & Document DVD
「横浜レゲエ祭2006」
TOBF-5502
2006/11/22

Ken-U, Micky Rich / MIC Blast from East

Ken-U, Micky Rich
MIC Blast from East
 
Interview by Shinya Aoki / Photo by Hiroto Sakaguchi
 

東京を代表するサウンド、Racy Bulletのアーティスト集団、Ent Deal Leagueとして活動しながら互いにソロ・アルバムを完成させた今最もダンスホールで注目されるSinger & Sing Jay、Ken-UとDJのMicky Richにインタビュー。
 
●Racy Bullet(以下Racy)、Ent Deal Leagueを含めた2人の活動の始まりについて教えて下さい。
Micky Rich(以下M):俺はHip HopのDJを高校生の頃からやってて、20歳前後の頃に新宿のハイ・タイムというクラブで今のNitro Microphone Undergroundの面子と当時、タイム・マシーン、チェリー・ボムで活動してたHemoさん達とSister Mami、Butcher君がクラッシュやったりするごちゃまぜのダンスでDJしたのが最初。その頃からReggaeに興味持ち始めて、ちょうど高校が一緒のSoh Badlyと遊んでて今のRacyの面子と繋がっていったんだ。
 
●その時、Racyはもう結成されていたの?
Ken-U(以下K):いや、まだちゃんとやってなかったけど、当時はHip HopのDJとReggaeのセレクターがいるCrewとしてなんとなくはあったかな。
M:俺はそのHip HopのDJとして参加してた。
 
●Ken-Uは最初からRacyで歌ってたの?
K:俺はMickyより先にRacyのオリジナル・メンバーと一緒にいて、クラブに遊びに行ったりしてたんだけど、まだ歌ってはいなくて。自分でリリックを書くなんてその頃は考えもしなかったよ。しばらくすると歌ってみたいなと思い始めてリリックを書く事からやってみたんだけど、中々ダンスでは歌えないっていう時期が続いて、でもある時期にそれを乗り越えて歌えるようになったんだ。
M:マダムカラスが最初じゃない? 最近、ヒビキラーと俺で言うんだけど、「やっぱ俺らの功績はケンちゃん(Ken-U)を歌わした事だよね」って(笑)。そのダンスはヒビキラーが池袋のマダムカラスでやってたんだよね。
K:それから渋谷FMでHemoさんとかと出会って。曲とか持って行ったり、新しいオケをもらったりしてたら“Escape”のトラックで歌える事になって。
 
●そこから「Doko」、「Wine Yeah」が生まれる訳だ。その頃からRacyもガッチリ動き出したなって感じでしたよね。
K:Racyはずっと現場をキープしてくれてたから、俺らも歌う場所があるっていう。
M:うん、歌い手とサウンドがお互いに刺激しあって良い感じになり始めた。あいつらがいるから俺らがいるっていう。
 
●RacyのMasamatixxxは2人のアルバムでトラック提供してるけど、セレクターやりながらずっとトラック制作してたの?
K:いや、ずっとセレクターだったんだ。
M:あの人はもうちょっとしたらカユい所に手が届くという時に手が届いていて、気がつくと更に先にいってるっていう人。無言で「俺はこんだけやるけど、お前らやらないと知らないよ」っていうヴァイブスを良い感じで出してくる。
 
●2人のアルバムではHome GrownやM. Kamishiro、Junior(Red Spider)とか共通のプロデューサーとやってますね。
K:Kamishiro君とはダブ録りでKamishiro君のスタジオでお世話になったりしてリンクしましたね。Junior君も昔から作品で声かけてもらったりしてて、リンクが早かったですね。Masamatixxxもそうだけど、Junior君もオンタイムなセレクターでかっこいいんで、今回もダンスホールのオケを頼もうかなって思ってたらミディアムができちゃったんですよ。次回はダンスホールのオケでやりたいですね。
M:俺は「Wine Yeah」のオケを作り直すのに誰にしようかなって考えた時にJunior君が浮かんで。元の曲を知ってるから試行錯誤してて、Minmiに上物を弾いてもらったりして「レンキー超えられる?」とか話しつつこの曲は生まれ変わりました。
 
●2人のアルバムの話なんだけど、自分で言うのもなんだから互いに相手のアルバムを紹介して下さい。
M:ケンちゃんのアルバムはKen-U・ワールドなんすよね。普通のレゲエ・アーティストとは歌詞の世界観が違う。「まだ見ぬ時代」とか聞くと、「あー、ケンちゃん今こんなこと考えているのか」って。包み隠さず言ってるけど、何処かちょっと遠くを見てるっていう感じで聞き手側に興味をそそらせるリリックが良いですね。
K:「まだ見ぬ時代」は「まだ見ぬ世界」の“Pt.2”って感じです。
 
●Ken-Uの方に入ってる2人のコンビネーション「固まる前に」も安心して聞けるよね。
M:「俺とケンちゃんならこういうパーティなダンスホール・チューンだよね」って。
K:次もやるだろうし、常に新しいダンスホールを考えていきたいね。俺はMickyとならいつでも書けますね。
 
●Ken-Uが思ったMickyのアルバムは?
K:まずはファースト・アルバム、おめでとうございます。これはMicky Richが確立されたアルバムだなと。Mickyの曲はアップテンポっていうか元気になる感じ。言ってる事が身近だったり下町の事だったり、俺がかっこつけて隠す所をMickyは隠さず表現していくっていう。凄いリアルな所に下町のキッズ達も共感できるはずです。
 
●今後の2人のソロ・アーティストとしての展望は?
M:今回一緒にできなかった奴らを何人か待たしてるんで表現の道を広げつつセカンド・アルバムを作っていこうかなと。あとはジャマイカで歌おうと思ってます!パトワで。それは何年後か見ててくれって感じで。
K:自分は自分の出したい時にアルバムを出せるように目指していきたいです。そしてジャマイカにもっとゆっくり行ける時間を作りたいなと思ってます。
 
「Next Cruising」
Ken-U

[Ki/oon / KSCL-1158]

 
「Good Morning」
Micky Rich

[KSR / RODS-0004]

Megaryu & Pang

Megaryu & Pang
 
Interview by Kazuhiko "Hico" Maeda / Photo by Hiroshi Nirei
 

「絶対にみんな頑張ってるんすよね。自分に向けたメッセージ・ソングなら、そういう人達にも届くかなって」(Ryu-Rex)。「たくさんの女の人が共感してくれたり、微笑むような曲を作ることが今回は出来たのかなって、今までより多めに。自分が思った事を素直に書いていくってところで、変な迷いもなくここまで来れた」(Pang)。共に最新アルバムをリリースした盟友、MegaryuとPangの二組に話を聞いた。
 
●今回リリースされるアルバムについて、それぞれ教えて下さい。
Mega-Horn:自分でも思うんですけど、絶対去年よりタフになってると思うんですよ、体力的にも、メンタル的にも。ライヴで歌いたい曲がたくさんあるって事はやっぱり、躍動してるんですよね、どっかが。メッセージ(を伝えたい)って部分もあるし、みんなでドッカーン乗っていきたいっていう気持ちもそうだし。
Ryu-Rex:作品やライヴで(ファンに)感じさせる事が出来るっていう自信は今ありますね。
Mega-Horn:ジャケットもそうだし、雲を突き抜けるって言うか、俺達の『我流旋風』『上昇気流』を雲だとしたら、それをモチベーションに突き抜けたい。
Ryu-Rex:基本的には、最初に言ってる事と変わってない。本当に身近にある喜怒哀楽を歌にして、少しでも同じような気持ちになってもらったらいいなぁ、と。そんなアルバムです!
Pang:ひとつの繋がりを強く感じた1年間だったんで。「絆」っていう部分を色んな形で表現したいし、人との絆もそうだし、音楽との絆っていうのもあるし。サウンドも、昔のサウンドを使ったりもしてるんで、今にも先にもどんどん繋げていきたい。そういう「繋がり」っていうのもテーマにしてるかもしれないですね。あと3枚目にして、今29歳で…30手前で。一人の女としての強さと弱さと可愛らしさ(笑)、そういうのがバランス良く出せたと思いますね。
 
●Pangさんは、日常の中で、行動や意識で変わってきたところとかありますか?
Pang:初めてで会う人に対してとか、この人とどういう繋がりが生まれるかな、絆が生まれるのかな、とか。だから、一人一人の人とちゃんと関われるように、その人と対する時にはちゃんとした自分でいたいっていうのもあるし。基本的の事ですけどね、人間として。
 
●Mega-Ryuの新作はいつも以上にポジティヴな曲が多いですね。
Ryu-Rex:去年は転機の時期で。二人共の仕事面に関しても転機で。色んな意味で音楽に集中しだした時でした。初めてやった事がたくさんあるんですよ。そういう部分でも良い事も悪い事でも、感じた事がたくさんあるんですよね。良い意味で男として腹をくくるっていう事が芽生えてきて、そっから生まれたポジティヴ・ソング。自分のために何をやればステップ・アップ出来るかとか考えながらやってきてたからですかね。
 
●今後に皆さんで御一緒に回られるツアーについて教え下さい。
Ryu-Rex:「スプリング・ライヴ」の時は今までの曲が殆どで、今回のアルバムの新曲を2曲だけ入れてるんですけど、本ツアーはカッツリ、新曲を入れていきたいですね。
Mega-Horn:各地の遊びに来てくれたファンが元気になるようなライヴ、ツアーにしていきたいですね。
Ryu-Rex:そして自分達も楽しみたいし。それにつきる。
Pang:楽しんでもらえるライヴにしたいし、ツアーが今年2回目なので、去年よりちゃんとしたライヴをお届けできるように。遊び来てくれた人達とちゃんと一人一人と繋がれるような、絆を結んでいきたいなと。
 
「ジェット気流」
Megaryu

[Avex / CTCR-14520]

 
「Pang III〜絆〜」
Pang

[Avex / CTCR-14479]

DJ Harry / Way Of Life Called

DJ Harry
 
Text & Photo by Noboru Shintani
 

関西最初の伝説的なレゲエのセレクターであり、リコ・ロドリゲスやシュガー・マイノットなどジャマイカの大御所アーティストとも交流の深いRas Harryが今、注目されている。
 
もう既にHarryを知っている人は、各地で開催されているどこかの祭り(野外フェスティヴァル)や、アメ村などで出会ったのだと思う。レゲエ歴35年のキャリアは、数え切れないほどの曲数と人に出会っている。またHarryがセレクトしたカセット・テープを聞いて影響を受けレゲエにハマっていった人は勿論多いが、地域として根付いた場所もある。ダンスホール・レゲエが盛んになる前から、ルーツ・ロック・レゲエが根付いていた大阪泉州もそうである。
 
彼が今まで作ってきたルーツ・ロック・レゲエのカセット・テープは、優に1,000タイトルを超えるほどだ。
 
「たいがいのことはやってきた。俺のやること何十年も早すぎや」とHarryは言う。DJ=セレクター活動とともに、色んな職種と活動もこなしてきた。かのサーフ・ブランド「ライトニング・ボルト」のライダーを始め、バリ等のツアー・ガイド、イヴェンター、バイヤー、印刷屋など。
 
「旅したら、その土地ごとにパワーもらうで」と。今は旅先での活動とともに、和歌山県勝浦に拠点をおき、そこでリピーター・ドラム(ビンギ・ドラムの一種)や各地で集めた「竹」の作品を制作する。そして、町の生活とラスタ思想をうまく融合させ、レゲエ・ライフを継続している。
 
今年6月末にはアメリカのカリフォルニアに赴き、今年で14回目を迎えた「Sierra Nevada World Music Festival」に出演。3日間に渡るこのビッグ・フェスにはTony Rebel、Richie Spice、Turbulence、Barrington Levy等の他、Derrick Morgan、Bunny Wailer、Toots & The Maytals、Bob Andy、Earl Zero、Sugar Minottと言った大御所も出演。HarryはBunny Wailer、Barrington、Turbulenceといったアーティストのライヴの合間にレコード・プレイをしてきた。日本人がまったくいない広大なフェスティヴァル会場でも、Harryの選曲は玄人好みし、さらに新しいリンクが広がっていくのを垣間見ることができた。
 
「いろんなとこ行ったら、楽しいで」とHarry。今年の夏も、レゲエをつたって各地をまわる。
 
レゲエが盛り上がり、根付く昨今、雑誌やインターネットで得られる情報や束の間の共感だけで得られるはずもない、人同士の息でしか伝わらない考えや喜び、生きていく礎、手段。自分にあったそれぞれのレゲエの楽しみ方が、まだまだたくさんあることをHarryは自身のライフスタイルをもって教えてくれる。

Ekolu / Reggae Breeze From Hawaii

Ekolu
Reggae Breeze From Hawaii
 
Text by Kazuki Nakamura / Photo by Kobayashi Taxi
 

日本人にも馴染み深い島、ハワイがかなりのレゲエ・アイランドであるという事実を御存じだろうか? ロコの生活にはレゲエのリズムが欠かせないようだ。そんなハワイの現状をハワイアン・レゲエを代表するバンド、エコルへのインタヴューを通してご紹介しよう。
 
ハワイアン・レゲエについて話すと、「ハワイにもレゲエがあるの?」なんて半ば驚きを持って聞き返される事が多い。ハワイの情報は巷に多くあれど、そこにレゲエという言葉は殆ど見かけないからだろう。しかし実際はというと、ハワイの人達はレゲエが大好きなのである。ジャマイカやUKからのビッグ・アーティストを呼んでのステージも頻繁に行われている。そんな中でも特に人気なのが、ロコのバンドがプレイするハワイアン・レゲエだ。ハワイに受け継がれる美しいメロディ、豊かな音楽文化とレゲエのリズムが融合した新しいレゲエ・ミュージックがそこには有る。ハワイの美しい風土、自然が産み出したハワイアン・レゲエ、そして自分達の音楽について「ナホク・アワード」(ハワイ版グラミー賞)のレゲエ部門を2年連続で受賞したグループ、エコルの3人にじっくりと語ってもらった。

 
「ハワイではみんな、レゲエに対してクレイジーだよ(笑)。毎月の様に海外からもアーティストがハワイに来るし、ローカルのショーもあちこちで行なわれてる。ローカルのバンドもたくさんいるんだ。レゲエだらけだよ。
 
特に今年は凄い。1月から既にたくさんのショーが行なわれた。本当に年々ハワイのレゲエ・シーンは大きくなってると思う。ハワイにはオールディーズやファウンデーションのアーティストから最近のダンスホールDJ、シンガーまで、様々なジャマイカン・アーティストが来てくれるんだ。ルチアーノ、モーガン・ヘリテージなど、どちらかと言えばルーツ系がハワイでは人気があると思う。この間、ウェイラーズがマウイに来たんだ(この時、彼等はウェイラーズのフロント・アクトを務めた)。ウェイラーズのライヴは本当に素晴らしかった…。愛を感じるんだよ、彼らはミュージックを通してメッセージを送っているんだ。輝いた人生の価値、理解し合う事の大切さ、家族に対する愛…。教え合う事が大切だと思う。そうすれば人々はお互いに近くなる事が出来ると思う。
 
オレ達はバンドでキャンプに行ったりもするんだ、3人でね。魚を釣ったりして、3日も、4日もキャンプをするんだ。これはハワイの他のバンドもやってるよ。それで、そのキャンプにお客さんが訪ねてきたりして、たまにビッグ・キャンプになったりするんだ。みんな家族みたいなんだよ。オレ達はこんな風にしてレゲエを楽しんでるよ、ハワイアン・スタイルでね(笑)」 









Recomended Hawaiian Reggae Discs

「R.O.L. Presents Island Rhythms 〜Smooth Hawaiian Reggae Selections〜」
Various Artists

[Pony Canyon / PCCA-02513]
ハワイのFMでパワー・プレイされる人気曲を多数収録。ハワイアン・レゲエの魅力をたっぷりと!


「H-Pop Vol. 〜Jawaiian Cruise〜」
Various Artists

[Pony Canyon / PCCY-1841]
Konishikiがプロデュースする「H-Pop」レーベルから、Shen(Def Tech)も参加した豪華な一枚。


「Ekolu Music」
Ekolu

[Waiehu / WRCD-004]
切なく澄んだ唄声と美しいメロディ、ハワイにおいて大きな支持を得ているエコルの最新盤にして名盤。


「For You」
Three Plus

[Koops 2 / KPSE-1001]
ウクレレも軽やかに鳴り響くレゲエ・ナンバーがずらり。ハワイアン・レゲエを聴くならこの一枚。


「Comin' Atchya」
Ho'okoa
[Ace / 2471]
2007年、新星の如くシーンに現れた若手グループのデビュー・アルバム。既にクラシック入り確実の好盤。


PLAY IT LOUD from No.293

BREAK THROUGH / THE SLICKERS
[MAKASOUND / MK19]
ディスク・ガイドのジャケット写真でしか拝めなかったルーツ・レゲエの名品が遂にCD化。まず驚いたのは、ヴォーカルが今にもスピーカーから飛び出しそうな勢いでエネルギッシュな事。基本のコーラス・ワークも流石です。とにかく熱い、そしてたくましい。立ち向かうレゲエの精神が漲る。バックを支えたミュージシャンは70年代に活躍したほぼオールスター。いつまでも冷めないルーツ、いかがですか?[輸入盤](磯野カツオ)
 
ON THE OTHER SIDE OF DUB DELUXE EDITION / LONE RANGER
[HEARTBEAT / HBCD324]
「Barnabas Collins」「M-16」等のヒット曲を持つオールド・トースター、ローン・レンジャーが81年に発表した名作。名門スタジオ・ワンからのリリースというだけではなく、ルーツDJモノの代表作としてレゲエ史に残る一枚。今回はボーナス・トラックとして7曲をプラスしたスペシャル・ヴァージョン。アーリー・ダンスホール時代の幕開けを感じさせるスタイリッシュなトースティングが存分に堪能できる。[輸入盤](小池信一)
  
FROM BOND STREET TO GREENWICH FARM / V.A.
[COUSINS / COUDCD47]
往年の名リズム・トラックを使用して制作されたコンピ盤。ジャマイカの宝物レーベル、トレジャー・アイル産です。最早レゲエに於いて特別な事ではありませんが、やはり安心かつ和んでしまう60年代に生まれたクラシック・リズムは、ファンにとって永遠ですね。ルチアーノ、トニー・カーティス、ルーキーD他、優れた歌心を持ったシンガー達が参加しています。ヴォーカル・ファンにはお薦めです。[輸入盤](磯野カツオ)
 
TWELVE INCH RULERS / V.A.
[GREENSLEEVES / GRELCD608]
老舗レゲエ・レーベル、グリーンスリーヴスが創設30周年を記念してスタートした新シリーズの第一弾。これ迄にリリースされた12インチ音源をテーマ別に紹介するという物で、今回は80年代前半に一大ブームを巻き起こしたレーベル、ヴォルケイノの音源をコンパイル。現在ではコレクターズ・アイテムとして入手困難な12インチ音源が、これから続々と再発されるのかと考えるととても楽しみな企画だ。[輸入盤](小池信一)
 
STUDIO ONE DUB VOL.2 / V.A.
[SOUL JAZZ / SJRCD166]
スタジオ・ワンの貴重音源を紹介するソウル・ジャズの人気シリーズ最新作。アルトン・エリス「Breaking Up」、マーシャ・グリフィス「Feel Like Jumping」、ボブ・アンディ「Unchained」等のダブ・テイクを収録したアルバム。ダブとはいえハデなディレイ使いや激しい音の抜き差しは余り無く、かなりヴァージョンに近いミックスとなっているが、しっかりとした演奏と楽曲の良さで充分楽しむ事が出来る。[輸入盤](小池信一)
 
カリー・バッズ/カリー・バッズ
[ソニー/SICP1470]
「にせものでない。見せかけでなく実質があること」=「本物」=カリー・バッズ。この男。レゲエ先進国の現場で着火したバミューダ育ちの白人アーティストが、その“証”をここにドロップ。クールなのは外見ではなく、その視点。鍛え抜かれたリリカルな表現力と、真にシンガーでありDJという、世界のトップが速攻ラヴ・コールを送ったジャンル・レスに稀有な才能。問答無用に“惹く力”を持つ、瞠目のデビュー盤。(遠井なつき)
 
サクリファイス/アレーン
[エイベックス/AVCD-23304]
ドン・コーリオン全面プロデュースのデビュー作。ドン制作哀愁ワン・ドロップとその高音フェアリー・ヴォイスが抜群の相性を見せ、シーンに降臨した05年。ジョグリンTrk.も一聴でアレーンと分るオリジナル・チューンに仕上げる力量は確かなもの(本作ではマタランfeat.も)。でも何よりその歌唱の上品さと裏腹に、灼熱のゲットーに響き渡るシーンが似合うラヴ・ソングが秀逸。そのコントラストがたまらなく切ない。(遠井なつき)
 
トゥデイズ・スペシャル/キングストン・キッチン
[スカ・イン・ザ・ワールド/SIWI-78]
スカの実力派、Dr.Ring Dingがフランク・シナトラばりの喉を披露する新バンドのファースト作品。お仲間は、オランダの人気スカ・ジャズ・グループの面々。熟成されたワインを口に含んだような芳醇さを醸し出しています。ジャズをベイスにスカ特有の雑食性と多彩なリズムでフルコースが味わえます。知る人ぞ知る隠れ名店を見つけました。さりげなく、AC/DCをソフトにかヴァーするなんて粋だね。(磯野カツオ)
 
あっぱれ!!/ビガ・ライジ
[徳間ジャパン/TKCA-73224]
この巨漢にこの声、そしてあの軽やかなパフォーマンスはインパクト大。94年からマイクを持ったというヴェテランだが、04年のミニ・アルバム『意気揚々』や05年の「Road To 横浜レゲエ祭」への出演で全国的に知られるようになったはず。ファースト・フル・アルバムとなる本作は、90年前後のダンスホール風味の軽快なトラックに流暢なシングジェイを乗せ貫禄さえ漂う。きっとクセになる人も多いだろう。(大場俊明)
 
ひとりあそび VOL.0/アラレ
[P-ヴァイン/PCD-4383]
この脱臼感、脱力感……次々と飛び出すニュー・ジェネレーションの中でも、その風貌も含めある意味、異端児=アラレのファースト・アルバム。飄々としているが、彼のレゲエへのはまり込み度は深く、リリックを聞けば天然のレゲエ馬鹿と分る。ただ視点が他のアーティストとちょっとズレてるからこそ世代の違う僕でも思わずクスクスしてしまうのだろう。自らとぼけたMCを決めるミックスCD仕様というのもいい。(大場俊明)
 
ベリー・ゴー・ラウンド/9マイルス
[ハンドカッツ/メロディフェア/HJCR-96]
97年に結成と言うからもう活動歴10年となるロック・ステディ〜ラヴァーズ・バンドの2年以上振りとなるセカンド・アルバム。前作『9miles』は秀逸だったし、ライヴはほとんど行わない彼らだから待ちに待ったファンも多いと思うが、ご安心あれ、相変わらずと言うか気持ち良さは前作以上。強いて変化を言えば陰の部分はやや控えめか。その分、涼し気なそよ風風味&ナイス・メロディなチューン満載。(大場俊明)
 
ポエッツ・ダブ(ミックス・バイ・7サムライ)/V.A.
[ビート / BRPC038]
イーストエンダーズで知られるエスノ・ダブ・ビーツ〜ジプシー・ドラムンベースが一部で人気のレーベル、ポエッツ・クラブの10周年記念盤。レーベルの中心アーティスト7サムライがこれ迄のリリースをダブ仕立てでリミックス/編集し直した、文字通りの新感覚ダブ大全と言える内容。ジャッキー・ミットゥ他カヴァー曲(選曲も◎)や他レーベルのアーティストによるリミックスも多数収録され、バランスも良い。(飯島直樹)
 
ミス・ケリー/ケリー・ローランド
[ソニー/SICP-1468]
デスチャ解散後初となるソロ作。スコット・ストーチ、ポロウ・ダ・ドン、タンクらによる好戦的なトラック捌きとスヌープやイヴらの賑々しいサポートが相俟って、随所で自らの殻を破らんとする様な試みに出会えるのが楽しい。しかしながら、彼女が光るのは、ロックワイルダーやソウルショック&カーリンらによる流麗ミッドでの立ち姿だろう。癒しを振り撒きつつ凛としたパフォーミングには大きな成長をみる。(石澤伸行)
 
コパセティック・イズ/マイクリン・ロデリック
[Pヴァイン/PCD-23959]]
80年代後半以降のブラコン・シーンを彩ったバイ・オール・ミーンズの紅一点がソロ・デビュー。グループ解散後、行動を共にしていたラサーン・パターソンらが提供する甘酸っぱさ満点のクラシック路線や自作でのジャジーなアプローチ含め、全編にシルキーな雰囲気が横溢。彼女のパフォーマンスも実に表情豊かで、アニタ・ベイカー、シャーデー、ミーシャ・パリスと様々なソングストレスの顔が浮かんでくる。(石澤伸行)
 
ソウル・サティスファイド/ブラウンズ・バッグ
[Pヴァイン/PCD-17120]
シカゴ在住の兄弟ユニットによる本作は、既にリリースが済んでいる欧州シーンで獲得した大きな評価をふまえての邦盤化。アップにミッドにとオールド・マナーを溢れさせつつもきっちりタイトなバッキングを得て、彼の熱いヴォーカル・ワークからは、小気味良さも引き出されているような。既発曲のリミックス仕事を含め、シカゴの粋を集めたかのようなアーバニズムに酔いしれるのが、本作の正しい鑑賞法だろう。(石澤伸行)
 
ザ・バース・オブ・コーネリアス/コルネイユ
[ソニー/SICP-1432]
ドイツ生まれのルワンダ人による新作。カナダを拠点に地道な活動を展開することで、シンガーとしての地位を確立してきた苦労人だが、ルワンダ虐殺で両親を亡くしたというバックグラウンドは、彼の朴訥さと野味を含んだ歌声に、スピリチュアルな響きと重みをもたらしているような。何より楽曲の良さに非凡を感じさせるが、ロック的なアプローチを基調とした幅広な音世界こそが、彼の豊かな音楽性を支えている。(石澤伸行)
 
シンフル・イノセンス/コリー・リー
[ヴィレッジ・アゲイン/VAUR-0001]
ドイツ人と中国人を両親に持つカナダ出身の美形シンガーによる新作。新進のクリエイターを起用、USメイン・ストリームを意識しつつ、ポップな味付けを主体とした好トラックが連なり、サウンドの意匠を問わず伸びやかに立ち回る様は、“カナダのビヨンセ”なる異名に説得力を与える。アップでのまんまなアプローチも楽しいが、ミッドでの優美な振る舞いは、女性的な丸みを思わせるもので好感度も極めて高し。(石澤伸行)
 
ABC・オブ・ロマンス/ムーン・ベイカー
[ハンドカッツ/HJCR-94]
オランダはアムステルダム出身の女性シンガーによるデビュー作。キャンディ・ダルファーと共に世界を渡り歩いてきたという実力は、本作での歌いっぷりにもしっかりと反映されている。ヒップホップ、ファンク、ジャズとサウンドの表情は様々ながら、力強さと共に育ちの良さをも感じさせる彼女の華やかな歌声が、気鋭のビート職人、ニコレイによるドープ&メロウなトラックに乗って舞う様には、抗し難い魅力が。(石澤伸行)
 
JOURNEYMAN'S ANNUAL / DEADBEAT
MDM / SCAPE / SC46CD]
モントリオール在住アーティストによる、ダブ・エレクトロ名門Scapeからの4作目。これまでの作品も「Massive Attackが3rd以降進むべき音」と思わせるサウンドだったが、今作はそれを更に押し進め、ダブステップ的なアプローチも聴ける。アフロ・ビートの独自解釈ともいえる呪術的世界や、よりレゲエに接近したブリアル・ミックスmeetsグライム的展開もアリで、これ迄以上に多彩かつ芯の強い内容。[輸入盤](飯島直樹)
 
SURVIVAL OF THE FATTEST / PRINCE FATTY
[MR. BONGO / MRBCD052]
Acid Jazzの時代からそのキャリアをスタートさせ、リリー・アレンのヒット「スマイル」を手掛けた事で知られるプロデューサー/エンジニア、マイク・ペランコニのプロジェクト。スタイル・スコットやリトル・ロイ、ウィンストン・ファーガスらベテランも参加し、ビーツ・インターナショナルを生音化した様な、クラッシュや2トーンから脈々と受け継がれている英国白人不良大衆音楽の王道サウンド。[輸入盤](飯島直樹)
 
FLOATING HEAVY / ME & YOU
[TRU THOUGHTS / TRUCD129]
軽快なファンク〜ブレイクビーツを届けてくれるブライトンの優良レーベルから、その中心人物らによるプロジェクト。重心低めな南米音楽紀行(時空の乱気流多発)といった趣で、ジャジー&ファンキー・ハウス、カリプソ+ヒップホップ・ビート、ドラムンベース、バトゥカーダなダブステップ、ダブステップ+ソカ…と、様々なスタイルの音楽をユーモアも忘れずに聴かせる所は英国ならではの感覚だろう。[輸入盤](飯島直樹)
 
THIS WAS SUPPOSED TO BE THE FUTURE / THE NEXTMEN
[ANTIDOTE / ANTCD120]
歌姫アリス・ラッセルやジョー・デューキー、LSKらによるヴォーカルを全編にFeat.し、これ迄のブレイクビーツ・ユニットというイメージから一歩踏み出した傑作。ファンキー・ソウル、ダンスホール・レゲエ、ソウルフル・フォーク、ダブ×ブレイクビーツ……等、曲毎にスタイルを明確にし細分化へ対応している点は21世紀らしいが、全体の感触としてはヤング・ディサイプルズにも通じる“UKサウンド”。[輸入盤](飯島直樹)
 
PARA TODOD TODO / EKD
[FZMX / E.K.D.C.D.001]
下北沢のDJバーを拠点にイヴェントを開いている音楽集団=未来世紀メキシコの一員EKDのオリジナル・アルバム。レゲエ〜スカ〜ラテン〜クンビア〜サーフなどの多様な音楽スタイルを、現在進行形レベル・スタイルでミックスし、“Think Locally, Fuck Globally”を胸に、すべての楽器を一人で演奏。個人的には今年前半で最も衝撃を受けた一枚で、自主制作&販売店を限定するスタイルも含め、考えさせられる点も多い。(飯島直樹)
  
ゲッティン・ア・リトル・ヘルプ・フロム・ザ・ジョーンゼズ/エドガー“ジョーンズ”ジョーンズ
[ウィンド・ベル / WB12]
昨秋の来日公演ではMC第一声から観客の爆笑を誘ったという、元ステアーズのマジ男2nd。本作はそのライヴでの勢いも手伝ってバック・バンド、ジョーンゼズと制作した新作。前作での60年代風場末ロック/ジャズなムードはそのままに、オーセンティックなスカ〜ロックステディや、「サマータイム」のキッチュなカヴァー等、彼にしかできない世界を展開。日本盤ボーナスのエレクトリック・マイルスな長尺曲も必聴。(飯島直樹)

2007年8月10日

Linval Thomson / Jah Guiding Star

Linval Thomson
Jah Guiding Star
 
Text & Photo by Simon "Marverick" Buckland
 

90年代Jetstarで最も活躍したA&R、Paul 'Nash' Anthonyの協力のもと、Linval Thompsonが久々にアルバムをリリースした。『The Early Sessions 1974-1982』はタイトル通り70年代後半から80年代前半までに彼が録音したレアなチューン満載のコレクションだ。ボーナスDVDには、Linval自身が彼の音楽的ルーツと、若かった頃の苦労を語ったものや、最近のライヴの様子が収められている。ステージ上の彼はエネルギッシュで現役バリバリといった印象。ご隠居生活はまだまだずっと先のことだろう。
 
セルフ・プロデュース曲や、他のアーティストのプロデュースを手掛ける以前の彼の代表作といえば、70年代中頃にBunny Leeと作ったロッカーズ・スタイルのヒット曲かもしれない。しかし、意外なことに、彼のデビュー曲「No Other Woman」と「Another Man」はNew Yorkの Brooklynで彼自身のバンドが録音したものだ。Linvalは、NY在住の母と一緒に暮らすためにジャマイカを離れた。バンドを組み、NYの音楽シーンで一旗揚げようと目論んでいたのだ。しかし、当時のニューヨーカーはレゲエに対してあまりにも無知だった。Bob Marleyがアメリカでブレイクするまでレゲエはアメリカ人の興味をひくことはなかったのである。
 

「バンドを結成して、毎日ただ歌いたかったんだ。色んな会場で歌ったけど、泣かずとばずだった。僕らはひどく貧乏だったよ」
 
結局、NYで夢破れたThompsonは、レゲエの祖国ジャマイカに戻ってくることになる。1974年のことだ。今度は母国の音楽マーケットを征服しようと思っていた。まず、彼はKeith Hudsonの友人で音楽仲間だったStamma Hobsonと仕事をこなし、後にPhil PrattとLee "Scratch" Perryと共に楽曲作りに励んだ。それらの曲は商業的成功や、評論家の好意的なレビューをThompsonにもたらすことはなかったが(オリジナル盤は現在かなりの高値がつくはずだ)、当時の最も勢いのあったプロデューサー、Bunny Leeの目にとまった。そしてLeeの下、Johnny Clarkeと共に録音した「Don't Cut Off Your Dreadlocks」が彼にとって初のビッグ・ヒットとなる。
 
「Bunny Leeはルーツ音楽の最重要人物だった。私は彼のことを非常にリスペクトしていたよ」
 Leeとの信頼関係が、Thompsonのファースト・アルバム『Don't Cut Off Your Dreadlocks』として実を結ぶ。ルーツ音楽のスターLinval Thompsonの誕生だ。Bunny Leeに勧められThompsonはセルフ・プロデュースにも力を入れる。彼自身マイクを握った曲や、U.Brownとの共演作をレコーディングしたのだが、それらがリリースされることはなかった。そのような状況にもめげずに、彼は次のアルバムの制作に勤しんだ。
 

1978年、彼はアルバム『I Love Marijuana』をTorojanからリリース。このアルバムのヒットにより、一躍トップ・アーティストとしての地位を手に入れる。Big JoeによるDJ用アルバム『African Princess』と、ダブ・アルバム『Niagara Falls』が立続けに好セールスを記録。この3枚のアルバムが起爆剤となり、彼のキャリアは順風万帆となる。そしてSly & Robbie率いるロッカーズ・スタイルのRevolutionariesと共にChannel Oneから次々とアルバムを発表していったのだった。1979〜1983年がThompsonの真の黄金時代だったといえるだろう。彼はRoots Radics Bandを精力的にプロデュースし、数々のヒット・シングルを放った。その頃、彼がプロデュースしたアーティストは、Barrington Levy、Wailing Souls、Freddie McGregor、Viceroys、Meditations、Johnny Osbourneなど、レゲエ界の錚々たる面子が並ぶ。ヴォーカリストとしての仕事はプロデュース業が忙しくなった引き換えに減ったが、Greensleevesからリリースされた1982年の「Look How Me Sexy」や1983年の「Baby Father」で久々にシンガーとしての存在感を示した。
 
"Sleng Teng" がコンピュータによる打ち込みリディムの幕開けを告げると、ルーツ系プロデューサー達の仕事は次第に減っていった。だが、Thompsonは音楽ビジネスで得た資金を賢く不動産投資にあてていたため、収入がゼロになることはなかったようだ。
 
「打ち込みリディムの台頭は、ルーツ系ミュージックのマーケットを縮小させたね。でも、僕はコンピュータを使うことに全く興味はなかったんだ」
 
「80年代後半から90年代にかけてアパートを建設していた。幸い、不動産ビジネスが軌道に乗っていったので助かったよ。音楽だけでは生計が立たなくなっていたんだ。辛抱の日々だったな」
 
「ルーツ音楽のリバイバルが起こった後には、音楽の仕事も増えたね。今はビッグ・ビジネスだ! 僕の場合、カルフォルニアのErnie Bレコードが『僕の昔の音源を買いたい』と、言ってきたことから始まったよ。それからは次々と復刻の話が舞い込んできたな」
 
こうしてThompsonは昔のヒット曲を甦らせることで僕らの元に戻ってきた。彼はレアなディスコ・ミックスや、長いこと廃盤になっていたアルバムのリリースも考えているらしい。また、Barry Brown、Freddie McKay、Eek-A-Mouseや最近録音したThe Congosなど未発売アイテムのリリースも実現しそうだ。新たなトラックをレコーディングしなくても、かつてRoots Radicsと共に作った良質な数々のリディムのロイヤルティが、不動産収入と共に彼の生活を支えてくれるだろう。だから、彼は余裕をもって音楽作りができるのだ。『The Early Sessions 1974-1982』はこれから次々と発売されるであろうThompson音源の先陣を切るアルバムだ。Linval Thomsonが音楽シーンに戻ってきたのだ!
  
『The Early Sessions1974 - 1982』
Linval Thompson

[Hypnotize / TSHCD101]


『Cool Down』
Linval Thompson

[Clocktower]


『Negrea Love Dub』
Linval Thompson

[Trojan]


『Don't Cut Off Your』
Linval Thompson

[Third World]


『Baby Father』
Linval Thompson

[Greensleeves]


『I Love Marijuana』
Linval Thompson

[Trojan]


『Inna De Yard』
Linval Thompson

[Makasound]

Cham / Real Ghetto Story

Cham
Real Ghetto Story
 
Interview by Mianako Ikeshiro
 

祝! ベイビー・シャムもといシャム、メジャー・デビュー!! 「Many Many」時代からのファンやデイヴ・ケリー・サウンド支持者は、「Ghetto Story」の大ヒットで晴れがましい気持ちになったハズ。同名タイトルのこのアルバムは新型ダンスホール満載、攻勢を緩めないシャムからの報告だ。
 
●「Ghetto Story」がここまでヒットすることは予想していましたか?
Cham(以下C):ある程度は予想していたけど、世界中で受け入れらるとはさすがに思っていなかったな。リリックのほとんどが実体験で、パーソナルな曲だったし。
 
●ゲットーで子供達が銃を手に入れて周りを見返す内容が、当初、ジャマイカで賛否両論を起こしたようですね。
C:変わり身の早さに関しては、ジャマイカのラジオは酷いね。最初は盛り上げてから、暴力的なジャマイカを面を強調するから良くないとか言い出して、MTVでかかったら今度はまた持ち上げ直した。ダンスホールには暴力的な曲がもっとあるのに、どうしてあの曲だけ騒がれるのか分からないよ。俺の子供の頃に本当に起こったことをそのまま曲にしているだけなのに。
 
●映画『シティ・オブ・ゴッド』も舞台はブラジルですが、基本的なストーリーは同じですよね。
C:貧富の差が激しい国ではよくある話だよ。世界中のゲットーに似た話が転がっている。ヒップホップのアーティストにも「スポンジが水を吸うみたいに話が分かる」って言われる。道で「俺達の話と一緒ですごいリアルで、だから気に入っている」と言われることもある。
 
●ショーン・ポールと同じレコード会社にいるのはプラスが大きい? それとも、マイナスの方が大きいですか?
C:プラスかマイナスかはまだ分からないけど、今のところ調子いいし、ショーン・ポールと俺が全く違うタイプのアーティストだってことはもう伝わったとも思う。彼はダンスホールの明るい部分、ハッピーなフィーリングを体現しているし、俺は全く逆で、ハードコアなダンスホール・アーティストだ。ギャル・ネタをやるにしても彼は「Vitamin S」みたいな曲は作らないだろ。ダンスホール・レゲエにはたくさんの兄弟がいて、俺みたいな違うタイプのがいるのはいいことだ。ハードコア過ぎると言われた「Ghetto Story」が当たったことで、取りあえず、俺の実力は証明できたと思う。
 
●インターナショナルな展開をするに当たって、ショーンからアドヴァイスを貰いました?
C:いや、俺達は普通の会話しかしないよ。「アサイラムでこんな曲かかっていたぞ」とか。彼は俺もそれなりに経験があって、賢いのは知っているから、そこはちゃんとリスペクトしてくれるんだ。
 
●参加しているアーティスト達を紹介して下さい。
C:「Bad Boys」に参加しているティア・ジーンはイギリス出身で、マッドハウスと契約するかも知れない。彼女自身が "85" を使ったデモ・テープを送ってきて、デイヴが気に入って全く違うビートを作った。「Girl」で歌っているジミー・チーズトリックスもマッドハウスの新人。何でも歌えるから、注目していて欲しい。マジック・マッセイはユニバーサルと契約しているR&Bシンガーだ。リアーナの「Boom Boom」はずいぶん前に作ったデモをまず彼女に送ったら、気に入ってすぐに自分のパートをやってくれたんだ。俺は、彼女自身を相当気に入っているけど(笑)。あと、「Love It Like That」で歌っているのはトリニティーで、ナイスなレディがいっぱい参加しているのがいいでしょ。実は、レディ・ソウとも曲を作ったけど、アルバムには収録できなかった。あと、妹分のスパイスに参加してもらえなかったのも残念だね。
  
●『Wow...The Story』と本作の違いは、あなたがより多くのスタイルを身につけていることだと思います。
C:それと、大人になったことだね。以前より伝え方に幅が出たと自負しているよ。ストレートなパトワだけだと伝わらない部分も多くなってしまうから、英語でうまく言い換える工夫をここ数年で身につけた。元々のハードコアな味を薄めないで出来るやり方があるんだ。
 
●最初にバッド・ボーイ系の曲を固めて、後半レイディース向けのセクションに変わる流れにしたのはどうして?
C:「Ghetto Story」から「Boom Boom」に繋げたら雰囲気がギクシャクするだろ。ハードコアなサイドから、もうちょっと明るいサイド、それから俺の情熱的なサイドにシフトする流れだ。
 
●ドラム・パターンがかなり面白い曲がありますね。ダンスホールとは言い切れない、という感想が出たらどう対処しますか?
C:リリックがダンスホールだから、俺の音楽はダンスホールだよ。音楽に境界線はない。数年前、パフィがR&Bのビートにラップを乗せ始めた時、ヒップホップではないと言われたのに、今では主流だ。デイヴもリスクを冒すのと厭わないタイプだ。「Rude Boy Pledge」もどの曲に似てないくらい斬新だけど、ジャマイカで絶対ヒットするよ。
 
●ジャマイカのダンスホールの流行は気に留めてますか?
C:全然。ほかの人がやっていることは好きだし、楽しんで聴いているけど、自分はそこから影響を受けない。出番が来たら、俺自身らしい音を作るだけだ。
 
●この作品でもっとも表現したかったことは?
C:ゲットーの様々なストーリー。苦難も恋愛もあって、ダンスホールに出かけて楽しむこともある。ダンスホールは貧しい人達が作った音楽だからね。だから、このアルバムからは、ジャマイカのリアルな生活を感じ取って欲しい。
 
『Ghetto Story』
Cham

[Warner / WPCR-12405]

Beenie Man / The Undisputed Leader

Beenie Man
The Undisputed Leader
 
Interview by Minako Ikeshiro
 

ジャマイカの今年の夏男は、ビーニ・マンだ。公私共に話題をたっぷりと振りまき、注目を集めまくり。6月のインタヴューでもボクシング・グローヴを肩に掛けて意気込みながら、婚約の話題になると途端にのろけモードになった。新作『Undistputed』はキングの「いろんな気分」が詰まった会心作。
 
全くもって、ビーニ王の身辺が騒がしい。最新作のリリースを前に婚約を発表、フィアンセがバウンティ・キラーの元カノだったことから「またかい!」のケンカが再燃。8月3日〜6日までに行われた、9年ぶりのレゲエ・サンスプラッシュでは、直前のリハーサルでバックを務めるラフ・カットと衝突した同日に、ショッキングス・ヴァイブスの右腕、パトリック・ロバーツを首にする、と発表。サンスプ3日目の記者会見では、「ビーニ・マン、ドタキャンか!?」との噂を主催者側が必死で取り消す一幕も。当夜(正確には、翌朝)、キングは何食わぬ顔で登場し、ブジュ・バントンのバンドとにわかに組んで、あっさり「サンスプを最も盛り上げたアーティスト」のヘッドラインとブジュと分け合った。
 
 一見、やりたい放題だが、実はビーニなりの理由があって、6月のインタヴュー時に「パトリックは最近、音楽を放ったかしにして政治とサッカーで頭がいっぱいで、会社の方向がおかしくなっている」と発言していたし、リハーサルの件はビーニのディス・ソングがあるトゥインズ・オブ・トゥインズとやっていたのが気に入らなかったらしい。「俺は目立つから、必要以上に叩かれるのはしょうがない」とキング。サンスプのステージ裏では超ご機嫌で、「バースデー・バッシュに来るんなら、その前の結婚式にも出席していいぞ!」。ハハァ〜。
 
 波瀾万丈、自信満々のビーニ王による最新作は、エイコンやスコット・ストーチの参加など「メジャー系」の仕掛けもあるが、本誌読者的は頭の“Dangerous”でのコンロス・スミス使いや、“Set You Free”での2006年ぽいミニマムなトラックに乗せた、超懐かしいアーリー・ナインティーズなDJにトバされるはず。キングってば、引き出し多過ぎ。「昔からのファンにだけ通じる、懐かしい雰囲気も取れ入れたんだ。これは、“Many Moods Of Moses”とも言える作品だから」。「97年の名作アルバムの続編なんですか?」と返したら、満面の笑みで「そのとーり!」。既発曲は、「“Come Again”と“Chaka Dance”と“アータタ”」。え、何が痛いって? あ、“Heart Attack”か。ファイアーリンクス "Global" リディム使いのこの曲や、「若手では一番腕を買っている」と言うドン・コルレオーニのヒット・リディム2曲を採用しつつ、エクスクルーシヴ曲では怒濤のDJスタイル百面相を見せる。そのすべてで肩に力を入れずに、自然体でやっているのが王者の貫禄。「ニューダンス・ブームはしばらく終わらないから、そのための曲も作った」と言いつつ、「あの流行は30才以上にはちょっとキツイですよ」と打ち明けたら、「実は、俺もちょっと飽きている」と笑う。
 
そのブームを一緒に引っ張った、ダンサーのジョン・ハイプについて、「奴とはもう組んでない。12月に8つショウがあって、奴は全部すっぽかしたんだ」とコメントした。新譜で残念だった点は「R・ケリーと作った曲を収録できなかったこと。向こうのレコード会社が許可してくれなかったんだ」と言うが、大物の名前があれば何でもいいというわけでもない。去年の時点では参加リストに挙がっていたワイクリフ・ジョンについては、「ワイクリフは今、音楽以外の活動で忙しいんだ。彼ならアーティストとしても参加して欲しいから、トラックだけ送ってくるなら別に要らない。プロデューサーからはアイディアをもらうだけだけど、アーティスト同士は一緒にヴァイブを共有できるからね」。
 
身を固めるだけでなく、キャリア的にもひと区切りつけて、次を狙っている感がある今のビーニ・マンである。「俺が社長だから、ショッキングス・ヴァイブスは辞めようがないけど、次に育てたいのは新しいレーベルのマフィア・ハウスと、そこに属しているディエンジェルとドン・マフィアだね。二人ともいいアーティストだし、アメリカでの配給もコッチに決まっているから、結構デカく展開できると思う」。あちこちとケンカするけれど、後腐れもないのがビーニの特徴である。
 
昨年、リリックのキワどさを理由に干されたサンフェスに「2度と出演しない」と記者会見で発言したのに、今年はちゃんと出てきっちり盛り上げた。そこを突っ込んだら、「ファンのために出るんだ。年に一回、サンフェスだけを見に来る海外のファンから、メールで“何で出ないんですか?”と訴えられたら、出演しないわけにはいかないだろ」と涼しい顔。「俺は大物過ぎるから、DJクラッシュはしない」と言いながら、「サウンドも持っているんだぜ。Mighty Crownに相手になってもいいぞ、って言っておけ」といたずらっぽく笑う。思慮深くてワガママ、ビッグ・マンでいたずらっ子。ローカルの現場を押さえつつ、インターナショナルなビジネス展開のネクスト・レベルを示すキング。多彩多面な音楽性を描きつつ、現時点での決定打を一枚にまとめたのが『Undistputed』である。レゲエ・ファンなら、マスト・チェックだ。
  
『Undisputed』
Beenie Man

[東芝EMI / TOCP-66596]

Rankin Taxi / Let's Go Rockers

Rankin Taxi
Let's Go Rockers
 
Text by Naohiro Moro Photo by Sho Kikuchi
 

名盤の呼び声も高い前作『アミシャツ魂』より1年。その活性化された右脳から溢れ出すアイディアを銀盤に刻み込み続ける御大ランキン・タクシーから、早くも新作が届けられた。テーマは「愛」。今のランキン・タクシーだからこそ真正面から向き合うことの出来たというテーマに取り組んだ快作だ。
 
ランキン・タクシーに「日本語レゲエDee Jayの祖」というよく知られた枕詞を冠すること自体が、アーティスト、ランキン・タクシーを読み解く上で、障害となる場合があるのではないだろうかと思う時がある。もちろんその「日本語レゲエDee Jayの祖」という部分を軽視しているのではない。それは大きな賞賛に値する。ただ、その「ビッグ・ファーザー」的な位置づけが、当人が有している「過激なユーモア」、「批判精神」、「社会性」というラジカルな個性に焦点を合わせにくくしている、とも思うのだ。
 
ランキン・タクシーは、ジャパニーズ・レゲエ界において、最もパンクで、毒気が強く、知性的で、リリックの行間に深い意味を含ませたDee Jayである。大人げもあまりない。そしてそれがランキン・タクシーがDee Jayとして目指した芸風なのだと思う。かつて、昭和40年代の演芸番組でよく目にした往年の芸人さんたち。ウクレレ時事漫談の牧伸二。落語をやらない名人林家三平。日本一の無責任男を演じた植木等。そうしたパンクな芸人のDNAを受け継ぎ、カリブ圏におけるカリプソ・シンガーやレゲエDee Jayに、同様な存在感の一致を見て取り、そこに豊富な音楽的経験値を融合させた最もトンガった音楽表現を求めて、タクシー・ハイファイは建造されたのだ(と思う)。そんな過激な芸の道を行く男に、「業界のリーダー」的なイメージは、プラスだったのかマイナスだったのか。
 
「大事なことはつまらない場合が多いんです。だから笑いの要素を含ませるのは非常に重要なことなんですね。エデュテインメントですかね。教育とエンタテインメントを融合させること。それが日本の音楽界に最も少なかったんじゃないかと思う。そういうことから刺激を受けることが、何かもっと面白いことに繋がるんじゃないか、って思ってましたから。だからその辺の部分を自分的にがんばって来たら、こういうキャラが出来上がってきたのかな」
 
ランキンさんの曲の大きな特徴である「社会性と毒と笑い」についての回答である。
 
ランキンさんが初めてジャマイカの地を訪れたのは83年。当時30歳だったという。最初のタクシー・ハイファイの制作が翌84年。最初の録音物であるアルバム『火事だぁ』がリリースされたのが、89年。当時でランキン・タクシー36歳。すでにいい大人だが、やはり初期の作品からはランキンさんの若さや、真面目にフザけたキャラに取り組んでいた面が見受られる。現在のジャパニーズ・レゲエ・マーケットなど存在していなかった90年代前半、声優業や、文化人的なアプローチも含め、ランキン・タクシーは、己の道を突き詰め、かつ模索していた。
 
「それは転機だったと言えますね、やっぱりあの事故は。あの怪我以来、考え方も変わったし、勉強になりましたね。右半身に障害が残った影響で、左手をよく使うせいか、右脳が刺激されて、アイディアが次から次ぎへと湧いて来るんですよ(笑)。その分だけね、自分では死期が近いんだと思う(笑)。冗談みたいに言ってますけど、半ば、本気ですから」
 
'02年10月の、「ソウル・レベル」直前の自転車事故についてのことだ。その事故後、ランキン・タクシーは長期のリハビリと幾度もの手術を経験することとなる。だが、その経験を経て以降、体力的にも、声の調子的にも、以前より増してパワー・アップしたのだと言う。その状態で制作されたのが前作『アミシャツ魂』なのだ。
 
「声が調子いいですね、前より。歩ける、歌える、チ○コ勃つ、っていう。こんなことがそうそう長く続く訳ないなと思って。だから今のうちにどんどん作品を出したいんですよね。出来ることならホーム・Gバックでワンマンのショウやって、冥土の土産にDVDにしたいですね」
 
そんな縁起でもないことをサラッと語るランキンさんの新作のテーマは「愛」。そのことについて語ってもらった。
 
「今までの、例えば“過激な”みたいことや“とんがった”みたいなことも、全て、その時々の自己表現な訳じゃないですか。今は、私も歳も取って、包容力のある人間になってきた。そういう自分を表現することに抵抗も無くなってきたから、“愛”みたいなことにも取り込めると、そういうことですかね。“愛”をテーマって言っても色んなタイプのものがあるし。大体、“ワン・ラヴ”自体がこじつけじゃないですか(笑)。そういうことも踏まえて色んな形の“愛”を作品にしたかった、ていうのはありますよね。でも最終的には“ふっくらマンゴー”っていうのも盛り込んでいきたいですけどね」
 
20年を超えるキャリアを通じて、もしかして、今が、そしてこれからが、最も、Dee Jay=ランキン・タクシーとして、作品の世界観とキャラが一致し、ランキンさんの追い求めた芸風が完成していく時代に突入するのではないだろうか。それはやはりズルムケ度の違いや、力の抜け具合や、吹っ切れ度の違いがそうさせたのか。過去のランキンさんを決して否定している訳ではない。この円熟の域に達したことによって、ランキンさんの過去の作品にも、更に理解が深まっていくのではないかと思うのだ。ジャパレゲ・マーケットも確立し、リスナーも増えた、これからが「日本で最初にサウンド・システムを始めた祖」である偉大なる父、ランキン・タクシーの作品世界への真の評価が始まるのかも知れない。
 
「自分の作品が大好きなんです。いいなぁって思うんですよ。他の奴の曲はあんまり好きじゃなくても(笑)。オレの曲の方がいいのになぁ、って(笑)。だからいまだに私はフェスでのトリを狙ってますよ。プシンよりもファイヤー・Bよりも後に、私が出て来てトリを務める。真剣に言ってますから、これ」
 
偉大なる父は、最後に大人げなくそう語ってくれた。
 
『Let's Go Rockers』
Rankin Taxi

[Overheat / OVE-0098]

Ent Deal League / Downtown Movement

Ent Deal League
Downtown Movement
 
Text by Hajime Oishi Photo by Niijiman
 

「Doko」のヒットをトバしたKen-U擁する……という書き出しは彼らに失礼だろう。東京・下町を拠点にするRacy Bullet所属にして、今最も活きのいい3人=Ken-U、Domino-Kat、Micky RichからなるEnt Deal Leagueの初作は、“らしさ”満点の一撃となった。
 
東京で行われているダンスに熱心に足を運んでいる方々であれば説明不要。例えそうじゃなくても、多くの客演やソロ・チューン、そして各地のローカル・ダンスやビッグ・フェスでお馴染み、Ken-U、Domino-Kat、Micky Richの3人である。まさに若手の筆頭格として急激に勢力を拡大しつつある彼らだが、マイクを握り始めたのはそれぞれ97〜98年。東京・浅草でハタチ前からリンクしていた面々をベースに、彼らを含むサウンド・クルーとしてRacy Bulletの活動がスタートしたのが翌年辺りのことだ。
 
「下町はヒップホップが凄く強かったんですけど、割と同居してた感じですよね。ヒップホップのパーティでレゲエをかけるやつもいたし」(Domino-Kat)
「むしろヒップホップとレゲエが混在してるのが東京っぽいのかも。Racyも最初の時からヒップホップもレゲエも両方かけるパーティーをやってたし、それは今も同じ」(Micky Rich)
下町のみならず、池袋や新宿などで腕を磨いていた彼らだが、「とにかく毎日現場でやってた。月23とか30とか(笑)」(Domino-Kat)と言うのだから、その量がハンパじゃない。
「Racyがやるとこでは俺らがラバダブして……結局やってないとダメだなって思って。ま、単純に遊びたいだけなんですけどね(笑)」(Micky Rich)
 
そうした毎日のなかで得られたのは、Hibikillaなど他アーティストとのリンク、そして「正にラバダブ道場」(Micky Rich)という現場を体験してこそのスキルアップ。Ent Deal Leagueは、そうした活動の中で結成されたRacy Bulletのアーティスト集団である。
 
「俺らは個人の意識が強いんですよ。3人の曲でも自分のバースで目立ちたいし、レゲエは個性の音楽だと思ってるから。3人それぞれが目立ちながらまとまったら面白いじゃないですか」(Micky Rich)
「他の2人のリリックやフロウも意識してるから、刺激も受けるし、一番ウソがないんです」(Ken-U)
 
Ent Deal Leagueはそれぞれにキャラが立ったグループだ。憂いのある歌声でダンスのムードを瞬時に変えるKen-U、強烈なヴァイブスでブッ飛ばすDomino-Kat、伸びやかな歌声でテクニシャンぶりを発揮するMicky Rich……そして、Ent Deal League/Racy Bulletを特徴づけているのが、“レペゼン下町”という意識。
 
「俺らが渋谷っぽくやってたら、身内のやつらに突っ込まれる(笑)。俺らの人間的なルーツは下町にありますからね」(Micky Rich)
「“From 東京”っていうプライドを持ってやりたいし、渋谷からは離れた部分での“いなたさ”をカッコ付けずにやっていきたい。まぁ、自分らの場合は自然にそうなってしまうんですけど(笑)」(Ken-U)
 
タイトルからしてズバリな『Downtown Move-ment』(ジャケに写るのは、下町のシンボル=隅田川)は、Ken-Uが「自分らで出すのであれば、誰かに“出してもらった”っていうものじゃなくて、気持ちとか内容の入っているものにしたかった」と話すように、Racy
 
Bullet主宰レーベルであるRhythm Of Da Seasonsから7インチ・リリース済みの音源からブランニューまでを揃え、現在の彼らがギュッと詰まった作品となった。トラック制作は、Racy BulletのMasamatixxxxに加え、レフトサイド、レネゲイド、スキャッタらジャマイカのトップ・トラックメイカーたち。日本とジャマイカの制作陣の混成メンバーとなるわけだが、“ジャマイカの最先端ダンスホール”にしっかりと照準が合わせられているから、ブレはない。
 
「確かに俺らはいろんな音をやるんですけど、今のジャマイカの音がどこかにないとウソだと思う。レゲエ・ミュージックはジャマイカで生まれたものだから」(Domino-Kat)
「“ジャパレゲ”っていうよりも、“日本語のレゲエ”。音や内容に関しても、言葉が違う他はジャマイカと一緒だと思ってるので」(Micky Rich)
 
また、ボトムの太い強烈なジョグリン・リディムに豊富なアイデアを詰め込むMasamatixxxxの手腕も、今作の大きな武器のひとつと言えるだろう。
「彼はジャマイカ人とクォリティ的にも変わらない、最先端のトラックを作れる。だから、ジャマイカ人と日本人のトラックを並べても違和感がないと思うんですよ」(Domino-Kat)
 Ken-U「Doko」の大ブレイクで、彼らを巡る状況は様変わりしたに違いない。だが、そのことを訊ねると……。
「取り巻く環境が変わった部分もあるけど……色んな人と出会うようになったし、自分の器をデカくしていかないと溺れてしまうこともあると思う。いい刺激になったし、"Escape" っていうトラックがなければ今の自分はなかったので」(Ken-U)
「俺らワガママなんで、Kenちゃんだけが美味しいとこを持っていくのは絶対にイヤなんですよ(笑)。ライヴではそういう部分が前に出てるかもしれない」(Micky Rich)
 
Micky Richいわく「だいぶ濃いとは思いますけどね(笑)」という『Downtown Movement』。自分たちの表現に関してはどこまでもワガママに作ったというこのアルバム、そして現場での彼らをぜひチェックしてほしい。
  
『Down Town Movement』
Ent Deal League

[Rhythm Of Da Seasons / RODS-0001]

Steve Barrow / Reggae Holic Forever

Steve Barrow
Reggae Holic Forever
 
Interview by Toshiaki Oba Photo by Masataka Ishida
 

Deejayのオリジネイター、U-ロイを引き連れて7月に行われた「Live On The Blood & Fire Sound System」は、70年代のDeejay創成期のサウンドと現在を結びつける貴重なイヴェントだった。そのBlood & Fireの創設者の一人であり、様々なジャマイカン・ミュージックの評論でレゲエ・ファンには絶対的な信頼を得ている評論家、Steve Barrowにインタビュー。
  
●80年代からレゲエを聴いている人ならば、80年代後半にあなたが選曲しライナーノーツも書いていたTrojanからの様々なコンピ盤やベスト盤で名前を知り、誰もが信頼すべきレゲエ評論家と思っているはずですが…。
Steve Barrow(以下S):Trojanは自分にとって学習の場だったよ。音楽ビジネスの内側を見れたのが一番の収穫だった。レーベルがどういった音やミュージシャンを選んで、それをマーケットに出していくかという部分に携わる事ができたからね。87年から3年近くTrojanで働いて計55枚のスカやロックステディのコンピレーション・アルバムを手掛けてきた。でも、Trojanには節度や道義がなかったから辞めたんだ。その後、クリス・ブラックウェルのもとで『Tougher Than Tough - The Story Of Jamaican Music』というボックス・セットを僕が作ったのも知ってるだろ? クリスは音楽を愛しているし、豊かなソウルを持っていたよ。
 
●その後、過去の埋もれていた名作等を再発するレーベルBlood & Fireを94年に立ち上げる事になるのですが、その記念すべき第一弾がキング・タビーがDeejay達と組んだ作品をまとめた素晴らしいコンピレーション盤『The Dreads At King Tubby's - If Deejay Was Your Trade』でしたね。つまりこの作品こそがシーンやレコード業界に対するあなたの意思表示だった訳ですよね?
S:レコード屋でもオムニバス盤のコーナーがこれほど充実しているジャンルは他にないけど、私はそのコーナーに置かれない様な様々なアーティストが参加する作品を作りたいと思ってたんだ。それでタイトルを『The Dreads At King Tubby's』にしたんだ。Deejayがドレッドだった事もあったのと、マーケティングを考えた上での決定だ。実際、私はタイトルがコンテンツをどの様に表現しているかを考えるのが好きなんだ。ドレッドロックス達とキング・タビーのコラボレーションからどのような音が生まれたのか人々は想像するだろうし、その想像と実際の音との比較というのはとても面白いプロセスだ。シャバ・ランクスは「マイクがDeejayの道具であり、キング・タビー等のエンジニアにとってはアンプ、ミキサーが道具だ」と言っていたが、彼の言葉通り、マイクとエンジニアの機材がダンスホールを揺さぶるような作品になったはずだよ。
 
●キング・タビーについてはどうお考えですか?
キング・タビーはアンプ等の電子機材を新たに使う方法を人々に示したパイオニアだ。機材でミキシングをする事で、新たな音を生み出している。機材を使う上で自分のルールを設定し、それが彼のアーティストとしてのカラーとなっている。「Version」という新しいジャンルを確立したのも彼だ。音の構造をよく知り、電子機材の事をよく知っていた彼だからこそ、元の素材から新たな音の構造を作り出す事ができたんだ。キング・タビーはジャマイカからひとつの新たな文化を作ったと言えるだろう。
 
●それでは、Deejayについては?
ダンスホールが生まれて以来、Deejayはジャマイカの社会でも独特なポジションにいる。ミュージシャンの様に楽器を演奏する訳ではなく、シンガーとして歌う訳でもないが、レコードをかけ、しゃべる事でメッセージを存分に伝え、大きな影響力を持ち続けてきた。U-ロイ等を見ても分かるだろう、声のタイミングがどれだけ重要で、そこに説得力、メッセージ性が生まれているかという事が。ダブのリズムが客を踊らせ、Deejayのリリックが客の心に触れる。リリックは社会へのメッセージであったり、社会批評であったりする。一般市民が何を欲していて、社会がどのような状況で何が問題なのかをDeejayが叫び、人々が想いや欲求を共有する事になる。
 
●DeejayのオリジネイターであるU-ロイについてはどう思ってますか?
彼のクリエイティヴィティは特別だ。既存の表現に抵抗して全てを変えてしまったと言えるだろう。U-ロイの前にもDeejayはいたが、レコードをかけてホールを煽っていたとしても、レコーディングまでした人はいない。U-ロイがレコードを作ったことで、Versionの存在価値が変わる事になった。U-ロイは成功者であり、革命者であり、特別な存在だ。彼の後ろでレコードをプレイできるなんて最高だよ。そんな事ができるなんて想像すらしていなかった。
 
●今回はそのU-ロイを引き連れてBlood & Fire Sound Systemとしての来日ですが、サウンドマンとしてのあなたも非常にユニークでした。
S:自分の事をサウンドシステムのオーナーだとは思わないけど、Blood & Fireを始めた時はお金がなかったので、レゲエをプロモートできる新しい方法がないかと考えたんだ。その時、U-ブラウンをジャマイカから呼んで、彼のレコードのプロモーションとBlood & Fireの立ち上げを兼ねようとしたんだ。デニス・アルカポネやトリニティ、ランキン・ジョー等、色々なDeejayが来てくれた。シンガーではホレス・アンディもいたね。それで色んなDeejayやシンガーと多くの国を回った。レゲエの魅力や、アルバム、アーティストの魅力をダイレクトで人に伝える事ができる最良のプロモーション方法だよ。
[協力:Beatink/Udagawa Lovers Rock/中島良平]

Icche / Dub From The Black Box

Icche
Dub From The Black Box
 
Interview by Jose Saito Photo by Tatsuya Okumura
 

世界に誇るSkaバンド=Determinationsのトランペッターとして、大阪の特濃DUBバンド=Bush Of Ghostsのリーダーとして活躍してきたIcchieが遂にソロ・プロジェクトを始動。日本に於けるレゲエの解釈を見事に変えてしまう問題作の誕生です!
 
「デタミでPrince Busterとやったじゃないですか? Skaも10年くらいやったけど、それとはまた違うことが色々分かったし、『ああ、こうやってやったらええんねや』とか、『もっとこうやってやりたいな』っていう欲が出てきて。それからモチベーションはずっと上がってきてるんです」
 世界最高峰のSkaバンドと各方面から賞賛されたDeterminationsでプレイしている時も、Icchieは常に“新しい何か”を探し求めてきた。Soul Fire、1番☆狂といった大阪レゲエ界の濃ゆいメンツが集まった無国籍ダブ・バンド=Bush Of Ghostsでの活動も、湧き上がるイマジネーションを具現化するための1つの形だったのかも知れない。
 
2004年の両バンド解散以降も、リミックス・ワークやYossy(ex-Determinationsの鍵盤奏者)のソロ・プロジェクト参加などで異彩を放ってきた彼が、よりダイレクトに自身を表現するソロ・プロジェクトを始動した。しかも、トランペットという生楽器のイメージの強い彼が選んだのは、意外にも打ち込みトラックにホーンやパーカッションなどを重ねていくスタイルのレゲエ/ダブ・サウンドで……。
 
「それまで打ち込みは、機材は好きで買うんですけど、MPCとか買っては売ってみたいなことを繰り返してなかなか手に付かない感じやったんけど、Yossyのソロをやるってなって初めてニーズがあって、『ほんなら、もう1回やってみよか』ってやってみるとハマって楽しくなったんですよ。で、『これ、結構打ち込みいけるな』『ほんなら自分のヤツもやってみるか』って。ちょうどその頃『エイドリアン・シャーウッドが大阪に来るから、何かライヴをしてくれ』って言われて『これや!』と思って、そこに照準を合わせて」
今作は打ち込みというスタイル以外にも大きな特徴がある。不動のトランペッターというイメージの強かった彼が、その楽器をトロンボーンに持ちかえているのだ。
 
「俺にとっては、トロンボーンは楽しめるんですよ。トランペットは野球で言ったらピッチャー。もう、1回登板したら中4日、5日あけるくらい気合がいる楽器やと思うんですよ。ストライクがバシッと入るというか、打たれない球を入れれるというか、凄い日々の鍛錬やけど、一生懸命やってバシッとやって当り前みたいな職業やから、プレイヤーに専念せんとあかんなと思ってて」
 
そんな風にプレイヤーとしてだけでなく、コンポーザーとしての視点で向き合った本作は、奇声や重厚なホーンの音色が幾重にも重なり合い、鬱蒼とした密林をまさに想起させる「In A Jungle」や、Skatalitesのトロンボーン奏者=Don Drummondによる名曲「Don Cosmic」を、彼ならではの解釈でより浮遊感ある月面旅行に仕立てていたりと実に多彩な全8曲で、Yossyのたおやかな鍵盤や秋広真一郎(Dreamlets)のエッジの効いたギターといったゲスト陣によるスパイスも絶妙。
 
しかし、この空間構築力や想像力のメーターが振り切った感覚といったら……。彼の頭の中ではどんな旅が繰り広げられているのだろう?
 
「妄想の旅ですわ。自分の頭の中で、どこまで行けるかっていう世界になってくるんですよ。精神力が問われるというか、どんだけリラックスして自分のことを楽しめるかという勝負になってくるから。……一応、世界中色々行ってたんですけど、勝手な妄想の世界なんでどこの国っていうんじゃないんですよ。断片的に夢みたいにいろんなものが出てきて、バンドのイメージの時もあるし、架空のクラブみたいなものだったり、野外のステージだったりとか。もっと抽象的な色の感じやったりとか……。ある意味人体実験ていうか、脳の中がどうなってるのかなって(笑)」
 
極限まで研ぎ澄ました感覚で、あらゆるしがらみを取っ払って“自分らしさ”のみをストイックに追及する。逆に、聴き手がどう受け取るか不安ではないのだろうか?
 
「Lee Perryも結構、変態扱いみたいなところがあるじゃないですか? 好きなことやって、勝手に妄想を広げて、自分の心地ええところを探して毎日ああだこうだやってる。相手にされるかどうかとかあんまり気にしてないなっていうのがよう分かるんですよ。レゲエに限らず世界中でそういう音を発表してるヤツがいるじゃないですか? 『ほんならこれやっぱりやるべきやな』って」
 
いつだって、こういう感性の持ち主が新たなドアを開けてくれる。この作品は、あなたの知らない新たなレゲエの形を見せてくれるのだ。
  
『The Black Box』
Icchie

[Delphonic / GNCL-1067]










ICCHIE DISCOGRAPY

 

『Ska Champion』
Determinations
[Olive Disc / TGCS-280]
1996年




『This Is Determinations』
Determinations
[Overheat / OVE-0081]
1998年(2001年に再発)




『Full Of Determinations』
Determinations
[Overheat / OVE-0075]
2000年




『Buddhists Tracks』
Bush Of Ghosts
[Bus Records / BUS-001]
2001年




『Chat Chat Determination』
Determinations
[Universal / UPCH-1178]
2002年




『Electropica』
Bush Of Ghosts
[Bus Records / BUS-002
2003年




『Remix』
Bush Of Ghosts
[MOP / MOPR-0006]
2004年




『Precious Feel』
Yossy Little Noise Weaver
[Bus Records / BUS-003]
2005年

Dawing Of A New Era

Dawing Of A New Era
 
Text by Jose Saito
 

やっぱり夏のジリジリと照りつける太陽には華やかなホーン・サウンドとビールが似合う! ってことで、この夏リリースのオススメ若手Skaバンドを一挙ご紹介。これがいつになく個性的なバンドばかりで、The Miceteeth以降の新たな波を予感させるのです
 
何気なTVを付けると、CMでThe Paragonsの名曲「The Tide Is High」をCool Wise Menが出演&演奏してるではないか(唄ってるのは昨年ミニ・アルバム『One Voice』をリリースしたHiyori)! ヒリヒリするほど剥き出しのSkaアルバム『Salty Dinner』をリリースし、5月に行われたRico Rodriguezの来日ツアーのサポートを務めたあの彼等が、である。それだけ一般のリスナーにもSkaという音楽の濃い部分が徐々にではあるが浸透してきている証拠…とは硬すぎますが、今年の夏も彼等やThe Miceteethなどのようにシーンの枠を越えて盛り上げていくであろうオススメSkaバンド、特に新世代が盛り沢山!
 
まずはThe Eskargot Miles。2002年結成の8人編成で、まだ20代中盤という若さ。初音源となる「Slow Dawn」は、そのタイトルどおり心地よいハートビートな楽曲が集まっており、冒頭を飾るアメリカ映画、『80日間世界一周』のカヴァーからユルユルなトロンボーンの音色に体が自然と横に揺れてしまいます。また、あのスーパーマリオのテーマ曲を茶目っ気たっぷりにカリプソ・アレンジした「Bro.Mario」など視点のユニークさも魅力。
 

お次はThe Japonicans。こちらも2003年結成と若いバンドでありながら既にアメリカの人気Skaバンド、Slackersに帯同してUSツアーを敢行している実力派。奄美出身の里恵の甘く、ちょっとクセのあるヴォーカルが魅力のミドルテンポな歌モノ「梔の花」や、島津行裕(A. Sax)とのヴォーカルの掛け合いが楽しげな「Monkey Peach」などジャマイカ音楽以外もフラットな姿勢で取り入れる彼等9人の音楽的な雑多さが存分に詰め込まれており、バンド名をタイトルに冠した自信が伺えます。
 
Blave Lionは、80年代渋谷系に多大な影響を与えたソフト・ロックの名曲「Don't Take Your Time」(Roger Nichols)を都会的なシルエットで好カヴァーした初7インチ「Volcano」を今夏リリースし、秋口には初となるミニ・アルバムをリリース予定だし、Majesticksの中心人物、真喜屋実のソロ・プロジェクト=Stinking Blue Beatも待望のセカンド7インチ「Taiwan Rock」をリリースし、独特のオキナワン・スカを披露してくれている。
 

また、既に大御所といってもいいかもしれないが、サックスに西内徹(Reggae Disco Rockers他)等を迎え、新体制でスタートを切ったThe Silver Sonicsも忘れてはいけない。4年ぶり3枚目となったアルバム『Rainbow』では、金子哲也の甘酸っぱいトランペットが印象的な郷愁感溢れる歌モノ「真夏の雨」の他、西内によるフルートが彼等の新境地を照らし出す「Mon Taitt」など、成熟が決して守りに入るわけではないことを証明してみせた重要盤。
 

そして、夏から少し後ろにずれてしまうが、今年一番のオススメがThe Little Elephantの3年ぶりセカンド・アルバム『Second Fruits』。7月に東京で行われたライヴでも深夜にも関わらず会場の熱気は最高潮に達し、演奏だけでなくその佇まいにオーディエンスがグイグイ引き込まれていくのがよくわかったのだが、新作にはそんな見えない魅力が真空パック。いつものリトエレ節たる“口チュク”が似合うアッパーなナンバー「Step Up」はもちろん、マイナー調のキラー・ナンバー「蜘蛛」のようなコクを増した楽曲を収録したり、R&Bのスタンダード「Behold」のカヴァーでは、吉兼孝治(Tp)が鈴木貴裕(Vo)と共に初めてヴォーカルをとったりと、新たなアプローチも新鮮だ。
 
更には、今年で結成10周年を迎えるMule Trainも秋口には7インチを切り、アルバムの制作にも突入するとの情報も入ってきている。新世代だけでなく、脂の乗ったバンドの活躍があってこそシーンが面白くなるし、そういった意味で今年のSkaシーンはいつになく刺激的だ。
  
『Slow Dawn』
The Eskargot Miles

[Lastrum / LACD-0091]


『The Japonicans』
The Japonicans

[File / FRCD-154]


『Rainbow』
The Silver Sonics

[Positive / HMS-0058]



『Second Fruits』
The Little Elephant

[RD / RDR-1049]

PAPA U-Gee / Inna Dancehall

PAPA U-Gee
Inna Dancehall
 
Text by Naohiro Moro Photo by Hiroshi Nirei
 

Home Grown『Respect To The Riddim』収録の「III」でもとびきりアイリーなDeejayを聴かせてくれたPapa U-GeeがKiteki Muzikを立ち上げミニ・アルバム『Inna Dancehall』をリリース。コンパクトながらもPapa U-Geeのレゲエへの果てしない愛情がビシバシ伝わってくる濃厚な作品だ。
 
● '01年にレーベル、Zion Highを立ち上げてミニ・アルバム『Nuff Respect』『I&I Train』、シングル「焼津港」、アルバム『One Big Family』をリリースしていますが、今回新たにKiteki Muzikを立ち上げての作品ですね。この違いは?
Papa U-Gee(以下P):Zion HighはZion High Playazと俺とでやってるレーベルで、バンド色が強いですね。それと平行して新たに作ったこのレーベルでは自分個人で自分の意志だけで進めて行くレーベルですね。
 
● ソロ名義だし、タイトルが『Inna Dancehall』という事で嬉しい驚きもあったのですが。特にタイトル曲と「Dancehall Community」はタイトル通りのダンスホール讃歌で。'90年前後にダンスホールど真ん中で活動していた頃を知っている人ならニヤリとしてしまうでしょうね。
P:もうこういうのやらないんじゃねえか、って思われてたところもあるだろうし、今現在の若者達はジャップジャムとかV.I.Pとかで出してた頃の俺を知らないだろうしね。そういう人達に自分のスタイルとかメッセージを聴かせるためにもってのもあるし。最初の原点……サウンドシステムでのラバダブ・スタイルだね、そういうところに戻して表現したいってのもあったしね。
 
● この2曲はKon "MPC" Kenさん制作のトラックですね。
P:やっぱり音が太いですね。今回プロトゥールスの機材を入手してデモをOK手前まで作ったんですよ。でもそれをOKにしてしまうと全て自分になってしまう。自分は歌い手でトラックはトラックメイカーにやって貰いたくて。で、「誰に?」ってなったらKon Kenしかいないなって。ジャマイカのエンジニアも「こりゃいいなあ」って認めてましたね。
 
● 「Oh Mama」「Go To The West」「Arigato」はどれもU-Geeさんならではの普遍的なメッセージですね。
P:やっぱりダンスホール・コミュニティのユース達に感じて欲しくて『Inna Dancehall』というタイトルなのにミディアム・テンポとかアコースティックな曲を入れたんですけど。ダンスホールって俺にとってはレゲエ・ミュージック全てだと思ってるから。レゲエはひとつだって事を伝えていきたいですね。去年Cool Wise Menの『Unity』にも参加したけど、その時もそれを凄く感じたしね。
 
● サウンド的にはまず「Go To The West」でHorsemouthのドラムが力強くてびっくりしたんですが。
P:やっぱり17〜18歳の時に映画『Rockers』に衝撃受けて更にレゲエが好きになって、やっぱりずっと憧れていましたからね。間違いなかったです。パーカッションのHarry Tも長年やって貰いたかったし、Dean Fraserも彼のサックスが入ったら全然曲が変わっちゃって「神様〜!」って感じでしたね(笑)。Bobby "Digital" Dixonも確実なミックスしてくれたし、Colin "Bulby" Yorkもまた頼みたいって出来でしたね。コーラスもDean Fraserのコーラス隊に頼んで、彼女らに凄いきれいな声で「アリガトウ」って唄って貰って。このコーラスを聴いてみんなにドキっとして貰いたいですね。
 
『Inna Dancehall』
Papa U-Gee

[Kiteki Muzik / KTKM-001]

Monkey-Ken / Monkey Magic

Monkey-Ken
Monkey Magic
 
Interview by Masaaki Okino
 

Monkey Kenは「びわ湖レゲエ祭」など近畿圏を中心に活躍している10年以上のキャリアを持つDJ。8/31にリリースされた『Monkey Magic 4』は大充実容量全15曲のフル・アルバムだ。恐らく10年ぶりくらいに彼に会って初めてじっくりと話を聞く事ができた。
 
レゲエを聴き始めたのはスケーターの友達から聞かせてもらったのが最初かな。大阪のクラブ「St. Ann's」に通い、滋賀や京都のクラブでセレクターやMCをやっている内にDJ(歌)を始めました。レゲエだけでなく仲間のヒップホップDJのトラックで歌ったりもしていましたが、97年にMadmediaレコードから「女子高生」という曲をリリースして、ランキン・タクシーさんプロデュースの『Bad Bad 98』に「こんな夜が」、続く『XX Bad』に「頂上」という曲で参加し、'03年には?Houseレーベルから「Happy」というシングルをリリースしました。
 
自分で作って来たテープのタイトルが『Monkey Magic』で、これまで1〜2を出していて今回のアルバムはその4作目という意味です。実は5年以上前から録り溜めたり作っている曲が沢山あるのですが、タイムリーな音源を今回リリースする為に先に「4」を制作、完成させました。
今作は約一年がかりで完成させました。プリプロからレコーディングは日本で、ずっと一緒にやっているTeradaくんが大体の曲のオケを制作しています。ミックスはジャマイカのアンカー/ミュージック・ワークスでFattaにお願いしました。ジャマイカでは「サンシャイン〜お陽さまの唄」のPVを作ったり、ネグリルでは電柱などに掛けられてる蛍光塗料で描かれたダンス告知の看板書きを訪ねて一日がかりでアルバムの宣伝用のものを描いて貰ったり忙しい毎日でした。
 
僕はレコーディング作品と現場で歌う曲とは全く別のものと考えています。アルバム収録曲の殆どが新曲で未だ現場では歌った事のない曲ばかりです。僕のライヴをダンスで観た事のある人の期待をいい意味で裏切りたいし、アルバムは聴き易いもの、永く聴けるものを目標としています。「サンシャイン〜」は正しく夏向きなポップな曲です。
 
「Stylee 2」でコンビネーションしたKing Curtis Flyさんは何回か同じステージに出させて貰っていましたが、共演という形では初めてです。「Step By Step」はHase-Tさん制作のミディアム・チューンでSky Line Bandによるアコースティックなヴァージョンも収録しています。ショウではいつもお世話になっているRaw Techikazなどバンドとやるのがやっぱりいいですね。
 
アルバムはダンスとは違って例えば家や車の中で聴く個人が楽しむものとして聴いて欲しいです。自分のDJを表現するとしたらあえてスタイルがない、という事かな。リリックはコンシャスが信条で日常のリアリティを歌っていきたい。そしてとにかく人のやっていない事、やらない事に挑戦し続けていきたいです。そういう意味でもこのアルバムでは僕の色々な面が出せたと思います。勿論もっとやりたい事、考えている事は沢山あるので、音作りからプロデュースまで今後はもっと自分でできるようになりたいと考えています。
  
『Monkey Magic 4』
Monkey-Ken

[猿拳レコード / PSW / MK-001]

Ruffn' Tuff Vol.2

Ruffn' Tuff Vol.2
 
Interview by Hajime Oishi Photo by Masataka Ishida
 

前号に引き続き、OVERHEATのボス=石井“EC”志津男監督作品『Ruffn' Tuff』をご紹介しよう。今回は撮影/編集を担当したアルティコの上山亮二と松田正臣も同席し、撮影秘話から印象的なエピソード、苦労話(?)までをたっぷり語ってもらうことになった。
 
●撮影期間はどれぐらいだったんですか。
EC:10日間。ジャマイカのことを知ってる人なら、10日間でここまで撮ったのは凄いと思うはずだよ。カメラマンの石田(昌隆)さんに言われたんだよ、「1日に3つアポを入れてるけど、無謀だよ」って(笑)。
 
●登場人物って20人強ですよね。10日間で撮影するとなると、1日2人以上……。
EC:しかもさ、この映画用にレコーディングまでしてるんだから(笑)。新たにオリジナル・アーティストで録り直したりしてて、10月6日にはそのサントラも出るから。
 
●撮影中の苦労は?
上山亮二:撮る段階になっての苦労はそんなにないですよ。
松田正臣:アーティストがいつ来るかわかんないっていう心配はあったけど(笑)。
上山:ただ、ジャマイカって光が凄く強いから、本当に綺麗に撮れるんで、撮影隊としてはその喜びのほうが大きかったですね。最初の段階でリロイ・シブルスの海のシーン(註:リロイが夕方のビーチで、ギターをつま弾きながら「I Shall Be Released」などを歌う感動的なシーンのこと)を撮ったので、あれでもう嬉しくなっちゃって(笑)。
 
●リロイが歌ってるとき、周りで楽しそうに身体を揺らしてる人たちがいますよね。
松田:あれ、自然に集まってきたんですよね。
EC:TVのヤラセ的なところは一切ないよ、ホントに。雨が降ったら雨撮って、みたいな感じ。ジャマイカに来てジタバタしてもしょうがないの。
 
●ジャマイカに行ってアーティストと会えない不安はなかったんですか?
EC:正直言ってね、出発の2日前までは気にしてなかったの。「ジャマイカはそういうもんだ」って思ってたから。一応さ、会いたい人をリストアップしたんだよ、60人ぐらい。それを行く直前に見てたら具合が悪くなって吐き気がした(笑)。「誰がいないといけない」っていうことじゃないのね。「誰がいいことを喋ってくれるか」ってことだから。撮れなかった人もいたけど、もしも撮れてたら彼らもいいことを言ってくれてたと思うし。はっきり言ってさ、エンドレスなわけ。撮ろうと思ったらいくらでも対象はいるわけだから。
 
●島外に住んでるアーティストで、たまたまジャマイカにいた人もいたんですよね。
EC:ボブ・アンディはマイアミだし、アルトンもイギリスにいることが多いね。U・ロイやストレンジャー・コールもちょっと前はカリフォルニアに住んでたし、ディーン・フレイザーにしたってルシアーノのツアーで海外に行っちゃってたりするんだけど、何故かみんなジャマイカにいたんだよ。ラスタの人だったら「ガイダンス」って言うんだろうけど(笑)。
 
●チャンネル1のスタジオ跡地を、タクシーのなかから撮るシーンがありますよね。もの凄い緊張感で……。
上山:タクシーをチャーターしたんですけど、運ちゃんとグラディ(グラッドストーン・アンダーソン)が怖がってるぐらいだからホントにヤバイところなんですよ。人は誰もいないし、オバさんが「昨日もひとり殺された」って言ってたし……。
EC:撮ること自体がヤバイんだよ。人がいないから逆に撮れてるわけで。ジャマイカじゃ、なにがあってもおかしくないからね。
 
●グラディが弾いているピアノもいいですよね。
EC:そうなんだよ。あんなピアノ、ないよ! あれはアクエリアスで他のミュージシャンが使ってた奴を借りたんだ。ピアノ自体に存在感みたいなものがあるよね。
 
●グラディの存在は、この映画の軸になってますね。
EC:グラディとは20年ぐらいの知り合いだけどさ、やっぱりミュージシャンズ・ミュージシャンみたいな感じなのよ。ディーン・フレイザーとかも凄くグラディのことを尊敬してるし。だから、前からグラディを軸に何かを記録していくって考えがあったの。
松田:グラディだけは何度か撮ったんですけど、やっていくうちに段々喋ってくれるようになってきて。
上山:最後はムチャクチャ元気(笑)。
 
●アルトンにせよ、カールトン(・マニング)にせよ、みんなインタヴュー中に歌い出すのが印象的でした。
EC:ジャマイカ人のレコーディングは楽譜とかがあるわけじゃないからね。ベースラインとかも口で歌うんだから。歌うことに関しては、普通の会話みたいなものなの。ああいうのは映像ならではだよね。
 
●ECさんの監督ぶりはどうでした?
松田:普通の映画とは全然違う作り方をしてると思うんですよ。監督と言いながらECさんが車の運転もしてるし(笑)。ECさんから「こういう絵を撮れ」とか「こういう音を録れ」っていうことは一切なかったんです。
上山:ECさんのなかでは映像に関するこだわりもあると思うんですけど、「今回はそんなことより……」っていうスタンスだったので(笑)。もちろん、こだわるところはあると思うんですけど。
EC:細かいそういう部分でエンドレスになっちゃうのはイヤだったんだよ。絶対に必然性のあるものを作りたかったから。
 
●トータル35時間のテープを80分に編集する作業って大変じゃないですか?
上山:そうですね……(笑)。ひたすら観て、シーンを書き出して。
松田:台本があって作ってるものじゃないですからね。「これ、出来上がんのかな?」って思ったときもあったし。人によって言ってることに矛盾があったりするじゃないですか、でもそれを矛盾は矛盾として見せようとしました。
 
●スカの誕生の頃のことに関しても、それぞれ言ってることが違いますよね。人によってそれぞれ解釈が違うっていうことなんですか?
EC:いや、解釈っていうよりも、スタジオがいくつかあるわけですよ。メンバーはクロスしてても全員が一ケ所にいたわけじゃないし、それぞれのスタジオにいた奴が自分らが最初にやったと思ってる。ただ、グラディはどのスタジオでもやってるわけ。ほら、ジャッキー・ミトゥーのことを「自分の生徒」って言うシーンがあるじゃない。昔、ルーツ・ラディックスとグラディでレコーディングしてたとき、グラディがフラバ(・ホルト)にコードを教えながら、「スクールボーイ!」って怒鳴るんだよ(笑)。フラバも凄いベーシストだよ、ホントに。それを横で見てて、昔からこうしてやってきたんだなぁと思ってさ。昔はピアノを弾ける奴なんてジャマイカにはそんなにいなかったんだから。
 
●そんなグラディもどんどん歳を取っていきますよね。スカ誕生当時のシーンについて知っている人たちもだんだん少なくなっていくし。そういう意味で、10〜20年後になったらさらに意義が出てくる映画だと思うんですよ。
上山:そうですね。向こうにいる間もメロディアンズのブレン・ダウを撮りたいって言ってたんですけど、結局帰ってきたら亡くなっちゃいましたもんね。
 
〈次号はECと石田昌隆氏との対談を予定してます〉
  
『Ruffn' Tuff』
O.S.T

[Overheat / OVE-0100]

UK REPORT from No.282

Photo & Text by SIMON "MAVERICK" BUCKLAND

Tony Rebel
 
Greetings Friends,
 
●残念なことに、今月のコラムは悪い知らせから始めなければならない。5月25日にスカの巨匠Desmond Dekkerが心臓発作で帰らぬ人となった。彼はMad ProfessorのThornton Heathスタジオ近くの自宅で亡くなったらしい。Dekkerは1969年以来Englandに住み、ジャマイカとイギリスで数曲のヒットを飛ばしたあと、「007 (Shanty Town)」と「Israelites」で国際的な名声を得た。これらの楽曲はBeverleyレーベルの伝説的プロデューサーLeslie Kongとの共同作業で生み出されたものだ。1980年代前半のTwo Tone時代以降、彼は目立った活躍はしておらず、1984年には自己破産まで追い込まれた。しかし、そのような境遇に屈することなく、20年もの間、熱狂的なファンのためにステージに立ち続けたのだ。
 
●誰からも好かれていた天才シンガーRuddy Thomasが6月に、44歳という若さで亡くなった。彼は、(他のジャマイカ出身シンガーの多くがそうであるように)まだ少年だった60年代にStudio Oneから「Parents' Fault」というヒット曲を放った。また、70年代から80年代にかけてラヴァーズ・ロックのヒットを量産しながら、Dynamic Soundsスタジオでエンジニアとしてのキャリアも積んでいた。80年代にJoe GibbsとGussie Clarkeの元で録音したチューンが彼の代表作になっている。Ruddyは90年代に入ってからも自ら歌う楽曲やDonovan Germainのために曲を提供していた。思慮深く、気が利く男で、Kent地方の奥地Snodlandにあった僕の(当時の)家まで来てくれた数少ないジャマイカン・アーティストの1人だった。年々、死去していくミュージシャンやアーティストが増えていく。僕にとって非常に辛いことだ。Ruddyのように個人的に知っている人を亡くしたときには特に辛い。
 
●俳優兼シンガーのJamie FoxxがBob Marleyの伝記的映画でMarley役を演じる、という噂がまことしなやかに流れている。映画のプロデューサーはRita Marleyで、『Little Senegal』のRachid Boucharebが監督を務めるのではないかとみられている。
 

Ruddy Thomas
 
●僕はまだ観ていないのだが、ジャマイカで行われた「Rebel Salute」のライヴDVDが素晴らしい評価を得ている。「Rebel Salute」とは、Tony Rebelが彼の生まれ故郷St Elizabethで始めたライヴだ。DVDに収められているのは2004年に開催された第11回目のイベント。当初はインディーズ的な要素の強いこじんまりしたライヴだったが、最近では「Sunsplash」にひけをとらない規模まで成長した。レゲエ界に堅実に貢献しているRebelが支えているショーということもあり、スターが毎年出演するようになった。2枚のDVD(『Vol.1 Back To The Foundation』『Vol.2 Roots Dancehall』)には5時間にわたって熱演がドキュメントされている。Vol.1ではCulture、Mighty Diamonds、John Holt、Ken Boothe、そしてJunior Bylesらが、Vol.2ではLady Saw、Charlie Chaplin、Capleton、そしてSizzlaらのパフォーマンスを観ることができる。DVDはフランスのWarner Visionから発売されており、ネットで見つけることは簡単だろう。映像と音のクオリティーの高さはレゲエのライヴとして出色の出来らしい。
 
●イギリスのレゲエ・アルバム・チャートでは、相変わらずコンピレーションばかりが上位を占めている。Jetstar、Greensleeves、VPからのコンピものがほぼ市場を独占している状態だ。僕が既に消滅していたと思っていた『Pop Hits Inna Reggae』はシリーズ6作目をリリースしているし、Greensleevesの『One Riddim』シリーズは驚くべきことにVol.84が店頭に並んでいる。こんなジャンクを一体誰が買うのだろうか?
 
●日本でもフランスの一昔前のレゲエ・サウンドが浸透しつつあると聞いた。Jim Murple MemorialやASPOによるコンピレーションがSka In The Worldレーベルから発売されているようだ。それにJim Murple Memorialの第5作目のアルバム『Five'n'Yellow』が最近復刻されていると聞いた。彼らはフランスで精力的ライヴを行っており、人気もあるので、是非聴いてみて欲しい。
 
●Dennis Bovellの新作『All Over The World』をリリースしたVirgin Frontlineが、彼の旧譜を片っ端から再発売するようだ。4枚の名盤『4th Street Orchestra』はCD2枚組となり、『Strictly Dub Wize』、『Audio Active』、『Brain Damage』などが再プレスされている。詳しくはwww.emicatalogue.comで。
 Till Next Time, Take Care...
 
(訳/Masaaki Otsuka)

ISLAND EXPRESS from No.282


Born Fi Dead〜語られたUntold Stories
Text by Reiko NAGASE SMITH(協力:アイランドツアー)
 
スティング2K6。観客動員数3万5千人。会場入口で没収された銃とナイフの数、未発表。投げられたボトル、2個。石投げの小暴動あったものの、ガンショット・フリー。けが人もなし。ステージ上のバッドワード発射の罪でつかまったアーティスト、一名、アイドニア。
 
今年も小バトル満載のクレージー・ミックス・アップ。どのバトルも決着つかぬまま2K7を迎える。不完全燃焼気分は残るものの、スティング2K6は平和に終わって、これぞプロモーター側の思う壺だったかな。11月末スティングのプレス・パーティで、'90年代初期の歴史的シーン、ボウンティ対ビーニのクラッシュ映像を意味ありげに会場で流した効果も大あり。
  
Mr.スティング、ニンジャマンも健在。
女性陣のWarもスティング恒例。クイーン・ポーラがスパイスを煽ったが、その内容についてはここではご勘弁。
ほかにも、キプリッチがブラッカを挑発したり、DadaがQQをディスった
り。
  
マッシヴ! アライアンスのスーパースター、Mavadoは一撃でボス。スティングのHottestアーティスト賞でしょう。
  
フル・ブラック(黒装束)で登場早々から大キレなキラーさま。ビーニは長年俺様をAntagonize(英語で「いらだたせる」の意味)しすぎ。ラフカット・バンドにD'Angelも横取り、とビーニを挑発するが、ビーニの登場はナシ。
  
アイドニアのステージ。Busyをディスしまくったがこちらもクラッシュには至らず。
ヴァイブス・カーテルは、あれだけのことがあったにもかかわらず、強気な中立の立場に一転。会場からヒポクリーツ扱い受けたけど、地元ポートモアのファンに守られて、「Beyonce Wine」、「Tick Tock」、「I Neva」でフォワードなステージ。
  
カーテルがビーニをよびこむ。
大キレ最大限のキラーさまがビーニのステージにあがろうとするが、警備と取り巻きが止めて目的達せず、虚しく終わる。
  
その後、何度もクラッシュ予告をするキラーさまだけど、結局、大晦日のオリジナル・ジャムジャム、キャンプ・ファイアーなど後続ステージでも実現しなかったボウンティ・キラーV.S.ビーニ・マンのクラッシュ。
ついに決裂したショッキング・ヴァイブスとビーニ・マン、2K7はどうなる。
  
スティング2K6傑出アーティストはブジュ・バントン。「Driva」は会場大合唱チューン。そのほかにもルータン・ファイア、チャック・フェンダ、ジプシャン、アイ・ウェインなどラスタ系アーティストがヴァイブス上げ。アイ・ウェイン「Life Seeds」は特筆チューン。スペシャル・ゲストにシャギー。エレファント・マンやケイプルトンは、ちょっと弱かったかな。
  
嬉しいのはやはり、われらのアキ&ソルトフィッシュが、得意のパトワでボスしてくれたことと、超好評だったエミリランドさん作ニンジャ・マンのお衣装。日本勢ばんざい。2K7もビッグに。Forwards!
 

「ボーン・フィ・デッド:ジャマイカの裏社会を旅して」
ローリー・ガンスト著/森本幸代訳
2006年/Mighty Mules' Bookstore
www.mightymules.com

What the deal is from No.282

(U KNOW)What the deal is
 
残暑ですか? イスラエルのレバノン侵攻からひと月以上が経つが、ひたすら無力感と不条理を感じている貴兄も多いのではないでしょうか。政治家と話すのには経済界を通さなければならず、経済界を動かすには、我々消費者が行動を起こさなければならない。これは飽くまでも参考ですが、旧南アフリカを崩すのには大いに効果があった方法。不買運動です。もうそのコーヒーは飲んでいられない? http://palestine-heiwa.org/choice/list.html
 そして未遂に終ったとされるイギリス在住のパキスタン人によるテロ計画。タイミング的には、アメリカでの共和党議員の不振が明らかになった時。多くの市民が民主党左派、つまりこのイラク戦争に反対するムキに投票するという意志を見せた事から、戦争や、“テロ対策”を肯定する理由が共和党政権は欲しがっている。更にアメリカの国家予算からニューヨーク州に支給するテロ対策費を削減されたばかりで、それに不満を漏らしていたNYの知事や、NY市の市長にはうれしいニュースだった?
 
●今月のジャム 
ブロンクスはクロトナ公園で行われているシリーズのジャムで、7/21にミーン・ジーンが十数年振りにそのDJプレイをみせた。このシリ?ズは新旧のDJに再びブロンクスの公園でのサウンドを経験して貰おうという企画で、7月から8月中に開催されている。ミーン・ジーンは、引退を宣言していたが、今回は特別に弟のシオドロのセットの前を飾った。彼はフラッシュやシオドロを育てたというヒップホップのサウンド・システムの初期の立役者で、長らくシーンから遠ざかっていたが、今回、元気な姿を見せた。この週のトリだったのはフィラデルフィアのキャッシュ・マニーで、スクラッチを押さえ、短時間でレコードをガンガンかえて行くプレイをはじめてのブロンクスで披露ラモーンズのコンサートより早かった?
 
●今月のジャム2
7/30に静かにピート・ロックとジーン・グロウのショウがセントラル・パークのサマー・ステージで行われた。DJとMCというコンビは、昨今珍しくなったが、また見たいもんですな?
 
●今月のレッスン
クール・ハークがレコードについて語るという妙な企画が7/31にダウンタウンのアディダス・ストアで行われた。元々、ネタを明かさないで有名な彼が、ブレイク・ビーツなど、当時のサウンド・システムで使用したネタを明かした。チャックDのライヴ・パフォーマンスもあると言うオマケもついた。チャックはナイキのコマーシャルを作っているんだけど、大丈夫?
 
●今月のジャム3
アフリカン・アンダーグラウンドという企画で、シエラ・リオーンのチョーサン、ケニアのKG、ウガンダのサーバ、サーバなどが、ブルックリンはプロスペクトパークで8/5、ライヴを行った。同時に、アフリカの現状を当人達が話すディスカッションもあり、ブランドものにしか興味のないアメリカの黒人達へのある種のレッスンとなった?
 
●今月の本
NYエアロソール界の暴れん坊、テリブル・Tキッドの伝記+写真集が出版された。ストレス誌のケット、セリア・サン、ニック・トーゴフなどが編集、ヘンリー・シャルファント、コープ、Tキッド自身の写真をフィーチャーしている。数々のスタイルを生み出し、ある意味で、ライター界に暴力を持ち込んだとされる賛否両論の彼の生き様を時代ごとに写真とともにたどれる仕組みとなっている?
 
●今月のジャム4
8/7に「Manbo To Hip Hop」というラティーノの軌跡を祝う企画がセントラルパークで行われた。オーランド・マリンというラスト・マンボ・キングとコールド・クラッシュのチャーリー・チェイスが共演するというロフト形式のDJセットに、PBSというTV局が制作した同名のドキュメンタリーを上映するという夜となった。ちなみにヘンリー・シャルファントというラテン系ではない監督?
 
沼田 充司
DJ/プロデューサー。 レーベル<ブダフェスト>主宰。 雑誌『ブラスト』でも執筆中。 ニューヨーク在住。 [Photo by Tiger]

PLAY IT LOUD from No.282

REBELUTION / TANYA STEPHENS
[VP / VP1791]
前作『Gangsta Blues』も素晴らしい内容でしたが、先行シングル「These Streets」が象徴するように本作はそれを上回る大傑作。基本的には前作と同路線のアコースティックな音使いで、ジャズやR&B、フォークなど様々な音楽要素を消化した独創的スタイルなのでレゲエ・ファンならずとも納得するはず。しかもCD盤は約30分のアンプラグド・ライヴの模様を収録したDVD付き! これは大注目です。[輸入盤](鎌田和美)
 
MY NAME IS GYPTIAN / GYPTIAN
[VP / VP1727]
注目の若手ラスタ・シンガーのファースト・アルバムです。「Beng Beng」「Mama」「Serious Time」などのヒット曲にシングル未発曲も満載。全体的にしっとりした曲が多いですが、Round Headの客演曲などでダレさせない作りになっていて非の打ちどころが無い仕上がり。彼の曲を聴いたことのある人ならば今更とは思いますが、声もメロディもスウィートで歌物好きなら文句無し。今後も期待出来ますね。[輸入盤](鎌田和美)
  
HEALTHY LIFESTYLE / LUTAN FYAH
[VP / VP2338]
少し前にGreensleevesからアルバム『Phantom War』が出ていただけに、立て続けのリリースには正直不安を感じたのですが、不安は無用の傑作が出来ました。派手さは無いけど、力強くジワジワと心に染み入って来るようなシングジェイ・スタイルと、その持ち味を上手く引き出したエクスターミネーターによる生音重視のサウンドも文句無しの仕上がりです。ルーツ・ロック・レゲエ・ファンならぜひ。[輸入盤](鎌田和美)
 
MELTING POT / THE DUALERS
[GALLEY MUSIC / GALLEY105CD]
スカを基調に60年代のフレイヴァーと80年頃の2トーンの勢いがミックスされた英国のバンドです。ジャケット写真に写っている2人は兄弟、どうりでコンビネーションが冴えているわけだ。メロディアスでスマートに歌が伝わってくる親しみ易さはスカをもっと好きになるキーポイント。Bluse Bustersの名曲をカヴァーしています。Dualers流、心のジュークボックスが鳴る、聴けば聴くほど味が出る好盤。[輸入盤](磯野カツオ)
 
REAL TO REAL / NOISESHAPER
[ECHO BEACH / ECHOBEACH059]
ウィーン出身のNoise Shaperが数々のリミックスで鍛えた腕前を惜しみなく披露したベスト・アルバムです。過去の楽曲を全て録音し直しています。それは彼らが常に進化/発信し続けているからでしょう。ダブを軸にハウス、ヒップホップ、ダンスホールなど異なるスタイルを同じ土俵にあげて練り込む表現方法に垣根はありません。足して足して未知なる音に挑む姿勢にカツオ刺激を受けました。[輸入盤](磯野カツオ)
 
REGGAE GOLD 2006 / V.A.
[VP / VPCD1759]
一時期のラスタ・ブームもだいぶ落ち着きを取り戻し、ダンスホールらしいオケが主流となってきた現在。ビジー・シグナル、Ding Dong、ジプシャンなど、ニュー・カマーの台頭が目立ったこの半年間をリアルにパッケージした人気シリーズ最新作。今回の目玉は、これまでミックスCDだったボーナス・ディスクがDVDに変更された事。T.O.K.、リッチー・スパイスらのライヴやプロモ映像を収録![輸入盤](小池信一)
 
イン・ディス・ライフ/ロッカ・トーン
[スカ・イン・ザ・ワールド/SIWI-56]
何ていいバンドなんだろう。どうしても皆さんに聴いて欲しい作品に出会っちゃいました。アコースティック楽器主体で演奏されるスカ/ロックステディは、聴く人自身が裸になれる魅力を持っています。メロディカやスティールパンの素敵な音色が随所に飛び込んできますよ。朗らかなゆるいテンポ、どことなくリバプール、とっても不思議な空間、でも居心地は最高。私の愛聴コンピ『Sweet Serenade』に続くときめき作。(磯野カツオ)
 
ノエル・エリス/ノエル・エリス
[ウルトラ・ヴァイブ/OCTAVE-LAB/OTLCD1073]
カナダのトロントに巨大なジャマイカ人のコミュニティがあるのはご存知だろうし、そこから数々のレゲエの名作も生まれている事実もご存知だろう。本作はアルトン・エリスの息子ノエルが70年代後半に作り始め83年にサマー・レコーズよりやっと世に出た作品。父親譲りのソウル・テイストな歌声はもちろん素晴らしいが、ルーツロックに根ざしつつも素晴らしいラヴァーズ・ロックに仕上げたバックも申し分ない。(大場俊明)
 
ライダース・ハイ/湘南乃風
[トイズファクトリー/TFCC-86204]
アルバム『ラガパレード』以降、「カラス」「覇王樹」「純恋歌」といった特大ヒット曲もあったが、とにかく待たされたというファンも多いだろう湘南乃風のサード・アルバム。壮大なイントロ〜タイトル曲からしてグレードアップした彼らを感じるが、街の兄ちゃん的喜怒哀楽を聴衆の心に届けようとする熱き姿勢は相変わらず。そうした『週刊ジャンプ』的分かり易さが彼らの歌を大衆にまで知らしめる要因なのだろう。(大場俊明)
 
コンスタント・ミュージック2/ザ・マイスティース
[サブスタンス/BSCL-30040]
ホーン隊がごっそり脱退してしまったのが影響したのか、それとも前作の取材で「ビートルズにハマっている」との金澤の発言から続いているのか先行シングル「シュガープールでつかまえて」はリヴァプール・サウンド的でびっくりしたが、早い時期からホーン隊脱退後の絵は描いていたのだろう、この形態でもやっていけるという確信と自信が感じられる力作。ある意味、よりマイスティースらしくなったとも言える。(大場俊明)
 
パンサーズ・トップ・ランキング/フリスコ
[ラストラム/LACD-0095]
様々なタイプのマイク陣を招いた『Riddim Bandits』で、自分たちの音で遊びまくった彼らが再び足下をみつめ直して…と思ったが、“スレンテン”をダシに突っ走るオープニング曲やオイスカのヒロシ・ブラウンを招いたあの「Skinhead Moonstomp」、更にヤギーに物真似で歌わせた「ポリスとコソ泥」など、前作の遊び心の発展型といった感じで痛快この上なし。こうした「バッカだなあ〜」的作品は結構重要だったりもする。(大場俊明)
 
☆マーレーズ☆がやってくる ヤーマン!ヤーマン!ヤーマン!/☆マーレーズ☆

[ワールドピース/フライングハイ/FLH-27]
みなさんもうご存知、アルコール飲料のCM曲「The Tide Is High」(原曲はパラゴンズ)で抜擢されたヒヨリとPowwowの津山直正によるポップ・デュオ、☆マーレーズ☆のミニ・アルバム。当然、Cool Wise Menとの「The Tide Is High」に耳が行ってしまうが、この手の曲は1曲のみ。他の曲はもっとゆるやかで大らかな“歌”を聴かせる曲が並ぶ。つまり「The Tide Is High」以外の曲こそが彼らの個性なのだろう。(大場俊明)
 
ヴォルケーノ・ロック〜スペシャル・コンピレーションVOL.1/V.A.
[ニャムアップ/NAM-001]
以前コロムビアに籍を置いていたスコッティのレーベルが再スタート。彼の盟友だった故ヘンリー“ジョンジョ”ローズによるヴォルケーノ・レーベルの名曲に焦点を当てたコンピレーション。つまり今再評価がすすむ80'sダンスホールの中でも打ち込み以前の「らしい」空気が詰まった楽曲が18曲並ぶ。マイティ・クラウン選曲のコンピでこのレーベルの音を気に入った人は勿論、サイエンティスト好きなら聴くべき作品。(大場俊明)
 
エヴリシング・ニュー/ナタリー
[ユニバーサル/UICU-9027]
昨年のデビューから1年での2作目。盟友ハッピー・ペレズやプレイン・スキルズらによるサウンドは、ポップを信条としていながらも南部のテイストがきっちりと盛り込まれていて、気分。バン・Bら右肩上がりな人々の援護射撃も実に効果的だが、注目して欲しいのは主役たる彼女の歌とラップだ。いつものウィスパリング唱法だけでなく、アップでの力のこもったパフォーミングは自らの著しい成長を証明している。(石澤伸行)
 
アンアプリーシエイティッド/チェリッシュ
[東芝EMI/TOCP-66610]
3年前のデビュー・アルバムのお蔵入りを乗り越えて、今回のリリースへと漕ぎ着けた頑張り屋4人姉妹。ジャジー・フェイら南部勢による音仕事は、クランクを機能させつつも、はっちゃけてばかりはいない。一方で彼女らの歌も、イマを感じさせながらコントロールされた感情表現で巧さを見せ付ける。「ポスト・デスチャ」的なニーズもあろうが、彼女たちの「土台」はそんな文脈を必ずしも必要としないハズだ。(石澤伸行)
 
ザ・フィーニックス/ライフ・ジェニングス
[ソニー/SICP-1118]
ムショ暮らしを経て音楽を志しアポロで5回チャンピオンになった男による2作目。前作同様、単に「ソウルフル」というだけでは足りない、重くて暑苦しくて埃っぽい「ゲットー感」を軸にした歌を聴かせるが、今回の彼には新展開も。アップではクランクっぽいサウンドで時流を意識したかと思えば、スロウではひたすらメロウにキメてくれたりと、仕上がりとしては彼の「世界観」へと近づきやすくなった印象も。(石澤伸行)
 
トゥ・ザ・ヘブンズ・アンド・ビヨンド/ザントーネ・ブラック
[レキシントン/LEXCD-06006]
UKクロスオーヴァー界に暖かな風を送り込むのはこのアフロ兄さんだ。エレクトリックかつ下世話なボトムのブレイク・ビーツ風アップではオマーを彷彿させ、いくつかのミッドではかつてスティーヴィーが妻シリータに送った優しげな眼差しやラサーン某を思わせる胸キュン度を伴っていて、心はホンワカに。ジャイルズ・ピーターソンら多くのDJが寄せる賛辞にも大きく納得のハイブリッドな音感覚を堪能あれ。(石澤伸行)
 
エヴリシング/マイカ
[ホステス/AC25CDJ]
パナマ出身NY在住のシンガーによるデビュー作。アート・リンゼイ(!)による音世界は、ヒップホップを枠組みとしながらニューウェーブやレゲエの匂いも放つが、その背景には無機質な景色が広がるというもの。そこを語るでも歌うでもなく、ゆらゆらと彷徨うこの男の存在感はまさに唯一無二だ。メロウな質感を漂わせつつも、結論を出し惜しみするかのような前衛的演目の数々は、不思議と耳を捉えて離さない。(石澤伸行)
 
ムーン・ボッサ/ジュリー&カーリ
[Pヴァイン/PCD-23771]
UK出身のソウル・アクトレス:ジュリー・デクスターと、アトランタ産<生ソウル>シーンのキーマン:カーリ・シモンズによるコラボ作。テーマはずばりブラジルだが、曲作りにおけるふくよかな質感やサウンド構成における生感覚と打ち込みの絡みには、グッド・ミュージックの要素がテンコ盛りだ。エヴリシング・バット・ザ・ガール、バーシア、スウィング・アウト・シスターらのカヴァーも楽しいシアワセ盤。(石澤伸行)
 
イン・ワン・ウェイ・オア・アナザー/ロブ・スミス
[トイズファクトリー/ラッシュ!/TFCK-86802]
80年代からスミス&マイティとしてブリストル・サウンドを牽引し続けるロブ・スミス。すでに御大とも呼べる彼が発表したこのソロ・アルバムは、レゲエ、ダブの要素を根幹としつつも今までになく多彩で、彼が通過してきたロック、ヒップホップ、ドラムンベース、アシッド・ジャズ等あらゆる音楽で彩られている。多くの仲間達と制作された楽曲達は重厚でいて温かく、ブリストルの風が伝わってくるような作品だ。(長友浩之)
 
アイ・アム・ノット・アフレイド・オブ・ユー・アンド・アイ・ウィル・ビート・ユア・アス/ヨ・ラ・テンゴ
[マタドール / P-ヴァイン / PVCP-8243]
前作より約3年半ぶり、通算では11作目となるヨ・ラ・テンゴの新作。今回は特にカヴァーを入れることもなく、全てオリジナルで取り組んだ全15曲でトータルで約78分という大作。バラエティに富んだ素晴らしい楽曲とリスナーの意表を突く構成でヨ・ラ・テンゴ・ワールド全開の快作に仕上がっている。更に何とも目を引くアートワークを本誌でもお馴染みのアーティスト、ゲイリー・パンターが手掛けている。(高橋晋一郎)
 
ブルジュン&エルバリオ2016/ブルジュン
[P-ヴァイン / PCD-23814]
宮崎県延岡市出身で高校卒業以降はNYで活動してきたブルジュンによる1stアルバムが届けられた。渡米後はレコード・ディーラーのもとで鍛えられたビート眼によって掘り出されるサンプル・ソースはラテン、ジャズ、ソウル、ファンクなどまさに多種多様。それらを決してヒップホップ・マナーから逸れることなく組み上げたヴィニールの匂いが漂ってくるようなファンキーなインスト・アルバムとして成立させている。(高橋晋一郎)
  
フリーダム・サンセット/V.A.
[フリーダム・サンセット / TERCDFS1]
江ノ島の展望灯台で同名のパーティをオーガナイズするシバがプロデュースしたコンピレーション。日の入りとシンクロしながら進行していくこのパーティの様子を心地良く切り取ったサウンドトラックの様なこのアルバム。参加アーティストはゴロー、カームや井上薫のプロジェクト、オーロラから主宰者シバ自身のプロジェクトまで。近年盛り上がりをみせる所謂サーフ・ミュージックよりもある意味ピュアで繊細。(高橋晋一郎)
  
ボイコット・リズム・マシーン II/V.A.
[ラストラム / LACDV-0002]
“当日が初顔合わせとなる両者に、1日で作品を作ってもらう”というコンセプトで高木正勝と南博、ナム&サイドラムと吉見征樹と井上憲司、半野喜弘と菊地成孔など異なるジャンルのアーティスト同士がセッションを行ったドキュメンタリー。CDとDVD共に楽しめるが、この作品は圧倒的にDVDが面白い。彼らが放つエネルギーとその場の緊張感がばっちりとパックされていて何とも躍動的。アカデミックな意義も深い。(高橋晋一郎)

CHART from No.282

REGGAE 7" | REGGAE LP | REGGAE CD | REGGAE CLUB
HIP HOP 12" | HIP HOP LP | R&B | HOUSE | ABSTRACT

 
REGGAE 7
 
●REGGAE SHOP CISCO(渋谷)03-5458-6625
1. Cham / Rude Boy Pledge (Mad House)
2. Assassin / Wandering Mind (Bomb Rush)
3. Capleton / Hits Pon Top A Hits (Don Corleon)
4. Capleton / From Mi Heart (Gibbo)
5. Higher / Slyce (Poor Again)
 
(1)地面が持ち上がる様な太いベースに淡々と語るChamのDJが最強にかっこいい! "Stage Show" リディム。 (2)電子系ベースが中毒性高! 少し遅めのBPMがこれまた調子良い! ウォイウォイウォーイ! (3)ガラっと変わってHype系リディム "Foundaion"。"Sweat" リディムを更に攻撃的にした感じでVibes Up!  (4)時に怒りの、時に愛の炎を燃やすFire Man! 熱いです! "Wash Belly" リディム渋っ。 (5)当レーベル気になるニューはこれまた心掴むグッド・ミディアム "Girl Friend" リディム。ちょいと注目のアーティスト。
 
●LION MUSIC DEN(名古屋)052-953-1386
1. Junior X / Jah Watch My Friends (Herbs House Entertainment)
2. Sipple Steppa / Concrete Jungle (Santaria)
3. Mikey Pelpa / Dutty Livety (Frenz)
4. Mark Wonder / Rainbow Child (Cellblock)
5. Bitty Mclean / The Real Thing (Taxi UK.Silent River)
 
(1)待望の第3弾遂にリリース! ナイヤビンギ調Trk.でナイス・メロ&コーラス入りのマスト・タイトル。 (2)以前から現地ラジオでヘヴィー・プレイの注目作。シング・Jスタイルの新人熱唱、キャッチーなサビが響きます。 (3)気だるい歌唱方がゆったりしたリディムにマッチしたIrieFmシャイン・ヘッドの必殺チューン! DJ物。 (4)コレも現地ラジオでヘヴィー・プレイ! マイナー調のシンプルな生オケ・トラックでVo.物。 (5)待ちに待った新作はD・ブラウン "Hold On What You've Got" Trk使用。
 
●ROCKER'S ISLAND(大阪)06-6214-7565
1. Cham / Rude Boy Pledge (Mad House)
2. Capleton / Wha-Dis Wha-Dis (Don Corleon)
3. Movado / Whey Dem A Say (Young Legends)
4. Capleton / Never Let Us Down (Shan Shan)
5. Assassin / Wandering Mind (Bomb Rush)
 
(1)「Ghetto Story」のヒットが記憶に新しいなか、同レーベルMad Houseのニュー・リディム "Stage Show"! 絶好調Chamはまってます! (2)Stamina Daddyリメイク "Foundation"(Gully)に乗せて歌うは“オリジナル・フャイヤーマン”今回もバイブス全開。 (3)Left Side and Esco制作のニュー・リディム "Dem Time Deh" 人気急上昇中のニュー・シンガー! リアル・バッド・マン、リアル・バッド・チューン! (4)ナイス・ミディアムにもバッチリのるこの人◎後半からの展開部分でCapleton節炸裂! 要チェック! (5)デビュー・アルバムからのシングル・カット! ハードなオケにAssassinのフロウがバッチリ!
 
●ORANGE STREET(新宿)03-3365-2027
1. Kenny Knotts / Seek Jah The Creator (Cultural Warriors)
2. Pablo Moses / Ready, Aim, Fire (House Of Moses)
3. White Mice / Try A Thing (Intelitec Muzik/Basic Replay)
4. Marlene Ammers / Live The Life (Universal Roots)
5. Artikal / First Thao (Cultural Warriors)
 
(1)B.Brown "Step It Up" リメイク・オケのデジタル・ルーツ。グイグイ迫ってくるベースにヤラレるヴォーカル&ダブ。 (2)83年傑作ルーツの再発。タイトル・フレーズ合唱系の熱いチューン。 (3)W.Miceのキラー・チューンが4曲同時再発! 全て必殺アイテム。サウンドマンなら全曲マスト! お得なセット販売も有。 (4)魅力的な声の女性ヴォーカルにミックスはRuss-Dとくれば当然要チェック。"Great Triburation" リメイク・オケ。 (5)ファースト・シングルが各方面で話題となったArtikalのブランニュー。ヘヴィーな4つ打ちインスト・ステッパー。 
 
REGGAE LP TOP 5
 
●REGGAE SHOP NAT(新宿)03-5337-7558
1. V.A. / Duke Reid Golden Hits (Treasure Isle)
2. Phillis Dillon / One Life To Live (Tresure Isle)
3. Don Drummond / Greatest Hits (Treasure Isle)
4. Don Drummond / Memorial Album (Treasure Isle)
5. Paragons / On The Beach (Treasure Isle)
 
全てTreasure Isleの名作アルバムのイギリス盤! 特に(1)の「Duke Reid Golden Hits」は初の再発で、Treasure Isleの名曲Rock Steadyの数々が聴けます! 全てお早めに!!!! ※9月1日より、中古盤大放出&セール開催!!! お楽しみに。
 
●DRUM & BASS RECORDS(大阪)06-6211-1044
1. Groundation With Don Carlos & The Congos / Dragon War: Dub Remixes Of Hebron Gate (Young Tree)
2. Voice Of Progress / Mini Bus Driver (Negus Roots)
3. Jazzreel / Great Jah Jah (Wackies)
4. Ken Boothe / You're No Good (Attack)
5. イチバンボシクルー / 1★狂2 (UFO)
 
(1)は03にリリースしていた、メチャクチャ格好良いダブ・アルバム。ジャマイカではあり得ないサウンド、クールだ (2)ジュニア・リードがリード・ヴォーカルとして在籍したコーラス・トリオの唯一残したキラー・アルバム (3)硬質で粘着質なワッキーズ最高のショウ・ケース。(4)時代で言えばレボリューショナリーズ頃に録音された12トラック。「Satta」「Artibella」「You're No Good」(5) 大阪、最狂、最暴のエンターテインメント。実は少し前に出ていました。www.drumandbass-rec.com / www.rock-a-shacka.com♪
 
 
 
REGGAE CD TOP 5
 
●TOWER RECORDS(渋谷)03-3496-3661
1. Tami Chynn / Out Of Many One (Universal)
2. V.A. / Remakes (P-Vine)
3. V.A. / Heavenly (In The Streetz)
4. Nasio Fountain / Universal Cry (Cisco)
5. V.A. / King At The Controls (VP)
 
(1)激カワ☆レゲエ・ポップ・クイーン誕生! 人気リディム“Stepz”使いの楽曲で大ブレイク!! (2)80年代のビッグ・ヒットを人気アーティスト達が今に甦らせ、ヤミツキ!! (3)Don Corleonの哀愁系リディムの最新ワンウェイ・アルバム。美しすぎるミディアム・チューンで、ロング・セラーになること必至! (4)Bob Marleyの再来を彷彿させるスピリチュアルなリリック&歌声に一発K.O!! (5)80'sからシーンに君臨し続けるキング・ジャミーの代表曲やヒット曲を収録したベスト盤。ボーナスDVDには約60分に及ぶインタヴュー映像等が!
 
●HMV(渋谷)03-5458-3411
1. V.A. / Remakes (P-Vine)
2. Ward 21 / King Of The World (Victor)
3. DJ Bana / Back To The Time King Jammy's Golden Hits (Toshiba EMI)
4. V.A. / Version Dread (Heart Beat/Studio One)
5. V.A. / Kingston Love (P-Vine)
 
(1)この選曲は面白い。今までにないカヴァー物。 (2)遂に新作発表。外せない1枚。 (3)大人気DJ BanaによるJammy's音源使用のMix CD。 (4)米Heart Beat社によるスタワンDub集。素晴らしい演奏が存分に楽しめる。熱帯夜にオススメ!? (5)これは良い。年代、国などを飛び越えKingston Loveのコンセプトのもとまとめあげた1枚。無理し過ぎない感じが聞き易さに繋がった素晴らしい作品。同時発売の2と合わせてどうぞ。欲を言えば2枚組が良かったかも?
 
REGGAE CLUB TOP 5
 
●CLUB JAMAICA(西麻布)03-3407-8844 Selected by Club Jamaica Crew
1. Ghost / Heaven's Above (Fams House)/span>
2. Sanchez / Link Me (Gibbo)/span>
3. Cham / Rude Boy Pledge (Mad House)/span>
4. Tony Matterhorn / Goodas Fe Dem (VP)/span>
5. Burning Spear / Marcus Garvey (Fox)
 
(1)最高の一言につきる! R&BやPopsのチャートに入ってもおかしくないくらいの作品。ここ何年かの彼の作品の中でも最高の1曲! (2)当レーベルらしい生音リディム、是非サウンドシステムで聞いて頂きたい! (3)D.Kellyのニュー・リディム!「Ghetto Story」続編といった感じ! (4)現在最も勢いのあるアーティスト! (5)良識あるセレクターには嬉しい正規再発! その他あの曲も! ※今月も皆様をお待ちしております!
  
●JADE(札幌)011-520-1015 Selected by Green Peace "Ryota"
1. T.O.K / Live It Up (acorstic ver.) (Juke Boxx)
2. Chuck Fender / Gash Dem (Juke Boxx)
3. Damian "Jr.Gong" Marley / All Night (Ghetto Youth)
4. Idonia / Ukku (Damond)
5. Nocth / Zoom Gal (Black Chiny)
 
今月は僕らのお気に入りです。(1)、(2)結構前からかかってる "Confessions" リディムのから最近JAでかかりまくってるアコースティック・ヴァージョン。2曲目はお馴染み「Gash Dem」!!! (3)Jr.Gong、良いです!(4)はLeft Side and Escoのニュー!! Idoniaキテマス!(5)Black Chinyから。 ※初秋にGP Style Part 2発売決定です。9月から北海道全9都市ツアー決行します!!!
 
●CLUB I to I(大阪)06-6252-4201 Selected by Killasan Movement "Ten-Shin"
1. Cham / Rude Boy Pledge (Mad House)
2. Capleton / Wha-Dis Wha-Dis (Don Corleon)
3. Capleton / Hits Pon Top A Hits (Don Corleon)
4. Beenie Man / Nah Beg No Friend (Don Corleon)
5. Sojah / Mada (Cash Flow)
 
(1)Mad Houseと言えば“Cham”。またまたくそヤバいリディムに加え、Cham節が炸裂です。アルバムもリリースされ、更に波に乗ってますね。一度耳にすれば頭から離れないマッド・リディム "Stage Show"。他に "Pinchers" もヤバし!! (2)〜(4)は同リディム "Foundation"。Capleton「Tappa Thing」でお馴染みの "Sweat" リディムを更に音増しした感じ。夏が過ぎてもヒット・メイカー、ケイプルトンの熱は冷め知らずです。 (5)Sojah兄弟からの母親リスペクト・チューン。クッド! これまたCash Flowレーベルからドロップ!!
 
 
HIPHOP 12
 
●CISCO(渋谷)03-3462-0366
1. DJ Shadow / Enuff (Universal)
2. The Game / It's Okay (Geffen)
3. Luther Vandross / Shine (J Records)
4. Cassie / Me & You (Badboy)
5. Janet Jackson / Call On Me (Virgin)
 
(1)FT. Q-Tip & Lateef。シャドウらしくない気もしますが、コレはコレでイイ感じ。人気出ること間違いナシでしょう。 (2)Junior Reid「One Blood」をサンプった破壊力抜群な一曲! ハードコア・ファンは絶対ゲットしときましょう。 (3)Chic「MyForbidden Lover」をサンプったJam & Lewisによる美しい1曲! 女子はもちろん、R&B好きにオススメです。 (4)Myspace.comから人気が出たというこの一曲、脳を刺激する高音のネタがなんとも憎くてカッコイイです。 (5)Ft. Nelly。お得意のメロメロ・ソフト・タッチ・チューンにグッときます!
 
●Dance Music Record(渋谷)03-3477-1556
1. J.Rawls / A Tribute To Troy (Turntable Jazz)
2. Hydroponic Sound System / Watch For Music (Super Bro)
3. Ladybug / Dem A Bomb We (Soul Jazz)
4. Edu K / Hot Mama (Man Recordings)
5. Emanon / More Than You Know (Shaman Works)
 
(1)Pete Rockの大クラシックをジャジーにインスト・カヴァー! 間も無くリリースされるアルバムも必聴です。 (2)アフロ感溢れるブレイクビーツは、彼達ならでは。 (3)Kevin Martin a.k.a. The Bugのニュー・プロジェクト。グライミーでインダストリアルなフューチャー・ダンスホール。 (4)頭角を現しつつあるSindenと御存知Bonde Do Roleのリミックスに注目。(5)ソロ活動も好調なAloe BlacとExileの2人が再び集結。
 
 
HIPHOP LP TOP 5
 
●MANHATTAN RECORDS WEST(心斎橋)06-6258-2202
1. Pharrell Williams / In My Mind (Virgin)
2. DMX / Year Of The Dog...Again (Columbia)
3. Rhymefest / Blue Collar (J-Records)
4. Hector Bambino / Los Rompe Discotakas (Def Jam)
5. Yo Gotti / Back 2 Da Basics (TVT)
 
(1)遂に出ました! 延期されまくっていたファレル、待望のソロ・デビュー・アルバム! とにかくこれは買うでしょう。 (2)一時はお蔵入りかと思われたDMXのニュー・アルバムも無事リリース! 聞き所満載の超充実作!! (3)カニエ「Jesus Walks」の作詞を手掛けた事で一躍脚光を浴びたライムフェストのデビュー・アルバム! (4)レゲトン界の重鎮、Hector Bambinoのメジャー・デビュー・アルバム! Jay-Zを筆頭にHip Hop勢のサウス・チューンが満載なYo Gottiの3年振りとなるニュー・アルバム。
 
 
R&B TOP 5
 
●DISK UNION ONLINE SHOP hiphop@diskunion.co.jp
1. Pharrell Williams / In My Mind (Star Trak)
2. Vikter Duplaix / Stimulation ep (BBE)
3. Cirkus / Starved (Groove Attack)
4. DJ Deckstream / Don't You Play Games (Otha Fish)
5. Ciara / Get Up (La Face)
 
(1)出ました! シングル以外の曲にも脇役なりのしっかり味わいがあります。間違い。なく今年のベスト候補。 (2)Touch of Jazzのマルチ・タレント。ひたすら耽美な音作りに、思わせぶりなヴォーカルもグッド。 (3)ポスト・ロック色濃いオリジナル・ヴァージョンも秀逸ですが、3 Ver.収録されたリミックスも。中でもBuck 65が白眉。 (4)Juju Bee嬢との第2弾。Lil Robと同ネタのB面だけでご飯三杯いけます。 (5) "1.2 Step" 路線。それとも別ヴァージョンなのか?
 
 
HOUSE TOP 5
 
●CISCO ONLINE SHOP info@cisco-records.co.jp
1. Japanese Synchro System / Japanese Synchro System (Life Line)
2. Rent / Seasons Of Love (White)
3. Misia / Color Of Life (DJ Emma Club Remix) (Rhythmedia)
4. Frankie Knuckles:Eric Kuppe / Whistle Song Revisited (Noice Music)
5. Paolo Mojo / 1983 (Pryda Friends)

 
(1)日本の双璧Calm,K.F.ことKiyotaka FukagawaとTha Blue あHerb, Herbest MoonのIll-BosstinoことKazuyuki Shimizuによる新たなプロジェクトの1st 12"。 (2)ミュージカル/映画「Rent」から飛び出した名曲「Seasons Of Love」のHouse Rmx登場!! (3)約2年ぶりのニュー・シングルとなる「Color of Life」のHouse Rmx。 (4)今年マイアミでも相当話題になっていた超名曲Frankie Knuckles「Whistle Song」の待望のニューVer.! (5)トップDJ達が猛烈にプレイしている2006年最高傑作、遂に上陸!
 
ABSTRACT TOP 5
 
●DISC SHOP ZERO(世田谷)03-5432-6129
1. Aota With Skyscraper / Aota With Skyscraper (Angel's Egg)
2. Kinka / Beads (Rudiments)
3. Rob Smith / In One Way Or Another (Rush!)
4. Stereotyp / Keepin' Me (G-Stone)
5. DJ Sazabi / Jet Stream Attack (Champion Bass)
 
(1)“メディアに載る=良い音楽”ではないことを証明する好作品。(2)Acca、Key Of Knowledge、Monkaなどで活躍するクリエイター/DJのKinkaソロ・アルバム。(3)Smith & Mightyとして80年代からジャングル〜ブレイクビーツ・シーンを牽引するRob Smithの2作目。(4)オーストリア産、AL-Hacaのラッパーも参加。グライム〜ダブ・ステップ派も要注目。(5)日本屈指のジャングリスト・クルーからMix CDシリーズ第4弾。www.discshopzero.com 下北沢駅南口徒歩2分。
www.discshopzero.com 下北沢駅南口徒歩2分 通販可

RAW SINGLES from No.282

Raw Singles
Text by Takanori Ishikawa
 
1. Cham / Rude Boy Pledge (Mad House)
高速化が進むジャグリン・チューンのトレンドに対して正反対のアプローチ。人と同じ事をするのが嫌いなDaveらしいスローなトラック。"Fiesta" でも垣間見せたジャマイカ以外のカリビアン・ミュージックを隠し味に調理した素晴らしいサウンド。「自らのルーツは忘れないぜ」云々のリアリティ・トーク。
 
2. Pinchers / Enemies (Mad House)
(1)と同トラック "Stage Show"。同名の92年のヒット曲(ダブでお馴染みですね)とは全くのリリック違いの新曲。しかし、自身、往年の数多いBad Manチューンを思い出させる内容。この人ならではのフロウがスロー・リズムにバッチリはまった会心作。
 
3. Assasin / Good Over Evil (Mad House)
"Stage Show"。Chamのヴァージョンとはちょっとミックス違い。低音部をより厚くした仕上り。ぜひ良いサウンド・システムで聴いて欲しい迫力とドライヴ感があります。バッド・マインドな人達や、悪い誘惑に惑わされずに生きていこうとメッセージ。
 
4. Tony Matterhorn / Goodas Fe Dem (VP)
のってるセレクター、新曲、また出しました。Natural Bridge制作のオリジナル・トラック "Gully Smile" 使用。現場のギャルと自らのビック・アップ、面白可笑しいトピックを交えながら進行。クラシックなリズムパートとグルーヴィなキーボードのコンビネーションがフレッシュな1曲。 
 
5. Vibez Kartel / Gun Session (Obsessed)
Akon、Shabbaとのコンビネーションで既発の曲をソロ・ヴァージョンに。トラックは全く別物のダンスホール・リズムでDJ Obsessionプロデュースものにハズレなし。オーケストラ・シンセ他、カラフルな音作りだが、全体の印象は超ソリッドな最高の出来。凶悪ガン・トーク。
 
6. Vibes Kartel / No (Young Legends)
Left Side & Escoのニュー・オリジナル "Dem Time Deh"。真の意味でオルタナティヴな反復ビートとKartelのDJ。この上なくクールなリズムに絡み付く変幻自在のDJ。「No」連呼のフックもキャッチーなアンチ・ボウ・リリックをコミカルに。
 
7. Elephant Man / Gal Bruck Out (Young Legends)
"Dem Time Deh"。抑えたトーンのDJと歌パートを巧みに組み合わせたチェンジ・オブ・ペースが効いた1曲。延々と、淡々とライムし続ける出だしから一気に聴かせます。ベッドでいかにタフかをアピールする定番ネタ。このトラック使用曲は他も全てGood。
 
8. Capleton / Wha-Dis Wha-Dis (Don Corleon)
"Foundation"。「Stamina Daddy」リメイク・トラックと言っていいでしょう。ロックするドラムがグイグイとリードするサウンド。シンセホーンが煽る、煽る。同性愛やオーラル・セックスの増加に「何だ、そりゃ」と怒ってます。
 
9. Lukie D / Going Away (Peckings)
Techniques、Treasure Isleでの名曲「My Girl」のトラックを使用。クラシック・リズムをそのまま使用した失恋ソング。B面は同トラックを使用したJ.Cottonの別曲収録。ダブポエッター転向以前のオールドDJスタイリーでこっちもGood。
 
10. Gyptian / Stepping Higher (Irie Vibration)
全編ほぼ生演奏のナイス・チューン。特にドラムが良し。誰が演奏してるか知りたいですね。ゆったりとしたテンポに要所で女性コーラスを配したキメ細かい音作り。Jahがいつも見ていてくれる、良い方向へ導いてくれる等の感謝の気持ちをリリックスに。
 
11. Luciano / Living My Life (Irie Vibration)
(10)と同トラック "Love Bird"。この曲も最高。鳥のさえずりとアコースティック・ギターで始まるイントロは「Loving You」な感じだけどメロウ過ぎないビシっとした演奏と歌。Bob Marley「Running Away」をポジティヴにした様なメッセージも、コクのある声、メロディともに文句無し。
 
12. Sizzla / Step A Side (Gibbo)
こちらは2006年版ロッカーズな生演奏。タメの効いたベースと弾けるドラム。キーボードもクラシックな響きで盛り立てる。ヴァイオレンスが多発し、血が流されている現実を嘆き、裏切りなど困難があっても前進を続けるぞ、そこを退けと意思表明。
 
13. QQ / Same Seed (Loyal Soldiers)
I Wayneの既発曲「Life Seed」と同トラック。ギター等のアレンジは変化しています。流麗なメロのシンセが加わってよりおセンチなミックスに。とても子供とは思えないコンシャス・リリックス。同じ人間同士が悲しみあう様な真似をするのは止めにしようという内容。
 
14. Sojah & Martina / Girl Friend (Cash Flow)
このレーベルらしいソフトなオリジナル・ミディアム・トラック。節らない素朴なDJと女性シングジェイのコンビネーション。男女交互に歌う展開、リリック内容共にレゲエ版「My Boo」。少し遅めの企画な点といい、この屈託の無さといい、ジャマイカらしくて憎めない1曲。

RECORDS & TAPES from No.282

Review by TAKASHI FUTATSUGI
 
MIX CD
 
1. Lord Finesse / Masterpiece 03 (Handcuts)
“ハンド・カッツ”と“ユニバーサル”の共プロジェクト「マスターピース」の第3弾は、ラッパーである以上に“DJ”としての活動が目立つロード・フィネス(D.I.T.C)。ミックス・テープ・マスターとしての“腕前”が少しも落ちていないのは聴けば分かるハズ。テーマである90'sヒップホップ〜R&Bセレクション(自身が制作したトレンズ・オブ・カルチャーも入ってますョ!)を思う存分楽しんだ御様子で、ステファニー・ミルズの激シブなカヴァーも入った会心作!
 
ALBUM
 
2. Outkast / Idlewild (BMG)
時代は1930年代、ジョージア州にあるアトランタ、でなく架空の町アイドルワイルドを舞台とする2人の主演作(ミュージカル映画)のサウンド・トラック盤であり、純然たるニュー・アルバム。要するに大掛かりなメディア・ミックス、であります。こちらの音盤はあの「ミニー・ザ・ムーチャー」を使った(RPOの…ではありません)先行カットの「Mighty "O"」を始めとする、奇想天外でいてポップスとしての完成度もすこぶる高い楽曲のオンパレード的内容。イッちゃってマスね、本当。
はファンを必ずや納得させるハズ。
 
3. Fergie / Duchess (Universal)
あ、コーナーを間違ってしまったカモ? BEPの第4のメンバーにして紅一点、ファーギーのソロな予想通りラップ・オンリーではありません。注目のポロウ・ダ・ドンが制作したサウス乗りの「London Bridge」はヒット確実のキャッチーさ。「My Humps」の悪ノリ路線を更に拡大した(?)この曲以外には、「Make Up Songs」の様なグッとくる歌物もあったりして、BEPとは一線を画した仕上がり(となる予定)。とは言え、10曲をウィル・アイ・アムが手掛けているらしく、他メンバーも華を添えている?
 
4. Daz Dillinger / So So Gangsta (Toshiba EMI)
スヌープが指揮を執ったドッグ・パウンドの新作に、コラプトのヤング・ゴッティ名義作、そして遂にRECギャンスタ=ダズの“ソー・ソー・デフ”からの噂のソロ作が到着。トラック制作はボスのジャーメイン・デュプリ(& L-ロック)及びダズ、スコット・ストーチ、ノーI.Dが担当し、ウェッサイとサウスのフレイヴァーが絶妙にミックスされたものとなっている。「Huslin」で一躍時の人状態のリック・ロスとの絡みから、スヌープ、ジャギド・エッジまでエストも最小限(といっても豪華!)でダズ・ワールドがしっかり楽しめる。例のEPMDのリメイク曲は日本盤のみの収録、とか。
 
5. Public Enemy / Bring That Beat Back (Victor)
デビュ−20周年間あのパブリック・エネミーが新作発表前に、近作からのベスト・リミックスをまとめたアルバムをリリース。コンパイルしたのは、“PEオフィシャル・リミキサー”のC-ドッグで、自ら手掛けたリミックスの勿論しっかり収録されている(完全未発表ヴァージョンも有)。中でも改めて面白いと感じたのは、23スキドーとレイ&クリスチャンというそのスジの人なら嬉しいヒトたちによるリミックス。あと、リミックス・コンテストで勝ち残った「Public Enemy #1」のディーロ版などもフィーチュア。
  
6. J Dilla / The Shining (Hostess)
次々と出てくるジェイ・ディラの遺作。中でもこの“BBE”からのアルバムは、あと一歩でクランク・アップする予定だった一枚としてご存知の方も多いだろう。バスタ・ライムス、コモン、ディアンジェロ、マッドリブ、ドゥウェレ・ブラック・ソートといった生前付き合いの濃かったアーティストたちの名演もしっかりと刻み込まれたジェイ・ディー“ならでは”のゆらぎワールド。ここでまだ“新しい何か”に手をかけていただけに未完が悔やまれるが、聴けるだけでも嬉しい作品なので…。
 
7. Deli / Still Burnin' (Cutting Edge)
Nitro/Aquarius/チカチカ/Team 44 Blox、そしてソロ、と物凄い数のリリースを誇るDeliの2枚組ベストが到着。オリジナル・アルバムでその全てが網羅出来た訳ではないので、こうした形態も実に絵になる、といか、こうして並べられただけでも壮観の一言だ。録り下ろし新曲「ソレデモ」を含む“メイン・サイド”(Disc 1)に加えて、今やレアなNitroの「大脱走」や客演物も挿入された“アナザー・サイド”(Disc 2)まで全30曲。個人的にはジェケの“リメイク”(?)にもヤラれた…。 
 
8. Macka-Chin / A Pride And Fear (Virgin)
“知ってんだ音の飛ばし方/舞ってんだこの時の中/這ってんだ音の中にな/これがスゴくとぶのさ……”(「Hau My Steelo」より)。セルフ・メイドの音と言葉でトバしてくれる根っからの芸術家マッカチン久々のソロ(8曲入りミニ・アルバム)。イメージを拡散させる言葉運びと、ワールド・ビートそのものの、流行り型には絶対ハマらないトラックが、スピーカーから流れ出したら最後…抜け出せなくなること必至。アートワーク含めて全てから彼の音楽を感じ取れるという点でも期待通り。フル・アルバムも楽しみだ。
 
9. East Up Line Stars / E☆Star (Virgin)
今最も勢いのあるトラックメイカー=タイプライターを中心とする3MCユニットの初アルバム。254(ニゴシ)Crewのメンバーで、Ruff Rhymersでも活動していたChokiとYukimitsuと共に、しっかりしたコンビネーションと、明確なテーマ、アプローチで聴かせる点は、“プロデューサー”としての力量の大きさも表している(全曲トラックもタイプライターが担当)。スタイリッシュなB・ボーイ像を持ち、地元埼玉と東京都内を繋ぐ“東武東上線”になぞらえたこの三両編成のBullet Trainは何かやらかしてくれそうな気配を漂わす。
 
10. Scars / The Album (P-Vine)
信頼度抜群のイルなプロデューサー=I-DeAやSakも名を連ねる“東京裏町ヤングガンズ”Scars、待望の1stアルバム。ソロ作で既に高い評価を得ているバイリンガル・ラッパーSeedaに、“ほとばしる”といった表現がピッタリのスピットを披露するA-Thug、BES、Manny、Bay4K、Stickyと視点の明確な「Sex, Drug, Street Life」の生々しい描写の数々。このヤバさは確かにクセになる。トラックメイカーでは他にもBach Logic、Hikoらも参加。まずはその耳で確かめておくべき。
 
11. V.A. / Hibachi Times Vol.3 (Kemuri)
DJ Yasプレゼンツによる旬で粋な音のカタログ第3弾。今回はシリーズ初のフィーメイル・ラッパー=Coma-Chi(ダ・メ・レコ)とYasのスペシャル・タッグで幕開け。そしてお馴染みとなったソウルフル・シンガーTetsuの曲は地元名古屋のRebel Beatzがリミックス、またFunk入道ことダースレイダーがプロデュース、共演したT.H.C Crewに、関西からDJ KensawとRunner Zoo、Zim Back、Kenta Rhymes、そしてペニーズ(笑)、ヨシピィ・ダ・ガマが名曲「マンホール」のニュー・ヴァージョンを…と更に多様化した好内容。バチバチ言うとります。
   
12. Blackmoon / Enta Da Stage (P-Vine)
“P-ヴァイン”からブート・キャンプ・クリック(新作もよろし)の中核グループ、ブラック・ムーン、スミフン・ウェッスンそれぞれの1stがリイシューされた。どちらも90'sの“Ruggedな”空気を真空パックにした様なクラシックに違いないのだが、ここでは“日本盤初登場”となる暗黒月球の方をピックアップ。言わずもがなの名曲「Who Dot Da Props?」「Buck Em Down」「I Got Cha Poin」等が入ってます。ハイ。ブーキャンの快進撃はここから始まった、という今だ色アセぬ名盤。ボーナス・トラック2曲にも注目。

2007年8月28日

CHART from No.294

REGGAE 7" | REGGAE LP | REGGAE CD | REGGAE CLUB
HIP HOP 12" | HIP HOP LP | R&B | HOUSE | ABSTRACT

 
REGGAE 7
 
●REGGAE SHOP CISCO(渋谷)03-5458-6625
1. Da'ville & Fiona / Got To Love in Time (Joe Frasier))
2. Jah Cure / To Your Arms Of Love (VP))
3. Pressure / Never Fall (Don Corleon))
4. I Wayne / Book Of life (VP))
5. Ginjah / Music Alone (I Land)
 
(1)Dennis Brownが歌っていたことでも知られる、Marilyn McCoo & Billy Davis Jr.の名曲を、人気のこの2人がカヴァー!(2)既に大人気の "Guardian Angel" リディム後発で、出ましたJah Cure ! 出てきましたJah Cure ! (3)ガン・ショットのSE入り、小刻みなビートが疾走感を作り出すジョグリン・オケ、"Back Ache" ! (4)ストリングスのアレンジが綺麗なトラックがI Wayne独特の繊細なヴォーカルを引き立てていてナイス!(5)ファルセットを絡めた歌声が心地良い1曲! JAのチャートにも入ってましたね。
 
●LION MUSIC DEN(名古屋)052-953-1386
1. General Levy / Professional Ganja Smoker (Sws Sound-Eur)
2. A.S.K / They Should Know (House Of Congress)
3. Junior Pinchers / Unfaithful Love (Royal Concert Productions)
4. E-Dee Feat.Irie Love / Revolution (Unseen Lab Records)
5. Super Cat / Scalp Dem (Budget Mix)
 
(1)超キャッチーでタイトルもイカすガンジャ・チューン! ブリティッシュ・ラガ・MC。復活!(2)Irie FMヘヴィー・プレイ! 女性Vo.+気の抜けたナイスDJ!(3)現地チャート2週連続チャート・イン! R&B調ラヴ・ソング。(4)現場ヒット中! D・ブラウン大名曲カヴァー(女性Vo.)+DJ!(5)大ヒット中リディム "Stage Time" 使い大物リミックス。ハマってます。
 
●ROCKER'S ISLAND(大阪)06-6214-7565
1. Taurus Riley / She Is Royal (Cannon)
2. Munga / Whine Pon It (Caspa)
3. Munga / Take My Place (Don Corleon)
4. Busy Signal / The Days (Daseca)
5. Vybz Kartel & Craig Dennis / The Prayer (Pure Music)
 
(1)現地でヘヴィー・プレイされているミディアム・チューン!! 同レーベルからリリースされている「Stay With You」も要チェック!! (2)ちょっと前のリリースだが今になってJAで火が着いているギャル・チューン!! Dance、Radio、着メロまで幅広く浸透しています。(3)絶好調な自称「Gangsta Rass」こちらも現場でガッチリBussしてるHip Hop調のBad Bad Tune!! (4)多彩なプロデューサー3人衆の激渋リディムに絡むBusy節がナイス!! Ghettoの苦しい現実を歌う。(5)若き天才リディム・メーカーのニュー・トラに相性抜群のこの2人が絡むバッドマン・チューン!! 頑張れCraig Dennis!!
 
●ORANGE STREET(新宿)03-3365-2027
1. Dubkasm feat. Lidj Xylon / Every Lion (Sufferah's Choice Recordings)
2. Idren Natural / Sip-A-Cup (Jah Works)
3. Ghetto Priest / What A Struggle (Reggae On Top)
4. Luciano & Ras Zacharri / River Jordan (Roots Garden)
5. Courtney Melody / Black Liberation (Crat/Basic Replay)
 
(1)Shakaセッションで常にプレイされてたダブ音源がLidjのVo.をFeat.し、遂にリリース! H.Mundell「Can't Pop No Style」のフレーズにヤラレます。(2)UK老舗レーベルから新譜が到着。正統派ルーツ・ステッパー。(3)UKレーベルの中でも頻繁にリリースを続ける同レーベルの新作は他レーベルでも引っ張りだこG.Priestの熱いルーツ・チューン!(4)UKを始めEUでの活躍も定着したLucianoのヘヴィーなデジタル・ワン・ドロップ。Prod. by Manasseh。(5)87年ビッグ・ルーツ・チューン再発! ダンス・リスナーも要チェック。
 
REGGAE LP TOP 5
 
●REGGAE SHOP NAT(新宿)03-5337-7558
1. Lone Ranger / M16 (Channel One)
2. Leroy Smart / Best Of Leroy Smart (Channel One)
3. Mighty Diamonds / When The Right Time Come I Need The Roof (Channel One)
4. Wailing Soul / Best Of Wailing Soul (Channel One)
5. Yellow Man / Them A Mad Over Me (Channel One)
 
Channel Oneレーベルを代表する名アルバムが多数入荷中。(1)数え切れないほどのリメイクが存在するタイトル曲を始め、名リズムにのせて冴えわたるDJ!(2)この名曲群を知らずしてChannel Oneは語れない。“Don” の激渋な歌声をご堪能あれ!(3)殆ど全曲がコンピ等でもよく耳にする名曲。70年代を代表するコーラス・グループ。(4)この美しいコーラスを何と言葉で表現すればいいのか…とにかく素晴らしい!(5)リリース当時のBadな雰囲気が今も感じられる1枚。“Gun Man” がとにかくWicked!※大好評のWeb Site、分かりやすくオススメに絞って紹介しています! www.rs-nat.ne.jp
 
●DRUM & BASS RECORDS(大阪)06-6211-1044
1. V.A. / Studio1 Dub Vol.2 (Soul Jazz) [2LP]
2. Bitty Mclean / Made In Jamaica (Peckings) [CD]
3. V.A. / Pirates Choice (Studio1) [LP]
4. Stranger Cole / Bang A Rang (Trojan) [2CD]
5. V.A. / Portraits Of Jamaican Music (One Shot Plate) [DVD]
 
(1)70年代に45でリリースされたキラー・チューンのB面をコンパイル、今時嬉しい2LP。(2)前作ではDuke Reid音源だったのが今作ではStudio1で。 (3)7月末に初来日を果たした最高に格好良い爺さんのベスト盤。(4)久々に入荷したStudio1の侘び寂びの効いた最高の一枚、レゲエ・ファンのレコ棚には必ず入っている。(5)SkatalitesからBujuまで。ジャマイカの音楽の始まりから、今はどこに向かうのか? フレディーの台詞が印象的。Pod Cast パイレーツ・チョイス毎週日曜アップデート。www.drumandbass-rec.com / www.rock-a-shacka.com♪
 
 
 
REGGAE CD TOP 5
 
●TOWER RECORDS(渋谷)03-3496-3661
1. Elephant Man / Let's Get Physical (VP)
2. Jah Cure / True Reflections...A New Beginning (Vp)
3. Shaggy / Intoxication (Pony Canyon)
4. Mr.Vegas / Hot It Up (Fiveman Army)
5. V.A. / Covers Irie-Reggae Meets R&B/HipHop (Victor)
 
(1)全世界待望のエリーの新作! 象男先生、今回も飛ばします!! 一緒に体動かしてハッスルしましょ♪♪♪(2)本当にお帰りなさい。カリスマ的な存在を裏付ける慈愛に満ちた歌声とリリックがリスナーの心を打ちます☆ (3)今年大復活で何かと話題だった彼のアルバムが満を持して到着。豪華客演もあり、さすがの内容に唸る!(4)コンスタントな人気を誇るヴェガスの新作は現場を沸かせるチューンからミディアム・ナンバーまでバランス良く収録。(5) 毎回良質な胸キュン・カヴァーを聴かせてくれるシリーズ。今回はさらに親しみやすい楽曲多し! ヘヴィロテ必至の1枚。
 
●HMV(渋谷)03-5458-3411
1. Elephant Man / Let's Get Physical (Victor)
2. V.A. / Covers Irie-Reggae Meets R&B/HipHop (Victor)
3. Sean Kingston / Eyes Above Water (Epic)
4. Lyricson / Keep The Faith (Nocturne)
5. V.A. / Ragga Jungle Dubs (Greensleeves)
 
(1)4年振りとなる新作。豪華ゲストに満載のヒット・チューン。溢れ出るエナジー!(2)大人気シリーズ最新作。安定感ある内容は流石。(3)"Stand By Me" ネタのあの曲収録。ブレイク必至!(4)Manu Chao & Radio BembaのDeejayを務めていたBidjのソロ2枚目。あれから5年…遂に開花した才能! 今、イチオシの1枚!(5)90年代に生まれ一世を風靡した "Jungle"。当時のレア音源のみを集めたうれしい1枚。アナログ盤も有ります!
 
 
REGGAE CLUB TOP 5
 
●CLUB JAMAICA(西麻布)03-3407-8844 Selected by Club Jamaica Crew
1. Wayne Wonder / Love (Black Chiney)
2. Jah Cure / To Your Arms of Love (VP)
3. Pressure / Stress (H2O)
4. TImberlee feat. Ward 21 / Bubble Like Soup (Ward 21)
5. Sean Paul / Mama I Love You (Renaissance)
 
(1)良質な歌ものTrkも多く供給していますが、その中でも大ヒットとなったC.Buddzの「Tomorrows Another Day」で自らのプロデュースで新たにリリース!!! Nina Sky、T.O.K.なども良いです!(2)今年のヒット・リディムの一つ、"Guardian Angel" リディムで嬉しい追加リリース! この人今年後半の目玉でしょう!(3)既に至る所でパワー・プレイされている "Blue Tooth" リディム!(4)90年代のスティクリっぽいトラック "Rae"! (5)このレーベルからは初となる歌物リディム!Check It!!!
  
●JADE(札幌)011-520-1015 Selected by Green Peace "Ryota"
1. Cham / Wha Dem Feel Like (Mad House)
2. Pinchers / Rat Ta Ta Ta (Mad House)
3. Assassin / All Who Never (Mad House)
4. Busy Singnal & Munga / No Boy (Don Corleon)
5. Jah Cure / To Your Arms Of Love (VP)
 
(1)〜(3)はリリース毎にヒットを出す天才トラック・メイカーのDave Kelly a.k.a Mad Houseのニュー "Overdrive" リディム。今回は "Joy Ride" の様なリズム・パターンで格好良く仕上がってます。(4)これまたDone Corleonによる "Back Ache" リディムにこの2人のコンボ!! チェックですよ。(5)つい先日9年間にも及ぶ刑務所生活から開放されたJah CureがVPから出したアルバムからのシングル・カット。今年上半期Goodミディアム "Guardian Angel" リディム。これまた◎
 
●CLUB I to I(大阪)06-6252-4201 Selected by Killasan Movement "Ten-Shin"
1. Busy Signal & Munga / No Boy (Don Corleon)
2. Mr.Vegas / Gangsta Confession (Pure Music)
3. Busy Signal / The Days (Daseca)
4. Jah Cure / To Your Arms Of Love (VP)
5. Pressure / Be Free (Don Corleon)
 
(1)今月もまたDonからのニュー "Back Ache"。Busy & Mungaのこのチューンに限りテイクが違うところがGood!! (2) "Gangsta Player" Trk。最近ハズレなしのMr.VegasをPick Up。最初のコーラスからやばい。(3)先週も書きましたが、Mungaの「Take My Place」とJAではセットでプレイ。(4) "Gaurdian Angel" Trkの後発。やっと出てきたこの人。今後の活動に期待。(5)Donからもう1枚。Pressuerがやばい。コンシャス・メッセージ・チューン。この人、要チェック!
 
 
HIPHOP 12
 
●CISCO(渋谷)03-3462-0366
1. Fingazz / The Late Night Hype E.P. (Streetlight Music)
2. DJ Quietstorm+4ce Finger / Japanese Alien Human Being (中目黒薬局)
3. Will I Am / I Got It From My Mama (Interscope)
4. Swizz Beatz / Top Down (Full Surface)
5. Twigy / Teezo Weezo Jazz Mix (Rush! Production)
 
(1)アルバム『The Late Night Hype』からのEPカット! トーク・ボックス炸裂のサマー・アンセム!(2)本物思考で聴く者を魅了する4ce Fingerのデビュー・アルバム。プロデュースは、全てDJ Quietstorm!(3)疾走感たっぷりのフロア・アンセム。"PiterPiper" 同ネタ使い!(4)電波でかかりまくってるSwizzのニュー・Sh*t!(5)Twigyによる甘〜いジャズ・ミックスCD。同発のR&Bミックスもレコメンド! 
 
●Dance Music Record(渋谷)03-3477-1556
1. DJ Drez / The Road Remix EP (Say It Loud / DMR)
2. Seiji feat. MC Dolores / Funk Mundial #4 (Man Recordings)
3. Prefuse 73 / The Class Of 73 Bells (Warp)
4. DJ Elected / Rooty Potato (Sirkus)
5. Scottie B / Money Lotion Vol. 3 (Money Studies)
 
(1) 民族音楽をうまく取り入れた「Jahta Beat」の中でも、人気の「The Road」がDMRの熱いオファーによりシングル・カット! しかもエクスクルーシヴ・リミックス入り!(2)ブリブリのブロークン・ビーツにポル語ラップが映える!(3)天才Scott Herrenの最新作より先行シングル!(4)インダストリアル・ダンスホール的なオケにRoots Manuvaのラップをマッシュ・アップ。(5)ボルチモア・リミックスを5曲収録。最高!
 
 
HIPHOP LP TOP 5
 
●MANHATTAN RECORDS WEST(心斎橋)06-6258-2202
1. T.I. / T.I. vs T.I.P. (Atlantic)
2. Common / Finding Forever (Geffen)
3. Rihanna / Good Girl Gone Bad (Def Jam)
4. T-Pain / Epiphany (Jive)
5. R.Kelly / Double Up (Jive)
 
(1)Jay-ZからKingを引き継いだT.I.のモンスター・アルバム。コレ聴かなきゃマズイです。(2)そしてコレも! キング・オブ・シャイ・タウン、Kanye Westとガッチリ組んだ珠玉の一枚。(3)Jay-Zとの「Umbrella」がビルボードでやたら上位独占。(4)今のとこCDのみですが、使えるLPサンプラーが出てます。DJは是非。(5)これもCDオンリー!? と思いきや、未発表曲含む8曲とInst付きのKey Cutsプロモありました!
 
 
R&B TOP 5
 
●DISK UNION ONLINE SHOP hiphop@diskunion.co.jp
1. Angie Stone / Baby (Stax)
2. Candy Hill / Juicy (Universal)
3. Range feat. Ja Rule / Wait Until Tonight (Chocolate Factory)
4. Chaka Khan feat. Mary J. Blige/ Disrespectful (Sony)
5. Kelly Rowland feat. Snoop Dogg / Ghetto (Columbia)
 
(1)ゆったりしたヴォーカルとうねるベースラインが気持ち良し。彼女の現在の充実ぶりがわってくる様です。アルバムも期待大。(2)19歳女子三人組。一人がラティーノ・ラッパーってのが現代風。アイドルにしては年長なせいか、余裕のミッドで姉さん風。(3)ド派手なトラックに無機質なヴォーカル。Ashantiの男版。Jaも必死です。(4)タイトルとは裏腹に、彼女の長いキャリアに敬意を払ったかのようなトラックが見事。Maryもぴったり。(5)スペイシー。寝苦しい夜のお供に。 
 
HOUSE TOP 5
 
●CISCO ONLINE SHOP info@cisco-records.co.jp
1. Daishi Dance / The P.I.A.N.O. Set (Apt.)
2. Axwell / I Found You (Japan Mafia)
3. FreeTEMPO / Melody EP (Clear Sound)
4. Axwell & Sebastian Ingrosso vs Salem Al Fakir / It's True (Axtone)
5. Soul Central / Strings Of Life "Dirty House Collective Remix" (Dirty House Collective)
 
(1)1stアルバムがリリース!(2)Daishi Danceに、世界的ヒットのデビュー曲「That Piano Track」を手掛けたMitomi Tokotoが、日本限定盤でエクスクルーシヴRmxを提供。(3)ロングセラー中の最新アルバムから限定アナログ・カット第2弾。目玉は今話題のユニット、元気ロケッツのRmx!! (4)明け方アンセムなモンスター・チューン。盛り上がる事必至!(5)未だに高い人気を誇るこの曲の "Dirty House Collective Remix" と題したエレクトロ・プログレッシブ・ヴァージョンが片面プレスで遂に登場! 
 
ABSTRACT TOP 5
 
●DISC SHOP ZERO(世田谷)03-5432-6129
1. Henry & Louis / Increments (2King)
2. Sledgehead Bristol / Sunshine Brown (Sledgehead Bristol)
3. The Moonflowers / Across Albion with Drummy Green (Angel's Egg)
4. V.A. / Best Seven Selections 2 (Best Seven)
5. Nu-Doh / OYM Smecary (2nd Roots Records)
 
(1)初期作も含むブリストル・ルーツ重鎮自主新作!(2)Rob Smithの相方Ray Mighty (Smith & Mighty) のカムバック12"!(3)自称“Bob Marley & The Wailersの元メンバー”Drummy Greenが参加したレア・ライヴ音源。(4)Dubとの融合をテーマにする人気コンピ。4年振りの第2弾!(5)沖縄で活動するNu-Doh待望の12"。RmxにDJ Sahib a.k.a. Yama (Jazzbrothers)をFeat.。 
www.discshopzero.com 下北沢駅南口徒歩2分 通販可

ISLAND EXPRESS from No.294


Hot So
Text by Reiko NAGASE SMITH(協力:アイランドツアー)
 
トピックづくめなこの夏、Everything Sort Out。Hot So。
まずはジャー・キュア、フリー!のニュース。2007年7月28日、出所したその足で、キングストンのヒルトン・ホテルにて、ママ・キュアと仲良く並んで記者会見。レイプ罪と銃器不法所持で、8年と3ヶ月にも及ぶ投獄生活からの帰還。その後、地元モンティゴ・ベイを中心に凱旋。ジャー・キュア不在の間も「ジャー・キュア・バースデー・バッシュ」を5年間続けたコミュニティ、「パラダイス・ロウ」にリスペクトを表する。タイムリーなアルバム・リリースに、各地でインタヴュー攻勢、ステージ・ショウと、Sticky Out Deh! 「キュア・フェスト」は10月12日〜14日、オラカベッサのジェームスボンド・ビーチと、オチョリオスのルインズにて。
 
15周年を迎えた「レッドストライプ・レゲエ・サンフェス」、ビッグにSell Off。
しばらく病気で休養していたヴェガス、闘病生活を強いられていたとは思えないパワフルなステージで、ファンを安心させた。そして、DJタイガーが、ついにこのサンフェスで蘇えりステージ。
 
オン・ステージでもオフ・ステージでも、サンフェス一番の話題を提供したのがビーニ・マン。ビーニとコンビネーションをリリースした新人シンガーのバービーを、ドクター・ビーニ、ところ構わずカメラも気にせずの、サンフェス会場ラヴラヴぶり。露出の多いビーニ。ボウンティ・キラーからの略奪婚、去年のサンフェスの、お腹の大きかったD'Angelとのラヴラヴ・ステージ、豪華オール・ホワイト結婚式、息子マルコディーンの誕生、D'Angelのバースデー・バッシュでセレブ・カップルぶりを見せつけた矢先に夫婦喧嘩スキャンダル、で、今回のバービー・スキャンダル。スター紙のトップ・ページを毎日飾り、そのまま国民的実況生ソープ・オペラ。アイリーFMの取材に答えたドクター、ビーニ・マン、D'AngelのNYでの不貞を発言。それまで無関心を装っていたD'Angelもこれには切れて、同アイリーFMの別番組に電話出演し、不貞説を否定、遂に破局を告白。ビーニ・マンの家庭内暴力まで暴露した。渦中のバービーはビーニとの仲を否定、けどキング・オブ・ダンスホールのオールド・ドッグなイメージは濃く、今後のD'Angelの動きに皆が注目。
 

キングストンやモベイばかりでなく、島中でビッグ・ダンスやショウが続く。「フリー・ローデッド」ではボウンティ・キラーが出なかったり、ケイプルトンのショウ、「セントメアリー・ミー・コム・フロム」ではノリス・マンとシズラがステージ上で口喧嘩となる、ネガティヴな小騒動シーンも。
 
相変わらず警察沙汰事件に関与の噂が絶えないマヴァド。フッタ・ハイプが銃器不法所持で逮捕。ムンガ、自称「ギャングスタ・ラス」、ラスタとしてのアーティストのアピールの仕方やそのリリックが、一部のラスタファリアンから反感を買い、問題視されている。ビーニ・マン、シズラ、ケイプルトン、ブジュ・バントンが、アンチ・ゲイ(反同性愛主義)チューンを歌わないという趣旨の協定にサインした。が、その後ビーニ・マンは、この協定にサインした事には否定的だとステージで問題発言をしている。
 
モンティゴ・ベイの「ダンスホール・クイーン・コンテスト」は、カナダ出身26歳の白人女性、モモことMaude 'MoMo' Francatoが、ダンスホール・クイーン2K7を獲得し、Junkoに次ぐ外国人ダンスホール・クイーンの誕生。次点は地元モンティゴ・ベイ出身のケーディアン、アメリカ出身のレディー・リナが3位、という結果。ベスト5にはベルギー出身のポーラと、ジャマイカのナーディアが入った。日本人挑戦者の入賞は、残念ながら今年はなかったものの、Uno Large。外国人モモがダンスホール・クイーンを勝ちとった事で、怒った地元のサポーターが、ステージに投げたボトルの雨で、ショウは暴動さながらにジ・エンド。ダンス・コンテストは他にも、「ワールド・ダンス・チャンピオンシップ」がBuss。独立記念日の週末に行われたジャマイカ政府の粋なこころみで、優勝はMOBスクワド。

テレビは視聴者参加型スター誕生的番組が多く、ダンサー版の「ダンシング・ダイナマイト」が人気。マンネリぎみの「ライジング・スター」より今年はダンス系、前出の「ワールド・ダンス・チャンピオンシップ」がBiggest Tingだった。
 世界で初めて、たった一人で世界一周飛行を果たしたジャマイカ人飛行士、バリントン・アーヴィン・ジュニアが、モンティゴベイに帰還。若干23歳という最年少で初の黒人で成し遂げたアーヴィンは、100m走世界最速記録保持者アサファと共に、ジャマイカのヒーロー的存在に。
  
という事で、次は世界陸上。8月27日は遂に、ジャマイカ総選挙の日。Gwaan Do Unu Ting!

RECORDS & TAPES from No.294

Review by TAKASHI FUTATSUGI
 
MIX CD
 
1. MC Moggy From The 9 Far East / DJ George Most Focus On MC Moggy "Katrina" (Focus)
大阪発のダイナミック・デュオ=The 9 Far Eastの片割として、又パーティMCとして各地を揺らしまくっているMC Moggy a.k.a. キラニアのソロ名義としては初のストリート・アルバム。昨年暮発売のJazzy Blaze盤同様、FocusのDJ Georgeがド派手なターンテーブル・ミックスを施したベスト的な本作は、発声の良さも生きた“ワイルドでナスティなフロウ”(レゲエ・ファンもイケる!)を最大限に楽しめるよう丁寧に作られた印象。主役の所属するNite Men、Hi-A+Productionらによるビーツも多彩。
 
ALBUM
 
2. Swizz Beatz / One Man Band Man (Motown)
再びトップ・プロデューサーの座に返り咲いたスウィズ・ビーツの通算2作目となるソロ作が到着。と言っても今回はプロデューサー=スウィズではなく、ラッパー=スウィズとして勝負をかけているようで、弟分のネオ・ザ・マトリックスやノッツ、ニードルズといった信頼しているトラック・メイカー陣の制作曲が大半で、当の本人はこれまでのフィーチュアリング曲で披露していたようなお祭り系ラップ中心に、テンポ良い“パーティMC”を聴かせてくれる。ボンサグ、帰ってきたキャシディらと共に自らの城フルサーフィスを更に盛り上げられるか?見モノである。
  
3. Yung Joc / Hustlenomics (Atlantic)
来日公演での生モーター・サイクル・ダンスも記憶に新しいA-タウン・ヤング・ヒーローが早くも2ndをドロップ。事実上ディディを始め、只今ブレイク中のゴリラ・ズー(レーベル・メイトとなるBoyz 'N' Da Hoodの一員)にバン・B、トリック・ダディ、リック・ロス、スヌープ・ドッグ、ザ・ゲーム、ジム・ジョーンズ、と全米各地の強者たちを迎えた本作は、タイトル通り“成り上がり感”の磐石の内容となっている。そのストリート・スマートぶりが全開になったラップ・ワールドは聴く程にクセになる。
 
4. UGK / UGK : Underground Kingz (BMG)
ヒューストンを代表する、いやサウス・シーンそのものを代表するキャリアと実力を持つアイアン・タッグ=UGKの約6年ぶりとなる6作目が遂に…。ピンプ・Cの服役中にもソロでゲスロで、と引く手数多だった、誰もが一目置く存在なだけに久々感はない。が、この密度の濃さ(2枚組)は普通じゃない。NWAやトゥー・ショートのリメイク物を含め、そして自ら名乗りを上げたような(?)ゲストやプロデューサー陣を含め、今のところ2007年最大級の祭り、なのでは? それにしてもこの強烈なFunk感は何だ。しかも泣ける(=ブルージー)ときた!
 
5. Remy Ma / The Bx Files (Sure Shot)
テラー・スクワッドを脱退したフィーメイル・ラッパーが放つ事実上の2ndアルバム。マーダー・ムック、T-レックスとマイクを回すロン・ブロウズ名義曲「Tek 9」や、ジェイ・ミルズ、メイノーらとの共演曲も含まれている為、ストリート・アルバム的な趣向は当然強い。だが、よりハードな本来の路線への回帰を語っていただけにタフな“ブロンクスター”ぶりがストレートに出た本作は我が意を得たり!という所なのだろう。ヒート・メイカーズらが提供したビートを含め、このガラの悪さはちょっと他では聴けないくらい。ナメてかかると火傷しますよ…。
 
6. 2Pac / Numixx Klazzics Vol.2 (Evolution: Duets & Remixes) (Koch / Victor)
今年の命日(9/13)には、ここ日本でも4タイトルのコレクション・アルバム等がリリースされるのだが、中でも目玉の1枚となるのが“デス・ロウ”時代の名曲をリミックスしたあの『Numixx Klazzics』の第2弾となる本作。前回はサウンド面の全てをハウス・バンド=ロウ・ヒッターズが請負っていたのだが、今回はジミ・ケンドリックス+J・マスのストリート・レディオやイル・ウィル・フルトン、イル・マインドらが原曲のイメージを壊さぬよう(?)アレンジし、そこに“デュエット希望”のファン・アーティストたちが乗っかる、というサブ・タイトル通りの内容。これなら熱心なファンもOKだろう。
 
7. Camp Lo / Black Hollywood (Good Hands)
『Uptown Saturday Night』('97)という色んな意味で眩しスギるデビュー作の壁を中々越えられずにいたキャンプ・ローだが、同作のキーマンだったスキー(・ビーツ)を再々プロデューサーに迎えたこの3rdは中々、調子いい。スキーとのリユニオンと言ってもその全てがあの頃のままである苦もないが、ブラックスプロイテーション・ムーヴィばりのアート・ワークから受け止められる期待感通りの(?)、クロいアルバムに仕上がっている。オールドスクール・リバイバル的な雰囲気もそこそこに、相変わらずネタ使いの冴えてるトラックと軽妙そのものの2MCに舌鼓を打ちたいトコロ。
 
8. Muro & Zoro / East River Park (Toy's Factory)
King Of Diggin'ことMuroのキャリア初のインスト・ブレイク・ビーツ・アルバムが完成。タイトル通りNYCに思いを馳せた“あの頃”のサウンドを甦らせた珠玉のブレイクの数々に、アート・ワークを担当した『ワイルド・スタイル』のZeroことリー・キニョネスも「思わず興奮したよ!」と熱っぽくコメント。ヒップ・ホップが生んだブレイク・ビーツという概念がそのルーツとかけ離れたところで一人歩きしている今だからこそ、改めて世に問いたかった、と語るMuroの妥協なきパーフェクト・ビーツ地獄に涙せよ。
 
9. 童子-T / One Mic (Universal)
“言葉ハジくプロ”童子兄さんの3枚目のオリジナル・アルバムは、正にキャリアの頂点となる豪華かつ意味深い1枚に。例のシングル3連発「Don't Stop」→「悲しみにさよなら」→「One Love」は勿論のこと、それらの曲とタメを張る隠し玉もザックザク。Buzzer BeatsのトラックでVerbal、Little、Kohei Japan、青山テルマとリレーする曲や、Zeebraとの久々のタッグ曲、加藤ミリヤ、安良城紅をそれぞれFeat.した曲に、Mummy-D、Jujuとの新名曲、更には「続少年A」まで…。1本のマイクに想いを託してここまできた童子-Tの真価がここにある。
 
10. Mellow Yellow / 大全集 (File)
94年の結成以来、マイペースに活動を続け、現在の編成に落ち着いた彼らの足跡を辿る“大全集”。古くからのファンは「V.S.O.P part2」「食わず嫌いRemix」「農業革命」のCD化が嬉しいトコロだし、2枚組のボリュームだけに普通なら落とされそうなところまでが網羅されていて、その上、ブランニューとなる「Top Rock」(カッコいい!)も入っているので一見さんもすんなり楽しめる仕掛けに。Kohei JapanとK.I.Nの進化を耳で追うも良し、途中参加のDJ IS'S'が馴染みゆく姿を確認するも良し。UJTのイラスト入りブックレットも付いてるとか!
 
11. DJ Quietstorm & 4CE Finger / Japanese Alien Human Being (中目黒薬局レコーディングス)
中目黒薬局=DJ QuietstormのサイドMCとして知られる“シャープな言葉と、イカしたフロウの持ち主”4ce Finger(元Limbic System)。彼の“初音盤”は勿論、Quietstormのトータル・プロデュースによるTightな仲だからこそのVibes高い仕上がりに。同郷=北海道よりI.N.I(Mic Jack Production)や、東京のT.H.C Crewに、Killer Bong + JubeからなるThe Lefty、横浜のGYP-C(Socona-C)、西のMili(瘋癲)と駆けつけた面子もイチイチ強力だが主役の器のデカさに驚かされるFreshな1枚。
   
12. 剣桃太郎 / Xカリバー (Kix)
妄走族より“最後の核爆弾”こと剣桃太郎の初ソロが…。流れ者(アウトロー)を地でゆく彼のライヴそのままの熱量が篭った内容であるのは確かだが、妄 作品でも垣間見られた“ストーリー・テラー”としての魅力も格別だ。特にMista Smithとの掛け合いが面白い“13階段でのフリー・スタイル”の体の「死刑執行0:01」が凄い(←聴いたことがないタイプの曲)。妄 の面々や、G.K. Maryan、D.O、Rino、Twigyらとの絡みも嬉しい、エクスカリバー級の重要作。

PLAY IT LOUD from No.293

TRUE REFLECTION / JAH CURE
[VP / VP1782]
8年の獄中生活からついに解き放たれたメモリアル盤にして珠玉の傑作選。業界において投獄アーティストは珍しくはない中、なぜ彼が熱烈に支持され続けたのか、この作品を聴けば納得至極のはず。ラスタマンのメッセージが迷走している中、一貫して「愛こそが全ての答えだ」と訴えるキュア。切実な愛歌のほか「Same Way」「Jamaica」のチル・アウト系も最高。今年29歳、これからに期待大です。[輸入盤](遠井なつき)
 
DOS / CULVER CITY DUB COLLECTIVE
[EVERLOVING / EYE17]
ジャック・ジョンソンのバンドでドラムを担当するアダム・トポルのリーダー作。既存の枠に収まりきらない引き出しの豊富さが、あらゆる音とリズムによって開眼。ジャズやブラジル音楽の要素も見え隠れ、これは思考のダブ・ミュージックですね。タメが随所に効いていて粘っこい。サーフ系の形容を取っ払ってみましょう。一般的にはロック? カツオ・コーナーでは120%レゲエのお薦め作品です。[輸入盤](磯野カツオ)
  
INTO THE DOJO / THE BLACK SEEDS
[BEST SEVEN / SBCD 008]
ファット・フレディズドロップと同じニュージーランド出身のこのバンド。幻想のダブ・サウンドをイメージさせる部分は共通している。マイナー調のメロディは皆無、むしろソフトで入り易い。但しそこが彼らの思うつぼだ。ファルセット・ヴォイスに酔いしれている間に、心の奥までダイナミックな演奏が染み込んでくる。UKソウルに近い感覚、しなやかで艶がある、されどラヴァーズとは違う新たなレゲエ。[輸入盤](磯野カツオ)
 
GROUNDED / JAHCOSTIX & DUBIOS NEIGHBOURHOOD
[FOUR MUSIC / FORJ-88812]
ドイツ出身の彼。ライヴで相当鍛えてきた事が伺える飾りのないダイレクトな作品。無駄を省き、音数も少ない、故に隙間が調度いいスペース。息のぴったりあった生バンド、最近増えています。ルーツ・タイプの楽曲がメインで演奏され、私が好むアコースティック・チューンは4曲収録と嬉しい限り。高揚しながら涼しくもなれる芝生から土から海まで喜ぶ音楽。さすがMontreux Jazz Festivalの出演者。[輸入盤](磯野カツオ)
 
ホット・イット・アップ/ミスター・ヴェガス
[FAEC/POCE-15511]
美メロな「Do You Know」が現在、ここ日本でも大ヒット中のシングジェイ、ミスター・ヴェガスのニュー・アルバム。思えば「Heads High」の大ヒットが97年だったから、10年間、ずっと走り続けていることになる。本作からは先の「Do You Know」以外にも「Tek Weh Yuh Self」「Hot Wuk」「Raging Bull」などダンスの現場を熱くしてくれるチューンが満載。日本盤にはボーナス・トラックの他、映像も付く。(大場俊明)
  
アイズ・アバヴ・ウォーター/ショーン・キングストン
[ソニー/EICP-829]
レゲエ(JA)生/ラップ(米)育ち。「スタンド・バイ・ミー」のフックまんま使いで、世界をノックした「ビューティフル・ガールズ」を筆頭に(母の投獄というタフな経験を踏まえつつ)、ティーンらしく青っぽいジューシーな魅力でマスにアピールする、レゲエ遊びを入れた軽妙ポップ・チューン満載。暑い季節に中毒(ハマ)る、ヒンヤリ甘い一品だ。ちなみに祖父J・ルビー、叔父がブジュ、の血筋はあくまで事実史。(遠井なつき)
 
ザ・プレッシャー・イズ・オン/プレッシャー
[ダイアモンド・エッジ/DECD005]
ジャマイカの東、プエルトリコの更に東側に位置するヴァージン諸島出身のシングジェイ・アーティストのファースト。元々はスターライオン・ファミリーというグループで活躍していたそうだが、05年から本格的にソロで活動をスタート、本作のリリースへと漕ぎ着けたようだ。アトランタ〜マイアミの制作陣がバックをサポートするが、音は実にしっかりした作りだし、プレッシャーの生真面目で真摯な歌声も魅力的だ。(大場俊明)
 
ダブ・ユー・クレイジー!!2007/マッド・プロフェッサー
[ビクター/VICP-63876]
“教授”と聞いて『Riddim』読者ならば思い浮かぶのはやはり、このマッド教授だろう。そのマッド教授があの名物ダブ・シリーズの続編と言えるニュー・シリーズを抱えて久々に教壇に登場。錚々たるアーティスト達を素材に余裕すら感じられる貫禄のダブ・ミックスは流石。そして、一人立ちしたばかりの息子、ジョー・アリワとのダブ対決が聴けるのもお楽しみの一つ。この異常な気候にピッタリなクレイジー具合。(長友浩之)
 
ライヴ・アズ・ワン/ザイオン・トレイン
[ZETTAI-MU/ZTM-004]
ルーツ&カルチャーをマインドにもちながら、レイヴ〜クラブ・ミュージックにも積極的にアプローチしたサウンドが幅広い人気を得ている15年選手の9作目。打ち込みのみが持つパワーと生演奏のみが持つパワーが彼らのコンセプト同様に見事なユニティを生み出し、豪華ヴォーカリストのメッセージと相乗しポジティヴな空気に満ちている。来日時に訪れた広島にインスパイアされたという「Hibaku-sya Song」が印象的。(飯島直樹)
 
ソウル・ダブ・モンスター/ザ・ケイブマンズ
[KSR/KCCD-278]
スピナ・ビルと共に活動していたザ・ケイブマンズが彼と袂を分かち、新たにヴォーカリストKeenをメンバーに迎え再出発。元々演奏に定評があったし、アレンジ面でも彼らが牽引していたようなのでサウンド面は全く問題がない。新メンバーのKeenは前任者とはタイプが異なり、どちらかと言えば透き通った声が魅力で、既にしっかりとバンドに馴染んでいる。5曲で判断すべきか分らないが、未来は明るいはず。(大場俊明)
 
プレイ・フォー・ア・ハッピー・ライフ/ザ・ジャポニカンズ
[ファイル/FRCD-164]
スイッチを押した瞬間、男女のツイン・ヴォーカルの絡みと南部ソウル的なリズム&アレンジの曲が飛び出し、「僕らはこんな感じさ」と強烈にアピールするザ・ジャポニカンズのセカンド。歌も演奏も決して上手いとは言えないが、とくかく楽しそうに歌い演奏しているところがいい。「恋い焦がれ」や「送り詩」といったじっくり聴かせる曲も地に足がついてきたし、まだまだ成長するんじゃないだろうか、と思えるバンドだ。(大場俊明)
 
V.I.P インターナショナル・レコーズ・グレーテスト・ヒッツ/V.A.
[コロムビア/COCP-34486-7]
1992年。ランキン・タクシーやナーキといった先人達はいたものの、バンド、レーベル、サウンド・システムを所有し、更にプロダクション機能まであるという、アーティストにも聴衆にもレゲエの場を提供していたクルーはまだ他に存在していなかったと思う。それだけでV.I.Pの功績を讃えるべき。本作は彼らの15年に渡る活動の集大成とも言える音源集(2枚組39曲)。日本のダンスホールの歴史を俯瞰できる。(大場俊明)
 
HEMO+MOOFIRE プレゼンツ・ソカ・グレイテスト・ヒッツ/V.A.
[ビクター/VICL-62353]
ダンスホール・ファンにいち早くソカの魅力を伝えようと様々な活動をしてきたHemo+Moofire監修によるタイトル通りのソカのヒット曲集。Minmiが「ソカ・モナーク」で熱狂の渦を作った「Sha Na Na」やAkonの「Don't Matter」のカリプソ・ミックスなど馴染みの深い曲を交えつつもコアなアーティストの現地ヒット曲を大量投下。コアと言ってももちろん、腰にグッとくるアッパーな曲ばかりなので、踊れます。(大場俊明)
 
プラネット・アース/プリンス
[ソニー/SICP-1515]
1年ぶりの新作。世は80'sリヴァイバル、シーンがこぞって彼へのリスペクトを表明する中、当の本人は相変わらずロック、ジャズ、ファンク、ヒップホップを悠々と跨りつつ、自分印のポップ道を展開。ウェンディ&リサが久々にジョイントするといったトピックはあるものの、アルバムの作りにおいては、特に過去を振り返ることもなく“今”を表現しきって、何度目かの全盛期を彩っている。流石の貫禄作なり!(石澤伸行)
 
ゴー/マリオ
[BMG/BVCP-24106]
2年半ぶりの3作目。前作で既に大きな成長をお披露目済みの彼だが、本作では早くもリーダー性を実装した!?…そう思わせるほどに、ここでの“ナヨりヴォーカル”は現行シーンへの影響力の大きさを実感させる。音作りの面でも、ネプチューンズ、ティンバ、スターゲイト、ニーヨといった大御所は勿論、ポロウ・ダ・ドン、ロン・フィームスターら気鋭の巧みが光り、結果、全編がR&B的旨みで溢れ返っている。(石澤伸行)
 
リアル・ガール/ムーチャ・ブエナ
[ユニバーサル/UICI-9017]
UKの人気ガール・グループ:シュガーベイブスに在籍していたシンガーによるソロ・デビュー作。レニー・クラヴィッツ曲を全編に敷いた胸キュン・タイトル曲がヘビロテ中の彼女だが、アルバムではジャンルレスに表情を変えるサウンド・プロダクション群に囲まれてなお、時にモニカを思わせるヴォーカルの存在感できっちり聴かせる。ジョージ・マイケル、エイミー・ワインハウスらUKなゲスト勢も華を添える。(石澤伸行)
 
スーパー・ソル・ノヴァ Vol.1/ファミリー・スタンド
[Pヴァイン/PCD-23977]
90年代以降のクラブ・シーンやネオ・ソウル畑を縦横無尽に駆け抜けてきた骨太3人組ユニットによる9年ぶりの新作。全編を熱く貫くサウンドとメッセージは、ロック、ファンク、ヒップホップ、そして時にゴスペル的昂揚感を伴い、そこに今回待望の復活を遂げたサンドラ・セイント・ヴィクター姐の豪快ヴォイスが絡むことで、アルバムの至るところでは黒い溶岩が噴き上がるといった具合。全編が音の沸点!?(石澤伸行)
 
マスターピース/ネイサン
[ヴィレッジ・アゲイン/VAUR-0003]
UKを拠点に活動する19歳の男性シンガーによるデビュー作。先にリリース済みの欧州では、メロウを軸としたヴァリエーション豊かな音楽性が評判となっている模様。ここ数年の男性ヴォーカル界における潮流となりつつある“いいメロとヤワい歌い口”路線をひた走る作りは、確かにニーヨあたりを思わせるが、アップで見せる躍動感やミッド〜スロウで醸し出されるアオさの面では、こちらに軍配が上がるかも。(石澤伸行)
 
マイ・シング/トゥオモ
[Pヴァイン/PCD-23974]
フィンランド出身のキーボディスト兼シンガーによるデビュー作。なにはともあれ、ノーザン風爽快曲「Don't Take It Too Hard」を聴くべしだが、ソウル・ミュージックのポジティヴィティを抽出することにこだわり抜いたかのような手管の連続に、いつしかココロはホンワカに。スティ−ヴィやカーティス、スライあたりが憑依したかと思えば、ゴロゴロとしたレア・グルーヴ流儀が飛び出したりと、息つく暇もない。(石澤伸行)
 
INCREMENTS / HENRY & LOUIS
[2KINGS / INCCD1]
Blue & Redことロブ・スミスとの共同プロデュースによる『タイム・ウィル・テル』オリジナル発売から早6年、ブリストル・ルーツの重鎮による久々の、そして待望のアルバム。1曲ずつオリジナルとダブを交互に挟む正統派なスタイルで進行するストロング・ルーツ集で、彼らの初期音源も嬉しい収録。ダブステップに燃えるブリストルならではの、新旧コネクションを起用したシングルも必聴。[輸入盤](飯島直樹)
 
TURNTABLE SOUL MUSIC / BELLERUCHE
[TRU THOUGHTS / TRU130]
かつてジャズとヒップホップを融合させた作品をメジャー・フィールドにまで浸透させたユニットのひとつ=ポーティスヘッドの再来とレーベルも太鼓判を押す3人組。DJヴァディムがダブに歩み寄った近作に参加していたシンガー、ジャズを愛するギタリスト、ヒップホップを始めそのルーツとなる幅広い元ネタを合わせてくるターンテーブリスト……という各人のルーツにも[P]と相通じるものを感じる作品。[輸入盤](飯島直樹)
 
ウェイティング・イズ・ダブ/クロニック・ソナタ
[ルーディメンツ/RMT-CD005]
カナダ出身の3人組による2作目。同じくブルックリンを拠点にするChimp BeamsメンバーやBastard Jazzレーベルのアーティストも参加、iPodのCMで再評価されたニコデマス周辺と並行する同地下シーンを、ダブをメイン・フィルターにスモーキーかつスタイリッシュに浮き彫りにしたサウンド。ブレイクビーツやダウンビートの裏側にはパンクやロック、そしてレゲエからの影響も窺え、幅広く受け入れられるだろう。(飯島直樹)
 
KALA / M.I.A.
[ベガーズ・ジャパン / WPCD-10029]
まさに衝撃的だったデビュー作から2年で届けられた新作。所謂“第三世界”と呼ばれる地域に単身訪れ、そこで感じ、録音した素材を元にした「ワールド・タウン」がコンセプトという。ファースト・インパクトこそ前作に及ばずながら、ジワジワと身体に入り込む鋭い快作。前作に引き続きのディプロに加え、ティンバランドやスウィッチらがプロデューサーとして参加しているが、全てジャケット通りの彼女流。(飯島直樹)
  
レット・イット・ダブ/タイクーン・トッシュ&クニ・スギモト
[20001/20001-001]
日本のニューウェイヴを確立した中西俊夫がTycoon To$h名義で、元ナチュラル・カラミティのクニ杉本を迎え——と、ここまで読んだだけでグッとくる方の期待を裏切らない“裏切り”が詰め込まれたアルバム。資料の「ビートルズとP.I.L.とリー・ペリーが同居」という本人によるテキスト通りの内容で、60年代のサイケデリック映画のサントラのような、アルバム通して1曲として浸りたい作品に仕上がっている。(飯島直樹)

Assassin / Gully Sit'n

ASSASSIN
GULLY SIT'N
 
Interview by Natsuki Toi / Photo by Hiroto Sakaguchi
 

アサシンの新作『Gully Sit'n』が実に痛快。ドッシリと地に足のついた骨太“ハードコア・ダンスホール”の直球勝負作で硬度・満足度文句なし。最前線のプロデューサー陣によるサウンドは最新ながら、根っこにたっぷりルーツ/ダンスホールの滋養が詰まった、いい意味で実はとても昔カタギなDJだと再認識した来日中のアサシンを直撃。
 
●まず始めに簡単にプロフィールを教えて。
Assassin(以下A): 1982年12月22日生まれ。KingstonのKintyre/Papine育ちでRed Squareには高校卒業後に移った。
 
●「言葉を覚えると同時にDJをしていた」そうですが、幼い頃に好きだったDJは?
A: 3歳くらいの時、つまり最初に影響を受けたのはプロフェッサー・ナッツだね。ユーモアはもちろん、ストーリー・テラーとしても、彼がDJの学校だったよ。
 
●ではさっそくですが、2作目となるニュー・アルバムについて聞かせて下さい。まず『Gully Sit'n』というタイトルは、わたしたち日本人には馴染みのうすい言葉なので、ちょっと説明してもらえますか?
A: Sit'nはパトワのSintingの略語で、英語だとSomethingっていう意味。GullyはGhettoと同意語。つまりGhetto Thing=ゲットーで何が起きてるか、っていうような意味だと思ってくれればいいかな。
 
●PV(クールです)の雰囲気はシャムの「Ghetto Story」を思い起こさせますが、メッセージは全然違いますね?。
A: そう、「あぁ、なんて悲惨なんだ」「政府は何にもやりゃしねぇ」っていう通常の切り口ではなくて、ゲットー・ライフをビゴップしているんだ。オレのガキの頃は貧しさを嘆く、というより毎日が楽しくてたまらなかった。どんなものにしろ、家族が出してくれるメシは最高のごちそうだったしね。そんなゲットー・ライフに誇りを持ってるって曲だ。
 
●現時点(7月)で収録がわかっている2曲についても解説してもらえますか?
A: オーケー。まず「Dem A Sissy」は、(最近ジャマイカで急増中の)女みたいな格好をしている奴らについての曲。ブルーは男、ピンクは女が着るもんだろ。男はいかにして「男になるか」っていう事をオレは軍人の親父に教えられたし、今の若い奴らにも、男になれよって言ってるんだ。
 
●そんなSissy(めめしい)な格好はやめてほしい、と?
A: えーと…まず、アーティストというのは社会や地域をレペゼンしているというのが第一で、自分の個人的な意見はその次なんだ。だから、社会を代表してコメントしてるわけで。けどまぁ、正直、見ていていいもんじゃ…ないな(笑)。男は男らしく、女は女らしく。それは基本だ。
 
●わかりました。では、不吉な凄みのある“Artillery”trk使いの「Don't Make We Hold You」は?
A: これはいわゆるWarning=警告ソングなんだ。例えば、誰かが君のお金を盗んで、逃げたとする。そしたら、そいつに言うんだ「Don't Make We Hold You」。絶対掴まるなよ。つまり、もし掴まったらどんな酷いことになるかわかんねえぞ、っていう意味。結局「悪い事すんなよ」って警告なんだけど、これはジャマイカではよく言われるフレーズで、例えば、何かワルさすると必ず婆ちゃんに言われたよ。「お前そんなことしたら、どうなるかわかってんのかい!」って感じでね。決して逃げちゃえとか、悪事を勧めてるわけではない。
 
●前作から約2年という制作期間、アルバムを出すタイミングというのはどう考えてます?
A: いいタイミングだ。2年というのは色々な事を学ぶのに十分すぎる時間だよ。DJとしてのスキルをあげたのは当然として、その間に母さんを亡くし、そして娘ができた。いろいろなタフな出来事があり、人生を見る目も変わるし、人間としても成長したと思うしね。
 
●最終的に、どんな仕上がりになりそうですか?
A: 今回はとことん「ハードコアなダンスホール・アルバム」を作ることに専念した。ただその中でもヴァリエーションは豊富で、例えばヒップホップとのハイブリッド・スタイルだったり、オールド・スクールのもあれば、デイヴ・ケリーと組んだのはどれも基本のレゲエだし。とにかく、まじりっけ無し、ピュアなダンスホール・アルバムだよ。
 
●ところで、今回は2回目の来日ですが、日本はどうです?
A: すばらしいね。昨日は横浜のクラブに行ったけど、セレクター、ダンサー、客も、みんなまるでジャマイカ人みたいだったな。
 
●ではそんな日本のレゲエ・マッシヴにメッセージをお願いします。
A: そうだね、引き続き音楽を聴き続けてほしい。そうして耳の肥えたリスナーが増えれば、DJやシンガーのレベルも上がるし、もっともっといい曲をお返しできるようになるだろ。そしてオレも、この愛する音楽を通してアーティストとして成長し続けるよ。いつも愛情深いサポートに感謝している。そして、ぜひ、アルバムも買ってくれよ(笑)。
 
"Gully Sit'n"
Assassin

[Victor / VICP-63961]
 

RAW SINGLES from No.294

Raw Singles
Text by Takanori Ishikawa
 
1. QQ / Walk out (Seanizzle)
歯切れの良いビートに華やかでキャッチーなストリングスを絡ませたオリジナル・ジャグリン "Problem" 。当レーベルからのヒット・トラック "Reverse" と系統的には一緒だけど、よりクールな仕上がりの最新型。女子を煽りまくるホット・ギャル・アンセム。
 
2. Beenie Man / Ziggy Zar (Seanizzle)
"Problem" 使用。「ザーザーガ ザーザ ジキジキ ゾウ」の連呼が日本でもウケそうなシンプルな展開。新しい流行言葉をネタにしたリリックス。トレンド・セッターである事もアピールの娯楽作。洗練されたサウンドとピッタリのスキルフルなDJは流石。
 
3. Richie Stephens Feat. Tony Matterhorn & Blacker / Time Of Her Life (Pot Of Gold)
MatterhornのMCから幕を開ける異色コンビネーション。前半はサウンドもRichieの歌も80'sフレイヴァーがプンプン、その後一気にダンサブルに曲調が変化。女性がダンスを楽しんで、人生を謳歌している様子を賛美する内容。元気一杯のポジティヴなリリックスとパワフルなトラックがベスト・マッチ。
 
4. Munga / Whine Pon It (Caspa)
今回もエフェクトをかけまくったヴォーカル・パートがリード。イキの良さが全面に出た快活なDJ。オリジナリティの自然な表出と言いましょうか、ナチュラルな個性ですね。オリジナル・ジャグリン "The Banner" 。セクシャルなギャル・チューン。
 
5. Munga / Blast (Ice Burg)
オリジナル・ジャグリン "Step Off" 。フックの煽情的なシンセが非常に効いています。対応するMungaも燃えるヤング・ラスタの本領発揮。終始力強いDJで吠える、吠える。最高の出来のアグレッシヴなトラックと相まって前のめりになる1曲。
 
6. Sizzla / Buh Bad Mind (Kalashinkou)
すごい名前のニュー・レーベルから。"Sleng Teng" を超変形させたような "Next Level" リズム。オリジナリティあり過ぎの独特なキーボード&打ち込みが斬新。ジャマイカならではです。ハイテンションのBad Mind攻撃歌。
 
7. Busy Signal / The Days (Daseca)
前回紹介したMunga「Take My Place」も良いけど、本作も負けずにヤバい。サグなHip Hopサウンドのクールな迫力でヒタヒタと。抑制された語り口でジャマイカの厳しい現状をリリックスに。子供達の未来を心配せざるを得ない過酷な現状をDJ。
 
8. Rihanna Feat. Vybz Kartel
/ Umbrella Remix (Black Chiney)

オリジナルのWickedなドラムを中心としたサウンドを完全なダンスホールに変身させた美味しい1曲。ビシビシ決まるビートに変幻自在のKartelが絡む。Rihannaの歌がオリジナルより生き生きしている様に聞こえるのも不思議。又違った表情を引き出す事に成功した好リミックスだ。
 
9. Wayne Wonder / L.O.V.E. (Black Chiney)
Collie Buddz「Tomorrow Another Day」と同じトラックを使用したニュー・リリース。U- Roy真似のイントロから進行するスロー&メロウなGoodサウンド。良く動くベースが特徴。私達はお互いに愛を与え合わなくてはという内容をスウィートに歌唱。
 
10. Jah Cure / To Your Arms Of Love (VP)
"Fresh Ear" の "Guardian Angel" を使用。相変わらず絞り出すような歌声で切々と歌うラヴ・ソング。「どれほど君を愛しているか、君なしではいられないんだよ」という心情をストレートにリリックスにした彼らしいチューン。
 
11. Bitty Mclean / Sound Boy Killer (Peckings)
Heptones「Fighting To The Top」(Studio One)のトラックをそのまま使用。Tony Screw大先生(Down Beat)のダブは超カッコイイですよね。「Each Night Before You〜?」のサウンド・チューン。A面収録の「Brother Man」も鳥ハダもので激最高。
 
12. Peter Hunnigale / Mary Jane (Peckings)
超ヴェテランUKシンガー新曲。往年のUKラヴァース全盛期から変わらぬ艶のあるヴォーカルで贈るダブル・ミーニング・ソング。B面収録「Over Come」はDay Dreamingな正調UKラヴァーズ・サウンドで、こっちもバッチリ。
 
13. John Mclean / Loving You (Peckings)
こちらもヴェテラン。少し枯れた歌声でじっくりと聞かすラヴ・ソング。酒脱なメロディ・センスを味わえる渋い1曲。トラックは名ロック・ステディ、Techniquesの「It's You I Love」(Treasure Isle)をそのまま使用。目の付けどころが違いますね。
 
14. Bunny Wailer / Duppy Gun (Solomonic)
何と御大のシングル新譜。良い意味で変わらない人ですね。若々しい歌声で、銃を使ったヴァイオレンスを批判。無意味な殺し合いにアンチを訴えるメッセージ・ソング。オリジナルのトラックもいいっすよ。B面も新曲の「Where Were You」収録。Wailer節が十分に味わえます。

UK REPORT from No.294

Photo & Text by SIMON "MAVERICK" BUCKLAND

Original Buju Banton, Early 1992.
 
Greetings Friends,
 
●レゲエ・ビジネスが、ゆっくりと死期にむかっている事を裏付ける事実が新たに発覚した。“No.1オールディーズ・レーベル”として君臨していたBlood And Fireが活動を停止したのだ。先日、同レーベルのウェブサイトとフォーラムが閉鎖された際には、様々な憶測や噂が飛び交った。「レーベルが活動を休止したのは、噂ではなく事実だ」と同レーベルの代表Steve Barrowはコメントする。彼は1990年代初め、Birminghamにベースを置くSimply Redのマネージメント会社のサポートを得て、Blood And Fireを興した人物だ。「現在のレゲエ・ビジネスの不健康な状態がこのレーベルの活動を停止させたのだ。多額の借金や負債もある。したがってリイシューの計画もない。だが、我々はこのレーベルを買収してくれる会社を探すことも考えている」とBarrowは続けた。Simply RedのヴォーカルMick Hucknellは、以前にレーベルが経営難に陥った時に、救いの手を差しのべていたらしい。しかし、彼でさえもサポートしきれなくなったのだろう。振り返れば、初期のリリースはBunny Leeモノばかりだったり、ジャケット・デザインがガラリと変わったり(レーベル発足当初からパッケージ・デザインを担当していた大手事務所のIntroとの契約を解除)と、徐々に精彩を欠いていった感がある。最近発売されたアルバムの中でも「Satta」と「Fisherman」を使ったワン・リディム・アルバムのように、これといって興味を引くものはなかった。音楽業界に身を置く様々な人間が口をそろえて警告しているように、今は音楽を売る事が非常に困難な状況だ。「シングルをカットしても、すぐにインターネットにアップされ、タダで世界中どこにいてもダウンロードされてしまう。戦う前からすでに負けが決まっているようなものだ。来年にはレコードを作る事自体に意味がなくなるだろう」と、あるプロデューサーは嘆いていた。この原稿執筆時にはBlood And Fireのウェブサイトは復活していた。Steve Barrowは新たなプロジェクトを見つけたらしい。しかし、同レーベルがこれからどのような道を歩むのか、まだ誰も分らないままだ…。
 
●音楽ビジネスの内、“音楽”ではなく“ビジネス”サイドの下落を象徴する事例として、『Ragga』マガジンの清算がある。創刊以来、フランスのレゲエ雑誌として国内の新進アーティストの紹介、ジャマイカやUKシーンのニュース等、クオリティの高い記事を掲載していた雑誌がなくなったのは本当に残念な事だ。ライバル誌『Natty Dread』はジャマイカン・レゲエとジャマイカン・アーティストのUKやUSでの活躍の事しか扱わない。フランス国内のアーティストには全く関心がないのだ。この状況は、国内アーティストの育成にも関わってくる問題だと思う。
 
●僕の友人であり、長い間ジャマイカで共に過ごしたこともあるYasus Afariが久しぶりにアルバムを発表した。彼は1990年代初頭にアーティスト&作詞家としてデビューし、Garnett SilkやTony RebelとともにChristian Souljahsの一員として活躍したのだ。偶然にも、新作の発売とほぼ同時に、Yasusの著作『Overstanding Rastafari』も彼のSenya-Cum社から出版された。彼は文中で、ラスタファリズムの変革と進化の歴史、ラスタファリズムが世界に与えたインパクトの大きさを簡潔に記している。サブタイトルの「ジャマイカから世界への贈りもの」が本の内容を正確に要約していると思う。詳細は彼のサイトwww.yasusafari.comで。
 

Original Buju Banton, Early 1992.Yasus & Muta - Rockers Awards Show, Kingston 1992.
 
●Marleyの子孫とレコード会社のIslandが、Bobの伝説を使用して、また一儲けしているようだ。『Exodus』のデラックス・エディションやUSBメモリー・エディションなど、最近発売されたアイテムをネタにして、マスコミはこぞってMarleyをとりあげている。『Mojo』誌では彼が表紙を飾り、MarleyはThe BeatlesやRolling Stonesと同じくらい偉大であるとか、彼がどのようにレゲエを歌ったか、または、どのような時にマリファナを吸ったか(!)など、意味のない事を延々と紹介しているのだ。BBCでさえも『Exodus』の詳細な曲目解説に加え、アルバム制作時にオンエアされたMarleyのドキュメンタリーを放送している有様だ。このようにマスコミが過剰なほどに彼を称えるものだから、一般の人たちはMarley=レゲエと思いこんでしまうのだろう。いくら彼と同じくらい才能を持ったアーティストが現れてもMarleyのかげに隠れてしまうのだ。
 
●「レゲエ特別考慮(思いやり)誓約書」なるものを、レゲエ・アーティストのヨーロピアン・ツアーを請け負う会社が共同で作ったらしい。これは、一部のアンチ・ホモ・セクシャルを掲げるアーティストのリリック、ならびに言動を抑制するために設けられたものだ。このままだと、人権擁護グループの活動が激化し、レゲエのツアーがUKとヨーロッパ本土で消滅してしまうかもしれないからだ。あまりにも、レゲエ・シンガーがホモ・バッシングに走るので、ホモ・セクシュアル人権擁護グループのリーダーOutrageのPeter Tatchellが、レゲエを“殺人ミュージック”と喩えたほどだ。Beenie Man、Capleton、Sizzlaは、すでにその誓約書にサインしたと伝えられている。彼らは、単にツアーのもたらす経済的な恩恵を受けたいばかりにサインをしたのだが…。しかし、Tatchellによれば、T.O.K.、Elephant Man、Bounty Killer、そしてVybes Kartelらはまだサインをしていないようだ。ちなみに「Boom Bye Bye」で前述の団体から初めて厳しく非難されたレゲエ・アーティストBuju BantonとShabba Ranksはサインをする用意があるようだ。
 Till Next Time, Take Care...
 
(訳/Masaaki Otsuka)

What the deal is from No.294

(U KNOW)What the deal is
 
 よくヨーロッパの人々に、「日本はなぜ一つの政党がずっと政権を握っているんだ?」と聞かれるが、(民主党が居るから必ずしも正しくないけど)確かにそう考えると、おかしな話である。我々はすっかりそれに慣れてしまっているが、ヨーロッパ諸国はまだ社会主義の党や、労働党が存在する。ブルジョアと労働者のバランスは、そうやって保たれているのだろう。しかしながらアメリカの大統領候補の話を聞いていると、日本と変わらない。党が違っても基本的に公約は同じ様な内容。イラク戦争に関して以外は、ほとんどが似たり寄ったりで、誰がなっても何も変わらない。せめて、環境問題に取り組もうと言っている候補も、若い世代へのスタントにしか見えないのは、俺だけ?
 
●今月のジャム
ハーレム・ホップなる公園での野外ジャムが7月31日から、ハーレムはマーカス・ガーヴィ公園で夏いっぱい行われている。“Bボーイ、Bガールの為の野外イヴェント”と銘打たれているだけあり、音楽の内容も70年代、80年代を彷佛させるセレクションで、DJ陣はレッド・アラート、グランドマスター・カズ、スティーヴD、ジャジー・ジェイなどがプレイしている。8月後半まで毎週やっているので、NYに来る予定がある人は、カレンダーに印を?
 
●今月のジャム2
8月6日に毎年行われているマーティン・ルーサー・キング牧師のコンサート・シリーズに今年は、復帰の噂が流れるローリン・ヒルが出演した。既に日本やロンドンでテストを兼ねてコンサートを行っている彼女だが、アメリカでは様々な噂と下馬評が流れ、なかなかその現在の全貌が見えないが、活動休止前と変わらない生真面目なマナーが、現在のヒップホップ・シーンとは微妙なコントラストを描いていた?
 
●今月のジャム3
「Live At BBQ」なるフリー・コンサートがブルックリンはダンボで8月4日に行われた。当初はラージ・プロフェッサー、チャム、クリプス、ミムス、ブランド・ニュビアンというライン・アップだったが、飛び入りでLLクールJ、ロックス、コモンが出演し、炎天下の中、我慢強く参加していたオーディエンスを喜ばせた。ロード・ジャマー抜きのブランド・ニュビアンスのパフォーマンスは、特に圧巻で、警察とのトラブルが続いていたサダトXも、健在とNYのファンにアピールしていた?
 
●今月のジャム3
ニュージャージーはニューアークでもフリー・コンサートがリンカーン・パークで行われた。ホストにエンド・オヴ・ウィーク、ボビートを迎え、EPMD、KG抜きで再結成されたノーティ・バイ・ネイチャー、ロブ・スウィフト、Qバート、デイナ・デーン、キース・マリー、ビズ・マーキー、ラスカス、ソウル・ソニック・フォース(!)、プラネット・エイジア、などが出演。ラヴ・バグ・スタースキーもDJを務め、新旧アーティストの目録みたいなショウの連続だった。メリー・メルの飛び入りもあり、またまた炎天下のオーディエンスも暑さを忘れ、オールド・スクールのビートに揺れていた。一応、NYから締め出されたロック・ステディのアニヴァーサリーの一部と報道されていたのだが、本当?
 
●今月の法廷費用
ストレス・マガジンの編集長を経て、CNNのヒップホップ番などを務めたライターのアラン・ケットが、昨年NY市警の不法な捜査で逮捕されたが、彼の法廷費用を集める目的で、NYのライター達が立ち上がった。「Walls Belong To Us」と銘打たれたこのイヴェントには、フィラデルフィアのライター、コーンブレッド、パート、フューチュラ、ココ144、リー、Tキッド、メア、コープ2、クラッシュ、デイズ、などのそうそうたるメンバーの最近の作品や、過去の作品がブルックリンのパワーハウス・アリーナに展示され、オークションとなった。収益は全てケットの法廷費用、弁護士などの経費に使われるそうだ?
  
沼田 充司
DJ/プロデューサー。 レーベル<ブダフェスト>主宰。 雑誌『ブラスト』でも執筆中。 ニューヨーク在住。 [Photo by Tiger]

Collie Buddz / Come Aroubd

Collie Buddz
Come Aroubd
 
Interview by Minako Ikeshiro
 

昨年、「Come Around」のスマッシュ・ヒットで、シーンに彗星の如く現れたのがレペゼン・バミューダのカリー・バッズだ。セルフ・タイトルのデビュー・アルバムは、正統派のレゲエと他ジャンルのエッセンスをうまく融合させたパワフルな一枚だ。
 
●ニュー・オーリンズ生まれでバミューダ育ちだそうですが、レゲエに触れたのはいつ頃ですか?
カリー・バッズ(以下C):兄の影響で最初に好きになった音楽がレゲエなんだ。子供の頃はジャマイカのサウンド・システムのテープをよく聴いていたよ。俺はキラマンジャロのファンだった。リッキー・チューパーは今でも好きだね。学校の帰りにレコード・ショップにかけつけて入ったばかりのジャロのテープを買ってたな。バウンティー・キラーやビーニ・マンのアルバムもよく聴いていたね。
 
●アルバムのプロモをしつつ、コア・シーンに付いていくのは難しいのでは?
C:レゲエ・マーケットは回転が速いから、乗り遅れないように気をつけている。ジャマイカのアーティストほどはたくさん曲を作れないけど、動向にはいつも気を配っている。
 
●フロリダでエンジニアリングを学んだそうですが、アルバムは自分でミックスしたの?
C:2曲を除いて自分でやった。ブースから出てからボードに向かってミックスして、またブースに戻るんだ。スタジオの中を一人でかけずり回っていたから、いいエクササイズにもなったと思う(笑)。
 
●デビューまでの経緯を教えて下さい。
C:高校を出てから2000年にマイアミに行って、エンジニアの学校に行ったんだ。翌年の11月に卒業して、その後2年がかりでバミューダにスタジオを作って曲作りをしていた。トロントでエンジニアの勉強をしていた兄から仕事のオファーをもらったから、俺も行ったら、紹介してくれるはずの先生がクビになって話がなくなったんだ。バミューダの工事現場で働いて貯めた金が尽きてヤバくなった時にソニーから話が来たんだ。「Movin' On」はその時の苦労を歌った曲だよ。トロントで仕事が見つからなくて、金がなくて米しか食えなかったり、それも尽きて道で持ち物を売ったりしていたんだよね。俺は負けを認めないタイプだから、バミューダに帰って親に金をせびることだけはしたくなかった。
 
●「Tomorrow's Another Day」もメッセージ性が高い曲ですね。
C:トロントでクラブの帰りにストリートで体を売ろうとしている女の子達を見てショックを受けた時に作った曲だ。若くて綺麗な子達が、何でそんなことするんだろうって。その時の思いをブラック・チャイニーが作ったリディムを聞いて思い出したんだ。
 
●アルバム全体のテーマはありますか?
C:全体をカヴァーするような大きいテーマはないよ。それぞれの曲に独立したテーマを持たせるようにはしたけれど。あとはバミューダのスラングを意味が通じる程度に使うことを心がけた。
 
●「Mamacita」でソカを取り入れてますね。
C:ソカはカリブの音楽だから、レプリゼントしようと思ったんだ。俺はソカの大ファンではないけど、アルバムに違うフレーバーを入れたかったし。女の子ウケもいいし。
 
●ケヴィン・リトルの「Turn Me On」に似ていると指摘されませんか?
C:元々、スタジオであれこれ遊んでいるうちに出来た曲で、確かにケヴィン・リトルの曲に似ていたから、ちゃんとパブリッシングの一部を渡すようにクレジットしているよ。
 
●ホーム・スタジオは今でも活用しています?
C:以前はキーボードやMP3を使ってプロダクションに時間をかけていたけど、今はプロモで忙しいから時間を見つけて出来る範囲でやってる、って感じかな。キーボードは結構得意なんだ。4年くらいピアノのレッスンを取っていたしね。俺が音楽好きなのを見て、母さんがやらせてくれたんだけど、トラック作りに役立っているから良かったよ。
 
●今後、組んでみたいプロデューサーは?
C:コクソン・ドッド。なーんてね。スタジオ・ワンのトラックを使った曲は絶対に作りたいと思っている。
 
●「Come Around」はジャマイカでもヒットしましたが、現地での反応はいかがでした?
C:去年の4月に初めて行ったんだけど、クラブのアサイラムで「Come Around」がウケた時はやっぱり嬉しかったな。「Champions inna Action」に出た時は出番が「Sticky」が当たっていたQQの次だったから、みんなじーっと耳を傾けている感じで、正直、ウケたとは言い難い。ボトルを投げられなかっただけ良かったよ。まぁ、洗礼に近い体験だったね(笑)。
 
●ほかの雑誌のインタヴューで「レゲエ・アーティスト同士仲良くすべきだ」と発言していましたが、受け入れられづらい雰囲気があったのでしょうか?
C:いや。別にみんな感じ悪くないし、お互いにリスペクトを持って接していて、ネガティヴな感じを受けたことはない。あの発言は、プロモーションの面でもっとお互いを助け合った方がいいと思って言ったんだ。
 
●バミューダはジャマイカと全然違うんですよね。
C:同じカリブの島だから、気候とか似てるけど違いの方が大きいね。バミューダにも貧富の差はあるけど、キングストンみたいなゲットーはないし。
 
●次の展開は何でしょう?
C:ハーパーズ・デジタルというレーベルを運営しているんだ。アルバムに参加しているローチが所属しているから、もっと力を入れたいね。
  
『Collie Buddz』
Collie Buddz

[Sony / SICP-1572]

Eric Donaldson / Mr.Cherry Oh Baby Vol. 2

ERIC DONALDSON
Mr.Cherry Oh Baby Vol.2
 
Interview & Photo by Shizuo "EC" Ishii / Translate by Ichiro Suganuma
 

前号に引き続き、「Cherry Oh Baby」という世界的に知られるクラシック・ナンバーを持つシンガー、エリック・ドナルドソンが登場。「Cherry Oh Baby」の制作秘話やザ・ローリング・ストーンズとの出会いなど、余り知られていない珍しい話が聞けた。
 
●なぜ1985年以降作られた作品は、ブラジル、ヨーロッパ等でしかリリースされなかったのですか?
E:実は1985年にマイク・ウェルズというイギリスの白人が俺に会いにジャマイカまで来たんだ。俺にアフリカのマーケットに向けて曲を書くように要請してきたんだ。今迄にジンバブエ、南アフリカ、ガーナとかアフリカのあらゆる国で発売されたよ。ジンバブエには行ったよ、コンサートも2回やったかな。南アフリカにも1990年に初めて行ったし。それらに収録された曲は主にアフリカ向けに書いたものだから、ジャマイカで発売する事は最初から考えてなかったんだ。だから今度リリースする『Love & Unity』には、今迄のアフリカ向けの曲の中からジャマイカのマーケットにも合う曲を16曲位選んで入れようと思っているよ。
 
●それらはどこでレコーディングされたものですか?
E:2枚はブラジルに呼ばれて録ったものだ。あとは全てジャマイカで最高のミュージシャンを使ってレコーディングした。スライ&ロビーとかファブ5とかディーン・フレイザーとかね。
 
●1971年に大ヒットした「Cherry Oh Baby」ってどういう意味?
E:チェリー(さくらんぼ)って食べ物、知ってるだろ? でもそこからインスピレーションされた訳じゃないんだ。メロディを口ずさんでいたら、なぜか“Cherry Oh Baby”って言葉が出てきて使ったのさ。 “ラーラーラー Cherry Oh Baby”ってね。
 
●あの声がひっくり返るところも?
E:全て俺だよ。ギター、歌詞、勿論メロディもね。
 
●「Cherry Oh Baby」はメロディが美しいし、アイデアも斬新ですよね。そしてリズム・トラックも斬新で素晴しいけど、誰が手がけたの?
E:インナー・サークルがやったんだ。クレジットされていないが、最初のアルバムは彼らが演奏した。
 
●76年にリリースされたローリング・ストーンズの『Black & Blue』で「Cherry Oh Baby」をカヴァーしてたけど、初めて聴いた時、どう思いましたか?
E:OKさ。俺はその曲をダイナミック・サウンズのために書いたから、ダイナミックがストーンズと契約して、ストーンズがダイナミックに支払い、その後、俺に支払ったって事さ。彼らがジャマイカに来た時、俺も直接会ったよ。『Black & Blue』をやってた時さ(※註:73年作品『山羊の頭のスープ』の録音時と勘違いしていると思われる)。ダイナミックのスタジオで彼らに会ったんだよ。キース・リチャーズだろ? 良く知ってるよ。写真はないけどね。
 
● その時の事を教えて下さい。
E:彼らがダイナミックのスタジオで録音している時に俺もそこにいた。そしたら彼らが「ガンジャを吸いたい」って言うから、俺が持ってきてやって一緒に楽しい時間を過ごしたよ。でも彼らとずっと一緒にスタジオにいた訳じゃないし、ドライヴに行ったり、スポーツをやった訳じゃないよ。ビジネスだったしね。
 
●UB40が83年にリリースしたアルバム『Labour Of Love』でも「Cherry Oh Baby」をカヴァーしてたけど、ビッグ・マネーになったかい?
E:ビッグ・マネーってどの位の事だい? あなたにとって大きな収入は俺にとって少ないかもしれないし、その逆かもしれないしね(笑)。ま、俺は見ての通り何とかやってるよ。他の人がもっとカヴァーしてくれれば、俺は何もしなくても生活できるのにね(笑)。
 
●「Cherry Oh Baby」は人生を変えましたか?
E:そうだね。一番のヒット曲だし、ストーンズやUB40がカヴァーしてくれたから、他のアルバムに比べて一番売れたしね。でも、俺自身を変えた訳じゃない。単に生活水準が変わっただけさ。服や車、家とか物質的な事だ。ま、この曲のお陰で犬よりもましな生活ができるって程度さ(笑)。このCherry Oh Baby Clubもあるしね。
 
●でも、どうして歌声が今もそんなに若いの? 60歳とはとても思えないよ。
E:まあ、そこがエリック・ドナルドソンだ、という事さ(笑)。
 

Derrick Barnett / Me, My Bass & I

DERRICK BARNETT
Me, My Bass & I
 
Interview by Koji Yawata
 

デリック・バーネット——。80年代から90年代に掛けて、ジャマイカを代表するバッキング・バンド、サジタリアスのリーダーとして、イエローマンや数多くのトップ・スター達をサポートし、また幾多のビッグ・ショーで活躍した名ベース・プレイヤー。当時のショーは、一つのバンドをバックに、次々とアーティスト達が登場するやり方が主流で、サジタリアスは、809、ロイド・パークス&ウィー・ザ・ピープル等と共に欠かせない存在だった。「Reggae Super Bash」等で来日もしていたので、サジタリアスの事、そして右肩だけにベースのストラップを引っかけた、独特なスタイルでプレーしていたデリック・バーネットの事を覚えている人も多いだろう。また、デリック・バーネットは「歌えるベーシスト」で、加えて「踊れるベーシスト」でもあった。そんなデリック・バーネットがいるだけで、ステージ全体が華やぐ特別な存在感とオーラを持っていた。時として、「主役」を喰う程に。
 
 そのデリック・バーネットが自身初となるアルバム『Me, My Bass & I』を発表した。早速、ニューヨークに居る本人に話を聞いてみる事にした。

 
「父親がキダリストで、ミュージシャンになる事は自然な事だったんだ。ベースを選んだ理由は、ボリス・ガーディナーだ。14才の時に、彼がベースを弾きながら歌っているのを見て憧れたんだ。高校の時にはバンドを組んでたけど、プロになれたのはマイケル・イブー・クーパーのお陰だ。彼がサード・ワールドを結成する前、まだインナー・サークルに在籍していた時に、よく近所でショーをやっていて、いつも一番前で観ていていて知り合ったんだ。彼が色々と引き合わせてくれて、81年頃かな? 18才でプロになった。うん、その時からサジタリアスだったよ」
 
 「最初からバック・バンドだけを目指していた。色々なアーティストと仕事したかったんだ。イエローマンとは82年に知り合って、84年から95年までは専属として活動したし、彼以外のあらゆるアーティストとも仕事した。歌? 初めは歌うつもりはなかったんだ。TadsとかHawkeyeのレーベルが当時、色々なバンドのメンバーを集めてレコーディングしてて、自分も参加してたんだ。で、アーティストのためにラフのヴォーカルを自分が歌ったら、それが気に入られてリリースされるようになった、って感じなんだよ」
 
「95年かな、イエローマンのツアーを終えて、“Sting”に出た後に、バック・バンドとしての仕事は、もうやり尽くした気分になったんだ。次のステップに進みたくなった。プロデュースの仕事もしてたしね。で、家族もアメリカに居たし、拠点をニューヨークに移して、Double Bassっていう自分のレーベルとスタジオを作った。キマーニ・マーリーとか、色々な作品に携わっているよ。あとステイトメントというバンドも結成して、またショーの仕事もしてるよ」
 
 「一緒に仕事した中で一番のアーティスト? 難しい質問だな(笑)。まずはイエローマン、あとバウンティ・キラーとビーニ・マン。レディ・ソウも挙げておかないと怒られるな。でも、個人的な好みだけで言えば、間違い無く、デニス・ブラウンだ。最高のアーティストで、人間だったよ」
 
 「『Me, My Bass & I』は僕の初めてのアルバムだ。いつも時間が無かったからね。4年位前から作り始めたんだ。ダンスホール、ラヴァーズ、メッセージ・ソングと、これまで自分が経験して来たレゲエの全ての魅力を詰め込んだんだ。自分の歴史を表現したとも言えるね。自分には変な拘りとかは全く無くて、全てのタイプのレゲエが大好きなんだ。歌ったり、DJしたり、インストもあるけど、全部自分だよ。うん、カヴァーも多いね。カヴァー曲は全て好きな曲なんだけど、特にルー・ロウズの“You'll Never Find”は大好きなんだ。あと、“What's Your Sign?”はスカだ。スカタライツを聴いて育っているから、どうしてもスカをやりたくてね。アルバムの中で、特に思い入れの強い曲だ。このアルバムは、世代に関係無く誰にでも楽しめる作品だと思うから、是非皆に聴いて貰いたいね」
 
 「レゲエにおいて、ベースはドラムと共に基本だ。料理で言えば水みたいなもんだ。スカから現在のダンスホールまで、基本はそこにあって変わらないんだよ。ベースのストラップを右肩にしか掛けない理由? うーん、それが一番楽だから。それだけだ(笑)」
 
"Me, My Bass & I"
Derrick Barnett

[Formula / QWCF-10016]
 

The Charm Of Wackie's

The Charm Of Wackie's
 
Text by Takeshi Fujikawa
 

 
NYを拠点に独自のレゲエ・ミュージックを産み出しているワッキーズの80年代半ばの雰囲気を伝える貴重なドキュメント『BULLWACKIE〜ロイド・バーンズとワッキーズの輝き』がDVD化された。音楽評論家、藤川毅氏がワッキーズ、そして本作の魅力を語る。
 
ボクの記憶違いでなければ、この作品は、英国の放送局で放映されるために八十年代半ばに制作されたものだ。今回のDVD化で初めて気づいたのだが、プロデューサーのスペシャル・サンクスにレイ・チェディの名前がある。ロンドンはポートベロの有名レコード店オネスト・ジョンズのレイだ。ボクの記憶も間違いではなさそうだ。
 
この作品は、ワッキーズおよびニューヨークのレゲエ・シーンの紹介的な側面を持ちながらも、ロイド・バーンズ=ブルワッキーその人に焦点を当てたものだ。このDVDでワッキーズを英国に紹介するにあたり大きな役割を果たしているのが、英国で「Good Thing Going」をヒットさせたシュガー・マイノットだ。ワッキーズと縁が深く、英国でヒットを持つシュガーなしにこの企画は存在しなかっただろう。このDVDでは、ロイド自身の証言を通じてニューヨークの地で音楽制作を行うようになった経緯や音楽観が披瀝され、ロイドという一人のジャマイカ人を通じてニューヨークのレゲエだけではなく、レゲエの歴史をも垣間見られると言っても大袈裟ではない。
 
一九六二年に独立したジャマイカ。独立気分は高まったが生活は厳しかった。独立前は英領だったこともあり、多くのジャマイカ人が英国に渡り、英国への入国が厳しくなるとアメリカやカナダへ移る人も多かった。ロイドもその一人。ロイド自身、勉強のため渡米したにもかかわらず、一時帰国した際の政情不安なジャマイカを嫌い、アメリカでの生活を選ぶ。米国初期はディスコ形式で音楽を流していたとDVD内で語っているが、ジャマイカ出身でヒップホップDJの開祖クール・ハークもジャマイカからアメリカに出てきてジャマイカのサウンドシステムに倣ってレコードを回していたというから、ロイドと同様だ。レコードを回すことに特化し続け、新たな文化を生み出したハークに対し、ジャマイカでも音楽ビジネスの経験を持っていたロイドは、レコードを回すだけでは飽きたらず、音楽制作の道へと歩み出す。
 
ジャマイカ人が多数渡った英国と米国におけるレゲエ受容の差異……などと始めると一論文になってしまうが、共通しているのは、「ジャマイカ至上主義」だ。ジャマイカ産のレゲエが一番、英国や米国のレゲエはその次。英米のアーティスト達にとっては、どんなに頑張っても二番煎じのレッテルが貼られる。しかし、だからこそジャマイカ以上にジャマイカらしさを追求した作品もあるし、一方で創意工夫がなされジャマイカ産の作品とは一線を画す素晴らしい作品も生み出された。ワッキーズやUKのレゲエをより高く評価したのが、英国以外のヨーロッパやここ日本のレゲエ・ファンであったのは、けっして偶然ではない。これらの国では、ジャマイカのジャメイカンと、英国や米国のジャメイカンとを区別する必要がなく、色眼鏡で見る必然性がなかったからだ。
 
米国や英国のレゲエ・シーンは、ジャマイカを離れたアーティストやジャマイカを拠点としながらも国際的に活動するアーティスト達の異郷におけるホームとして機能したと同時に、在英米の若い世代のレゲエ・アーティスト育成にも大きな役割を果たした。ワッキーズも、交流拠点であり、学校でもあったわけだ。
 
 
 
マックス・ロメオ、リー・ペリー、ジャッキー・ミットゥ、クライヴ・ハント、シュガー・マイノット、ローン・レンジャー、ホレス・アンディ、ミルトン・ヘンリー……多くのジャマイカで実績のあるアーティスト達がワッキーズで交わり、素晴らしい作品を残した。一方、ワッキーズ・スクールは多くのニューヨークの才能を発掘した。DVDに登場のニューヨーク勢に簡単に触れてみよう。スタジオの場面でクライヴ・ハントらと映るフェビアン・クックやラス・メネリック。来日歴のあるマキシン・ミラー(マキシンの弟、クージーも来日したことがあったことを思い出す)。クラブでラス・クリフトンの歌唱中、ジェリー・ジョンソンが突然サックスを吹き出すのも笑える。ナーキのバックでも有名なジェリー・ハリスがDVD中で歌うその曲は同名アルバムも出ていた。それはワッキーズからのリリースではなかったが、彼は長年ワッキーズを支えた功労者の一人だ。アイトピアでドラムをたたくのは前出のフェビアンで、トニー・アレンがベースを弾いている。DJが少ないワッキーズの中で抜群の存在感を持っているのが来日歴もあり『Mr. Excitement』をワッキーズより出したマイキー・ジャレット……なんて風にあげていくだけで楽しくなってくる。
 
僕が二十数年前に撮影されたワッキーズのドキュメンタリーを観て、自分の友人に再会するかのように楽しめるのは、このワッキーズというレーベルにソニー落合という日本人が関わっていたからだ。落合を通じてワッキーズ音源は日本のレコード会社からもリリースされたし、八十年代半ばにはいると、レゲエ・サンスプラッシュ・ジャパンとして始まったレゲエ・ジャパンスプラッシュの1回目にワッキーズ・リズムフォースというバンドが帯同し、レゲエ・マガジンが創刊されると落合や当時ニューヨークに拠点を移しつつあったナーキ(山口直樹)の手になる原稿や情報によりワッキーズやニューヨークのレゲエ情報が徐々に増えたのだった。八四年のシュガー・マイノットの来日以降、格段に増えた日本でのレゲエ公演において、落合が絡んだジャパンスプラッシュ・ウィンター・コレクション等のイベントを通じ、ニューヨークのレゲエ・シーンは、日本の熱心なレゲエ・ファンの耳に届き、強い印象を残した。
 
だからこそ、このDVDに懐かしさを覚えるのだ。四十男の感傷だけではなく、ニューヨークのレゲエ・シーンを支えたワッキーズの歴史の一断面をこうして音と映像で振り返ることができるのは素直に嬉しい。ブルワッキーの最初期のレーベル名がヴァーサタイルだったように、このDVDで聴ける音はルーツからラヴァーズまでまさにヴァーサタイルだ。八十年代半ばですら入手しやすいものではなかったワッキーズの音源がベイシック・チャネルのおかげで容易に聴けるようになった現在、感傷組も新発見組も今一度ワッキーズの歴史を映像で振り返り、ワッキーズの音に身を任せるのって悪くない楽しみ方だ。
 
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『BULLWACKIE ロイド・バーンズとワッキーズの輝き』
[Nowonmedia / NODJ-00007]



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Soul Rebel 2007

Soul Rebel 2007
 
Text by Naohiro Moro

 

Moomin, Pushim, H-Mam, Home Grown, Rankin Taxi, DJ Bana, Sunset the platinum sound, Jumbo Maatch, Takafin, Boxer Kid, Ryo the Skywalker, Ent Deal League, Rickie-G, Racy Bullet

10月14日(日)、今年も東京・日比谷野外大音楽堂にてジャパニーズ・レゲエ界の先鋭達が総出演する「Soul Rebel」が開催される。今回で8回目を数えるこのビッグ・ダンス、我々はタイトル通りの理念を貫き通してきたのだろうか? 今一度、肝に命じる時かもしれない。
 
 今年も各地でレゲエ・フェスが開催され、多くの観客を動員し、成功を収めている。規模の大小こそあれ、ジャンル限定で、ここまで“鉄板”な成果を得られるのはジャパニーズ・レゲエ以外ないだろう。その生命力にも似たパワーは驚異的ですらあると感じる時がある。そして、ここまでの道程を考えると感慨深い。と同時に、いつまでこれを続けることが出来るのだろうか、などという年寄りじみた想いも浮かんで来る時もある。ま、そんな余計なことは考える必要はないのだろうが。
 
 20世紀最後の年、2000年に第1回目の「Soul Rebel」は開催された。場所は日比谷公園野外音楽堂。国会議事堂にも程近い、この国の中枢機関が集中した官庁街のど真ん中。これまでも多くのバンドが日比谷野音を経て、ステップ・アップを果たしたり、伝説のライヴを繰り広げて来た場所だ。以前、ホーム・グロウンのTanco氏にインタビューをさせてもらった時にも、ホーム・グロウンが急激に頭角を顕し始めた1997年当時、「いつか野音で、日本人レゲエ・アーティストだけでライヴを」という明確なヴィジョンを持っていたという話を聞かせてもらったことがある。日比谷野音は、多くのミュージシャンにとっての最初の到達点として目標とされる地なのである。
 
 00年の第1回目の「Soul Rebel」の開催は、まさにそれを実現させたものだった。3,000人を越える動員は、開催当時の規模として最大。03年の「横浜レゲエ祭」以降、1万人越えは珍しいことでは無くなったが、それでもエポック・メイキングな出来事であったことを記憶している。僕個人の記憶としては愛知県豊橋での野外イベントが、ジャパニーズ・レゲエの野外フェスとしては早くから開催されていたと思うが、それでも東京の空の下で繰り広げた第1回目の「Soul Rebel」は、ジャパニーズ・レゲエが何かを勝ち取った瞬間の様な気がして、思い出深い。
 
 あれから8年。「Soul Rebel」も8回目を迎えることとなった。だからこそ今年は日比谷野音に足を踏み入れた時に、ジャパニーズ・レゲエが何かを勝ち取った(それは僕個人の勝手な思い過ごしなのかも知れないが)、あの時の気持ちを思い起こしてみようと思う。イベントの規模に関わらず、「バビロンの中心で、レゲエを叫ぶ」(古っ!)という精神に立ち返る場所として「Soul Rebel」には機能していて欲しい。
 
 ジャパニーズ・レゲエを取り巻く環境も、刻一刻と変化しつつある。情報量の増加と同時に、その内容の一方的な集中。レゲエだけに限らず音楽ビジネス全体を覆う音楽の記号化。曲のバラ売りとCDの売り上げ低下。あまりにもビジネス・ライクで薄っぺらいキャンペーン。不気味なシステム。安易で心配なく受け入れられる当たり障りの無いリリック。安っぽい共感。涙? 感動? そんな歌謡曲みたいな世界が嫌で、レゲエを作ってきたんじゃ無かったのか? それが何にも代えられないプライドなのでは無かったのか? 音楽と共に強く生きる。音楽と共に粋に生きる。それが「魂の反逆」なんじゃ無かったのか……?
 
 公共の誌面上での過激な妄想の暴走、申し訳ありませんでした。こうした想いはあくまで僕一個人の勝手な考えではあるのだが、第8回目の「Soul Rebel」を迎えるに当たって、僕が思うことと言えば、実際、こんなことなのである。



「Soul Rebel 2007」
2007年10月14日(日) 日比谷野外大音楽堂 
OPEN 14:00 / START 15:00[前売]指定・立見共4,800円(税込)チケットぴあ 0570-02-9999(Pコード:267-127)、ローソンチケット 0570-084-003(Lコード:32764)、イープラスCNプレイガイド 0570-08-9999
[問]HOT STUFF PROMOTION / 03-5720-9999
[Official Site]http://www.overheat.com/soulrebel

 

The Charm Of Wackie's / Mark Ernestus for Basic Channel

The Charm Of Wackie's
Mark Ernestus for Basic Channel
 
Construct by Yasushi Ishibashi / Translate by Ichiro Suganuma
 

ベイシック・チャンネル、リズム&サウンド、そしてワッキーズ再発シリーズの仕掛け人の片割れ、Mark Ernestusが日本に来ているとの情報をキャッチした我々は、急遽電話インタビューを敢行した。さすがマイスターの国、ドイツのレーベルだけあって、そのこだわりを持った一連の再発はワッキーズへの並々ならぬ愛情から産まれていた。
 
●どういったいきさつで、このワッキーズ再発シリーズを始める事になったのですか?
Mark Ernestus(以下M):もともとワッキーズが大好きでレコードを集めていたんだけど、幸運な事にUKワッキーズのレイと昔からの知り合いだったり、1996年か97年にN.Y.でヴィンテージのレゲエのレコードを探している時にロイド・バーンズに出会ったりしたんだ。
 
チョーズン・ブラザーズ名義の未発表曲「マンゴ・ウォーク」のリメイク版「マンゴ・ドライヴ」が、ワッキーズと僕達の最初の仕事かな(注釈:この2曲はリズム&サウンドの第二弾12"シングルとして1998年にリリースされている)。ロイド・バーンズもあの仕事で僕らを信用してくれたと思うし、こっちにはレーベルも配給部門もあって、彼には膨大なバック・カタログがあった。だからこういう流れになったのはとてもナチュラルだったと思う。最初は12"のリイシューを考えてたんだけど、レイが「ラヴ・ジョイズ(のセカンド・アルバム『ラヴァーズ・ロック』)はどうか?」って提案してくれて、そこからは自然と今のラインナップになっていったよ。
 
●これまでにかなりのタイトルを再発されてきましたが、その中でも思い入れのある作品や苦労話があれば聞かせて下さい。
M:沢山ありすぎて言えないよ(笑)。大好きなのはいっぱいあるし、みんなそれぞれに好きな所があるからね。80年代中頃からワッキーズに夢中になり始めたけど、当初は大して持ってなかった。オリジナル・リリースから2〜3年後、でももうすでにレアになり始めていた頃から買い漁り始めたんだ。まあ今に比べれば探すのは簡単だったけどね。その後もずっと集めていて、今じゃほぼ全部持っているよ。
 
オリジナル・テープはロイド・バーンズから直接借りたものや、ロンドンのワッキーズにあったものを含め200本程あって、再発する時はそこから起こしているんだけど、例えばアルバムだと「この曲はあるけど、あの曲はないぞ」みたいな事があったりして大変さ。そういった場合はしょうがなくレコード盤からマスターを起こしたりしてるよ。いい機材を使ってるから大丈夫だけどね。
 
●マスタリングのクオリティが高いのが評判です。再発にあたって何かこだわりはありますか?
M:1995年にマスタリング・スタジオ(ヴァイナル・カッティング・スタジオ)を設立し、そこでマスタリングに関する知識を得たり、自身でレコードをカットする事を学んできたからね。スタジオを持つ前は大体デトロイトやシカゴ、ニューヨークでやっていたけど、最初にカットされる時は出来るだけ現場に立ち会っていた。たまにマスタリング・スタジオによっては、完璧にノイズを除去しちゃうだろ? でもノイズを取ってしまうと、その音楽自体の雰囲気まで変わってしまう。だから、結局はいいバランスを取るのが必要なんだよね。僕たちのアプローチは出来るだけオリジナルの雰囲気を損ねないようにするって事さ!
 
やっぱりアナログ・レコードが好きだから、CDだけでの再発はしてないんだ。CDを買う人とレコードを買う人は異なるから、自ずとビジネスもマーケットも違ってくるよね。CDだとチェーン店でも販売されていて宣伝広告に左右されたりもするけど、アナログ・レコードを専門店で買う人はコレクターだったり、DJだったりして自分が何を欲しいのかよく分っている。だからアナログ・レコードのマーケットに身を置いている方が楽しいんだ。セールスも実はCDとアナログと同じ位なんだよ(注釈:タイトルにもよるが、CDの販売数はアナログの数倍になるのが普通なので、これは驚きだ。彼らの愛情溢れるクオリティが、アナログ・ユーザーにどれだけ支持されているかが窺える)。
 
●ワッキーズ再発シリーズの今後の予定を教えて下さい。7"盤に関しては今後もリイシューされないのでしょうか? また、ワッキーズ以外のレーベルの再発シリーズなどはどうですか?
M:3〜5タイトル位かな。今、ラインアップされているのは、とてもレアなシュガー・マイノットやダブ盤とかで、サンプラー・アルバムの第3弾も考えている。多分その位でこのシリーズも終わりだろう…、ワッキーズの音源だって無限にあるってわけではないからね。7"に関しては、今は詳しく言えない。可能性がゼロなわけじゃないけど、もしあったとしてもこのリイシュー・シリーズとはまた別の形でのリリースになるよ。まだ全く不確かだけどね。
 
もともと音源をライセンスしてリリースするといったリイシュー・レーベルになりたかったわけじゃないから、ワッキーズ以外の作品の再発は考えていないよ。ワッキーズに関してはロイド・バーンズとの特別な友好関係があっての事だからさ。
 
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『BULLWACKIE ロイド・バーンズとワッキーズの輝き』
[Nowonmedia / NODJ-00007]
 
 

The Charm Of Wackie's / Recommended Disc

Wackie's Recommended Disc

Select & Text by Yasushi Ishibashi


『Dance Hall Style』
Horace Andy
Wackie'sを代表する超名盤で、かつH.Andyにとってもキャリアの頂点の一つと言える82年の最重要作。普段の温かみのある声とは真逆の冷たく尖った声と、それを増幅させた各曲後半部のダブが衝撃的! 代表曲「Money Money」「Cuss Cuss」すらもその様相を一変させ、全曲強烈無比な凍てついた音像にゾクゾクする
 
『Natures Dub』
Wackies
Wackie'sのダブの中で人気の高いハード・コアな名盤。Bullwackie AllstarsとNew Breed Bandがバックを担当。J.Delgado「Sons Of Slave」のミリタント版「Slave Dub」やスタ1産トラックを下敷きにした「Rockfort Dub」、J.Battaが“Rockers, Rockers”と連呼するタイトル曲等、ヘヴィ・ダブが詰っている。
 
『African Roots Act 2』
Wackies
シリーズ第2弾はプロデュースも演奏も純正Wackie's産となった。しかもRas(Junior) Delahayeがミックスから演奏まで八面六臂の活躍を見せていて、前作よりもルーツ度を増した本作をシリーズ最高傑作とする人も多い。「Re-velation In Dub」、H.Andy「Lonely Woman」のダブ等、お腹にズッシリくる聴き応え。
 
『Lovers Rock』
Love Joys
再発シリーズの第一弾で、Sonia AbelとClaudette Brownの従姉妹デュオによる82年発表の2nd。一聴してAlthea & Donna辺りを思い起こさせるキュートに歌い上げたRita Marley「One Draw」カヴァーが特に良い。ラヴァーズ嫌いのルーツ・ファンはまず「All I Can Say」から聴けば間違い無し! タイトルに反してディープなルーツ作品だと分かる筈。
 
『Tribesman Assault』
Roots Underground
Jah Scotty率いるReckless Breedを母体としたユニットのダブ名盤。70年代後半にTreasure Isle、Black Ark、Randy'sで録音、N.Y.でミックスした物で、「Tribal Rock」等のシンプルでハードなダブと、流麗なギターが心地好い「Makka Roots」等のメロウなダブとを交互にバランス良く配している。K.C.White & Love Joys「Open The Gate」に悶絶。
 
『Reggae Vibes』
Love Joys
実はこちらが1st(81年)。「Love Is Not A Game」「Sweet Feelings」の様な直球ラヴァーズ・ロックもあれば、2ndでもミックス違いで収録された「Stranger」「All I Can Say」といったヘヴィな曲まで幅広くクオリティの高い曲が揃う。特に本作の元々のタイトルにもなっていた「Jah Light」での静かなヴォーカル&コーラスが深みを感じさせる。
 
『Reggae (Showcase)』
Junior Delahaye
ヴォーカリスト以外にもミュージシャン、エンジニアとしても才能を発揮したWackie'sの重要人物で、『African Roots Act 2』をミックスしたのも彼。1982年リリースの本作では、高音から低音までソウル・マナーでスムースに歌い上げており、「Sitting In The Park」カヴァ−も秀逸。きれいなファルセット・ヴォイスがダブで美しく飛ばされる瞬間を聞き逃すな!
 
『Reckless Roots Rockers』
Reckless Breed
77年のダブ盤。N.Y.に移る以前の70年代半ばにKing Tubbys Studioで録音されたトラックを使った物で、「Under World」「Creation」の地鳴りの様に深く震えるベースや、Jah (Don) Carlos「Prepare Jah Man」のヘヴィさには度肝を抜かれる。ベース&ドラム、ホーン等の上物使いまで完璧なSoul Syndicateによるヘヴィ・ダブ「Reckless Roots」は貫禄。
 
『Wicked Ago Feel It』
Sugar Minott
Tenor Saw、Junior Reidなどの次世代スターを次々と輩出し、またJackson 5のカヴァー「Good Thing Going」でレゲエ・フィールドを越える特大ヒットを放ったSugar Minottが、1984年にWackie'sからリリースした人気盤。同曲の再演を始め、Jackie MittooやBagga Walker、Jerry Johnsonらのメロウな演奏に乗った名唱が楽しめる。
 
『Showcase Vol.1』
Wayne Jarrett
『Bubble Up』の別名でも知られる82年発表の作品で、録音時期もジャケのデザインもH.Andy『Dance Hall Sytle』とほぼ同じ、かつヴォーカル・スタイルも酷似している。タイトル曲や“Drum Song”使いの「Holy Mount Zion」、Horace Andyカヴァーの「Every Tongue Shall Tell」などキラー・チューン&キラー・ダブが満載の大名盤だ。
 
『African Roots Act 3』
Wackies
1983年リリースの第三弾で、シリーズ中最もメロウな、流麗なダブが楽しめる。それもその筈、ほぼ全曲がSugar Minottの大人気盤「Wicked A Go Feel It」収録曲のダブで、Jackie Mittoo & Bagga Walkerのスタワン組が生みだす心地好いグルーヴをDouglas Levy & Bullwackieコンビが旨く引き出している。
 
『Jamaica Super Dub Session』
Wackies
1983年発表のメロウ・ダブ盤で、Fabian Cookeの鍵盤、Jerry JohnsonのサックスがA.O.R.的な印象を与える。そんななか、Ras Menelikの乾いたパーカッションが出色の「Bag Man Dub」がひときわ異彩を放つ。
 
『Great Jah Jah』
Jezzreel
Clive DavisとChristopher Har-veyの男デュオによる1980年のデビュー作。きれいな柔らかいコーラス・ワークが素晴らしく、激しいミリタント・ビートに乗せた「Roman Soldiers」は、曲後半のDee-Jayともども必聴だろう。
 
『Dub Unlimited』
Bullwackies All Stars
傍系レーベルSenrabから76年に発表されたレア盤。基本となるトラックの多くはTreasure Isleスタジオで録音、King Tubbyによってミックスされ、マンハッタンでオーヴァーダブが施されている。隙間だらけの音像が味わい深い、余りこねくり回さない“ヴァージョン”に近い渋めダブが多い。
 
『Exclusively』
Horace Andy
同一のセッションによるトラックを使っている上、発売年も近かった事から、『Dance Hall Style』のUK盤と間違われる事も多い本作。「Stop The Fuss」「Lonely Woman」のヴォーカル・ヴァージョンを始め、充分にダブが効いたトラックにH.Andyのあの声が乗っかるのだから堪らない!
 
『African Roots Act 1』
Wackies
Wackie'sの看板ダブ・シリーズ『African Roots』の第一弾。しかし、この『Act 1』はBullwackieではなく、Clive Huntプロデュースなのが意外だ…。爬虫類好き(?)な彼らしく奇妙なコラージュがまぶされ、怪しく蠢くダブ・ワールドが展開される。
 
『Dub Roots』
Prince Douglas
レーベル立ち上げ時から関わってきたエンジニア、Prince Douglas名義の1980年のダブ盤。全体的にはスペイシーで軽めのダブが多いが、Wayne Jarrette「Every Tongue Shall Tell」のダブや「March Down Babylon」「Tribesman Dub」の漆黒の世界が身に沁みる。
 
『Argument』
Jah Batta
Jah BattaことTony O'Meallyの1983年の唯一のアルバムで、共同プロデューサーにSugar Minottを迎えている。菜食主義ネタの「No Meat」、Sugar Minottと絡む「Informa (Watch It)」などなど、この時期ならではの軽快で滑らかなDee-Jayをかましてくれる。

2007年8月29日

Roots Time

ROOTS TIME
SILVESTRE JACOBI meets EC
 
Translated by Kenichi Eguchi / Edited by Toshiaki Ohba
 

おんぼろ車に乗ってレコードを売り歩くラスタファリアン2人による珍道中映画『ルーツタイム』が面白い。この映画のアルゼンチン出身の監督、シルヴェストレ・ハコビが公開前に来日するとの情報を得て、『ラフン・タフ』の監督、石井“EC”志津男と対談を決行。ジャマイカで映画を撮る難しさについての話題で盛り上がり…。
 
EC:オレは1984年に初めてジャマイカに行って以来、50〜60回は行ってるけど、この映画を観てどこにでもあるジャマイカの毎日の風景と台詞で「あるある」って感じなの。凄く面白かったよ。で、アルゼンチンに生れてなぜ、レゲエに興味を持ったの?
シルヴェストレ・ハコビ(以下S):10歳にも満たない頃におじいさんに貰ったTシャツにドレッドロックスの絵がプリントされていて「これ何?」って訊いたんです。「これはラスタファリアンで世界的に有名な人」って教えてくれて、それがボブ・マーリーでした。その後すぐにレコードを買って徐々にラスタファリアンも含めてレゲエに興味を持ちました。その後も世界中のエスニックなものに興味を持って、19歳の時にウルグアイでカンドンベ(Candombe)の映画を撮ったんです。カンドンベとはウルグアイに連れてこられたアフリカ系の人達のカルチャー、ムーヴメントの事です。キューバや他のカリブの島々にも行きましたし。そうしたアフリカから渡って来た人達の文化に興味があるんです。
 
EC:この映画を作ろうと思ったのもそこにあるの?
S:NYで映画の勉強をした後にそうしたものをちゃんと映画にしたくなって。で、最初の長編映画を作るならラスタファリアンの文化と決めていました。
 
EC:どの位の期間で撮ったの?
S:脚本と配役と撮影とで4ヶ月間。脚本の叩き台はあったけど、ラスタファリアン達の意見を聞きたかったし、きっと影響も受けるだろうから、変わる事は予想してました。
 

 
EC:一番大きく変わった事は?
S:それは沢山(笑)。最初に決まっていたのは2人のラスタファリアンのロード・ムーヴィという事。あとラジオが流れている車に乗っている事、ブッシュ・ドクターに連れて行くって事だけです。それ以外は随分と変わりました。
 
EC:変わっちゃうよね、ジャマイカは。オレも映画作った時は次の日のアポイントさえ入れてなかったし(笑)。だって何百っていうプロブレムを体験してきたからさ(笑)。だから、あそこで何かを撮る事の大変さってよく分るんだ。
S:思っていたよりもずっと大変でした。本当に作りたいという気持ちがないと出来ないですよ。だからジャマイカで作られた映画があれば、もうそれだけで尊敬してしまいます。
 
EC:設定は何年?
S:特に限定をしたくはないですけど、ボブ・マーリーやピーター・トッシュとかが活躍していた時代かもしれませんね。主役の2人が象徴しているのも昔のラスタファリアンです。
 
EC:何年に撮ったの?
S: 2003年だったかな。24歳の時ですね。
 
EC:俳優は誰も使ってないんだってね? 
S: そうです。バンドもプロではありませんし。
 
EC:ジャー・ブルとはどうやって出会ったの?
S: ジャマイカに着いた日にウエスト・インディーズ大学でボボシャンティ達が集まる会議があったんです。そこに彼もいて。彼のカメラの前の存在感、話し方とかそういったものに惹かれてキャスティングしました。彼は映画に出てくるキャラと同様、凄く個性的な人でしたよ。
 
EC:オレの映画『ラフン・タフ』を観てくれたんだってね。
S: 凄く素晴らしい映画でした。ヴィム・ベンダースの『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』を観た時と似た感覚を覚えました。凄くハートを感じたし、観終わった後は凄く良い気分になれました。車の中から撮ってるショットがありましたよね。あの通りを歩くって事はどういう事なのか分りますよ。いつ撃ち殺されるかもしれないし、銃かナイフを持っているボディガードと一緒でないと歩けませんよ。僕は「止めろ! 夕べここで人が殺されたんだから!」って言われ諦めました。世界中であそこが一番タフな撮影場所なんじゃないですか?
 
EC:他に危険な目にはあってない?
S: それはもう沢山(笑)。特にキングストンですね。役者をあるエリアに連れていこうとしたら「殺されるから絶対に他で撮ってくれ!」って。レゲエやラスタファリアンが伝えようとしている事とは違う方向に向かってる気がして残念でした。
 
EC:DVDにはオマケ映像があるんだってね。
S:メイキングのドキュメンタリーがあるんです。そこにはラスタファリアンの文化についてのドキュメンタリーも入っていて、同時に役者の実生活のドキュメンタリーも入れる予定です。そちらも是非観て頂けたら嬉しいですね。
 
9/1(土)より渋谷アップリンクX、吉祥寺バウスシアターにて公開。
その他会場など詳細はホームページ、www.uplink.co.jp/rootstime/
同名のサウンドトラックも9/7、アップリンクよりリリース決定!

 

Clevie Brownie (Steely & Clevie) / Unmissable Story extra pieces from Ruffn' Tuff vol.10

Unmissable Story extra pieces from Ruffn' Tuff vol.10
Clevie Brownie

 
Interview by Shizuo "EC" Ishii / Translated by Mizuho Takahashi / Photo by Masataka Ishida
 

 
映画『Ruffn' Tuff』やインタビュー集の書籍でこぼれた人達の発言を採録する当コーナー、前号に続きクリーヴィが登場。最新のリディムの制作だけでなく、古き良き音楽に対する愛情、そしてそれを後世に伝える想いも人一倍のようだ。
 
私もスティーリーもコンビを組んだ当初からオールディーズに対する深い愛情があったよ。2人ともスタジオ・ワンやトレジャー・アイルのサウンドが大好きなんだ。同時に、若い世代に何らかの形で古いものに触れる機会を与えられなければならないと感じていた。ヴィンテージは簡単に入手できなかったり、見つけられなかったりするからね。私達は、当時のアーティストを起用し、現在の技術を駆使して、「あの音楽」を若い世代に紹介したいと思った。セールスが見込めるし、何よりもそういう作業が自分にとって興味深かかった。ともかく創造的だよね。
 
そういう訳で、私達はヴィンテージを収録した2枚のアルバムを作った。 1枚は『Steely & Clevie Play Studio One Vintage』。こちらではオリジナルのシンガーを起用した。ここからの大ヒットがDawn Pennの「No, No, No」だ。「No, No, No」がヒットしたお陰で、ヴィンテージのリメイクは、正しいアプローチとレコーディング・スタジオの技術があれば、さらに売れる商品になるという事がよく分ったよ。このアルバムではMixing Lab(スタジオ)を使ったが、当時は、そこが、私たちがプロの耳で選ぶ、大きな音でミックスができる唯一のスタジオだったからだ。
 
しばらくたって、2枚目のアルバム『Old To The New - Tribute to Joe Gibbs Classics』を作った。このアルバムでは良く知られている旬のアーティストと、その曲のオリジナルを歌ったアーティストをコラボレートさせた。何曲かはスタジオ・ワンがオリジナルで、ジョー・ギブスがカヴァーしたものだったが、私達が求めていたのはジョー・ギブスの解釈や音楽スタイルだ。このアルバムからは、またしてもヒットが生まれた。ショーン・ポールとサシャの「I'm Still In Love With You」。そこを見てくれ(壁に掛かった額を指差す)。この2曲が入ったアルバムはそれぞれプラチナ、ダブル・プラチナ・アルバムになった。シングルはビルボードのトップ100とR&Bチャートで最高15位まであがった。全英チャートにも入った。これによって、またしても古き良き時代の音楽に対する需要が十分にある事が証明されたよ。
 
私が思うに、当時の曲は、よく練られて書かれている。制作の際のコンセプトも優れているし。私達にはこの音楽を伝えていく義務があると思う。これからも過去の良い曲をレコーディングし続けるつもりだよ。
 
ジャマイカ音楽はリリックに多様性があるお陰で、多くの人の耳に届く。共感を持てる部分が沢山ある。それが世界中の人に聞かれる第一の理由だろうね。第二に、この音楽はダンスやクラブなど、人が集まる文化とリンクしている。それも大事な要因だ。第三にビート。この音楽のビートの起源は500年前のキューバ音楽や、更にその前のアフリカの民俗音楽にまで遡ると言われている。このビートがあるからここまで受け入れられた。絶対に外せない大事な要素だよね。更に私達の世代が作ってきたダンスホールがこの10年で非常に大きなインパクトを与えてきたけれど、これはコンピューター・テクノロジーの出現によるところが大きいと思う。
 
レゲエは多様化して、「ダンスホール」と「レゲエ」という風にジャンルが異なる別のものとして認知されるようになった。スティーリーと私が次から次へとトラックを生み出しているうちに、両者の区分けができてしまったんだけどね。でも、別に私達が意識してダンスホールを他と区別した訳じゃない。聞く人がこちらをダンスホール、あちらをレゲエと呼んだまでさ。それが最近では両者の共存が可能になっただけでなく、それぞれがクロスオーヴァーするようになった。そして、聞く人達がそれを受け入れている。DJが歌ったり、シンガーがDJしたりもするね。非常に潜在性のある市場の融合が起きている。インターネットのお陰で、誰でも私達の音楽にアクセスできる状態になったのだから、ぜひ、多くの人達にダンスホールとレゲエを聴く機会を持ってほしいね。
 
私自身は現在、Recording Industry Association Of Jamaicaの会長を務めている。これはジャマイカのレコーディング産業にとっては極めて重大な組織だ。インターネットの普及のお陰でレコード・ビジネスも世界規模になり、容易に世界とアクセスできるようになった。しかし、ジャマイカではE-commerceのベンチャーが盛んではなく、権利関係がクリアにならないまま世界中に私達の音源が取引されてしまっているんだ。そこで、レコーディング業界が一丸となって、私達の音楽の権利が侵されないよう努力していくためにこの組織を作った。現存する音楽系サイトの多くが合法ではないが、幸いにも合法化してビジネスとして機能させようという方向に動きつつある。違法ダウンロードや海賊盤をなくしていこうと努力しているよ。これはとても大事な事だ。研究でも明らかになっているが、海賊盤の流通と犯罪には関連がある。この負の連鎖は止めなければならない。平和な世の中を作っていくためにもね。
 
 
■DVD
「Ruffn' Tuff 〜 Founders of The Immortal Riddim」DVD
監督:石井 "EC" 志津男
[Dex Entertainment / DXDS-0064]


  
■CD
「Ruffn' Tuff 〜 Founders of The Immortal Riddim」
O.S.T.

[Overheat / OVE-0100]
¥2,625(tax in)カリプソ、スカ、レゲエなど全16曲のベスト・セレクション。

 
■BOOK
「Ruffn' Tuff:ジャマイカン・ミュージックの創造者たち」
監修:石井“EC”志津男
A5判/192ページ

リットーミュージック¥1,890(tax in)

出演者の中から13名のインタヴュー+石井、石田、落合のエッセイ集。

9Miles / Belly-Go-Round

9Miles
Belly-Go-Round
 
Interview by Takeshi Miyauchi / Photo by 東京シャム
 

レゲエ・ミュージックへのこだわりをしっかりと焼き付けながら、広いリスナー層にもアピ−ルするような洗練されたサウンドを聴かせる、独自のスタンスが魅力の9miles。前作から約2年ぶりとなる待望のニュー・アルバム『Belly-Go-Round』がリリースされたので話を聞いた。
 
CLUB SKAのDJとしても活躍するKazushige Hanadaと、美しく伸びやかなカナリー・ヴォイスが魅力のシンガーYasucoを中心として、97年に結成された、9miles。一昨年にリリースされた、初のフル・アルバムがレゲエ・フリークのみならず、幅広いリスナー層から支持を集めた彼らが、2年ぶりとなるアルバム『Belly-Go-Round』を完成させた。
 
「前作を出してから、いろんな事情で活動が出来にくい状況にあって、このままバンドを続けようかどうかっていうことも考えたぐらいで……バンド的には一番苦境な時期だったかもしれない」(Yasuco)
 
「仕事についても、バンドについても、今までこんなに考えたことはないだろうっていうぐらいに自問自答して」(Hanada)
 
「生活の中で、音楽やバンドがかなりの割合を占めてたんだって気付かされた部分もあって。いろんなことを考えられたし、ある意味いい時間だったのかもしれない。だからそのぶん、曲はどんどん出てきましたね」(Yasuco)
 
さまざまなジレンマを、ポジティヴな力へと変換していったかのような、ポップでカラフルな色調を感じさせる『Belly-Go-Round』。ストリングスを導入するなど、音楽性の幅を広げ、まるで往年のシティ・ポップスの名盤にも通じるような、エヴァ−グリーンな煌めきを湛えたこのアルバムが、それでもポップなだけの音楽に終わっていないのは、やはりバンド・サウンドの奥底に太く流れる、レゲエだ。
 
「ルーツ・ロック・レゲエのベースやドラムの魅力を、今回のポップな曲にどう合わせるか?ってところにこだわって作ったところはありますね」(Hanada)
 
そこを徹底させるために、これまで鍵盤をメインに担当していたHanada自身が、ベースにスイッチ。彼のアタマの中に確固たる音として鳴っている“レゲエのベース”をとことんまで追究した。
 
「昔から(Hanadaは)ベースにはすごくこだわっていたので、他のプレイヤーに弾いてもらってああだこうだ言うなら自分でやればって(笑)」(Yasuco)
 
「だから今回、Yasucoの曲がいくらポップになっても、僕がベースを弾いてるから大丈夫っていうところはありましたね」(Hanada)
 
洗練された肌触りの本作において、もうひとつ着目すべきところをあげるとすれば、リアルな生活感を切り取ったYasucoの日本語によるリリック・センスだろう。
 
「今回のアルバムを作りはじめた頃から、自分の中にあったものをすべて吐き出せたものだと思うんです。辛いことがあるから、こういう幸せもあるんだなって。ここまでいろんなことがあると、逆にどんと来いみたいな(笑)。アルバムのタイトルの『Belly-Go-Round』という言葉のように、腹の中から出る音を響かせて、メリーゴーラウンドのようにゆっくりと人から人へと伝わって響いていく……作品に仕上がったと思います」(Yasuco)
 
『Belly-Go-Round』
9miles

[Handcuts / HJCR]

Bagdad Cafe The trench town

Bagdad Cafe The trench town
 
Interview by Masaaki Okino / Photo by Teppei Kishida
 

“Love”をテーマとした5thアルバム『Satisfaction』を7月にリリースしたばかりのBAGDAD CAFE THE trench townが、間髪置かずにダンスホール・アーティスト10名を起用したアルバム『Meets The Reggae〜Passing Point〜』をリリース。中心となって制作を手掛けたRaitaくん(Guitar)に今作について語って頂いた。
 
●今回のアルバムの構想は?
Raita(以下R):ダンスホールは好きだし興味はありましたが、これまでのバグダッドの活動の中でダンスホール・アーティストとリンクするタイミングは余りなかったのです。Ryo the Skywalkerさんの『How To Hunt In The Bush 2』にMaiちゃんが参加したのがきっかけでその後Red SpiderのMix CD『曝走エンジェル』にダブで参加したり、そういうリンクができはじめて、バグダッドのリズム・トラックにダンスホール・アーティストをフィーチャーした作品を作ろうということになりました。同じリズムでも複数のアーティストの別曲として生まれ変わるというのは一般的なバグダッドのリスナーからすれば不思議なことに思えるかもしれません。僕たちのサウンドはラヴァーズ・ロックやルーツっぽいイメージがあると思いますが、僕たちの中ではダンスホールもダブも全てレゲエと捉えているので、これもレゲエなんだ、レゲエにはこういう面白さもあるんだ、というのを広く伝えたかったという想いもあります。
 
●各アーティストとはどうやって制作していきましたか?
R:まずは元となる4曲のリズム・トラックを各アーティストに聴いてもらって、後は電話やメールなどでやりとりをしながら。Maiちゃんのパートも全て歌詞を変えて歌い直しました。今回は自由にスタジオを活用できたので歌入れからミックスまで僕が中心となってアーティストと共に作っていきました。
 
●初めて他のアーティストをフィーチャーしてみてどうでしたか?
R:すごく楽しかったし勉強になりました。僕たちはバンドであって歌や楽器ソロ・パートなども含めて曲を作っていくのが普通なのですが、DJの方はやはり「リズム・トラック」として捉えているのだなと感じました。例えばChehonくんはオルガンのソロ部分でもガンガン韻を踏んで歌うし、僕たちが抱く曲に対するイメージとは違う受け止めかたで音を聴いているのだなと思いました。
 
●どの曲も、それぞれの持ち味が活かされた仕上がりになっていますね。
R:それこそがダンスホールというか、Dinosaurは原曲のイメージをシリアスなリリックで攻めてきている感じですし、RyoさんやMoominさんは「Everything」という原曲の世界をさらに拡げた素晴らしいリリックを書いてくれました。一番最初にできたのがRankin Taxiさんの曲だったのですが、おかげでアルバム制作に勢いがつきました。
 
●最後にこのアルバムについて一言。
R:ゴリゴリのダンスホールという訳でもない、かといってバグダッドそのものでもない、そういう微妙な匙加減がどちら側から聴いても面白いと思える作品です。そして僕たちの新しいステップの一歩となるだろう意欲的で強力なアルバムになったと思います。
 
『Satisfaction』
[Victor / VICL-62432]


「Meets The Reggae〜Passing Point〜」
[Victor / VICL-62584]

MUNEHIRO / Power OF " LIMITED "

MUNEHIRO
Power OF " LIMITED "
  
Interview by Naohiro Moro / Photo by Akira Kitajima
 

もうすっかりレゲエ好きの間では馴染みのアーティストとなったシンガーMUNEHIRO。元々その存在感はメジャー級なのだが、今回、その彼女がメジャー・デビューを果たし、サード・アルバム『Limited』をリリースた。ことレゲエに関してはピュアな情熱を傾け続け、タフな女を目指す彼女の本音の話を聞いて欲しい。
 
●レゲエ・アーティストとして活動開始して3年経過した訳ですけど、この3年間はどうでしたか?
MUNEHIRO(以下M):昔、12〜3年前に東京に出て来た時の気持ちを思い出して、ひたすら若返ってました。何か、新しい目標が出来たりして、それが自分をパワフルにさせてくれたな、ていう感じです。
 
●今回、メジャーのレコード会社に移籍されたのは、どんな経緯なんですか?
M:私としてはメジャー云々にはあまり理由はなくて、とにかくずっと(音楽活動を)続けて行きたくて。今までは芸能の事務所の人に手伝ってもらってたんやけど、これ以上、こっちが本格化すると手伝ってもらう訳にもいかなくなってきて。それで回りの友達に声かけて自分の事務所を立ち上げて、音楽活動に関しては、芸能の事務所を独立させてもらってやる事になったんです。そんなタイミングで今のレコード会社さんからお話頂いて。私はインディーズでも全く良かったんやけど、そういう事より、回りで動いてくれるスタッフが増えて欲しかったんで決めました。
 
● じゃあ、芸能の方の仕事のペースは落とさずに続けてるんですか?
M:もう若干落ちてますね(笑)。でも今は歌に情熱が向かっているから、これをやらせてもらえないと自分のモチベーションも下がるし、これをやる事が、絶対芸能のパワーにもつながるから、って話もして。
 
●今回のアルバムはイントロやインタールードで時間がモチーフになっていて、MUNEHIROさんが、芸能人である自分との間で、まだレゲエ・シンガーでいたいのに起きなきゃいけない、っていう葛藤を表現されてるのかな、って思ったんですけど。
M:そうです。何かMUNEHIROでいられる時が、ムッチャ楽しくて、芸能人である事を忘れてるんです。私がレゲエにハマったんが、ジャパレゲのミックス・テープを聴いて、そのリリックに共感してなんですけど、何でここまでハマったんかというと、現場で私を全然芸能人扱いしないでくれるレゲエの人達が、地元の人達みたいで本当に心地良かったんです。何か東京に来てから無くしたものを取り戻せたみたいな気持ちになれて。普通に「あの時のラバダブ全然ダメじゃん」みたいにダメ出しもしてくれるし、そこに愛情も感じるし。彼らの不良っぽい感じとか、気取らない土臭い感じとかも好きやし。でも芸能を今までやって来てお世話になった人もいれば、それをやってたからこそレゲエに出会えたいうんもあるし、そんな中で1回、自分の中で整理してみたんです。そしたら今までの芸能の仕事もやり甲斐があるし、新たに見つけた情熱を傾けられるレゲエもそうやし、それやったら大変だけど両方やり続ける方がヤバいんちゃうの、っていう答が出て、限られた中でもそれを続ける、ていう意味を込めて『Limited』ってタイトルにしたんです。
 
●結構、芸能の事についても話してもらっちゃいましたけど、良かったんですかね? 全然隠れてないけど、一応隠してる風じゃないですか(笑)。
M:隠してますよ、今でも(笑)。『Riddim』だからです。他じゃ全然こんな事、話してないし。
 
●ありがとうございます。じゃあ、そんな『Riddim』読者にメッセージをお願いします。
M:ライヴも、CDもそうなんですけど、一番素直な自分を出してるつもりなんで、そんな事を感じてもらえたら嬉しいです。
  
『Limited』
Munehiro

[Universal / UMCF-1005]

U-DOU & PLATY / BUSS UP from OKINAWA

U-DOU & PLATY
BUSS UP from OKINAWA
  
Interview by Kazuhiko Maeda / Photo by Hiroto Sakaguchi
 

沖縄限定で先行リリースされた「ジャパン・レゲエ・フェスタ2007」の応援ソング「ハイサイ To Di ウチナー」が記録的ヒット、7月にリリースされたミニ・アルバム『Everything All Right』からも地元限定のCMソングになるなど話題の沖縄出身のレゲエDeeJayデュオ、U-Dou & Platyに3枚目となるニュー・アルバム『Buss Up』について話を聞いた。
 
●現在の共通目標は何ですか?
U-Dou(以下U):レコード会社を移籍した事もあるんですけど、今年はある意味勝負の年だと思ってるんですよ。ガッツリたまってるモノをいっぱい出して、県外にも色々飛び回って。今、やりたい事が少しずつ形になっていってるんで。
Platy(以下P):僕らのスタイルでどこまで通用できるか頑張りたいですね。
 
●そんな中で、今回のアルバムはどういったものと位置付けてますか?
P:ファーストもセカンドも沖縄テイストが強くて、聞いたら一発で沖縄って分るんですけど、逆にそういう部分にフラストレーションもありました。今回はよりレゲエっぽい事ができたし、ある意味沖縄っぽい事もできたし。1曲目から4曲目までは沖縄ノリ。沖縄では有名な曲のカヴァーもあります。「ウチナーンチュ In Tokyo」は沖縄の人に限らず、東京に出てきた地方の人が感じるであろう事をリリックにしてるんですよ。5曲目以降は、U-Douが1曲全部方言でダンスホールの現場を歌ってたり、僕がヒップホップぽいオケで歌ってたり。二人とも息子がいるので、「Come Home」のオケで息子のために歌を歌ったり。またラヴァーズも歌ってて、それにディーン・フレザーにサックスを入れてもらってインストでもいける曲に仕上がってるし。スティーブン・マクレガーやスクに作ってもらったイケイケのトラックに乗せたヤツもあるし。ミックスはスティーブン・スタンレーにやってもらったし。
 
●これまでは沖縄のテイストが濃かったけど、今作はより自然な融合を感じました。
P:ファーストは名刺代わり、セカンドは「2泊3日沖縄の旅」的なコンセプト・アルバム、今回はレコーディングに時間かけたっていうのもあって、前作に比べてスキルも上がっていると思うので自信作です。
●その充実感は思い描いていたものがきっちり形に出来た事からきてるんですか?
U&P:そうですね。
P:今まで沖縄感をゴリ押しで出していた分、今回はまんまのダンスホールをやりたいという意識がまずあって、それを発散できたかなって。アイデンティティを大切にしつつ、勝負していきたいですね。打たれ強いんで、負けてもまた勉強してチャレンジして。
 
●その打たれ強さの源って何なのですか?
U:やっぱ好きだからじゃないですかね。
P:僕は愛だと思いますよ。沖縄は土地的にも恵まれてるし、もっともっと地元で色んなレゲエが浸透するた 
 
●最後に最近ハマっている事を教えて下さい。
U:ビリーやってます(笑)。
P:最後に何て言うんやった?
U:ヴィクトリー!!!(笑)
P:僕はシュノーケリングです。ずっとスタジオに篭りきりだったので、U-Douや後輩を海に連れてって。本土から沖縄に来る人の気持ちが分ります。
U:今年は海、入ってるね。リフレッシュできるし。
P:最高ですね。ニモがいるニモがいるって。獲付けされてるから寄ってくるし(笑)、「ニモ、ニモ、ニモ〜」って戯れてますね(笑)。
   
『Everything All Right』
U-Dou & Platy

[Riddim Zone / RZCD-45586]


『Buss Up』
U-Dou & Platy

[Riddim Zone / RZCD-45628]

Bigga Raiji, Arare, Hibikilla / MIC Blast from East

Bigga Raiji, Arare, Hibikilla
MIC Blast from West
 
Text by Norie Okabe
 
  前号の当コーナーで紹介した東の若手代表選手とも言えるレイシー・バレットの2人以外にも当然、数多くの若手アーティストが西に負けじと連日連夜現場を熱くしている。今回はアルバムをリリースしたばかりのBigga Raiji、Arare、Hibikillaの3人を紹介しよう。
 
 まずは、マイク持ち歴13年、“待ってました!”というべきファースト・アルバム『あっぱれ!!』を投下したシングジェイBigga Raijiから。「(まずは)自分の力、自分の目線で勝負したかった」とのことで客演は一切なし。そのこだわりまさしく、軽快なライミングから伸びやかなシンギングまで、自らの持ち味というべきレンジの広いマイク技を披露するとともに、リリックに関しても彼自身の“等身大”な魅力を感じさせる好内容に。なにしろリード曲は“食べることが大好き”な側面を堂々と綴る「おなかの唄」である。「(前ミニ・アルバムの)『意気揚々』では自分の体を活かさなかったので、ここでは思いっきりやりたかった」と全身全霊を込めた“これぞBigga Raiji”なチューンだ。また、人の輪=Unityの大切さを歌った「地元があるって最高に幸せです。」や、笑顔をテーマにした「遠くまで」など、“ほんわかあったか”路線も彼ならではだろう。「(本作で)家族、仲間、熱さ、温かさ、いい出会い、悪い出会い、誰もが経験する事を“人生は最高だ!”とレゲエで(伝えたかった)」という言葉も大いに頷ける。大きなカラダと大きなココロ。“らしさ”がたっぷり詰まった“あっぱれ”な仕上がりである。

「あっぱれ!!」
Bigga Raiji

[Tokuma Japan / TKCA-73224]



 続いては「Road To 横浜レゲエ祭2006」優勝から1年、数々の作品に引っ張りだこだったArareの個人名義としては初の作品『ひとりあそび Vol.0』。「伝えたかった部分としては、Arareというアーティストが根本的にユニークであるってこと。お手本が一杯ある時代だからこそあえて無視したかった、人と同じ事を歌いたくなかった、人と同じ表現は使いたくなかったんすよね。それがオリジナルで在るって事だと思うんで」とは本人の弁。確かに、坊主頭の素晴らしさを詳細にわたり解説する「ボウズの美学」など、人が手を出さない痒いツボを狙ったお題選びは新鮮だし、役所からの督促状を皮肉った「Love Letter」を始め、ともすれば暑苦しくなりがちなメッセージをあくまでコミカルな視点で投げかけるのもArare流の表現法だろう。イイ塩梅の脱力感で“低速フロウ”を貫く唱法も然り。「Ya-Lowにリクエストしてわざわざ作ってもらった」という“ハイ・ファッション”“アンサー”を始め、全体的にクラシック・リディムが多いことに関して「オケ(だけ)はベタベタなお手本が好きだった」という理由もあるようだが、「その方が乗せやすいから」というのも納得。現在20歳にして、この異彩。「自分を曲げずにトップをとりたい」と揺るぎないラガ魂を掲げる“アラレ・ワールド”を堪能あれ。

 
「ひとりあそび Vol.0」
Arare

[P-Vine / PCD-4383]

 
 最後は「曲はもちろんフィーチャリング・アーティスト、ジャケ、タイトルともに自分の趣味全開で押しきりました」と断言するHibikillaのセカンド・アルバム『濃厚民族』。客演陣もChop Stick、Tonto Man、Jumbo Maatch、Domino Kat、Tomo、Chehon、Everton Blender(!)というまさに“濃厚”な面々だ。「時事ネタだったりレペゼンネタだったり、夏の風物詩ネタだったりを表現するフィルターとしてスポーツが最適だった」というプロレス、野球、サーフィンなどを始め、食、恋愛、音楽など(書ききれないほど)多彩なトピックにおいては「ヴァラエティに富んだヒビキラー色を出せた」と本人も語っているが、それも“どんなテーマも料理可能”な鋭い洞察力を持つ彼だからこその証だろう。また、ダンスホール・オケでのハードコアなDJスタイルは言わずもがな、“Truly”リディムの「My Number One」で聞かせるメロディアスなフロウ、淡々とした歌い回しが最高にクールな「Hotel Jamaica」など、テンション/声質を自在に操るマイク捌きもさらにネクスト・レヴェルへ突入した様子。「誰にも真似の出来ないオリジナルスタイルを持つこと」にこだわり続け「今後もKinkyであり、Rebel Musicであり、Redemption Songであり、Positive Vibrationを感じる一本筋の通ったレゲエを作って行きたい」と語る“北の大地が生んだ最終兵器”の“今”を噛み締めて頂きたい。

 
「濃厚民族」
Hibikilla

[Pony Canyon / PCCA-02477]


 

Rock Desire / The Original Judgement Sound

ROCK DESIRE
THE ORIGINAL JUDGEMENT SOUND
  
Interview by Masaaki Okino / Photo by Crew Office
 

90年代の関西ダンスホール・シーンに於いて常に独自のスタンスで活動してきたRock Desireがここ数年、更に活発にダンスや作品リリースをしている。今尚熱狂的なファンを増やし続けるRock-Dのメイン・セレクター、クリリンに最近の動向について伺った。
 
●最近リリースしたミックスCD『Slave Master』について教えて下さい。
Kuririn(以下K):普段のRock-Dとは違うロックステディ〜ルーツ期を中心にしたセレクションです。多少マスタリングなど調整する以外、パソコン編集なしで殆ど全部ダイレクト、リアル・タイムでレコードをミックスしています。
 
●クリリンのセレクション+MCというのがRock-Dの魅力と思うのですが、そういうミックスCDを作ろうとは考えていますか?
K:あってもいいと思うけど、臨場感は薄れると思いますね。僕がジャマイカへ初めて行った時に観たスカイジュース(Metro Media)のパートをこのCDに入れたのは、自分がインパクトを受けたそういう臨場感を少しでも伝えたい、という気持からです。スカイジュースのファウンデーション・セレクションは当時にしてはかなりクイックなミックス、今のスタイルの基本ともいえるんじゃないかな? やはり選曲の妙に影響を受けたし、あれこそがジャグリン・サウンドと感じる部分はあります。
 
●Rock-Dのサウンドの特徴とはどういうものだと考えていますか?
K:音の出し方や選曲、全てに言えることだと思いますが、言葉で伝わりきらない部分を如何に音で表現できるか、というところにずっとこだわってきました。
 
●ここ数年の活発な活動のきっかけは?
K:ジャー・T(Killasan)らと「ファウンデーション・ナイト」というのをやったのをきっかけですが、ブランニューだけでなくファウンデーションや80's〜90'sクラシックスが新しい世代に再評価される現在の状況を当時から予見していました。僕はもちろん、ブランニューも良いと思ったものはプレイしていますが、圧倒的に古い曲に対しての反応が大きいのを感じます。「リクエスト・ナイト」というのもやっていますが、最近は皆さんの方が僕よりよく知っていますね(笑)。
 
メディアの表層だけがレゲエの全てではないし、一人でも多くの人に「こんなカッコエエのもあんねんで」というのを知らせていきたい。後戻りできひんぐらいの音を聞かせたいですね(笑)。昔、St.Ann'sに行くようになって、仲間ができて、初めてレコードをかけさせてもらった、そんな僕自身が体験した楽しいことをみんなにも感じて欲しいし、やはり自分が楽しいかどうかですね。ビジネスライクにかけたい曲を我慢しないといけない、というくらいなら、昼間バイトして趣味でやればいいねん、てホンマ思いますね。

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