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2008年1月 アーカイブ

2008年1月22日

Hemo & Moofire / All About Escape

Hemo & Moofire
All About Escape
  
Photo by Kobayashi Taxi
 

いま乗りに乗っているヘモ&ムーファイヤーの二人が超多忙の中、この夏に映像作品を含む3タイトル(『Watching U』『Escape TV』『Escape Villa』)をリリース。各作品とも彼女たちならではの現場感あふれるテーマに沿った芯のある作品ばかりだ。
 
東京を代表する女性サウンド・クルー、ヘモ&ムーファイヤー。その活動は、クラブ・プレイに留まらず、イベントの企画、レーベルの運営、そしてさらには自分たちがくつろげて楽しめる空間としてクラブまでオープンし、その動きは拡大する一方だ。その活発な動きを象徴するように彼女達の作品がこの夏に次々とリリースされる。
 
まずは、自身のレーベルからV.A.『Escape』、V.A.『Indian Summer』、Ken-U『Doko』、V.A.『Soca Escape』に続く第5弾リリースとなるオムニバス・アルバム『Watching U』。ケン-Uの「Doko」というビッグ・ヒットを生み出したモンスター・リディム "Escape" に代表されるようにソカ・テイストを盛り込んだ踊れるチューンを中心にリリースしているが、今作は純粋なジャマイカ産ダンスホールということで、これまでの“Bacchanal”というレーベルではなく“Escape 2 Dancehall”というレーベル名での初リリース。エレファント・マン、ウェイン・ワンダー、ヴォイス・メール、レディ・ソウなど、ジャマイカの人気アーティストに加え、Bacchanalお馴染みのジャパニーズ・アーティスト、ランキン・タクシー、ケン-U、ミッキー・リッチなどを収録してる。
 
お次ぎは映像作品。これまでダンス・ヴィデオ(DVD)をリリースしてきたが、今回はこれまで10年以上ジャマイカに通いつめ、ジャマイカの音楽業界を中心に交流を深めてきた彼女たちならではのジャマイカの様々な情報や文化を盛り込んだ映像作品。レポーターはダンスホール・クイーン、ジュンコが担当し、ダンスはもちろん、ライフスタイル、食べ物、サウンド・システム、さらにはトリニダードでのプレイやジャマイカの若手ダンサー、Kadillacのダンス・ショウケースや日本のダンスホール・シーンまで紹介した盛りだくさんな内容に仕上がっている。
 
そして最後は、これまで『On The Beach』『Under The Blanket』という2枚のアルバムを出してきたヘモ&ムーファイヤー・プレゼントによレゲエ・カヴァー・アルバム企画の第3弾。毎回コンセプトを決めてそのシチュエーションに合った楽曲がセレクトされているが、今作は恋人たちがジャマイカのポートアントニオあたりのヴィラで一晩過ごすのに最適な仕上がりで、タイトルも題して『Escape Villa』。既に7インチで数タイトルがリリースされているが、ディーン・フレイザーによる書き下ろしオリジナル曲やアンソニー・Bによるボブ・マーリー・カヴァーなどなど、新しめの曲から古いものまで幅広いがスウィートな楽曲が多数収録されている。
 
各作品とも非常に個性的で、ある意味ヘモ&ムーファイヤーの様々な角度から見たジャマイカ、そしてレゲエというものを堪能できる作品に仕上がっている。今後、彼女達がどう動きをしていくのか興味深いところだ。
 
Hemo+Moofire Presents Escape Villa
V.A.
[Warner / WPCL-10272]


Watching U
V.A.
[Escape 2 Dancehall / BACD-005]


emo+Moofire Presents Escape TV
DVD
[Escape / THDVD-004]

Bagdad Cafe The trench town / Good Times with

Bagdad Cafe The trench town
Good Times with
  
Interview by Masaaki Okino / Photo by Hirofumi Eda
 

“ラヴァーズ・ロック・バンド”として幅広い層から人気の高いバグダッド・カフェ・ザ・トレンチ・タウンが結成6年目にして4作目のアルバム『Good Times』を発表する。リード・ヴォーカルのマイちゃんとギターのムラちゃんの二人に、新作への自信とバンドとしての新たなスタート地点を意味する今作について語ってもらった。
 
●新作のタイトル『Good Times』にはどういう意味があるのかな?
マイ:リスナーがこのアルバムを聴く時間が、みんなにとっていい時間になればいいな、と思って。今回はゼロからのスタートというか11人全員で奏でることの意味や重要性を改めて考えました。今までと大きく違うのはメンバーの内6人が作曲を担当して、色々なカラーが自然に出せるようになったことです。
 
●曲作りのプロセスが変わったというのはやはり大きいですか? 前作以降のライヴやツアーが影響してるのかな?
ムラ:特にみんなで今回はこうしようと話し合ったのではないのですが、作品として出すからには、持ち寄った曲の選考はシビアに決定しました。作曲した人のイメージに近づけることが多かったけど、丸投げ丸受けではなくて、それぞれのパートに関してもっとお互いに踏み込んで完成させていった、またそういうことができるように成長したなと感じます。レコーディングも終わりの方になって「おっ、これは今までとは違う」という達成感を実感しました。
 
●今回のアルバムはリリースするタームも早いし、より完成度が感じられるので、レコーディングもスムースだったのではないかと思っていましたが。
ムラ:実は今回、今までの中で一番時間がかかりましたね。練習スタジオに楽器を持ち寄っても結局ミーティングで終わってしまうようなこともありました。それほど曲に対して集中する気持ちは、前以上にシビアでしたから。今回はかなりハードなスケジュールで制作したにも関わらず充実したレコーディングでした。練習スタジオが変わって話し合いしながらじっくり時間をかけて曲のアレンジを考えていけるようになったのも大きいし。コーラス・ワークも今まではおまかせ的な感じだったけど、僕の中では作ってる時点で出来上がりの形が頭にあるからより綿密に指示を出して。その中でまたそれぞれのカラーが出てくるし。
 
マイ:うまく言えないんですけど、これまでは曲の最初から最後までをレゲエっぽくしようと意識してた部分があったけど、もっと自分達が影響を受けた音楽のエッセンスを出していけるようになったと思います。
 
●メンバーも多いし、作曲で苦労する部分は多い?
マイ:これまで通り、曲/メロディが先行するので、あとで歌詞を考えていくのですが、作曲者だけとのやりとりだけでなく全員と「ここはこれでいいのか?」みたいなより深い関係で歌詞も考えていけるようになりました。歌詞作りに関しては今回も悩みましたよ、もう逃げ出したくなってしまうくらい(笑)。前作は収録曲の雰囲気がヴァラエティに富んでいた分、ラヴァーズだけじゃないバグダッド・カフェ・ザ・トレンチ・タウンみたいな気負いも確かにあったけど。今回は曲に対して柔軟に向かえあうようになったと思います。
 
●シングル曲「Sunshine」はまさに夏のレゲエ・ソングという感じですね。
マイ:そうでしょ? この曲は一番最後に完成した曲なんですが、夏にドライヴに行く時、まずカシャっとCDを入れて鳴り始めて欲しい感じですよね。もう最高に夏です(笑)。アルバム最後の曲「Welcome Home」は夕方、もう帰らなくちゃ…な感じ。で、また最初から聴き返して欲しい。私はとにかく夏が大好きですし、これを今年の夏の野外フェスとかで歌えるのがもう嬉しくてしょうがないです(笑)。
 
Good Times
Bagdad Cafe The trench town
[Victor/ VICL-62029]

Hibikilla & Goki / Criss Blood

Hibikilla & Goki
Criss Blood
  
Interview by Minako Ikeshiro / Photo by Andrew Cotterill
 

続々と力作が到着している日本のダンスホール・シーン。その中でも、近年現場を沸せ続けたこの2人のアルバム・リリースは“待望”と言っていいだろう。HibikillaとGoki----そのキャリアを振り返りながら、充実の仕上がりとなった2作品をチェックしてみよう。
 
まず、東京でもっともイキの良いハードコアDJとして「100列拳」などのヒットをトバしてきたHibikillaから、いきなりのメジャー・ファースト・アルバム『No Problem』が到着。彼が初めてマイクを握ったのは高校の文化祭で、「全校生徒数百人の前で誰も原曲を知らないであろうバウンティ・キラーの“Celluler Phone”をモブ・ディープ“Shock Ones(Pt.2)”のオケに乗せて歌ったときです。今考えてもこれはハーコーに過ぎますね」というから、根っからのハードコアDJだ。上京を期に本格的な活動をスタート、99年にはKen-UやSoldierらも出演していたダンスを主宰するようになる。
 
「DJもサウンドもとりあえず毎回クラッシュ。やっぱ若い頃の無茶はするものですね」
 
その後、Zeebraも所属するマネージメント・オフィス、Solomon I & I Productionとの出会いを経て、今回のアルバム・リリースとなった。「サウンド面では、中途半端に他のジャンルの要素を採り入れてしまうとそれはそれでミクスチャーというものに分類されてしまうので、ハーコーなド真ん中のレゲエ・サウンドに拘りました」という今作には、Ken-UやHan-kun、Rudebwoy Faceといった同世代アーティストから、Zeebraやタービュランス(!)までが参加している。そのなかでもっとも耳を惹くのは、タフなノドを活かしたHibikillaのDJイングそのもの。社会情勢をバッタバッタと切り捨てたりもする話芸の豊かさも、政治家とのディスカッションもこなした経験のある彼ならでは力強さが漲っている。
 
「いわゆるギャル・ネタ、ガンジャ・ネタ、 ダンス・ネタ、サウンド・ネタなど定番ネタを一切やっていません。より自由でありながら、思想的、思索的なメッセージが多いですね」
 
読者へのメッセージを求めると、一言「革命」。伝えようとするテーマとハードコアな表現スタイルが高次元の融合を見たこのアルバム、かなりの破壊力を持った一枚である。
 
続いて紹介するのは、湘南~横浜を拠点に活動するGokiのファースト・アルバム『ごきげん』。各地のダンスでも支持率上昇中、まさにナイス・タイミングでのリリースである。そのGoki、今作にも参加しているInfinity 16の交流を経て、一時期は湘南乃風の一員としても活動していた。だが……「メンバーのみんなと一緒にやりたいっていう気持ちはスゴくあったんですけど、自分なりのレゲエを追求したかった。Gokiという人間をアピールしたかったんです」という理由から単身ジャマイカに渡り、1年半ほど現地での活動を体験。帰国後に出会ったのが、今作のプロデュースを手掛けたRude Fish MusicのI-Watch(Home Grown)とMakochingだった。
 
「お互いのヴァイブスがビンビン伝わってきて、この人たちとやりたい!と思った。オレのほうから“曲は書きますのでアルバムを作りましょう”ってお願いしちゃいました」
 
自身のヒット曲「ゴキ源」をもじったタイトルを冠し、Rude Fish Musicが制作した温かみのあるリディムも心地良い今作、Gokiという男の等身大のキャラクターはそのままに、その中にMunehiroを招いた「Dance☆Dance☆Dance」のようなダンス賛歌、“Scoobay”リディム使用の「Sukebay」のようにジャマイカの流行を意識したジョグリン、「I Need...」のようなラヴ・ソング、「かさぶた」「くつした」のように独特な言語感覚を駆使したチューンなど、多彩な色合いに彩られている。そこには、DJとして「基本はお客さんに楽しんでもらうこと。んで、その中にオレの伝えたいメッセージを織り込んでいくこと」を大切にしているという、Gokiの“現場感”がしっかりと息づいているのだ。「みんなにメッセージが届くようがんばっていきますのでヨロシクです!」と話すGokiにとって、今年は飛躍の年となるに違いない。今作はそう確信させるほどの出来なのだ。ぜひぜひチェックしてほしい。
 
No Problem
Hibikilla
[Pony Canyon / PCCA-02285]


ごきげん
Goki
[Spice / RFRD-001]

Ryo the Skaywalker

Ryo the Skaywalker
  
Interview by Toshiaki Ohba / Photo by Hiroshi Manaka
 

昨年夏にリリースされた『Come Home』を引っさげて行われたツアーのファイナルを収めたDVD『"Come Home Tour 2005" Final At Osaka Big Cat』とCDシングル「晴れわたる丘」を8/2、同時リリースするRyo the Skywalkerに、この一年間、そして気になるその後について話を聞いた。
 
●昨年『Come Home』リリース後のソロ・ライヴを完全パックしたDVDがリリースされましたが、大阪でのライヴは160分間ぶっ通しだったそうですね。DJ一人でこれだけのショウをするという事はどういう事だと思いますか?
Ryo the Skywalker(以下R):自分としても挑戦でしたが、自分の理想以上のものを見せれたと思います。それも全てHome G、V&40 Horns、恐山、Takafin&Mikaちゃんなど、ゲストやスタッフ全員に支えて貰ったお陰です。最大尊敬!!
 
●懐かしの曲から『Come Home』収録曲まで織り交ぜての、正に“The Best Of Ryoという選曲ですね。このショウを観ればダンスホールの楽しさの殆どを体感出来るという…。
R:とにかく出せるものは出し切る事ができたんで、楽しんで貰えると思います。勿論、現場の雰囲気を味わうと更に良かったりするので、未体験の人は各地のダンスに足を運んで欲しいです。ステージショウでもサウンドプレイでも。
 
●『Come Home』リリース後の一年間でソロ及び参加した作品について一言ずつお願いします。
R:「Give Thanks」(Home Grown feat. Pushim, Moomin, Ryo the Skywalker, Turner, U-Dou& Platy)。Home Gプロデュースによる沖縄のイヴェント「Japan Reggae Festa 2006」のテーマ曲。こういう沢山のアーティストによる楽曲が多くあるのもレゲエならでは。やっててもオモロいです。
 
「No Time Fi Waste」(Ryo the Skywalker)。Sunsetのレーベルからの7"。「Seize The Day」の後だったんでイケイケを作りたいなと思ってる所に、前々から頼まれていたこのリズムに乗せさせて貰いました。Bam Bam、DizzyにBig Up!!
 
「悲しみにさよなら」(Moomin & Ryo the Skywalker/Moomin『Adapt』収録曲)。初のMoominとのコンビが叶って嬉しいです。しかも安全地帯のあの曲にDJつけれるなんてやったー、といった感じで速攻参加させてもらいました。
 
「Win And Shine」 (Ryo the Skywalker, Minmi, 湘南乃風, etc.)。コナミの有名なサッカーゲーム「Winning Eveven 10」のテーマ曲。自分も相当昔から遊んでいたゲームなんで、これまた気合い入りました。実はキックオフからゴールまでを描写してみたんですが、与えられた16バースを大幅に超えてしまいお蔵入りに。溢れた分はまたどっかで披露したいです。
 
「One Big Family」 (Chozen Lee & Ryo the Skywalker/V.A.『Life Style Compilation Vol.2』収録曲)。これまた初の、Chozen Leeとのコンビ・チューン。周りからのリクエストが多かったんでプレッシャーでしたが、Leeともだいぶ長い付き合いなんで、「大木」というテーマ通りに、いい感じにリラックスして制作できました。Respect To Mighty Crown Family!!
 
「Mr.Misunderstand」(Jumbo Maatch, Ken-U & Ryo the Skywalker/Mighty Jam Rock『We Run Tings Tings Nuh Run We』収録曲)。久々の怒りの曲でした。大阪でのマイジャのイベント「Dancehall Rock」で、初披露しました。
 
●心機一転、Riddim Zoneに移籍しましたね。
R:2年間程、メジャーから離れて自分達だけで『Come Home』をやりきれたんで、その芯を残しつつメジャーで再びやりたかったんです。そこへきて、昔からお世話になっていた方からのお誘いで、今回新たにRiddim Zoneという大きな受け皿まで用意して貰ったんで。あとに本気のレゲエ人がもっと続いて来れる様に頑張ってみたいと思います。
 
●ミディアム・チューンの新曲「晴れわたる丘」ですが、まずこの素晴らしいトラックは誰が制作したのですか?
R:大阪のAkio Beatsという友達が作ったトラックで、凄くセンスのある人です。このビートも聴いて一発でやられました。そこに自分の希望でHome GのTancoさんにベースを弾き直して貰い、Noda-Chinにギターを足して貰いました。因みにミックスはSteelyです。
 
●情景描写、そして心理描写が素晴らしい。
R:それはまずこのリズムと、ぽっかりしたギターフレーズのお陰かも? 聴いた時に空と雲と丘の情景がバーッと来ましたね。Windowsの起動画面が一番イメージ近いです(笑)。サビの部分はその時に即出来ました。いつもですけど、いかに自然に韻を踏んでいくかと「ネガティヴのポジティヴな面」みたいなテーマというかバランスに気を使いました。
 
●「Marching For Freedom」は?
R:特にまだレゲエに出会ってない人、出会い始めて入口の人に向けて作りました。日本のレゲエ・シーンもまだ土台作り段階だと思いますが、逆に言えば全員で今から成長していけるジャンルだとも言えます。オレもレゲエを知らんかった“イチから”に戻ってみて、そういう人に俺なりのオモロさを伝えようと思って出来た曲です。
 
●今後の予定/展望を教えて下さい。
R:10月にBush Hunter Presents 『How To Hunt In The Bush 2』を発売予定で、目下制作中です!! 今回もビックリするほど危ないメンツで3Wayアルバムお届けします。
  
Come Home Tour 2005" Final At Osaka Big Cat
Ryo the Skywalker
[Riddim Zone / RZBD-45429]


晴れわたる丘
Ryo the Skywalker
[Riddim Zone / RZCD-45428]

Megaryu / 我流旋風

Megaryu
我流旋風

  
Interview by Kazuhiko "Hico" Maeda / Photo by iGa-c
 

ヨコハマタイヤのCMソングとして起用された「Day By Day」は、ジャンルの枠を越えたヒットとなりMegaryuの知名度も全国区へ。ツアー「我流旋風」もスタートさせ、満を持してニュー・アルバムをリリース! 「Day By Day」を始め、ミディアム・バラードから熱くさせるダンスホール・チューンまで、我流旋風を巻き起こす!!
 
●今回のアルバム・タイトル『我流旋風』とは?
Ryu Rex(以下R):最初に「我流旋風」というライヴ・ツアーの名前が決まったんですよ。メガリュウの我流と、旋風を巻き起こすみたいな。それでCDタイトルにも同じヴァイブスでって感じで。
 
●前作も4文字でしたよね。
Mega Horn(以下M):『上昇気流』も長い間聴いててもらってて、同じような流れでいけたら良いなって希望はありましたね。
 
●前作の反応で何か感じさせるものがあったって事ですか?
R:前作もそうだし、「Day By Day」もクラブに来る人とか、ラジオ聞く人とか、CDショップに行く人には聴いてもらったりできたんですけど、今回CMでTVとか流れたりして。CD買わないけどTV観て知ってくれた近所の叔母ちゃんとか、普通におかんの友達の娘さんとか、今までにないファンの人に曲が届いたことで、今回の『我流旋風』を作るとか、言葉の責任とか、自分達が成長しなきゃって言う責任は凄い感じましたね。
 
●今回のアルバムで特に思い入れのある曲って?
M:う~ん。どれも思い入れはありますね。
R:「この先もずっと~Brother & Sister~」って。僕の兄貴もメガ・ホーンの妹も結婚してるんですよ。その立ち位置から書けることを書いた。高校の時、よく兄貴の服を勝手に借りて、着たりしてたんですよ。そういう歌詞とか自然に入ってたり。友達からは、兄貴のことだってすぐ分かるって言われましたよ。
M:昔は妹と仲悪かったんですけど。今こうやってお互いの兄妹が結婚して、離れて暮らすようになったからこそ書けた曲です。
 
●お互い兄妹にも聴かせた?
R:泣いたらしいっすよ、お互い(笑)。兄貴に聴かせたらそん時は泣かなかったんですけど、後で兄貴の嫁に訊いたら、家で一人で聴いてて…。
 
●他の曲はどうです?
R:「懐メロ」と「心のオアシス」っていうのは、僕がみんなにメールで質問したのをまとめた曲なんですよ。「懐メロ」だと「思い出の色って何色?」って。「心のオアシス」は、「自分の心のオアシスは何?」って一言だけ送って。色んなの帰ってきたんですよ。それで“場所”っていう言葉でまとめたりとか。聴く人によって置き換えられると思うんですよ。それが家や恋人だったりだとか。そういうの面白いですよね。意図してない感覚を、リスナーの人って感じたりしますもんね。あと面白いのは「かんちGuy」。
M:遊び心のある曲もないとメガリュウじゃない気がしますしね。
R:これ、メガ・ホーンの実話!
 
●えっ! そうなの?
M:僕もネタをメールで集めたりしますから(笑)。
R:けど、結構実話やん!
 
●色々と話を聞いていると、二人ともよく周りを見ているなと思いますけど。
M:たくさんの人に届けられるメッセージ性のある歌を送る。それをストレートに自分らのレゲエとして表現していけたらなって思います。
R:今回「我流旋風」のツアー、名古屋やったんですよ。凄かったですよ。負けそうになりましたもん。フロアからの熱気に。
M:こいつ、泣いとったもん。
R:いや、汗、汗(笑)。
 
●では読者にメッセージを。
R:曲聴いてもらってライブに足を運んでもらいたいですね。歌もそうだしダイレクトに伝えられるところだと思うし、出てくる言葉も違うし。
 
●これからの目標は?
M:大きい目標よりも、今やっていることをドンドン大きく出来ればと思いますね。
R: ライヴやりながら色んな課題を見つけて考えていきたい。今回の作品の良いことも悪いことも耳に入ってくれば、そこから何か見えてくるだろうし。そんな風にやっていければ良いですね。
  
我流旋風
Megaryu
[Cutting Edge/ CTCR-14487]

Munehiro / UP and COMING

Munehiro
UP and COMING

  
Interview by Thunder Killa
 

本誌では初登場となるMunehiroだが、ジャケット写真を見れば誰もが分かる国民的とも言える程の有名人。しかし、本名でレゲエ作品をリリースしていることはあまり表には出しておらず、タレント活動としてではなく、いちレゲエ・アーティストとして捉えて欲しい、との思いからだと言う。なぜ彼女はレゲエを唄う事に必然性を見つけたのか、興味深く、面白い話を聞く事ができた。
 
●まずレゲエにハマったきっかけから教えて下さい。
Munehiro(以下M):きっかけはNanjamanなんです。19歳位の時に貰ったテープがあって、丁度『Bumper Hit』の頃で、そこからジャパニーズ・レゲエを凄く聴いたんですよ。4~5年前にライヴを観に現場に行って、どんどんのめり込む様になったんです。
 
●じゃあ現場にはよく行かれるんですか?
M:しょっちゅう行ってます(笑)。今は本当忙しいので週に1回ですけど、酷い時は週に3日行ってる(笑)。
 
●その後、2回渡ジャマされたそうですね。
M:一番くらったのはやっぱりダンスと、どこ歩いててもレゲエが流れてる環境。あと音楽が凄いパワーを持っている所、音楽の力で皆の価値観が変わっちゃったりとか。日本もそうなれば素敵だな、と思いますね。ジャマイカは現実にそうなっちゃってる国だから。
 
●そんな中で、今作にも収録されている「ジャパニーズ」の様な“日本人讃歌”が生まれたんですね。
M:こういう曲は書きたかったんです、絶対。でも表現を間違っちゃうと、間違って伝わったりしてどうなんやろう、って。丁度今回WC杯のタイミングもあって、若い子達にも軽く聴いて貰えるかなって。日本人は凄くいい民族だと思うんですよ。外の事を受け入れながら自分の文化を大事にしてるって。只、その風習が変わってきているって凄く思うんですよ。憧れの対象が外国人になっちゃってるのが凄く良くないって気がして。文化を取り入れ過ぎて皆日本人だっていうのを忘れてると思って。
 
●「Burn Babylon」も実にレゲエらしいテーマですね。
M:録ったその日に捕まったんですよ、警察に(笑)。他の曲録るつもりでスタジオに向かってて、気分良くIrieな曲やろうと思ってたら捕まっちゃって、スモーク貼ってただけで、貼ってないと色々大変だからって説明しても「決まってるからイカン」って。凄いムカついて「今日は出来ない!」ってなったんだけど「だったら、それを歌にしてみれば」って言われて2時間位でムカつく思いを(笑)。今回はこういう曲は入れないで、もっと楽しさを追求しようと思ってたのに。
 
●作詞作曲から、ゲストの選出(Kenty-Gross、Ken-U、Loskalibres、Goki)、オケの選択も含めてセルフ・プロデュースですが、よく時間がとれましたね?
M:大変でした(笑)。だからアルバム作ってる期間はお仕事休んでました。やっぱり音楽って2時間で終わりです、ってもんじゃないじゃないですか。自分が良い状態じゃないと出てこないし、仕事してたらそっちに気とられるから。
 
●前出の2曲以外は楽しいダンス・ホール・チューンばかりですが「Outro」での独白も印象深いですね。この音楽に関わる動機が現れていると言うか。
M:言った一言が間違って捉えられる事が凄く多くて。いつも誰に会っても、この人信頼出来るのかな? ちゃんと自分の事見ようとしてるのかな?って思ってて凄いストレスやったんですけど、それを音楽でちゃんと出せて、自分の好きな物はこれで、言いたい事はこれでってのがちゃんとあれば他で誤解されてもいいやって思えるようになって。で、本当にナチュラルな自分を出したいと思って本名をアーティスト名にしようって。
 
その時々で思った事を自分の言葉で10年後も書けたらいいし、20年後もレゲエを歌えたらいいなって思って始めたんで、それを少しずつアルバムに入れていって、何でレゲエを歌ってるのか分かって貰えればいいなって。でも私、そんなに分かって欲しいって思ってない、って言うと語弊があると思いますけど、始めて1年、2年じゃ分かって貰えるとも思ってなくて、5年、10年と歌った時に認めて貰えればいいなって。自分がこんなに頑張ってるんだからチェックして下さいとか言うのも違うなって思うし。『Riddim』読者が私のアルバムを聴いた時に「これオモロいやん」って一個でも思って貰えればいいなって思いますね。
  
Up and Coming
Munehiro
[Nobrand / Shining Star NBCDG-1023]


 

Machaco

Machaco
  
Text by Mitsugu Bizen / Photo by Brian Nejedly
 

とってもいいアルバムだ。レゲエが心底から大好きなシンガーが、長い間あまたの名曲に酔い、柔らかな心を震わせながら、そして自分も歌ってきたという心意気が、すべての曲からヒシヒシと伝わってくる。そんなところが美しく、尊い。
 
このアルバムについて、まず僕が感銘を受けたのは、マチャコ自身のセルフプロデュースという点だった。お膳立てが整った状態ではなく、全て自分の采配で作品を創作するのは、その苦労に比例するように、作者の心構えや気合、あるいは作品に対する想いの込め方に並々ならないものがあるはずだからだ。
 
マチャコはなぜ、そんなイバラの道を選んだのだろうか?・・・・。
「歌だけでなく、創りたいアルバム全体のイメージがまずあったからです。リディムからミックスダウン、それにメロディからリリックまで、こんな日本のレゲエがあったら面白いだろうなっていう構想があって、それを自分の出来る範囲で実現したかったんです」
 
そして、そのために彼女は、日本で雛型をまず作って、それをジャマイカのミュージシャンを起用してオーバーダブ、そしてようやく完成という、いわば二重の手間をかけた。この手間にこそ、彼女のこだわりがあり、このアルバムの意義があるのではないか?
 
「まず単純に、尊敬するミュージシャンと一緒に曲を創りたかった。いつも、どうやったらこんな凄い音が生まれてくるんだろう?って想像してきたことを、自分の目と耳で体験したかったし、彼らの息吹をぜひとも入れたかった、というのがまずあって。だから、ジャマイカで全部録音することも考えたんですが、それだとどうも何か足りない音になりそうで・・・。足りないというのは、もう一手間かければ、もっと良くなるのに、という意味です。その一手間をかけられるのはやはり、リンクのあるミュージシャン同士じゃないと出来ないと思いました。そんなわけで、雛型となるリディムは、日本サイドの森さんにお願いしました。細かいフィーリングやニュアンスも伝わるし、信頼できる人だから」
 
と、マチャコは言う。そうしたこだわりには、彼女のレゲエへの深いリスペクト感を感じる。さらに言えば、歌い手としての自覚と同じくらいレゲエファンとしての姿勢を色濃く感じた。
 
そんな感覚を具体的に言えば、彼女自身のアイディアとなる「Truly」で使われたアビシニアンズの70年代の名曲「This Land Is For Everyone」を大幅にアレンジしたリディム。これには驚いた。それに、ジュディ・モワットが歌ったヴァン・モリソンのカヴァー曲にインスパイヤされた「I Shall Sing」でのスプラガ・ベンツとの絶妙な共演。さらに「Let The Power Fall」の導入部でのマックス・ロメオのフレーズなどが挙げられる。これらは、その元ネタを知らない人にもキャッチーなだけでなく、かなりのレゲエ通をも唸らせる聴き所だろう。
 
そして、使われたリディムも曲も詩もすべてひっくるめて、個人的に最高に胸に来るものがあったのは、このアルバムでは最もダンスホール色の濃い「Machaco Again」だ。厚みのあるゴージャスなホーン陣が強力な“ヘヴンレス”リディム。レゲエのトラックとしては、定番中の定番。もう誰もが・・・というリディムの代表。しかしそこが諸刃の刃で、耳慣れたリディムなだけに、歌い手にレゲエ独特の言葉にならないフィーリングが身体に沁みていないと、形にはなっても、どこか違う、なにかヘン・・・さらにそこに日本語を乗せようものなら・・・一歩外すと、ダサさ満開。にもかかわらず、この危険なリディムを乗りこなし、ゆるぎない安定感でもって、威風堂々の日本語の歌で疾走しきれるのは、レゲエ・シンガーとして誇ってもいいのではないかと、つくづく思った。
 
「マチャコ、やるやんけ」
  
Truly
Machaco
[Speed EX / SX14-0003]

Rhettmatic & J-Rocc / Beat Junkies

Rhettmatic & J-Rocc
Beat Junkies
  
Interview by CB ishii / Photo by EC
 

5/10がBeatJunkiesのRhettmaticのバースデイで、この日にめでたく1stアルバム『観世音!ディグラー』をリリースしたのが真衣良。その5日後には渋谷のオルガン・バーでリリース・パーティが開かれ、そこにはLAからRhettmaticとJ-Roccが駆けつけた。
 
●ターンテーブルを始めたきっかけは?
Rhettmatic(以下R):Hip Hopに出会う前はグラフィティをやってたんだ。あの頃はブレイクダンス、DJ、グラフィティ、カー・ホッピングのどれかに皆がハマっていた。その内DJに興味を持ち始めて音楽が好きだと分かって始まったんだ。確か1984年頃だと思うよ。
J-Rocc(以下J):俺は仲のいい友達がDJをやっててターンテーブルを持っていたんで始めたんだ。それまではブレイクダンス、ラップ、ビートボクサーなんかをやってたけど、DJが一番だと思って続けたんだ。
 
●クラブでDJプレイをする時はやはりヴァイナルが多いの?
R:そうだね、ヴァイナルが殆どだけど、最近は僕らBeat Junkiesはソラートというプログラムをよく使うよ。ヴァイナルが好きだから、CDは使わなければいけない時だけって感じかな。
 
●他にソラートを使っているDJはいるの?
R:コンベンションで見た事はあったけど、初めて使っているのを見たのはジャジー・ジェフだね。最初は抵抗があったけど、ヴァイナルとCDだけでは限界があるし、ソラートのお陰で僕らがやりたい事が出来ると分かったんだ。オプションが広がったと思うよ。その時はDJ Revolution、A-Trakも一緒だったよ。
 
●Beat Junkiesはどの様にして生まれたんですか?
J:クラブやハウスパーティでDJをしていたんだ。その内RhettmaticやMelo-Dと会うようになって…。
R:そうそう、僕らは、クルーは違っていたんだけど、ほぼ同じルーティーンでDJをしてて、仲間が辞めたりして残った僕らが一緒につるむようになったんだ。
J:俺とRhettmaticは地元が近かったけど、エリアが違うから周りの奴らが「あそこにヤバいDJがいるからバトルしろよ?」って言われたりもしたけど、バトルは起きず会えば挨拶するとても良い友達になって、暫くしてクルーを作る話が出てきたんだ。別にDJだけじゃないよね。君もスケートしていたらよく滑るクルーがいるでしょ? 気の合うホーミーのクルーさ。
 

  
●誰がBeat Junkiesって名前を考え出したのですか?
J:まだBeat Junkiesの結成前に俺達が回し始めたクラブがJunkっていう名前だったけど、どこからビート・ジャンキーズってのが出てきたのかな? まだビートを作っていない頃だけど。
R:それでJ-RoccがBeat Junkiesっていうクルーを作ったから入らないかと誘ってきて、勿論、OKさ。92年位かな。
  
●じゃあ誰が一番ビート・ジャンキーかな?
R:うーん、個人的にはJ-Roccだと思うなぁ。俺達もレコードはよく掘っているけど、彼が一番だよ。今週末にしたって俺はただ自分の分をチェックしてただけだけど、J-Roccはミッションが課せられたみたいに掘ってたから間違いない(全員爆笑)。
 
●トラックを作る時に何の音を一番始めに探すの?
R:曲にもよるけど、良い音楽を作る事が前提だから、筋の通った聞き易くて頭を振ってくれる様なものを目指してる。
J:まずはドラムから探していってアルバムをフルに聞いたりしてループできそうな所を探したり、とにかくいい音だと思うのを見つけて、そこから作り始めるよ。ハウスのトラックだって作るしね。
 
●Rhettmaticは真衣良のアルバムで2曲プロデュースしていますが、彼女の印象はどうですか?
R:素晴らしいと思うよ。日本語だから意味を訳してもらってからやったよ。完全には分からないけど、ビートにきちんと合ってラップしてる。リリックが分からなくても良い音楽というのはユニバーサルだよ。
 
●今後の予定を聞かせて下さい
R:良い音楽を作ってDJをし続ける事。月に一度LAのクラブで僕らとRakaaでイヴェントをしている。J-RoccはStones Throwからソロ・アルバムが出るしな。BabuはExpansion Team Sound Systemとして忙しいし、Melo-Dはラジオでレギュラーだ。でも、Beat Junkiesでアルバムを作ろうと思っているんだ。
J:俺はアルバム以外にMadlibとツアーに廻るよ。色々なトラックを作ってBeat Junkiesの名前をもっと有名にする。クラシックだと言われるような音楽を作って、俺達がDJを始めた頃から有名だったケニードープ、ジャジー・ジェフ、アフリカン・バンバータや、オールドスクールのレゲエ・アーティスト達でもこっちに来ても会場をロックしてるでしょ? そんな人達になりたいね。

Ruffn' Tuff vol.1

Ruffn' Tuff
  
Interview by Riddim / Photo by Masataka Ishida
 

『Ruffn' Tuff(ラフン・タフ)』というジャマイカ音楽のドキュメント映画をECが作っている。どんな内容なのか? 「内容が無いよ!」なんてオヤジギャグをかまされそうな気もするが、ここは取りあえず勝手にしゃべらせてみよう。ジャマイカにヤラレて26年、もはや再起不能ですから、ここはひとつ大目に見てやって下さい。
 
●なぜ映画を作ろうなんて思ったんですか? きっかけはあるんですか?
EC:なぜ? う~ん、それはず~っと漠然と思っていた事だね。80年代終わりから色んなジャマイカ人と飯を食って、レコーディングしてきて、ジャマイカの音楽のパワーの源について興味を持った結果だね。それとSkaやロック・ステディを誰がクリエイトしたのかをずっと色んな人に尋ねてきて、自分なりにまとめておきたいというのがどっかにあったかもね。だって、「Skaはオレが作った」とか、「ギターから生まれた」とか言ってる人がいたしね。例えばずっと前にフルトン(ブルックリンのコクソン・ドッドの店のある所)でコクソンに訊いたら「オレだ」って言ってたしね(笑)。トミー・マクックにスカタライツの名前の由来を訊いたら「Skaが流行っていたからSkaと当時一番の話題だった人工衛星(サテライト)に因んでつけた」って言ってたから、Skaを作ったのはスカタライツじゃないってのは知ってた。Skaを流行らせた重要なグループではあるけどね。
 
●それだけ?
EC:いや実は違う。3年位前に行ったキングストンでグラディ(グラッドストン・アンダーソン)にヴィデオ・インタヴューしたんだ。そしたら彼が「2年前に大病して、もう思い出せないよ、勘弁して」って、翌日、自分が昔ラジオ番組に出演してジャマイカのヴィンテージ・ミュージックについて語っているCD-Rを持ってきたんだ。そうか、みんな忘れちゃうな、死んじゃうなってマジで思った。そうしたらコクソン、オーガスタス・パブロ、ローランド・アルフォンソ、トミー・マクック、デニス・ブラウン、デルロイ・ウイルソン…どんどん亡くなってると。これだけ楽しませてもらってるジャマイカの音楽の起源について誰かナマの話を訊いておいてくれ、もうみんなヤバいぞってね。勿論、ジャマイカ人がやるのが一番いいし、ダメでもイギリス人かなって思ってたんだ。そんな事がずっと頭の中にひっかかってる時に今回のプロデューサーの(今井)ミミちゃんにGary Panterの来日パーティ(BAPEギャラリー)で10年ぶりに会って話したら、マジでプロジェクトをスタートさせてくれた。
 
●ジャマイカで撮影したんだから苦労もあったでしょう?
EC:何にもないね。編集も撮影もアルティコの上山君と松田君がやってくれたし、近衛さんていうキャリアのある人も同行してくれたし、NYからソニー(落合)が来たり。写真は石田昌隆さんだし、スタッフは完璧でしょ? しかもホントのドキュメント。撮影する予定は前日の夜に決めるか、朝決めてた。予定したってその通りに行かないのがジャマイカだから、フラストレーションが溜まらないのは、予定しないで幾つかのアイディアを頭に置いといて「今からこいつの所に行きます」って、オレは運転手やってた。
 
●でも、予定が狂うじゃないですか、あの国は。時間が全く止まっちゃう時があるっていうか日本とは違うサイクルで物事が進行する事が…。
EC:だから雨が降ったら雨を撮りに、予定が吹っ飛んだらロケハンかプールか飯って調子。
 
●それじゃいつまで経っても終わらないですよね?
EC:ところがどっこい、イギリスにいるはずのアルトン・エリスもプリンス・バスターもキングストンにいたんだよ。以前はカリフォルニアに住んでたストレンジャー・コールとU-ロイも。マイアミからはボブ・アンディも。向こうからこのプロジェクトのために近よって来てくれていたな(笑)。頼んだって無理な人達だよ。スタッフもひっくるめてこういう千載一遇の出会いがあってこそいい仕事ができるわけだね。すげえだろう。先日U-ロイが来日したけど、その時にこのヴィデオを観せたの。そしたらすっごく喜んでくれた。
 
●Blood & Fireのスティーヴ・バロウも一緒に来てましたが。
EC:ハハ、それだよ。彼もその時ちょこっと観ただけで「イギリスでは公開しないのか、ヨーロッパは?」って。特に動いてるキング・タビーの映像にはぶっ飛んでたね。だってその直前にキング・タビーの事をインタビューされてて、その後でオレのヴィデオでキング・タビーを観たんだからな。ヤバかったんじゃない? U-ロイもタビーが死んで以来、初めて彼を観たって言ってたし。
 
●しつこいですが、ホントは何か苦労があったんじゃない?
EC:そう、実はね、音源が使えないってのが一番辛かったね。その当時の音源を使おうとしたらすごい金額を言われたり、某イギリスの有名レーベルは噂通りメチャクチャいい加減だった。このレーベルの事はスティーヴ(・バロウ)も「モラルがない、仕事をしたけど反省してる」と言ってたな。アーティストに金が払われないんだったら、この映画の精神にも反すると思ってオリジナル・アーティストに再録してもらった。再録した方が金を払えるって事でU-ロイ、ストレンジャー・コール、グラディ、(スカタライツの)ジョニー・ムーアとはレコーディングした。一人でカナダまでリン・テイトのインタビューがてらレコーディングにも行ったよ。良かったね。たった数十秒のために1週間かけてカナダまで行った甲斐があったね。だってロック・ステディが生まれた秘密が分かったんだから。ついでにエンディングの曲もオリジナルでちょろっと作曲してもらった。いやもう、やりたい放題です。Randysのクライヴ・チンなんてホント気持ち良く曲を貸してくれたし、メッセージまでくれた。
 
● こんな所をチェックして欲しいなんてのは?
EC:日本からはキーボード、ギター、ターンテーブルなどたくさんの楽器を輸出している。でも、音楽というソフトはなぜか輸出できてない。デカく言えばオリジナリティやハミ出し者を許容できないのに、ちょっと変な小泉には80%の支持率があって狂ったようにポスターにサインを求める大衆がいたよね? 今の日本の右へならえ的な気分がイヤだから、そんなとこまで考えてくれたら嬉しいかな。音楽だってワールド・カップのNHKのテーマ・ミュージックなんてガッカリしたよ、オレは。それに比べて地球の反対側のオレ達の国までドルを稼ぎに来れる音楽を作ってるジャマイカ人のオリジナリティには頭が下がりますよ。バカはこんな映画を作っちゃうしね。
 
●制作していて特に注意した点はありましたか?
EC:今さら監督とか映像作家になりたいわけじゃないから2作は作んない。でも、昔は、少しは映像の仕事もやってたから実はすごく細かい奴なんだけど、今回はどうでもいいの、細かいとこは。でも、音楽の出だしとか、言ってる事には注意した。それとできるだけ観光客にならない、だからオレは観光映画は作れない。ただの好き者の視点で作った点かな。しょせん日本人なんだけど、20年も通い続けてるんだからただの観光客じゃねえぞ! ジャマイカ人よ、お前らより知ってる事もあるんだぞ!ってとこだね。 (次号に続く)

2008年1月24日

Home Grown / Respect To The Riddim

Home Grown
Respect To The Riddim
 
Text by Naohiro Moro / Photo by Hiroshi Nirei
 

日本のレゲエ界において絶対的信頼を得ているホーム・グロウンが7/19、4枚目となるアルバム『Respect To The Riddim』をリリース。彼らの足跡を改めて確認すれば、本作がなぜ生まれたかが分かるはずだ。
 
国内最強のレゲエ・バンド、ホーム・グロウン。
 
彼等がそう称される由縁は、単に演奏力が高いとかいったレベルのものではない。それは、90年代末の彼等の登場が、現在のジャパニーズ・レゲエ・シーンの形成を促したといっても過言ではないほどの影響力を有しているからだ。否定の仕様がないその事実が、誇張無く彼等を「最強」たらしめている。
 
ホーム・グロウンがレゲエ界で担う役割とは、通常の概念で語られる「バンド」の活動と大きく異なる。ほとんど全てと言っていいレゲエ・フェスでバックを務め、アーティストからの絶対的な信頼を得、その信頼は音源制作への協力要請へと繋がっていく。そしてそれら一連の活動は、例えそれがホーム・グロウン名義のレコーディングであったとしても、基本的、かつ徹底的に、マイクを持つ者のための行為なのである。そのことが、彼等の最も特異な部分なのだと思う。
 
誤解を恐れずに言うなら、彼等の登場まで、サウンドの現場主体で活動するアーティストと、ここまで多くのリンクを持てたバッキング・バンド(もちろんV.I.Pバンド、ラガマティックスなど、優れたバンドの存在は多く挙げられるが、ニュートラルな立ち位置で、広く、という意味で)が居なかったということだ。そしてそれを実現させたのが、ホーム・グロウンの持つ驚異的な適応力と、完成度の高さだと思う。リハーサルが全然やれてなくても、ホーム・Gがショウを成功させてしまう。少々のトラブルや運営上の不備があっても、ホーム・Gがイベントを実現させてしまう(もちろんこの背景には、彼等に常に帯同するエンジニアリング・スタッフの存在も忘れることは出来ない)。「セレクター感覚でバックを任せられるバンド」。彼等はそのことに対し自覚的だったはずだ。そんな時代の要請に応える形でホーム・グロウンは登場した。そして夏のレゲエ・フェスは全国各地で始まっていったのだった。
 
彼等とシーンとの接点はパパ・ユージとの出会いにあったという。バンドのキーマンであり、ベースのTancoは、当時のことを「ユージと知り合うまで、国内シーンを知らなかったし、意識することすら無かった」と語る。ホーム・グロウンのモデル的着想は、90年代、ジャマイカでのビッグ・ショウのほとんどを取り仕切り、圧倒的な人気を誇ったバンド「サジタリアス」にあると見ることが出来るが、Tancoのヴィジョンは、「そうした存在を目指す」という戦略的思考というより、「いつか日比谷野音で日本人だけでバンド・ショウを」という、もっとピュアな「夢」的なイメージであった様だ。その「夢」の実現のため、彼等は活動を加速させる。
 
パパ・ユージとの出会いを経て、96年頃から、ホーム・グロウンは葉山オアシスから外に出ていく。山下公園の向かいに位置していたライヴ・ハウス、チャリーズ・バー(当時)での定期ライヴ、そしてその定期ライヴのスペシャル版として、横浜のクラブ・ヘヴン(当時)で開催されたイベント「Flex」が彼等を一躍有名にした。そして本格的にショウのバック・バンドとして、彼等を最初に招聘したのは大阪勢だったという。「Slang 98」で、多くのアーティストのバックを務めたのを皮切りに、イベントへの出演依頼は急増。「横浜レゲエ祭」、大阪の「Highest Mountain」、豊橋の「Reggae Festa」、後に日比谷野音での「Soul Rebel」へと発展した川崎クラブ・チッタでの「Ruff Rider」と、彼等がショウには欠かせない存在となるのには時間はかからなかった。そしてその活動は音源制作へと幅を広げていく。
 
幾つかのプロデュース・ワークを経て、02年にホーム・グロウン名義で発表されたメジャー・デビュー・アルバム『Home Grown』は、それまでの彼等の活動が凝縮された、トップ・アーティストのみをライン・アップした内容で、ジャパレゲのクラッシックとして大いに話題となった。そしてオリジナル・アルバムとしては、03年の『Grown Up』、04年の『Time Is Reggae』。この他にもリミックス&外仕事集の『High Grade Works』、サウンド・トラック『鳶がクルリと』、既発表オケを再利用した若手中心のコンピレーション『Clone Of Grown』と、精力的に作品を発表。CDセールスの分野でも、彼等の名は、レゲエ界のトップ・ブランドとなっていったのだった。
 
そしてオリジナル・アルバムとしては2年振りとなる4作目の今作『Respect To The Riddim』である。本誌の名前でもあり、「リズム」のジャマイカ方言である「リディム」とは、アーティストの歌うバック・トラックのことでもあり、レゲエや、音楽そのものを指しても使われる。ショウのバック・バンドとして現在の地位を築いた彼等が、1年のインターバルを空けての今作のタイトルに『Respect To The Riddim』と銘打ったのには、心機一転、「原点回帰」の意味が込められているのだろう。参加アーティストは、プシン、ムーミン、リョウ・ザ・スカイウォーカー、マイティ・ジャム・ロック、ユードー&プラティ、ヨーヨー・C、ジュニア・ディー、パパ・ユージ、H-マン、今野英明らといった、純粋にレゲエ・アーティストのみを起用。これまでのオリジナル・アルバムで必ず企画されていた他ジャンルとのコラボは無くなった。レゲエだけで勝負。
 
メジャー・フィールドとの折り合いを模索してきた彼等の自信と余裕が表れである。それは、2管のホーン・セクションに、ギターのノダチンを加えた9人編成の一発録りで録音された12分以上にも及ぶ、時代に逆行するインスト曲「Zimboo Zin」が、アルバムのラストにさり気なく収録されていることからも伺える。本来、「ボブ・マーリー生オケ大会」のバック・バンドとして、ボブの全曲を演奏出来、アフリカや、カリブ、ラテンまでもこなすことの出来るバンド、というホーム・Gの素顔をチラッと覗かせているのである。これを自信と余裕と言わずして何と言おう。
 
いよいよ本番である。多くの優れた作品に恵まれた豊作の今年のジャパニーズ・レゲエ・シーン。各地のフェスティヴァルの規模の拡大も進み、さらに動員数を伸ばしていくことだろう。地球温暖化を身を持って感じずにはいられないほどの、クッソ熱い熱気の中、今年もレゲエ軍団が列島を縦断する。その原動力、ホーム・Gと共に。
 


Respect To The Riddim
Home Grown
[Knife Edge / Overheat]
初回盤 PCCA-02270 / 通常盤 PCCA-02271

Fire Ball / Sounds Of Revolution

Fire Ball
 
Text by Hajime Oishi / Photo by Dennis Morris
 

Fire Ballから通算5作目となるニュー・アルバム『Sounds Of The Revolution』が到着。“革命の音楽”と題された今作が伝えようとしているものとはいったい……? 今年の夏も各地のビッグ・ダンスへの出演が決定し、ただひたすらに前進し続ける4つの火の玉が語ってくれた。
 
●Fire Ballの前作『999 Musical Express』は、現場対応チューンと全体の物語的構成のバランスをうまく取った過去最高の完成度を誇るものであって、それは彼らのひとつの到達点とも思えるほどのものだった。だが……言わずもがな、コンスタントにアルバムをリリースしながら、なおかつ着実にステップアップしていくのはとても困難なことである。それが例えFire Ballだとしても。
 
「プレッシャー? うん、いいプレッシャーだね。なにか物事をやり遂げるにはそこに苦しみがあって、それを乗り越えてこそ自由を得られるから」(Jun 4 Shot)

「“常に自分のベストを出しつくさなきゃいけない”っていうプレッシャーと戦っている気がする」(Truthful)

小さなハコでマイクを握り始めた4つの火の玉が集結し、より大きな炎の塊となって活動を開始してから長い月日が経った。彼らはその間、あらゆる障壁を乗り越え、その先だけを見つめてきたわけだが、そんな彼らが通算5作目にして冠したアルバム・タイトルが『Sounds Of The Revolution』。

「今年はMighty Crown15周年っていうことで、まず“Revolution”っていう言葉が浮かんだ。俺らが15年間続けてきたことは、今になってみると革命的だったのかなって。テープ一本、小さなハコから続けてきて、ずーっと“Revolution”。理想に達してないから、まだまだこの“Revolution”は続くものだと思う」(Truthful)

内容に触れる前にひとつだけ。この『Sounds Of The Revolution』というアルバム、自身で設定した高いハードルを見事に乗り越えた、これまた過去最高傑作の賛美を送りたくなるような作品である。そんなアルバム・タイトルに込められた意味とは??。
 
「ホントに少しずつでもこの“音”で変わっていったらいいなっていう意味を込めて。事実、俺らもレゲエに出会って人生が変わったし」(Chozen Lee)
 
「いいほうに物事が変わっていけばいいと思う。日本語で“革命”っていうと重たいイメージがあるかもしれないけど、常に良くして行こう、 変えていこうという気持ちが込められている。変わっちゃいけないものもあるけど」(Truthful)
 
彼らの言う変化とは、リスナーの心に訴えかけるものだけではない。Fire Ball自身の変化も、今作において“チャレンジ”という形で表れている。まず強烈なのが、Jumbo Maatch、Takafin、Boxer Kidを招いて7本のマイクで暴れまくる「Deep Redd」。
 
「前から一緒にやりたいと思ってた。ヤツラのレコーディングを見て、やっぱ早いなって思ったね。強力な曲ができた」(Chozen Lee)
 
「遅かったぐらいだけど、やっと迎えられる体制になった感じだね。こっちで大まかな流れを決めて、また直接集まって綿密に話し合いながら進めたんで、満足」(Jun 4 Shot)
 
「現場でファイアーする曲だね」(Criss)
 
また、4人それぞれをメインに据えたソロ・チューン的性格の楽曲の収録もチャレンジのひとつだろう。Sunset The Platinum Soundが持ち寄ったリディムのうえでJun 4 Shotが野太い歌声を聴かせる「Stamina Papa」、Jungle Rootsを従えたChozen Lee主導のゴキゲンなスカ・チューン「カンフー・ファイター」、Truthfulらしいサウンドシステム賛歌「Sound System Man」、Crissがドン・コルレオン制作リディムを軽やかに乗りこなす「Footsteps」……これらの楽曲では、過去ソロや単独の客演仕事でも多くのビッグ・チューンを発表してきた4人が、卓越したソロ・アーティストの集団であることを再認識させられる。
 
「今回のアルバムのひとつの核になってるね」(Chozen Lee)
「前のアルバムから言ってたことだったんだけど、今回ようやくできた」(Criss)
 
また、「俺らも毎回新たに力をもらってる」(Jun 4 Shot)というお馴染みのJungle Rootsが5曲に参加している他、すでにリリース済みのRhymesterとの「Heat Island」やCrissの伸びやかな歌声が一際感動的に響く「Birdman」のニュー・ミックスも収録。全体を通じて過去最高に現場のヴァイブスを注入した印象のある作品となった。
 
「それはあるね。レゲエを創ろうっていう意識のなかで曲がシンプルになっていった部分もあるし、ストレートなメッセージや現場でかかる曲の意識もあった」(Truthful)
 
繰り返すようだが、今年はMighty Crown結成から15年。その最大のピークと言えるのが、やはり横浜スタジアムでの開催となった「横浜レゲエ祭」だ。
 
「自分らの生まれ育った街のスタジアムで15年目にしてできるっていうのは光栄なことだし、だからこそ、これをスタートにして次に繋げていくもんにしていきたい。そのためにも、みんな楽しんでほしいし、マナーをまもって無事に笑顔で帰ってくれれば満足です」(Jun 4 Shot)
 
「……出るからには打つ!」(Chozen Lee)
 
2006年、Fire BallとMighty Crownファミリーのダンスホール・レヴォリューションは新たな局面を迎えようとしている。その瞬間をぜひ耳と身体で体験してほしい。
 


Sounds Of Revolution
Fire Ball
[東芝EMI / TOCT-26045]

Busy Signal / Step Out

Busy Signal
STE OUT
 
Interview by Minako Ikeshiro
 

名前をよく聞くようになったな、と思ったら曲名通り、世界に足を踏み出したのがビジー・シグナル。声よし、リズム感よし、勢いあり。久々に大物を予感させる逸材だ。初来日を果たした2日後に、ニューヨーク→大阪という変則的な状況で初インタヴューをゲット。
 
●一昨日、着いたんですよね? 日本の第一印象から教えて下さい。
Busy Signal(以下B):いいヴァイブをもらっているよ。第一印象は、みんながビジー(笑)。清潔なのがいい。俺はベジタリアンだから、食べ物はちょっと困っているけど。
 
●ニューヨークでは「Step Out」がHot97の昼のローテーションに入っていますよ。
B:ボビー・コンダースとジャバから聞いた。嬉しいね。アメリカではレコード会社と契約しているわけではないし、特別な後押しがなくてそこまで行くのは、純粋に聴きたい人が多いってことだ。ショーン・ポールも「アメリカであの曲は大人気だぞ」って言ってくれたし、頑張った甲斐があったよ。
 
●「Step Out」は「Not Going Down」と同じレネサンが作ったのかと思っていたのですが、実はセルフ・プロデュースなんですね。
B:俺が作ったんだけど、レネサンがプレスしてジャマイカでプロモーションしてくれたんだ。
 
●機材はかなり使えるのですか?
B:知り合いが作ったリディムに手を加えて仕上げた。その時は俺も無名だったし、彼らも無名だったから、曲名を「Step Out」にしたんだ。
 
●彼らの名前を教えて下さい。
B:Equinox。
 
●バウンティー・キラーはメンター(手本となる先輩)と考えていいですか?
B:彼は本当に尊敬している。ジャマイカだけでなく世界で経験を積んで、たくさんのレコードを作って来た人だ。後輩として面倒を見てもらっている。一番インスピレーションを受けるアーティストだね。
 
●ジャマイカではバッドマンDJがもっとも人気を集めるように思います。ニンジャマン、バウンティー・キラー、ヴァイブス・カーテルもそうですが、あなたもそのカテゴリーに入りますよね?
B:今までやってきた曲はそのタイプが多いし、ジャマイカで一番人気があるタイプというのも本当だけど、俺は最近幅広いトピックの曲を言って、ガンや殺し合いばかりをDJしていない。女性や母さん、コミュニティーやジャマイカについての曲も作っている。一つのスタイルや一つのタイプのリリックにこだわりたくないんだ。
 
●バウンティー・キラー以外に好きだったアーティストは?
B:ブジュ・バンタンや、サンチェス、もちろんボブ・マーリーも。海外だったらメアリー・J・ブライジやホィットニー・ヒューストンとか色々な音楽に触れていたよ。DJを追究しているけれど、普段からそればかり聴いているわけではないんだ。自分の音楽もいろんな人にいろんな風に聴いてもらいたいと思っているよ。
 
●ウェブサイトにビジネスは自力でやる方針だと書いてありましたね。
B:インディペンデントで出来るならそれが一番だ。もちろん、アルバムを売るのにはたくさんの作業が必要だから、ヘルプはあった方がいいよ。でも、レコード会社で若いアーティストが搾取されることも多いだろ。
 
●名前の由来は?
B:子供の頃は悪くてさ、母さんについて教会に行くのが嫌だったから、わざと忙しくしてあちこち飛び回っていたんだ。「忙しくて行けない」って理由を作るためにね。まぁ、いつも忙しないタイプで、15才くらいの時も目を離したらほかの場所に行っちゃうし、稼ぎに行ったと思ったら、DJをして帰ってくるって感じだったから、この名前がついた。
 
●どんな子供時代でした?
B:貧乏であちこちを転々としていた。バースデー・ケーキやクリスマス・プレゼントを貰ったことなんてない。母さん一人で、俺のほかに3人の兄弟を育てていたから、大変だった。
 
●だから、サンタクロースの曲(注:「Di Bwoy Santa Claus」)を作ったの?
B:そうだよ(笑)。気に入ってくれた?
 
●いい曲ですね。アルバムには入ってないみたいですが。
B:12月の2週目に作って、シーズンのギリギリだったから、まだあまりかかっていないんだ。次のアルバムには入れるよ。俺の子供時代みたいにサンタクロースとか関係ない状況にいる子供はいっぱいいるから、あの曲は作らないといけなかった。
 
●アルバムの話をしましょう。セルフ・プロデュースの曲も多くて、結果的にエクスクルーシヴなトラックが多いようですね。
B:みんながもう知っている曲ばかりだとつまらないから、頑張って新しい曲を作ったんだ。自分の気持ちをオープンにしていれば、いろんなことが達成できるもんなんだ。寝付けない夜なんか、また曲作りに戻って、言葉を変えてみたり、音を足したり、最初からやり直したりしたよ。正しい言葉を乗せるのが一番大事だからね。自画自賛になるけど、このアルバムは誰が聴いても聴きどころがあるような、いい作品になったと思う。「Step Out」は04年の1月に作って、それ以来ジャマイカで少しずつヒットしていった。特に大きな助けがあったわけじゃないけど、言葉のつなぎ方が新鮮だったから、みんな「何だ、今のは?」って聴き直したくなったんだろうね。俺は誰もやっていないことをしたい。そこに俺の創造力のソースがある。
 


Step Out
Busy Signal
[Victor / VICP-63467]

Nanjaman / Ruff Neck Vehicle

Nanjaman
Ruff Neck Vehicle
 
Interview by Thunder Killa / Photo by Mr.Matsui
 

お待たせ! レゲエのハイ・シーズンまっただ中、2年振り、通算3枚目となるフル・アルバムを完成させたみんなの“兄貴分”Nanjaman。真打ち登場とも言えるこのタイミングでリリースされる新作は集大成的でありながら、自身の進化と進歩が垣間見える充実作! そこで、この夏の予習がてら、新作について本人の言葉を交えて紹介していこう。
 
「Intro」に続いてまずは、オープニングに相応しい、イケイケのジョグリン・リディムに乗せてのダンスホール・アンセム「衝撃」から。「オケが出来たのは一番早かったけど、サビが気に入らなくて最後にレコーディングをした曲なんや」とNanjamanは言うが、前作『Eliminator』収録の「よく振ってくれ」と同様、実は、高速オケは得意なところを見せつける痛快曲。同オケでは他アーティストのリリースも予定しているそうだ。
 
2曲目「Bay Drive」は盟友にしてレギュラーJunior Deeをゲストに迎えた、車好きの2人らしい曲。Daddy-Oのトラックが臨場感を盛り上げる。これもサビに苦戦したそうだが、仕上がりは完璧。
 
続くは以前Home Grownの『Grown Up』に収録されていた「Sound Terrorist」(Vital Mix)。コール&レスポンスも再現されノリも最高に、よりライヴ風な仕上がりとなってここにも収録されている。
 
そして、オケも「イメージ通りに出来た」と言う「Bad Boy」。新しいBad Boyアンセムの傑作と言える出来で、“街のボディ・ガード”たるBad Boyの在るべき姿を歌っている。ちょっとオールド・スクールなヒップホップ・テイストのオケに意外とはまるフロウも心地よい。「ボビー(“デジタル”)がミックスしてくれたら、なんだかジャマイカ風になってん」。この曲を日本でヴォイシングしてる時に立ち会ったのだが、その時の印象とはガラリ変えてきているあたり流石。
 
6曲目はカジノ891レーベルからのコンピにも収録予定の曲でもあるという「Beginner」は、ここではKon "MPC" Kenの超定番リディム "Answer" にて再演。「誰もが最初はビギナー」のリリックもNanjaらしい、力強いメッセージに勇気づけられる人も多いだろう。
 
そしてミックスを担当したボビーが大喜びした、というのが古くからの盟友、Chucky Smartとのコンビネーション「ゆっくり行こう」。「ボビーが一番喜んでミックスしてくれたのが、これと“月明かり”やねん」。その「月明かり」は後で触れるとして、 "Bandelero" オケのリメイクはバッキング・バンドも勤めるDancing Stoneのヒロヒサとヨータが担当。「オケはChuckyのアイデアで、リリックはゆっくり行っとこってテーマだけ決めてて、それぞれ作ってて、Chuckyがウチに来てあわせて作って、明くる日レコーディング(笑)」
 
「中トロ」に続いては、待望の再演となるV.I.Pの'95年リリースのコンピ『志』に収録されていた「Sound Cross The Border」の "Heavy Weight Mix"。この隠れた(?)名曲を(オリジナルは "Swing Easy" だったが)懐かしい "China Town" で! この "China Town" も、この次の「Mi No Like Dem」で使用の "Big Belly Man" も制作は、この手のオケでは無敵のDaddy-O。そしてオリジナルのリリース時、ジャミーズではボビーが全部ミックスしてたらしくスタジオで大いに盛り上がり、当時のシャバ・ランクスやジャミーズの裏話もたくさん聞いてきたそう。その話も披露してくれたが、それは置いとくとして、それにしても自分がレゲエにハマった時代の音を作っていた人間と仕事が出来るという事は、いちレゲエ・ファンとしても羨ましい限り。
 
続く「空手Style」(350 Mix feat. 風林火山)もファンには嬉しい再演だろう。2000年の名コンピ『Bay Squad』に収録された風林火山とのコンビ曲を、多くのリクエストにこたえての再演! 現在はソロ活動が忙しい風林火山の面々だが、兄貴に呼ばれての、久々の顔合わせになったようだ。
 
そして、前出でもあるボビーもお気に入りだと言う「月明かり」は恒例のラヴ・ソングで。Jacob Millerの「Meet Me Tonight」なんて心憎いリメイクに持ち前の歌心を発揮しての“歌”になっているのも聴きどころ。「別れの歌じゃないから、あんまり重いものにしたくなかった」の言葉の通りゆったりとした優しい仕上がりだ。「桜の咲いてた頃にリリック考えに夜中プラついてたら桜が咲いてて、こりゃ、いいやん!って(笑)」
 
最後を飾るのは、スケールの大きな生き物讃歌であり、人間への警告でもある「On The Earth」。Home Grownによる "Lava Ground" のリメイク・オケでのこの曲は、「動物の歌を作ってくれって言われたのがきっかけで(笑)、地球は人間だけが生きてんのとちゃうぞ!って。ちょっと調子に乗ってやってんのちゃうか、みたいな事あるから」。“濱の兄貴”より、もう一歩先に進化/進歩したNanjamanの姿がここにある。「これはなんか速攻できてん。なんか絵が浮かんで。なんか絵の浮かぶみたいなリリックやろ。難しい言葉も使ってへんし」
 
いつもにも増して、この夏は様々なイヴェントに引っ張りだこなNanjaman。このアルバムの中の何曲かがそこで披露されるだろうから、運よくチケットを手に入れた人や、近くでNanjamanのイヴェントがある人は、まずこのアルバムを予習してから本物の兄貴を楽しんでほしい。
 
「やっぱライヴで聴くのとCDで聴くのは全然違うし、やっぱライヴの方が楽しいと思うからヒマな人は是非、現場に来て欲しいね」
 


Ruff Neck Vehicle
Nanjaman
[爆音シンジケート / BSCD-010]

Boy-Ken / Ragga World

Boy-Ken
Ragga World
 
Interview by Takashi Futatsugi / Photo by Woody Arai
 

RaggaとくればBoy-Ken。天下のラガマフィンDee Jay約2年ぶりのフル・アルバムは正にタイトル通りのBoy-Ken World。Kin Kin風に言えば「お待っとさんでした!」。本人による『Riddim』限定のアルバム全曲解説を早速お届けしよう! ボーイ・ケン・イチ・バーン!!
 
● この3年の間にリリースした3枚のアルバム及びミニ・アルバムを振り返ってコメントして下さい。

『No Satisfaction』
「この作品があったからこそ、今の俺やV.I.Pがあると言っても過言じゃない位の1枚ですね。トラックは全曲Kang Dongの制作で、レゲエ臭さにヒップホップのフレイヴァーが絶妙にいい感じで馴染んでいる曲や、100%レゲエの曲を混ぜた濃いミニ・アルバムでしたね」
 
『Everythin' Is Everythin'』
「2004年までの俺の集大成。豪華なゲスト・アーティストを迎えてのファースト・フル・アルバム。レゲエをベースにヒップホップのアーティストをフィーチュアした曲、ラテン・テイストの曲、勿論レゲエ全開の曲、と今まで現場で得たスキルと経験、アーティストとして詰め込みたいものは全て詰め込んでみました」
 
『Education A De Key』
「初のオール・ジャマイカ・ミックスのミニ・アルバムでしたね。スティーリー&クリーヴィのトラックでのコンビネーションや、Kang Dong作のラガリプソに乗せた“はじけて”、ヘプトーンズ“Pretty Looks”のカヴァーでトニー・カーティスをフィーチュアしてみたり、とレゲエ、ダンスホール全開の一枚でした」
 
● 新作『Ragga World』の収録曲について1曲ずつ解説して下さい。
“トコトンParty”
「ダンスホールで元気にハジケて、無礼講でトコトンPartyしようぜ、って曲。Kang Dongのトラック "Universal Riddim" が更にカーニヴァル気分を引き立てる感じですね。彼は天才。イメージした世界を更に膨らませて音にする。音の引き出しが多く、歌を完璧に引き立ててくれます」
 
“もっと踊って”
「ダンスホール・ヴァイブスをキャッチして、嫌なこと忘れて盛り上がろうぜ! スティクリのオケもダンスホール王道ってな感じでかなりラガってます」
 
“はじけて”
「世界中のBrother & Sister、レゲエを聴いてみんなでハジケて、ハジケて、ハジケまくろうぜ!」
 
“情熱のRiddim”
「未来へと繋がる今を生きろ、そして明日へと繋がるRiddimを刻もう。タフな情熱があれば、どこまでも行けるぜ、という曲。ジャズワドのトラックはシンプルだけどウネリがあって乗せやすかったですね」
 
“Pretty Looks~外見と中身~”feat. Tony Curtis
「人は外見よりも中身が本当は大切なんだぜ、というメッセージ。トニー・カーティスにヘプトーンズのリリックを歌って貰いました。トラックはスティクリで、彼らのスタジオ2000で録りました」
 
“Mood For Love”
「この世の中は男と女の愛で成り立ってんじゃないかなあ、というラヴ・ソング。ドンのトラックも最高に気に入ってます。聴いた瞬間に曲のイメージが湧きました。ミドル・テンポのトラックに哀愁と力強さがギッチリのハイグレードな出来ですね」
 
“Gold Digger”feat. Dabo
「色んなプレッシャーに負けないで、弱音を吐かずいつか自分の宝の地図で財宝の在処を突き止め、その手に掴み取れ!というDaboとのコンビ曲です。『Dazzlin' Gold Vol.1』に収録」
 
“Worst Enemy”
『No Satisfaction』収録曲をKang Dongがトラックを作り直して再収録。人を責めるんじゃなく自分を責めよ、というコンシャス・チューンです」
 
“Children”feat. Junior Kelly
「世界中の子供達が危険にさらされている今、それを助けるのは世界中の大人しかいないだろう、というBredren Bandのコンピ収録曲。ルーツ系の音なのでJunior Kellyとのコンビネーションもしっくりきましたね」
 
“Enjoy Yourself”
「死んで燃え尽きて灰になる前に今をフルにエンジョイしようぜ、というポジティヴ・チューン。トラックはKang Dong制作の "Jungle Father Rock"。『No Satisfaction』収録曲」
 
“Three Little Birds”
「言わずもがなボブ・マーリーのカヴァー。上手くいくから大丈夫、問題ない、と悩んでる人達を励ましてます」
 
“Don't Feel No Way”(Acoustic Version) feat. Pushim
「聴いた人全員が笑顔になって欲しいと思って作りました。Kang Dongと長い間温めていた曲だったんで、Pushimとのプリプロの時、鳥肌もんでしたね。彼女は歌が上手いのは勿論だけど、ハートの暖かさが凄く歌声に出てる。間違いなく日本のレゲエ・ディーバですね。アルバムの方にはアコースティック・ヴァージョンを入れました」
 
● アルバムを制作するにあたって一番腐心したことは何ですか?
「各曲の色をハッキリさせること。レコーディングは3ヶ月位で終わりましたね。タイトルは俺のレゲエの世界観を幅広く伝えたかったんで、俺の世界= Ragga Worldと名付けました。
 
● V.I.Pとしての今後の予定を教えて下さい。
「レーベル、サウンド・システム、バンド、共に充実。『Dazzlin' Gold Vol.2』も出るし、 Shiba-Yankeeも出ます! みんなレゲエを聴いてハイになってトコトン行こうぜ!!」
 


Ragga World
Boy-Ken
[Cutting Edge / V.I.P / CTCR-14480]

Papa B / Music Is Beautiful

Papa B
Music Is Beautiful
 
Interview by Kazumi Kamata / Photo by HEI
 

Papa B節健在! 横山剣と組んだ先行シングル「Life Is Beautiful」で突っ走ってくれたPapa Bがあのテンションそのままにニュー・アルバム『Life Is Beautiful』をリリース。さっそく彼にそれぞれの曲について語ってもらった。
 
「マスタリングなんかでNYへ行ってきたんだよ。NYじゃラジオとCarlton Livingstonのショーのフロントアクトをやって来たよ。どっちもNYの友達の関係で急に決まったんだけどね、ラジオはちょっと出るぐらいかな?なんて思っていたらしっかり1時間位時間があってラバダブをやったね。本当はFire Bの皆も連れていきたかったんだけど、皆忙しくてね。でも、Carlton Livingstonのショーには(Chozen)Leeも一緒に出てくれて、2人で早口でコンビネーションやったりね。面白かったよ。日本人はこんなヴァイブスでやっているんだぜってのも見せたかったしね。一応、仕事で行ってスケジュールもタイトな中、楽しくやらせてもらって申し訳ないんだけどね。ハハハ」
 
と、いきなりこんな具合でインタビューが始まった。如何にもPapa Bらしいしゃべりだったのでこのままつらつら書きたいところだけど、本原稿では収録曲について語ってもらったところのみ抜粋。勿論、彼が曲について語っている中に、彼の考えている事や、彼らしさが出ていると思うので、その辺が読者の皆さんにちゃんと伝わってもらえれば幸いです。
 
“Wild Speed”
「コレは、一番最後に出来た曲だね。また新しい早口スタイルを作らないとね。新しい早口で皆興奮してもらえれば良いよね。早口はオレも聴いていて楽しいしね」
 
“Time Capsule”
「Sunsetがプロデュースした奴だね。気持ちの良いオケだよね。最初に“Oldies But Goodies”ってフレーズがあってそこから作ったんだけど、自分のこの曲がメッセージになって、未来の若い人達が聴いてくれたらそれは素敵な事でしょ? そういう曲だね、うん」
 
“Life Is Beautiful”
「(クレイジーケンバンドの横山)剣さんは、昔から好きなアーティストだったんだけどね。今回のコレはいきなりド頭から“出る杭は~”って詞でしょう。このインパクトだもんね。この時点でもうバッチリって感じだったよね」
 
“Sugar Pie”
「こういう曲はオチが重要だよね。ちょっと流され易いような男が主人公でね。あと、ちょっとブリッジを付けてあったりしてね。コレは俺なりにアメリカを意識してみたんだよね。ワハハハ」(※筆者註:「アメリカを意識」とはR&Bを意識したという意味)
 
“黄金の街”
「カントリー&ウェスタン調だね。映画仕立てでコレはもうオレ・ワールドだね」
 
“Dancehall Army”
「コレはもう“意気込み!”だね。映画の『コンバット』みたいな感じの世界の設定でね」
 
“Kicks!”
「最初は他のネタで作ろうかと思っていたんだけどね、昔MoominとNYで買物していて靴を買った時の事を思い出して結局こんな感じになったんだよね。今年の夏もイベントでMoominと一緒になる機会もあるだろうから楽しみだよ」
 
“Nuh Tek Back”
「今回一番最初に出来た曲だね。とてもストレートなダンスホール・チューンをやりたかったんだよね。前回のアルバムは、自分は音楽の事をこういう風に考えているんだよってのを出したんで、今回はより現場を想定した感じの曲を出してみようかなって事で、この曲を切り込み隊長にしてどんどん作っていった感じだね」
 
“Hold Your Hand”
「UKのラヴァーズみたい感じだね。こういうのもやってみたかったんだよね。オケも良いでしょ? フィーチャリングの有坂美香ちゃんの声もそんな感じでバッチリはまったしね」
 
“Sweat & Tears”
「こういう曲は定期的に唄っていきたいよね。今ってパソコンや携帯が無いと成り立たないでしょ? でもその時点でマシンに支配されていると思うんだ。1人でそんなの嫌だって言ってもしょうがないしね。機械を中心に世知辛い世の中になりましたね、って感じなんだよね」
 
“ふたりのロード”
「コレは昔作った曲だよね。コレはディレクターの人とスタジオで聴いていて、良い曲だから入れちゃおうかって感じでね」
 
だいぶ駆け足での紹介になってしまったけど、最後にこんな事も言ってくれました。

「自分で満足している作りになったんで、あとは聴く人がどう思うかだよね。もっとも満足出来ないものは出さないしね。まあ満足出来るものが作れるっていう恵まれた環境がある事に感謝しているよ」
 


Music Is Beautiful
Papa B
[東芝EMI / TOCT-26046]

Mighty Jam Rock / Jumbo Maatch - Takafin - Boxer Kid

Mighty Jam Rock
Jumbo Maatch - Takafin - Boxer Kid
 
Text by Takashi Futatsugi / Photo by Kurofin
 

待望のニュー・アルバムに先駆けソロ・シングル3連続リリースで各自の個性をより印象づけたJumbo Maatch, Takafin & Boxer Kid From Mighty Jam Rock。常に進化し続ける彼らの現場直結のサウンドと硬派なメッセ-ジにじっくりと耳を傾けるべき!
 
いわゆる“45”(7吋盤)でのソロ・リリースこそは当然ながらあったものの、CDシングルでの単独作は今回が初となるMJRの3本マイク=Jumbo Maatch、Takafin、Boxer Kid。大阪春の祭典「Dancehall Rock」の開催(注:昨年暮には東京にも上陸)前後にEP/ミニ・アルバムという形で彼らの作品が投下される様になったのは、2002年の「Triple Loaded」から、だった。スティリー&クリーヴィ作の "Gush Dem" リディムを三者三様に乗りこなした同作以降、『3 The Hardway III』で同名シリーズに一区切りつけた翌年6月発の『LV.5』ではソロ・チューン×3にコンビ曲を加えた形、昨年6月発の『Back Yaad Man』では3人コンビをメインにソロ×3と、考えてみたら彼らは常に新しいフォーマットで自分たちの“進化”を見せつけてきた訳で…(ミックス・テープ用のダブで披露済の新曲を、オリジナルのオケでどう聴かせられるのか!という楽しみも含めて)。
 
4/5に出たBoxer Kidの「音速Big Wave」は、コーデル“スキャッタ”バレル&MJRの制作のタイトル曲と、ファイアー・ハウス・クルーの演奏もキマったミディアム「Perfect Family」のカップリング。ドクトクのガラ声が映えるハードコアなジョグリン・リディムのまさに“音速Big Wave”を完全にモノにしたBoxerは、「つまらない音なら聞き飽きた、ってハーコーにとっておきのBad Than Den」を届けてくれた。対象的な併録曲も“熱い思い”という点では同様、だろう。「競い合って一生走るランナー いつかはNo.1だ」というラインも強く胸に響く、快心の名曲である。
  
続いてはJumbo Maatch。5/3に投下された「Big & Tuff」はセラニとの共同制作のビッグ・バッド・リディムの表題曲と、Home Grownとのジョイントとなる「Treasure Island」の2本立。「ヴァースのラスト、まで爆走」するJumboならではのエナジェティックな「Big & Tuff」、今すぐにでも(あの島へと)羽ばたきたい!というレゲエ人が共有する気持ちをナイス・ミディアムに乗せて放った、その名も「Treasure Island」共に現場で大合唱されるべきビッグ・チューンであることは最早言わずもがな、か。
 
トリを努めたのはTakafin。6/7に出た「Burn It Up」 は、先の2人とは違うパターンで、ヒューマン・リディム物が表題曲となり、ダンことドノヴァン“ヴァンデッタ”と共作した「Mr.Buster~巧みなるマイクタクティカル」はカップリングに。しかしながらその表題曲はルーツ系のオケで、燃え盛る魂を得意のシングジェイでストレートに表現した相当にアツい曲。「道半ばで諦めは寒すぎるだけ」と自分自身に言い聞かせた前者では、彼の舞面の強さが浮き彫りとなり、後者ではタイトル通りのスキルフルなマイク捌きがフルに発揮され文句ナシにアゲられてしまう……そんなナイス・カップリングである。
 
と、いずれも“レゲエ道”に対する変わらぬ想いと、日々是精進を地でゆく一人のうたうたいの強い決意が込められた“いい曲”ばかり。ジャケット~特典コミック・ブック、そしてPVと繋がる未来感と土臭さの融合的なヴィジュアル・コンセプトのカッコ良さも特筆すべき。俄然期待の高まる6thアルバム、そして8月最後の土曜日に約束の地で行われる「Highest Mountain」と連動するMJRのノン・ストップな完全計画。次号ではアルバムの全貌が明らかになる…。
 


Big Wave
Boxer Kid
[Victor / VICL-35976]


Big & Tuff
Jumbo Maatch
[Victor / VICL-35994]


Burn It Up
Takafin
[Victor / VICL-36066]

2008年1月28日

UK REPORT from No.299

Photo & Text by SIMON "MAVERICK" BUCKLAND

Maxi Priest ; the glory days of 1987
 
Greetings Friends,
 
●ネットショップの影響で、店を畳んでいるのはレコード・ショップだけではない。昨年倒産した老舗ディストリビューター、Jetstarのように流通業界でもその影響を受けている。ネットで全てを仕入れるショップのバイヤーなら、今のように売主、買主の顔が全く見えない流通形態に抵抗はないかもしれない。しかし、ネットでは実際に商品を手にとって検品するわけにはいかないのだ。それに、コレクター御用達のレコード・フェアー(掘り出し市)のようなイベントも激減している。だが、ネットのダウンロードが伸びたため、昨年音楽業界では、シングル販売数が過去最高を記録したらしい。この統計は、黒々と光るレコード盤を買いたいという消費者や、かつて1,000枚ほどのプレスで、その存在を世に知らしめることができたマイナー・レーベルにとっては無意味だ。レゲエ業界がこの潮流をどのように乗り切っていくのか、まだ見守っていく必要がある。まだ結論を出すには早すぎるかもしれないが、現状は決して良い状態とは言えないだろう。
 
●約20年にわたる長期ブランクの後、ヴォーカル・グループThe Congosが活動を再開、人気が再燃焼中だ。彼らが注目され始めたのは、Blood & Fireから再発売された『Heart Of The Congos』の再評価によるところが大きい。オリジナル発売時の流通事情が悪かったため、再リリースでこのアルバムを初めて聴いたリスナーが多かったのだった。このアルバムがきっかけとなり、ドイツのビールCMに彼らのヒット・ソング「Children Crying」が採用されたのだった。2年前に再結成し、ライヴや再結成後のアルバム『Swinging Bridge』で高評価を得ているグループにとって、CMソング契約はサクセス・ストーリーのほんの一部でしかないだろう。僕は、まだ彼らのステージを観ていないが、アルバムはヴォカール・ユニットとしてのクオリティの高さをうかがうことができる、素晴らしいものだ。彼らは現在、新作アルバムをレコーディング中であり、ライヴの日程も着々と決まりつつある。
 
●Lucianoがジャマイカ政府から「Hero's Dayアワーズ」において、「Order of Distinction (OD)」(勲章)を受賞した。彼は昨年末に、ジンバブエの独裁首相Mugabeを単に彼が黒人だからという理由のみで応援し、世の不評を買ったばかりだった。Alton Ellis、Ernest Ranglinらの大御所アーティストのOD受賞は彼に比べればずっと後のことだったし、Coxsone DoddやDuke ReidのOD受賞は昨年になってのことだった! Lucianoは受賞後に、「歯がなくなり、白髪が増える前にODを受賞できたのはうれしい」とコメントしている。果たして、彼はODに値する価値をジャマイカ音楽に残しているのだろうか?
 
●Stephen Marley、Sly & Robbie、Burning Spear、Lee Perry、Toots(The Maytals)らが今年のグラミー賞のレゲエ部門にノミネートされている。インターナショナル・リリースされたレゲエ・アルバム自体が少ないので、アーティストのノミネートの選考もさぞかし楽なことだろう。
 

Tyrone Taylor
 
●残念なことにTyrone Taylorが12月にキングストンで死去した。彼の死はある意味で予期できることであったのだが、死因が前立腺癌と聞いて少し驚いた。僕が1990年代前半にTaylorに会ったとき、彼はドラッグの過剰摂取による症状で見るも憐れな状態だった。当時のジャマイカの音楽業界では、ドラッグが蔓延していたのだ。彼は何度も復帰のための努力をし、声の調子を一生懸命整えていたこともあった。しかし、2度の発作に見舞われるなどの不運にあい、復帰は夢と消えてしまった。ガンに侵されてしまった時点で彼の身体は相当弱っていたはずだ。ジャマイカの医療は金がモノを言うシステムであり、彼が適切な治療を施されたとはとても思えない。Tyroneは偉大なシンガーになる資質を備えていながらも、単に「Cottage In Negril」をヒットさせた“一発屋”としてしか認識されないことだろう。彼の早すぎる死を非常に残念に思う。
 
●かつてSaxon Soundのシンガーとして、またCautionでヴォーカルを務めたMaxi Priestは、一体どこで何をしているのだろうか、と思っている方々も多いだろう。しかし、彼は今でも、約20年前に最も有名なレゲエ・アーティストとして知られていた頃と変わらない、精力的な活動を続けている。彼は幾多のレーベルに移籍を繰り返しながら、以前と変わらないペースで曲作りを続けているのだ。しかし、現在在籍するレーベルの一つ前のレーベル、Relentlessは、いわゆる80年代後期のMaxiサウンドに固執するあまり、彼のアーティストとしての成長を全く認めず、彼の新曲をリリースしようとはしなかった。そこで、彼はこの未リリース音源を集めたアルバム、『Refused』(タイトルもその名の通り、拒絶された、断られたという意味)をドイツのPeppermint Jamから発表した。このアルバムはMaxiの公式ウェブなど限られたところでしか購入ができないが、是非一聴してほしい。Maxiがこれまで培ってきた多様なスタイルが詰まった力作だ。今年中には前述のレーベルから“公式”なニュー・アルバムがリリースされるだろう。彼の益々の活躍に期待する。
 
●アメリカ議会図書館は、The Wailersのアルバム『Burnin』を永久保存することを決定した。同図書館は、このアルバムがその歴史性、芸術性、そして社会に対する文化的価値、以上3点において、永久保存に値する基準を満たしていると発表している。この審査基準はグラミー賞のそれとはまったく異なるものに違いない。僕は同図書館に対し最大級の賛辞を送りたい。
 Till Next Time, Take Care......
 
(訳/Masaaki Otsuka)

What the deal is from No.299

(U KNOW)What the deal is
 
予備選挙で、その全貌がなんとなく浮かび上がったアメリカの大統領選だが、現代らしく、一番費用がかかっている候補が、上位という民主党の結果だった。嬉しいことに共和党の候補の一人として出馬しているジュリアーニ元NY市長は、ほぼ最下位だった。ニューハンプシャーの予備選の後、ヒラリー・クリントン候補が、「マーティン・ルーサー・キングの夢が、リンデン・ジョンソン大統領が(公民権を認める書類に)署名してかなった」という発言をし、一部の黒人層が、これはキング氏の功績を軽視する発言と騒ぎ、キング氏の記念式典に参加したヒラリーにブーイングが起きるなど、黒人の投票者達に変化が起きている。ヒラリーの最大の好敵手とされる、黒人と白人のハーフのバラック・オバマ候補側が、この事件を利用しているともヒラリー側は述べている。個人的な意見? 共和党が続投したければ、そうなる訳で、そうでなければ、ヒラリーになるでしょう?
 
●今月の復活
トライベッカはニッティング・ファクトリーで、ブルックリン・クイーンズ・コネクションなるライヴが1月4日に行われた。ビッグノイド、インフェイマス・モブなどがクイーンズを代表、そしてしばらく音沙汰がなかったグループホームのリル・ダップ、ラスティージャックスなどがブルックリンをレップした?
 
●今月の伝説
フィラデルフィアの最初のライターとして唱われているコーンブレッドことダリル・マクレイのドキュメンタリーがNYでも公開された。ダウンタウンのアンソロジー・フィルム・アーカイヴで1/9、「クライ・オヴ・シティ」シリーズの一貫として上映された。コーンブレッドはフィラデルフィア動物園の象やジャクソンズの自家用ジェットにタグを書いたという伝説を持つ男だが、同じくフィリー出身のエスポ等の著書で最初のライターとして紹介されていたので一般的にライティングの祖とされているが、NYライター達には、実際にコーンブレッドの影響を唱える者は居ない?
 
●今月の逮捕
ダックダウンのへルター・スケルターの片割れ、ロックがブルックリンのピンプ、ブラッドのギャングメンバーの殺人未遂のカドで1/15に逮捕された。ロックの弁護士によると、警察はロックもピンプと考えており、この被害者と売春婦の取り合いから事件に発展したとのこと?
 
●今月の歴史
1520セドウィック・アヴェニューと聞いて反応するヘッズは相当な通と見るが、そこはクール・ハーク、コーク・ラ・ロック等が初めてレクリエーション・ルームでパーティを行ったとされる、低所得者向けのアパート・ビルディングである。今年に入り、そのビルの売却を巡って、長く住む住人達やクール・ハーク本人、NY市議会の議員等が、このビルを保存しようという動きに出ている。住人達の言い分は、売却によって低所得者が追出され、ビルが取り壊されると懸念しているという事。更に住人達は、破格で個々のアパートを買い取りたいとも語っている。年々、都市開発の流れで低所得者向けの住宅が減っているNYだが、ヒップホップがこの変化を止める事が出来るか?
 
●今月の容疑
メイジャーリーグの不法ステロイド使用の容疑から、ひと月経たない内に、今度は音楽界にもてこ入れがはじまった。一体何処のどういうソースからこういった情報が入るのか理解に苦しむが、ワイクレフ、50セント、ティンバーランド、メリーJブライジなどが、この容疑?......一体何が不法なのかわからないが......にかかっている。タイムユニオンなる、NYベースの組合機関誌によると、これらのエンターテイナー達が、数年に渡って不法ステロイドを、クリニックなどから不法に入手して使用しているとのこと。今回のこの容疑は、彼等自身に追求する目的ではなく、これらのクリニックや、密売人のルートを壊滅させるのが本意とも述べている?
 
●今月の訴訟
ブラウゼー・ブラウゼーの1995年のヒット「Danger」のMCアウトラウド改め、ブラウが、ワイクレフ・ジョーンが、彼のレコードを無断でサンプルしたと訴えている。そのジョーンもソニーBMGを相手取り5千万$の訴訟もはじめたとされている。更に1997年にマイケル・ジャクソンをプロデュースしたが、そのプロデューサー・フィーが未払いと、最新のインタヴューでも語っている?
 
●今月の新刊

私事で申し訳ないのですが、大変恥ずかしながら著書を出す事になりました。私的で勝手なNYの20年の話です。興味のある方はhttp://www.shinko-music. co.jp/main/ProductDetail.do?pid=0631587で購入して見て下さい。今回は立読みはお断りです?

   
沼田 充司
DJ/プロデューサー。 レーベル<ブダフェスト>主宰。 雑誌『ブラスト』でも執筆中。 ニューヨーク在住。 [Photo by Tiger]

RECORDS & TAPES from No.299

Review by TAKASHI FUTATSUGI
 
 
MIX CD
 
Guru / Guru's Jazzmatazz The Mixtape 'Back To The Future' (Hostess)
ボブ・ジェームスやデヴィッド・サンボーンとの共演も実現したシリーズ第4弾の余熱漂う中、そのミックス・テープ版(オフィシャル!)が“ラップスター”より登場。現在のライブDJでもあるドゥーワップをホストに迎え、定番ネタを“それと分かる”使い方で料理する“相棒”ソラーと共に、相も変わらぬ渋い声でフロウする主役と全国各地の“地下の精鋭MCたち”とのセッションは、本編よりもストレートにヒップホップの成り立ちを伝えるモノだ。ダミアン・マーリーとの例の曲の新版もアリ。
 
ALBUM
 
2. Pete Rock / NY's Finest (Rambling)
「90年代の黄金期を作った1人は俺だ!」とばかりに大胆不敵(?)なタイトルの3枚目となるリーダー作をドロップしたピート・ロック。“ネイチャー・サウンズ”発となる本作は、敬愛してやまない故JBへのオマージュも明らかな渾身の“ピート流オーセンティック大作”に。ディップセットやD・ブロック、ウータンといったNYを代表するクルーからの選抜に、これぞNYサウンドを合わせ、自身もラップで絡む基本線は最早鉄板級。チップ・フー参加曲はルーツ・レゲエ路線だが、よくよく考えてみるとピートもジャメイカンだった。
 
3. Beanie Sigel / The Solution (Def Jam )
オツトメ生活を終え、たった一人でステイト・プロパティの看板を背負うこととなったフィリーズ・ファイネストの4th。デフ・ジャムを去る覚悟をした“ボス”ジェイ・Zの仕切りの下(といいつつもリードはR.ケリーとの曲!)、「より音楽性を重視した」という本作は殺伐としたところがカッコよくもあった前作よりも幾分ソウルフルであったかい。新作が素晴らしいラヒーム・デヴォーンの起用法もそう。リリシストとして高い評価を受ける彼だけに今回も同業者をヘコませるのでは?
 
4. Scarface / M.A.D.E. (Rap-A-Lot / Asylum)
こちらはデフ・ジャムへの復帰(?)が明らかになった“ミナミの帝王”、絶縁関係にあるはずの老舗ラップ・ア・ロットからの最新未発表作。とは言え、今回は高水準。マイク・ディーン、N.Oジョー、ジョン・ビドー、トーン・カポーンらお馴染みのトラック・メイカーたちが用意した(例によってリミックス中心?)、彼向きのディープなサウンドに、同時期に新作を出したトゥー・ショートとはまた違った俺流を押し通す(ギター・プレイも!)スカーフェイスは現役感十分で、レジェンドと呼ぶにはまだ早い?
 
5. Far East Movement / Round Round (Avex)
『ワイルドスピード3』のサントラ収録の「Round Round」で注目を集めた、日・中・韓それぞれの血を引くLA在住のミックス3MCのデビュー作。アジア版ビースティと称されることも多い彼らは、ヒップホップのナンデモ有りの精神やユーモアをよりわかり易い形で実践している。セルフ制作のビートも多彩ならば、パーティ・チューンからシリアスな曲までのリリカル・コンテンツも実に幅広く、説得力も十分。この道の先駆者でもあるジンが加わった「For The City」でも肝心なラップはしっかり立っている。
 
6. Jazz Liberatorz / Clin d'oeil (P-Vine)
ジャケからして“それ系”と判る、パリのプロデューサー・トリオの初アルバム。これが相当クロい!! 最近の紋切り型のジャジー、ではなく“UKモノを含めたあの頃のクリーンかつファットな音”をアップデートした様な、何とも気持ちよいグルーヴと、先人達へのリスペクトが波打つ本作はシングルを全てチェックしてきた人を決して失望させない磐石の仕上り。サダト・X、ファット・リップ、バックショット、アシェルー、J・ライブ、アパニ、T.ラヴら“言えてる”ゲストMCの何と生き生きしてる事!
 
7. V.A. / DJ Shuzo presents Show Time 1 (Samurai Music)
大箱映えするパーティ・トラックス専科、と言えばその火付け役の“AV8”の名が挙がるだろう。同レーベルとのパイプも太いDJ Shuzoが新たに立ち上げた“Samurai Music”の第一弾となるのが、そのAV8の歴史を年代順に追った決定盤的コンピ(珍しくノン・ミックス!)。異例のロング・ヒットとなった、ご存知クルックリン・クラン&ファットマン・スクープの「Be Faithful」(DJ Kaoriの掴みウェポンとしても有名)を始めとする20曲ものクラブ・アンセムが並ぶ本盤はレア曲込みでかなり“使えマス”。
 
8. Seeda / Heaven (KSR)
先月号“ベスト・アルバム”の企画でもガッチリ票を集めた2007の顔の一人=Seedaが予告通り、約3ヶ月のインターバルで新作をドロップ! 今回はゲストも抑えられ、トラックの方もScarsの音司令塔でもあったI-DeAに、傑作『花と雨』を全曲手がけたBach Logicの2人だけ、と“よりソロらしい”シンプルな構成に。以前から只のハスラー・ラップではなく、より意味深くスキルフルな詩とデリヴァリーを展開していた孤高の存在である彼が更なる高みに上ったことは聴けば解る。ラップ&ビートともにネクスト・レベルに突入した、日々の闘いをポジティヴに表現した新たなるマスターピースの誕生だ。ソウルフル!!
 
9. AK-69 a.k.a. Kalassy Nikoff / Triumphant Return - Redsta Iz Back- (MS)
ラッパー、シンガーとして“2つの名前”を使い分けてきた名古屋のゲットー・スーパースターが原点回帰的に“ストリートの名の下に1人ユナイト”を果たした最新作。そのテーマカラーの如く燃える様なラッピングと、エモーショナルそのもののシンギング、そのどちらもが同等な彼の武器である事はステージだけでなく、“一曲入魂”のスケールの大きな本作からも伝わってくる。M.O.S.A.D.、DS455、Deli、般若、Yorkら客演陣も見事な立ち回りを見せ、ヒーロー赤星の熱い世界をサポート。
 
10. Minority Boys / Izm Will Never Die (Minority Net)
Future Shockの頭脳=B-Yasが中心となり、You The Rock★らが参加している未来型B-Boy ネット・コミュニティー=Minority Net主宰のオリジナル音源集。ヒップホップという世界的規模の共通言語を話すマイノリティーが、そのカルチャーの凄さ、素晴らしさ、楽しさをそれぞれの角度、見解から語りかける本作には、先の首謀者2人の他にB-Yasの学友でもあるタリブ・クウェリや、Zeebra、Rino Latina II 、Hab I Scream 、Dabo、Ryuzo、Anarchyに、タイのジョーイ・ボーイら、エリア、クルーの枠を越えたアーティストたちが集結。ムーヴメント感の強い一枚となっている。

 
11. V.A. / Coast II Coast 02 -New Generation Of Tsutaya限定企画で大好評だった“次世代極東ウェッサイ・アーティスト”全国ローラー大作戦コンピが、メジャー展開で2発目をドロップ。今回もDS455を擁するHood Sounds制作で、その道のパイオニアであるDSの2人が“選びに選び抜いた”だけあって、バラエティ豊かで勢いのある出来となっている。北はNorth Coast Bad Boyzの1-Kyuから、南は福岡Shitakili IXのZang Haoziまで、と各地の猛者が“楽曲勝負”で火花を散らす様は、このシーンの元気の良さの証明でもある。
   
12. V.A. / Herlem Ver.X -10th Anniversary (Columbia)
東京を、いや日本をレペゼンするほどの“ヒップホップ大箱”渋谷Harlemの10周年を記念するオリジナル・コンピ第4弾。毎回“パーティの屋台骨”となるDJ/トラックメイカーにスポットを当て、歌い手をFeat.クレジットにし、そのコンビネーションの妙で話題を提供してきた同企画だけに、アニバーサリー版の今回も鉄板の常連、フレッシュな新顔含め、総じて外しのない“Harlemコンピならでは”の現場の空気を落とし込んだ内容に(レゲエ界からはSunsetも参戦!)。DJ Hazimeによる新版ベスト・ミックスとの2枚組、という豪華パッケージも嬉しい限り!

2008年1月29日

CHART from No.299

REGGAE 7" | REGGAE LP | REGGAE CD | REGGAE CLUB
HIP HOP 12" | HIP HOP LP | R&B | HOUSE | ABSTRACT

 
REGGAE 7
 
●CISCO(渋谷)03-5458-6625
1. Alliance / Alliuance Giants (Big Ship)
2. Bugle / Journey (Daseca)
3. Christopher Martin / Take My Love (Fresh Ear)
4. V.A. / African (Penthouse)
5. Monster Twins / Dem A Super Freak (B-Rich)
 
(1)Bounty Killer率いるAllianceの面々が一同に会した豪華メンツ作品。マストでしょう。(2)話題のアーティスト。リリース前から話題だったヤツです。実に洗練された」アレンジがグッド。(3)デジセルのオーディション・ウィナー! 今年は日本でも大きく名前が売れるんじゃないでしょうか。注目です。(4)Penthouse Allstarsって感じです。Buju、Beres、Marcia等豪華です。(5)キャッチーです。受け易い感じでしょ。
 
●LION MUSIC DEN(名古屋)052-953-1386
1. Taurus Riley & Jimmy Riley / Pull Up Selector (Taxi)
2. Capleton Bobo Zaro&Contractor / Pain (Cut Stone)
3. The Wild Bunch Fe.Sandra Cross / Country Living (Ariwa)
4. Macka B & Kofi / Dread A Who She Love (Ariwa)
5. Abdulkareem / Peace In The City (Kingston Connexion-EU)
 
(1)サウンドマン・マスト! "Tune In" trkで親子共演で鳥肌物の超話題作。(2)ケイプルトン×2DJ(Rap調)のディープなチューン。(3)当レーベルを代表するLovers Rockの大名曲が再発! 女性Vo+ノリノリDread DJのコンビネーション・ラヴァーズ再発! '78年激シブJA Stepper Roots Vo.! 音質良好の再発盤。
 
●ROCKER'S ISLAND(大阪)06-6214-7565
1. Alliance / Alliuance Giants (Big Ship)
2. Serani & Bugle / Doh (Daseca)
3. Serani / She Loves Me (Daseca)
4. Busy Signal / Jail (Jam 2)
5. Mr.Pepper / She Keep On (TJ Records)

(1)Bounty率いるギャングスター集団のハーコアな5人コンビ!! 決して誰にも俺らの勢いは止められないと。(2)J.A を騒がす絶好調プロデューサー&期待の新人? 去年の暮れから現場を騒がしているあの曲!! (3)上記同アーティスト、ソロでのギャル・チューン!! キャチーなリディムに上手い事絡んでます。(4)バビロンの前で爆音で流したい1曲、HipHop調のオケに乗せた激シブ・アンセム!! (5)久しぶりの好チューン!! "Skandal Bag" リディムは爆音で聴くのがオススメ。
 
●ORANGE STREET(新宿)03-3365-2027
1. Anthony Que / Children Calling (Cultural Warriors Music)
2. Daweh Congo / Let Us Be Friends (Hands & Hearts)
3. Trinity & Downpressor All Stars / Jah Fire (Sign-Pole Records)
4. Far East Band with D-Flame / The Prince Of Peace (Four Music)
5. Meditations / Cool It (Digital English)
 
(1)EUルーツ界をリードする同レーベル新譜はミディアム・テンポのデジタル・ルーツ。間違いなし!(2)現場向き、D.Congoの畳み掛けるようなヴォーカルのステッパー。(3)ヴェテランTrinityを起用したヘヴィー・ルーツ。チェック!(4) P.Buster名曲カヴァー。幅広いリスナーに人気の1枚。 (5) "Take 5"のフレーズが印象的な必殺チューン。 ※10年ぶりの再開!Roots Reggaeセッション「Dub Club Japan」を3月1日(土)吉祥寺Warpにて。詳細は以下ページにて。(http://blog.livedoor.jp/directimpactsound/。)
 
 
REGGAE LP TOP 5
 
●REGGAE SHOP NAT(新宿)03-5337-7558
1. Tarrus Riley / Parables (VP / Cannon)
2. Jah Cure / True Reflections (VP)
3. Ras Shiloh / Only King Selassie (Greensleeves)
4. I Wayne / Book Of Life (VP)
5. Cocoa Tea / Biological Warfare (Minor 7 Flat 5)
 
(1)CDでのみリリースされていた、2007年を代表する傑作アルバム、遂にLPが登場!もちろん殆どがシングル未発売。プロデュースはDean Fraser。(2)今年服役を終えたJah Cure久々のアルバム。ここ数年のベスト盤的な内容で、最近のヒット曲までばっちりチェック可能。CDで先行リリース済み。(3)2007年の隠れた好作品。Jammysプロデュースで、聴きどころ盛りだくさん。(4)少し前のリリースですが、根強い人気のアルバム。タイトル曲はシングル・カット済み。(5)ヴェテラン・アーティストの久々のアルバム。※ますます充実のHPを是非ともチェックして下さい! www.rs-nat.ne.jp
 
●DRUM & BASS RECORDS(大阪)06-6211-1044
1. Bob Marley & The Wailers / The Studio One Singles Box (Heartbeart)
2. V.A. / Rewind & Come Again (Greensleeves)
3. June Lodge / Someone Loves You Honey (Joe Gibbs)
4. V.A. / Caltone Special (Attack)
5. Cultural Roots / Hell A Go Pop (Greensleeves)
 
(1)1000枚限定プレスの缶バッジ等のおまけ付き豪華5枚10タイトル収録のカラー・シングル・ボックス・セット!(2)Greensleeves社30周年記念の45シングル7枚14タイトル収録の限定ボックス・セット。(3)甘いひと時のお供に是非。ジャマイカン・ラヴァーズ大傑作!(4)当店ベスト・セラー。世界中のコレクターに絶大な人気を誇るロック・ステディの名レーベル「Caltone」の貴重音源を集めた二枚組アナログ・コンピ。(5)ジョン・ホルト「Police In Helicopter」同オケの「Love Feeling」収録のキラー80's嬉しい復刻! ※ポッド・キャスト、パイレーツ・チョイス毎週日曜日アップデート。→www.drumandbass-rec.com / www.rock-a-shacka.com♪
 
 
 
REGGAE CD TOP 5
 
●TOWER RECORDS(渋谷)03-3496-3661
1. V.A. / Decision (Ska In The World)
2. V.A. / Basic Reply (Basic Reply)
3. V.A. / Inna De Yard All Stars (Mackasound)
4. V.A. / This Is Lovers Rock (Greensleeves)
5. V.A. / Moon Shine (Ska In The World)
 
(1)渋谷店大プッシュ・アーティストです。彼の優し歌声にうっとりしていまうはずです。(2)カツオの今すぐ欲しい音だらけのコンピレーション! ジャンルを越えて突き抜けるパワーを感じさせます。(3)アコースティック・セッション・シリーズのベスト盤が出ました。木のレゲエ・ファン必聴ですよ。勿論、カツオも大好きさ!(4)スウィートで甘いサウンド&歌声が沢山詰まったCDです。聴けば聴くほどあったかい気分になれるよ。(5)再びランクイン!! カツオ選曲、世界のスカ・バンドを集めたコンピレーション。是非、皆様に聴いて欲しいです。渋谷カツオ・コーナーで試聴出来ます。
 
●HMV(渋谷)03-5458-3411
1. V.A. / New Dance (KSR)
2. Alaine / Sacrifice (Don Corleaon)
3. V.A. / Inna De Yard All Stars (Mackasound)
4. Mimi Maura / Mirando Caer La Lluvia (Oui Oui)
5. 3gga / In Di Ghetto (Pop Biz)
 
(1)ダンス好きに向けた今までにない1枚。(2)大人気Alaineの輸入盤入荷。国内盤には未収録の曲も数曲収録しています。(3)裏庭の人気シリーズのベスト盤。未発表曲も加えた完全なるベスト盤です。(4)南米のロックステディ・クイーン。素晴らしい歌声は心に響きます。(5)ナイジェリア出身、現在はオーストリアにて活躍中の3gga。Daddy Freadyも参加した力作。ストレートではないアフリカン・レゲエ、そこがツボ。
 
REGGAE CLUB TOP 5
 
●CLUB JAMAICA(西麻布)03-3407-8844 Selected by Club Jamaica Crew
1. Voice Mail / I'm In Love (Franc)
2. Akon & Shaggy / What's Love (Big Yard)
3. Peter Hunnigale / Sense (Peckings)
4. Anthony Cruz / Lost Without You (Nap)
5. Amy Winehouse / Just Friends (Universal)
 
(1)これムチャクチャ良いです! 同Trkでもう1タイトルありますが、そちらも最高に良いです!(2)アルバムからのシングル・カット、ようやく出ました!(3)今回のPeckingsは良い! コレ使ってきましたか。「One Two Three, Kick」T.McCook! Lady Lexには「Real Cool」が!(4)忘れた頃にカヴァーで良いの出しますな!(5)意外な所からですがコレも良いんです! Salaamremi Prod.! ※今月も宜しくお願いします! 最終土曜日は「Jason-X Birthday Bash」!
  
●JADE(札幌)011-520-1015 Selected by Green Peace"Mac"
1. Tarrus Riley & Jimmy Riley / Pull Up Selector (Taxi)
2. Movado / Which Gal (Big Ship)
3. Bounty Killer / Bullet Him (Big Ship)
4. Warrior King / Melody (Fat Eyes)
5. Ninja Man & Shaggy / Ah Nuh You A Nuh Me (Big Yard)
 
(1)Riley親子共演! ダンスホールの現場について歌う、Good Vibes!! (2)ステーブン・マクレガー最新リディム! "Bee Hive" リディム、Movado以外も必聴◎ (3)DJ番町得意のバッドマン・チューン。今回も超イケイケBullet!Bullet!(4)大御所レーベル発 "Midnight Hour" リディム! Tarrus Rileyなども◎ (5)出ました、人気DJコンビネーション!! Wicked Style。 ※『Green Peace Samurai Mix』2008年1月1日好評発売中。内容はオール・ジャパニーズ・ダブ。聞き応え十分な一枚!
 
●CLUB I to I(大阪)06-6252-4201 Selected by Dodge from Killasan Movement
1. Alliance / Alliuance Giants (Big Ship)
2. Busy Signal / Jail (Jam 2)
3. Bugle / Journey (Daseca)
4. Buju Banton / Hold Me Tight (Fat Eyes)
5. Vybz Kartel / Empire Army (Big Ship)
 
(1)Bullet!! Bullet!! Bullet!! この面子でヤバくない訳がない。説明不要、問答無用でGun Fingerの嵐です。(2)Hip Hopテイストのオケに絶妙に絡んできます。本当にBusyはこの手のオケにもバッチリはまります。(3)DasecaとBugleのコンビはまたやってくれました。前作に引き続きまじめな曲です。(4)さすが老舗レーベルからのリリースですね。"Mid Night" Trk。Bujuの極上ラヴァーズ・チューン!! (5)"Dark Again" Trk。スティーブのニュー・リディム! とっても恐いイントロ。激ヤバ・バッドマン・アンセム!!
 
 
HIPHOP 12
 
●CISCO www.cisco-records.co.jp
1. V.A. / Roots N Original 12Inch (Root N.)
2. Mantis / Loud Minority (3rd Stone)
3. DJ Igacorosas /Cheap Restaurant EP (Soothara)
4. V.A. / Black Recorder Box (Black Smoker)
5. Olive Oil / From 薬院 II (Zoooooo.jp)
 
(1)10年間の集大成、Root Nクルーによる12EPが限定リリース!(2)福岡からNUFFTYを迎えた新たなサウンド・メイカーMantisデビュー。(3)昭和バイブスたっぷり。ストーリー性を重視したサウンド・プロダクションがヤバイ、オススメの一枚!(4)これまでリリースしてきたバック・カタログからの選りすぐりをコンパイルしたレコメンドEP。(4)人気上昇。張りのいい音がPrefuseをも凌ぐスクエアっぷりで◎。1000枚限定。
 
 
●Dance Music Record(渋谷)03-3477-1556
1. Arepaz Immigrante Orchestra / The World Is Yours ! (Arepaz)
2. DJ Yas / Deadly Beats (Kemuri Productions)
3. DJ Peabird / Jungle Lions In Da Dancehall (Breakz R Uz)
4. Roots Maneuva / Witness - Remix (BSTRD Boots)
5. Onra / Chinoiseries (Favorite)
 
(1)DMR独占企画!Climber「Cafe Con Piernas」と同ネタ使いの美麗ボッサ・ビートが胸に沁みる「Sun And Rain」が最高!(2)DJ Yas渾身のインスト・ビート集第2弾。これぞヒップホップ。(3)ダンスホール?ジャングル等々ラガ系の声ネタやビートを詰め込んだバトブレの第2弾。これは使えます!(4)Bastard Jazzのブート部門、次なる標的はRoots Maneuvaの人気曲!(5)Madlib『Beat Konducta』の中国編のような、オリエンタル・スモーキン・ビーツがぎっしり。
 
 
HIPHOP LP TOP 5
 
●TOWER RECORDS(梅田大阪マルビル店) 06-6343-4551
1. Wyclef Jean / Carnival II : Memoirs Of An Immigrant (Columbia)
2. Bow Wow X Omarion / Face Off (Columbia)
3. Wu-Tang Clan / The 8 Diagrams (Universal)
4. V.A. / Beautiful Field (Aicube Music)
5. Lupe Fiasco / Lupe Fiasco's The Cool (Atlantic)
 
12月の月間チャート。(1)フージーズの復活を夢見ておる場合ではない!! 世界に放つワイクリフ祭り第2弾の副題は“愛が地球を救う”に勝手に決定。(2)今やポップ・アイコンな2人がツアーの中で構想を暖めた青年版Best Of Both World。(3)ODBの死を経て6年振りに帰って来たウータン!! アートワークを込みで原点回帰感たっぷり。(4)ピアノを用いたトラックばかりを集めたJazzy Hip Hop系コンピ。(5)ジャンルレスな音を軽々ち乗りこなすルペの才能に改めて敬服。
 
 
R&B TOP 5
 
●DISK UNION ONLINE SHOP hiphop@diskunion.co.jp
1. Janet Jackson / Feedback (IDJMG)
2. Estelle Ft. Kanye West / American Boy (Atlantic)
3. Casely / Emotional (Epic)
4. Kat Deluna Ft. Busta Rhymes / Run The Show (Epic)
5. The D.E.Y. / Give You The World (Epic)
 
(1)新作の先行トラックは、ここ1、2年のトレンドを全部ぶち込んだような曲。節操の無さにもさることながら、曲として破綻していないところに驚き。(2)前作のwill i amに続き今回はKanye。ポップなディスコ調トラックに乗った二人のやり取りが楽しい。彼女のキュートな側面が見えます。(3)ドラマティックでメロウなトラックに透明感のあるアイドル声。曰く「新サウス王子」。(4)本領発揮。Don Omar版も有。(5)Vo.&Rapの三人組、EW&F「Fantasy」のカヴァーとも言うべき一曲。
 
 
HOUSE TOP 5
 
●CISCO www.cisco-records.co.jp
1. Q:Indivi / Ivy EP (Rhythm Republic)
2. V.A. / House Nation Tea Dance - Second Gig EP (Rhythm Republic)
. Proof Soul Project / Under Cover Of The House 2EP (BM.3)
4. Unknown / 80's Dance Vol.7 (White)
5. V.A. / D'afro Disco Compilation Vol.1(Codek)
 
(1)国産ハウス・ブームを支える赤丸急上昇チームによるバカ売れアンセム!(2)そのQ:Indiviエクスクルーシヴ・ミックスも含む大々人気コンピCDからのアナログ・カット!(3)「One More Time」、「Human Nature」といったヒット曲のアッと驚くカヴァー集。シスコ独占プレス!(4)毎度バカ売れのシリーズ、今回はカイリーのデヴュー曲「I Should Be So Lucky」!(5)Loftクラシック化したNYカルト・レーベルからの超ドープな12"をシスコ独占でリプレス!
 
ABSTRACT TOP 5
 
●DISC SHOP ZERO(世田谷)03-5432-6129
1. Dub From Atlantis / Heavy Weather (Reng Rang)
2. Zion Train / Remix EP (Universal Egg)
3. Sledgehead Bristol / Unfinishead Love (Sledgehead Bristol)
4. V.A. (Chimp Beams/Zeb) / 7inch Split Series 004 (Rudiments)
5. The Lions / Jungle Struttin' (Ubiquity)

(1)地下ヒップホップ発のブリストル産ユニット、ダブ編成での第2弾!(2)ダブステップからヘヴィー・ステッパーズ、D&Bまで満載のRemix EP。(3)Ray Mightyのマッシュアップ第2弾。M.AttackやB.Spearsを使った危ない仕上り!(4)ブルックリン発ブレイクビーツ・シーンで注目の2組スプリット盤。(5)L.A.のミュージシャンが集結した、ジャマイカ×アフリカ×北米なほっこりバンド。
www.discshopzero.com 下北沢駅南口徒歩2分 通販可

ISLAND EXPRESS from No.299


"Keep It Royal 2008"”
Text by Reiko NAGASE SMITH(協力:アイランドツアー)
 
「スティング'07」はDJクラッシュもなく事件もなく、エキサイティングに欠けて平和に、物足りなさが残る中、ヴァイブス・カーテル&ポートモア・エンパイアで幕を閉じた。その一年を一晩で凝縮し、次の年に多大な影響を残す「スティング」は、アーティストのステージ衣裳も気合が入ってる。ニンジャの衣裳は特筆。今年もわれらがエミランド作、日本直運搬の鎧兜をあしらった「白の風林火山」は、堂々ベスト・ドレッサー賞受賞。素材はオーストリッチ(ダチョウ)の革でアジアンテイスト、白、で決め。苦作の狐の兜はニンジャ本人にはずされてしまったのが、わかりあえない文化の違い、ゆーのー。芸能人やジャパレゲ・アーティストの衣裳制作で有名なエミランド、今後の、ジャメーカン・アーティストとの活躍も楽しみです。
 
大晦日のショウ、「オリジナル・ダンスホール・ジャムジャム」。ピースフルなココ・ティーの、人柄が湧き出るようなステージ・ショウ。高速道路のおかげで近くなったメイペンは、キングストニアンが気軽に行けて、ショウは年々ビッグになってる。ステージ・ショウにはめずらしく、バンドじゃなくてサウンドですすめるから、一晩でこんなに出られるわけないだろポスターにも納得。全編ラバダブ、出演するアーティストの意外なラバダブ・コンビネーションを楽しめる。Fi yuh tune。
 
スカイ・ジュースの腹踊りでカウント・ダウンをし、イエロー・マンやジョジー・ウェイルズ、バリントン・リーヴィー、マーシャ・グリフィスなど大御所アーティストでまったり。ケイプルトン、シズラ、ファントン・モジャなどラスタ系アーティストが会場を燃やし、マンネリになりがちなところを、その年毎の話題のアーティストでひきしめる。Stay tune。
 
「ライジング・スター」(のど自慢勝ち抜き戦で人気のテレビ番組)2007年優勝者のロメイン・ヴァーゴ。ジャメイカン・ガールをワイルドにさせるペット的アーティスト、一人カラオケ状態。12歳のちびっ子DJ、ダダのステージも好評。など、日本では知られていない、純ジャメーカなアーティストで盛り上がる。
 
親子ステージが多く見られるのも時代の流れ。2007年、10何年ぶりかのボスを果たしたジュニア・リードは、親父と息子ステージの本家。「スティング」ではイヴとのステージにハズしたけれど、オリジナル・ボボ、Guide and itect。続いてマイケル・ローズ。「ジャムジャム」の観客でも'80年代ブラック・ウフルーのヴォーカルは知らないらしい。数年前に同「ジャムジャム」でハズしたジミー・ライリーは、ターラス・ライリーと堂々のステージで、昔の風格プラス、イマのメイン・アクト。ターラスに女の子の嬌声。ティンガ・スチュワートも今年はいけてる。
 一晩に、2つ以上のショウを掛け持ちするアーティストが多い年末年始。「ジャムジャム」と同じ大晦日に、セント・キャサリンのイワトンで行われる「レゲエ・キャンプ・ファイアー」は、同じくアイリー・ヴァイブスな田舎のショウで、年々人気も知名度も増し、出場アーティストが「ジャムジャム」とかなりだぶっている。「スティング」と「ティーン・スプラッシュ」のように、同日のショウでも支障なく、はしごステージできるようにしてほしいもの。
 
さて「ジャムジャム」会場、ニンジャが登場しアーティストを蹴散らしたかと思いきや、フレンドリー・クラッシュ。時は、ブジュ待ちの夜明け前。「レゲエ・キャンプ・ファイアー」出演から「ジャムジャム」会場に向かっているブジュを、待つばかりの「ジャムジャム」。本当にブジュはくるのか、こないのか。気がついたらニンジャは、ショウのつなぎ役MC化して、ココ・ティーとの連係プレー。そんな、ゆるゆる進行なショウのバック・ステージで、事件が発生する。「スティング」では小ウケだったジャー・キュア、「ジャムジャム」でボス。「先輩」のシズラがジャー・キュアにヴォイシング(歌い方)の「アドバイス」をし、それが気に入らなかったジャー・キュアと衝突、ポリスが介入する騒ぎに発展した。Watta ting? それでもショウへの影響はなく、シズラもステージをこなし、「キャンプ・ファイアー」へと移動。
 
ジャー・キュア・サイドは後日、「シンガーとしてのキャリアを手助けしてくれたシズラには、心から感謝している」とお利巧な公表声明をメディアに発表。両者とも、この件に関しての言及は拒否している。去年8月の「セントメアリー・ミー・コム・フロム」での、「ノリス・マン」とのいざこざの前例があるシズラ。「アドバイス」の真相はよくわかっていない。Sticky out deh fi real.
 
グッド・ヴァイブスで大好評だったのが、フル・オーケストラで、屋内で聴くベレス・ハモンド・コンサート。ベレスならではの、異例の試み。ブジュ・バントンなど豪華サプライズ・ゲストぞくぞく。入場料1万2千円相当でもファンご満悦。
 
Artist, a do dem ting when dem fi set example.

 
ジャマイカ政府は、毎年2月を正式に「レゲエ月間(Reggae Month)」と定める、と発表した。2月はボブ・マーリーの誕生日のある月で、世界的に黒人の歴史月間でもある。

RAW SINGLES from No.299

Raw Singles
Text by Takanori Ishikawa
 
1. Mr.Pepper / She Keep On (TJ Records)
オリジナル・ジャグリン "Skandal Bag" 使用でヒット中。80'sポップスの香りがプンプンするメロディアスなキーボードをイントロに配したダンサブルなトラック。ビートはシンプルだけど、シンセのリフが煽る、煽る。Wine大好き男のダンス推進ソング。
  
2. Busy Signal / Jail (Jam II)
重い打ち込みのHip Hop調オリジナル・トラック。スローなリズムにドンピシャでハマるライミング。奇をてらわずにオーソドックスにDJしたのが見事にハマりましたね。刑務所の中は本当に大変だった、あんな所には二度と戻らねえぞってリリックス。
 
3. Bounty Killer & Movado & Busy Signal etc. / Alliance Giant (Big Ship)
他にもWayne Marshall、Bling Dogが参加の凶悪Bad Manアンセム。キャッチーな歌パートは一度聴いたらクセになる。それに絡むDJが、これでもかとBadなリリックスを連発。反則スレスレのチームワーク。凝りに凝ったオリジナル・トラックも素晴しい。
 
4. Elephant Man / Real Bad Man (Big Ship)
ジャマイカ各地の本物のBad ManをBig Upし、リスペクトを捧げる1曲。Akonの大ヒットR&B「Blame It On Me」のメロと展開をパクったDJ。久々にヤリましたね。ドラマチックなサウンドも、この曲用で見事にハマってます。
 
5. Chino & Di Genus / I Know (Big Ship)
Freddieの息子が放ったMunga並びにDon Corleonへのカウターアクション。本当のギャングスタはどんな男なのかオレ達は知っているぜ、とギャングスタ・ラスへ反撃。ロックなギターがWickedなオリジナル・トラック使用。
 
6. Bounty Killer / Bullet Him (Big Ship)
新世代トラック・メイカー本領発揮。オリジナリティ溢れるそのサウンドはハードなのに激ポップ、ソリッドなのにダンサブル。Bountyも最高のDJで応酬してスゴい事になってます。全編撃ちまくりのガンマン・リリックス。
 
7. Vibez Kartel / Empire Army (Big Ship)
Kartelも負けていません。オレの地元の軍団率いて何時でもヤってやるぜのBad Manチューン。アグレッシヴなビートにドープなシンセをミックスしたオリジナル・ジャグリン "Dark Again" 使用。同トラック使用でAidonia、Movado他もリリース済み。こっちもヤバい。
 
8. Serani / She Loves Me (Daseca)
今回も洗練された音作り。ピアノ等を使った独特のアンサンブルがクールっすね。相思相愛の彼女とのラヴラヴ具合をサラッと歌うジャグリン・チューン。今の時点ではこの曲のみ使用のオリジナル・トラック。
 
9. Bugle / Journey (Daseca)
これもオリジナルのスロウ&メロウなトラック使用。ドラム&ベースが全体をグッと引き締めているので、ダレないんですね。人生を長い旅路に例えた内容をジックリ聴かせる。何があっても前向きに頑張って行こうというコンシャス・ソング。
 
10. Zumjay / Kotch Pon Di Edge (40/40)
シンコペートするリズムが小気味良くグルーヴ。その間をぬう様にスリリングに登場するキーボード。流石はLenkyなクリエイティヴな仕上り。ベッドルール・リリックスをリリカルにDJするZumjayもいい感じ。同時発売の別トラックBling Dog & Marieもナイスなので要チェキ。
 
11. Movado / Treat Dem A Sen (Pure Music)
イントロのシンセは、殆ど劇画調。ダンスホールならではの、この思い切り。そして一気にドライヴする重低音ボトムが何しろ強力なオリジナル "Shoota"。グイグイ前進するビートに切れ込むMovadoのフロウも文句無し。何時でも、誰とでもヤってやるぜって感じのリリックス。
 
12. Demarco / Listen (Jam II)
「Stand By Me」のダンスホール・ヴァージョン。と言うよりは、まんま「Beautiful Girl」と同トラックな "Jook A Gal"。オートチューンでエフェクトかけまくったヴォーカル・パートも何をか言わんや、ですね。女性に暴力をふるう最低男を手厳しく批判。
 
13. Timeless & Bugle & Demarco / Power Cut (Jam II)
こちらはオリジナル "Splash Out"。ここ数年、このレーベルから出るトラックはハズレ無しっす。ビシビシとアタックするリズムを中心にしたキレの良いサウンドは、他プロダクションと一線を画す。三者三様のスタイルで贈るNewダンス・チューン。
 
14. Taurrus Riley / Protect Your Neck (Fat Eyes)
SilvertonesがTreasure Isleに残したクラシック「Midnight Hour」(原曲は勿論、W.Pickettのサザン・ソウル名作)リメイク・トラック。抜き差しの効いたパンチのあるミックスでラバダブ風味を足した焼き直し。やっぱ、ここは普通にはリメイクしませんね。バッチリです。自分の身は自分で守れ等々の内容。

PLAY IT LOUD from No.299

GET UP AND TRY : BISHOB MEETS MANJUL / BISHOB
[MAKAFRESH / MKF6]
ナイジェリアのシンガーです。少し高い声でコブシを回しながら歌う情感溢れる歌唱が魅力。今作を聴くきっかけとなったのは、Manjulがサウンドも含めてプロデュースで全面参加していたからです。モダン・ルーツ・フレイヴァー全開、彼の描く音世界は多彩で洗練されている。そしてBishobの個性を上手く引き出しています。アルバム後半は原曲のダブ・テイクを収録。こちらもグッド・フィーリング。[輸入盤](磯野カツオ)
 
SAY WHAT YOU'RE THINKING / KATCHAFIRE
[KATCHAFIRE / 5099950518326]
ニュージーランド出身のバンド。ハワイでの人気は絶大でイベントのラストを飾る程です。ルーツ・レゲエとカラッとしたソウルの混ざり具合が絶妙。湿気を感じさせないから、いつ迄も肌に身につけていたい気分です。人懐っこいレゲエは演奏者とリスナーの心をブロードバンドよりも早く結びつける。ハーモニーとリズムが絡む瞬間に出会う度、耳がとろけてしまう。是非、皆さんにも味わって欲しいです。[輸入盤](磯野カツオ)
  
FULL OF DREAD / ALIEN DREAD
[REGGAE RETRO UK / RRADCD 04]
80年代後半からUKで地道に活動を続けるA・ドレッドの3作目。過去の作品からのリミックスに新曲を加えたより進化した印象を残す本作は、クラシックな風味を感じさせる保守的な要素と時代の先端を行くかの様なデジタル的な要素が巧く混在しているが、根底にあるのは勿論ルーツ・レゲエ。フルートをFeat.したインスト・ダブがメインの本作の中でDevon Russellを迎えた「Things Dub」は聴き所の一つ。[輸入盤](梅原豊人)
 
MOJO ROCKSTEADY BEAT / SOUND DIMENSION
[SOUL JAZZ / SJRCD173]
1967年から1970年まで活動していたと言われているスタジオ・ワンのハウス・バンド、ソウル・ディメンション。2006年にSoul Jazzより『Soul Shake』という名で初めてまとめられファンを狂喜させたが、今回も同レーベルよりのリリース。「Real Rock」「Drum Song」と言った定番リディムは勿論、中々聴けないお宝音源も含め、嬉しい限りの内容。キャッチーでファンキー、そしてグルーヴィ。最高です。[輸入盤](大場俊明)
 
INNA DE YARD ALL STARS / V.A.
[MAKASOUND / IDYCD8]
アコースティック・セッション・シリーズの集大成、今までリリースされたアルバムの中からセレクトしたベスト盤です。つまりアール“チナ”スミスの原点&挑戦、弦が紡いだ夢の森を音にした軌跡。目に優しい緑いっぱい、気のレゲエ、浴びてみませんか。空間には楽器が爪弾かれ、歌は生々しく空に向かって響く。根は繋がっています、今も昔も。流行に流されず聴かれるべき、カツオ大推薦な盤。[輸入盤](磯野カツオ)
 
レベレーション/リトル・ヒーロー
[ダイアモンド・エッジ/DECCD-009]
やはりJamaicaは遠い国だと思うのは、ここ日本には届いていないシンガーの絶大的な支持を、かの地で間の当たりにした時。この“草の根”ヒーローもまさにその一人。ギャングなんて無縁の名もなき一般ゲットー・ピープルの「代弁」ではなく、無骨な嘆き、そのもの。そして同胞への慈しみ。地元チャートを賑わせた名作「Prayer Time」「Inna De Ghetto」他収録の実質ベスト。全ての飢えているモノタチよ、Listen。(遠井なつき)
 
ナー・オーディナリー/サンディ・スミス
[P-ヴァイン/PCD-93078]
ゴスペル・シンガーとして、島内で2位を獲得後プロへ転向。そして2年前よりジミー・クリフのバック・コーラスとして世界中をツアーし(来日経験もあり)、発表となったのが、こちらの若さと自信みなぎるデビュー作。まだまだ無名に近い彼女ながら、"Clappas" TrkでおなじみSouth Rakkas Crewプロデュースの今作はジミー様絶賛という抜群の歌唱力と、ポテンシャリティを十二分に感じられるものとなっている。(遠井なつき)
  
トゥー・サイドズ・オブ・スーザン/スーザン・カドガン
[ビクター/アリワ/VICP-64063]
リー・ペリーと組んだ1976年作品『Susan Cadogan (Hurt So Good)』、マッド・プロフェッサーと組んだ1992年作品『Soulful Regga』。他にも幾つか作品を出しているが、やはり奇才達と組んだこの2枚が素晴しい。マッド教授と久々に組んだ本作、やはりマッド教授とは相性がいいのだろう、キラキラしたトラックを用意し、彼女は年齢を感じさせないロリ声でそれに挑んでいる。そんな正統的なラヴァーズ作品。(大場俊明)
 
エンジェル・ウィズ・ダーティ・レゲエ/ザ・69ヨブスターズ
[Pヴァイン/PCD-24199]
バンド名、アルバム・タイトル、ジャケット・デザインからしてガラの悪いルードな感じ…そう、どんな時代だろうが、こうした頑固にツッパった奴らってのはカッコいい。バカみたいに一途なら尚のことカッコいいのだ。この若きルード・ボーイ達はスキンヘッド・レゲエにぞっこんの様で、ムーディかつ猥雑なオルガンをメインにガラッパチなヴォーカルが追い打ちをかける。次作ではもっとオリジナルで勝負を期待。(大場俊明)
 
ライフ・オブ・コントラディクション/ジョー・ヒッグス
[ビート/プレッシャーサウンド/BRPS58]
スカ以前からジャマイカの音楽シーンに携わっていた故Joe Higgsが遅ればせながら1975年に世に出した貴重な1stアルバムが素晴らしい音になって再々発。こだわり抜いたのであろう緻密なサウンドやアレンジは、この時代の他のレゲエ作品と比べると微妙に肌触りが異なるが、そこが本作を名盤たらしめている要因なのか? サウンドはとにかく一級品、誠実で切実な歌も一級品。つまり作品自体が一級品という事。(大場俊明)
 
スライ&ロビー&タクシー・ギャング〜サウンド・オブ・ワン・ポップ・スタジオVOL.2/V.A.
[コヤシ/KHCD-002]
日々ジャマイカ国内だけでなく世界中のアーティストとミーティングとレコーディングを重ねているスライ&ロビー。テーマさえビシっと決まっていれば、キレのある玉をズバっと投げて来る。本作は彼らの得意とするルーツ系ミディアム・トラックを4つに絞り全て歌ものでまとめたもので、全体的にまったりとした空気が流れている。ベレスの「There For You」やルチアーノの「If You Are Not」とかグッときますよ。(大場俊明))
 
ペントハウス・シンガーズ/V.A.
[コヤシ/KHCD-003]
80年代後半から90年代、ダンスホール界において確実に三本指に入る名門レーベル、ペントハウス。ジャーメイン・ドノヴァンが取り仕切るこのレーベル、トラックのセンスも音の良さもズバ抜けていたから、数え切れないほどのヒット曲を生み出している。特にシンガーもので印象深い作品を残していたので、こうした切り口は正解。改めて聴くと後世に伝えるべき名曲ばかり。Vol.2と言わず、シリーズ化して欲しい。(大場俊明)
 
グロウイング・ペインズ/メアリー・J・ブライジ
[ユニバーサル/UICF-1093]
2年ぶりの8作目。パフィ、ネプ、ブライアン・M・コックスといった大御所陣に加え、トリッキー・スチュアート、ジャジー・フェイら中堅どころやネフューら気鋭勢が集った本作では、メアリーという最高の素材を活かさんとガチンコなスキル合戦が展開されるが、当の本人はどこか吹っ切れたというか、サッパリした歌い口が印象的。描かれる世界の透明感やポジティヴィティは、彼女の次なるステージを思わせる。(石澤伸行)
 
ラヴ/ヘイト/ザ・ドリーム
[ユニバーサル/UICD-6148]
(離婚の噂もあるものの)ニヴェアの夫にして、リアーナやメアリー・J・ブライジらへの楽曲提供を行ってきたシンガーソングライター、ドリームとトリッキー・スチュアートによるコラボ作。アップにスロウにと仕上がりこそ様々ながら、共通するのはまろやかな音仕事。そこにナヨり声を乗せる手法は、確かに昨今のT・ペインらが築いた潮流とも符号する一方で、勝ち組としての余裕に満ちた作品とも言えそうだ。(石澤伸行)
 
ザ・ファイト・オブ・マイ・ライフ/カーク・フランクリン
[BMG/BVCP-24575]
90年代前半よりR&Bやヒップホップ、そしてポップの世界をも巻き込んで活動を展開してきたゴスペル界の重要人物によるソロ作。サウンド構成は、教会直送の厳か路線があれば、ファイティング・ポーズをキメ込んだアグレッシヴなビートが飛び出してきたりと、アプローチは相も変わらず意欲的。ただし、その中心には常に「声」があって、彼による鋼の如きヴォーカルとバック陣が一体化する際の迫力は超ド級。(石澤伸行)
 
ウォー・ストーリーズ/ロニー・ジョーダン
[ユニバーサル/UCCO-1027]
そのブ厚くて強靭な音楽性を武器に70〜80年代を駆け抜けたバンド、ウォーの鍵盤奏者兼シンガーによる四半世紀ぶりのソロ作。書き下ろし曲に加え、いくつかのカヴァーやウォー時代の作品等を含んだ一連の演目は、ソウルとロックとラテンをコトコト煮込んだ類のもの。爽やかに疾走したかと思えば、メロウに佇んだり、その一方で黒光りする眼光を向けてきたりと、奏でられる音楽がみせる表情の豊かなこと!(石澤伸行)
  
ニュー・ヴォイス/ケンドラ・ロス
[Pヴァイン/PCD-93056]
オハイオ出身NY拠点の女性シンガーによるソロ・デビュー作。既にタリブ・クウェリ作品等を通じ、そのたおやかな歌声をお披露目済みの彼女だが、本盤においても、居並ぶ音職人たちの生感覚たっぷりなバッキングを得て、柔和ながら凛とした表情で魅了してくる。エリック・ロバーソンやタリブ・クウェリらとの競演含め、彼女のパフォーマンスは常に瑞々しさをキープ、あらためて確かな存在感を植え付ける格好に。(石澤伸行)
 
セヴン・ウェイズ・トゥ・ワンダー/リール・ピープル
[コロンビア/COCB-53680]
3年半ぶりの2枚目。ユニットを構成するふたりの仕事は、今回も四つ打ちビートを軸としつつ、R&Bやジャズ、ラテン等のフレイヴァを散りばめたクールなトラック捌きで冴えまくる。そこにオマーに加え、トミー・モムレムやイマーニらインコグニート周辺人物といった、UKソウル・シーンを彩ってきたシンガーがカラフルな歌世界を現出。まさに捨て曲なし、息つく暇なしの良曲ひしめく充実作に仕上がった。(石澤伸行)
 
ROCK WITH THE HOT 8 / HOT 8 BRASS BAND
[TRU THOUGHTS / TRU141]
全米ニュースやスパイク・リー監督ドキュメンタリーでも取り上げられる等、社会派な姿勢も評価されているニューオリンズ・ブラス・バンド。マーチング・バンドとしてのトラディショナルな奏法からは外れずとも、十八番のM・ゲイやS・ドッグのカヴァーも収録していて、その親しみ易さにハマります。フェスティバルに居合わせた様な感覚に陥る、敢えて綺麗目ではない録音も雰囲気たっぷり。[輸入盤](飯島直樹)
 
ヘビーウェイト・グリンゴス/ゼロ・ディービー
[ビート / BRZN139]
ルーツ・ミュージックを無視しない(ここがポイント)ボディー・ミュージック・フリークなら、一度は体験して欲しいユニット、ゼロ・ディービー楽曲のリミックスだけを集めた作品。原曲では要となっているパーカッション〜ビートと、文字通りブリブリとしたブリープ音使いのベースラインが、どう料理されているかが聴きもの。音質だけでも躍らせられる心意気の、サウンドメイカー名利につきるヴァージョンが満載。(飯島直樹)
 
サウンド・レジスタンス/J-サン・アンド・ザ・アナログ・サンズ
[KILO MUSIC / entak inc. / KILO-001]
「マティスヤフ、ベン・ハーパー、スピアーヘッドのファン層に推薦」というのも頷ける、ソウル、ブルース、レゲエを取り入れた骨太ロック・サウンド。ピーター・トッシュのカヴァーも交えながらも真似事に終わらない、ステッパーズ・ロックからラヴァーズ・ソウルまで多彩なラインナップを披露。近年ダブやロックステディも取り入れたジャム・バンドが大ヒットした、NY郊外のレーベルからの待望のデビュー作。(飯島直樹)
 
ジャングル・ストラッティン/ザ・ライオンズ
[ウルトラ・ヴァイブ / URCDJ222]
色褪せない名盤の風格アリ! ブレイクビーツ・ユニットやファンク・グループのメンバー等、L.A.を拠点にするミュージシャンが結集して、ジャマイカとアフリカとアメリカのルーツ音楽を掛け合わせた、まったりとイイ雰囲気が漂うバンド。わざとらしくなく自然にロックステディ〜ルーツ・ロックの大御所レゲエ・バンドを彷佛させてくれる、温故知新な音作りも良さに貢献。カナダ産レゲエのような変化球も。(飯島直樹)
 
ライス&ビーンズ・ミックスド&サーヴド・パート2〜ミックスド・バイ・DJ DOGG/V.A.
[RL66 / RL66-017]
設立当初はPrefuse 73も関わっていた、マイアミの地下アブストラクト・アート集団Botanica Del Jibaroと姉妹レーベルArepazの音源を使ったミックスCD。DJミックスは札幌を代表するトラックメイカーが担当、後半に向けてじんわりとテンションが高まる職人的な構成が、彼の経験の豊富さを窺わせる。ラテン系から日本人まで擁する集団だからか、全く違和感なく挿入されるDJ Doggの自作曲もすんなりと耳に入る。(飯島直樹)
  
ジプシー・キャラヴァン/O.S.T.
[ライス・レコード / HMR-730]
インドからルーマニア、マケドニア、スペインにまたがる、本来の意味での“ジプシー”音楽家のツアーを追った同名ロード・ムーヴィーから、出演者達のお馴染みの曲と未発表曲で構成したサウンドトラック。バルカン、トルコ、ボリウッド、フラメンコから欧米の音楽迄も通過した、進化を続ける流浪の音楽。人生を楽しみながら表現している、素晴しい人々の姿、音楽を堪能できる映画の鑑賞後なら、なお楽しめます。(飯島直樹)

Pushim×Sunset the platinum sound / Platinum Pushim

Pushim×Sunset the platinum sound
Platinum Pushim
 
Text by Takashi Futatsugi / Photo by Kurofin
 

2007年もシングル「HEY BOY」のリリースや、全国各地のレゲエ・フェスへの参加、初のジャズ・クラブ・ツアーなど、“クイーン・オブ・ジャパニーズ・レゲエ”としての圧倒的な存在感を見せ付けてきたPUSHIM。今年は待望のオリジナル・アルバムのリリースが予定されているが、来たるべきニュー・アルバムに先駆けて、PUSHIMのビッグ・チューン総勢32曲をミックスした初のミックスCD『PLATINUM PUSHIM』がリリースされることとなった。同作のリリースを記念して、同作のミックスを手掛けたSUNSET the platinum soundとPUSHIMとのスペシャル対談を敢行! まずはお互いの出会いや、当時の印象から話を聞いた。
 
「最初の出会い……いつだっけ? 出会う前から色んなサウンドのダブを聴いてたし、既にPUSHIMはトキワで活躍してたから、初めて会った時もこっちは初めてじゃないような、『よく知ってます』みたいな感じだったと思う」(DIZZY)
 
「出会いが自然すぎて、いつの間にかお友達になってたという感じやな。当時の印象は、BAM BAMは笑顔の素敵なお兄さんって感じで、DIZZYは普段はちょっと無口なセクシー・ヴォイス(笑)。今も変わらずやけどね」(PUSHIM)
 
「俺も最初の出会いは覚えてないな。少なくとも自分らがサウンドを始めた頃には既にPUSHIMはビッグ・シンガーだったね。渋谷クアトロでのライヴで初めて生声を聴いたんだけど、誰もがヤバイって言う理由が見てすぐわかった。完全にくらったね」(KILLA BAM BAM)
 
共にレゲエ・シーンに欠かせない存在であることは言わずもがなであるが、本人達も「PUSHIMは今までも、これからも無くてはならない存在」(DIZZY)、「BAM BAMの選曲の気持ちいい流れと、DIZZYの声の説得力は唯一無二!」(PUSHIM)と、お互いを非常にリスペクトしあっているようだ。だからこそ、今回のミックスをPUSHIMは彼らに依頼したのだろうが、実際の出来上がりに関しても「さすがやなと思った。まさにSUNSETマジック!」(PUSHIM)と大満足のようである。
 
「自分のミックスCDを初めて出すのにあたって、ミックスしてもらうのはSUNSETが絶対にいいと思ってた。理由はただ単純に好きやから(笑)。彼らには思う存分やってとだけ言って、後は何も注文しなかったんだけど、出来上がったものを聴いて、やっぱり凄いなと思ったね。自分の昔の曲を聴くのは苦手なんやけど、今回は自分でもビックリするほどスンナリ聴けたしね」(PUSHIM)
 
「確かに何の注文もなかったね。『よろしくお願いします』とだけ言われました(笑)。こんな大役を任されて光栄だと思ったし、気持ちよく聴いてもらえる1枚にしようと心掛けました。前半はPUSHIMの男前な部分、そしてダンスホール的な部分、後半に向けて女性らしい部分を引き出してみましたね。特に入れたかった曲は“FOREVER”や“I Wanna Know You”、“I pray”や、自分らが関わった“往来〜sunrise riddim〜”かな。特に“FOREVER”や“I Wanna Know You”といったアルバム『PIECES』に収録されている曲は、当時PUSHIMのラジオ番組に準レギュラーで出させてもらってた時に、どこのサウンドマンよりも早く録りたてホヤホヤのものを聴かせてもらっていたので、すごく思い出深いんですよ。あと、“FRESH!”は自分の中の隠れた名曲ですね」(KILLA BAM BAM)
 
「最初から最後まで全てが聴き所です。孫の代まで聴いてください(笑)。今回のミックスCD を通じて改めてヤバイなと思ったのが“Vibes Up”。今キテるのが“SURVIVAL FUTURE”ですね。あと、MCを入れた“Da Bulldog”も思い入れ深い1曲。いつだったか、昼ぐらいにPUSHIMから電話がかかって来て、『今レコーディングしてるんだけど、DIZZYのMCを入れて欲しい』って言われて、『もちろん、OK。で、いつ?』って聞いたら、『今日、今から』『今から???』『そう、今から』『わかった。今から行くよ』みたいな、そんなジャマイカンっぽいやり取りをして参加することになった曲なんです(笑)」(DIZZY)
 

  
そしてミックスCDと同日に2006年〜2007年のPUSHIMのライヴ映像をまとめたDVD『THE LIVE 2006-2007』もリリース。「06年は前作『Sing A Song...Lighter!』のツアーがあったし、07年はジャズ・クラブ・ツアーがあったり、夏フェスもルチアーノと共演できたり、どこもすごく面白かったから、それらを全部入れたいなと思って。この2年の私がたっぷり詰まった1枚になってると思うよ」とPUSHIMも語るが、かなりの本数のライヴをこなしているからこその濃くヴァラエティに富んだ内容に、改めて彼女の存在感の大きさを痛感すること必至である。SUNSETの2人もPUSHIMのライヴ・パフォーマンスについては絶賛するのみといったところのようだ。
 
「CDももちろんヤバイけど、ライヴは魂にダイレクトに伝わってくる感じがする。ライヴでしか聴けない、ライヴでしか感じられないヴァイブスを感じるよね」(DIZZY)
 
「それってやっぱバンドとセッションすることにより生まれるヴァイブスなんだろうね。ライヴの時はHOME GROWNとも息がピッタリで、いつも見ていて凄く気持ちいい。HOME GROWNのみんなも凄く楽しそうに演ってるし、PUSHIM、HOME G、オーディエンス、それら全てを含めた一体感がPUSHIMのライヴの最大の魅力だと思うよ」(KILLA BAM BAM)
 
レゲエ界のクイーン、PUSHIMと、日本が誇るサウンド・システム、SUNSET the platinum soundによる豪華コラボレイトが実現したミックスCD『PLATINUM PUSHIM』。最後に、シーンを牽引し続けているこの2組のアーティストから、今後のお互いに求めることを聞いた。
 
「彼らにはこれからもずっと踊らさせて欲しい。私の周りの女性たちは彼らのプレイでいつも狂ったように踊ってるからね(笑)。そしてまた“往来”のような良い曲を一緒に作りたいです」(PUSHIM)
 
「今まで通りのままでバッチリだと思います」(KILLA BAM BAM)
 
「だね。そしてこれからも良い曲たくさん書いて、たくさんの人達に歌声を届けて欲しいですね」(DIZZY)
 


MIX CD
"Platinum Pushim" mixed by Sunset the platinum sound
Pushim
[Ki/oon / KSCL-1216]


DVD
"The Live 2006-2007"
Pushim
[Ki/oon / KSBL-5859]

 

2008年1月30日

Flexx from T.O.K. / D'Link

Flexx from T.O.K.
D'Link
 
Text by Takanori Ishikawa / Photo by Morrow
 

T.O.K.という個性の強い4人組の中で、大ヒット曲「アイ・ビリーヴ」などで美声パートを担当し黄色い歓声を一身に浴びるフレックス。そんな華のある表舞台での活動と平行してプロデュース業にも力を入れていた彼が、初の作品集『D'Link』をリリース。トップ・アーティストならではのゴージャス感は勿論だが、それだけではなく芯の通った力強い作品集となった。
 

T.O.K.の美声ヴォーカリストFlexxがプロデュースしたダンスホール・アルバム『D'Link』が登場! ポップでカラフル、そして勿論ダンサブルな楽曲満載。どの曲もリズムのキレも良し。プロデューサーとしての腕も中々じゃない。でも、具体的に何をどこまでやっているのか興味あるところですよね。
 
「リディムを最初から組み立てる場合もあるし、誰かを雇って自分のアイディアを形にしてもらう事もある。例えば、ドラム・パターンは自分で組んで、そこから先はChristpher Birchにキーボードを弾いてもらって新しいサウンドを加えてもらうとか。オレは人と一緒に作業するのが好きなんだ。この作品にT.O.K.のBay CやSuper Mario、DJ Karimがメインでプロデュースした曲も入っているのはそういう訳。彼らのエネルギーが良いと思ったら、オレは採用する。他の人に作ってもらった場合でも、プロデューサーとしてあれこれ意見を挟む事は多いけどね。より良い形に仕上げるようにね。オレは全体を見渡して方向性を決めてから事を進めるタイプだから、お金だけ出して誰かにトラックだけ作らせる様な事はしないよ」
 
なるほど。一言でプロデューサーと言っても、何もしない人から、何から何まで一人でやっちゃう人まで様々だけど、彼の場合は非常に柔軟でクレヴァー。実は以前からプロデュース業にも関わっていて、このアルバムも突然発売された訳ではない。この事は意外と知らない人が多いかもね。7”シングル盤をフォローしていないと知らないかも? で、今回のアルバムはいつ頃、構想を思いついたんでしょうね。
 
「頭の中でまとまったのは4年前(!)だね。オレが最初に作った “Dragon Fly” というリズムでCecilの曲を録っている最中に、『これは将来的にまとまった形になるかな』と直感的に思ったんだ。“Dragon Fly” でBeenie ManやT.O.K.の曲も作ったんだけど、アーティストとしての繋がりがあるお陰で、プロデュース業がかなりスムーズに行く事に気付いたんだ。Beenie Manだって始めから凄く協力的だったしね。まあ、俺達は基本的に敵がいないからだろうけど。第一『D'Link』ってアルバムのタイトルだけでなく、オレがファミリーみたいに付き合っているアーティストやプロデューサーとのユルい集合体を指す言葉なんだよ」
 
アーティストの集合体でもあると言う“D'Link”。今回のアルバムに参加したDJ、シンガーの面子も豪華で、且つイキの良いアーティストを人選。特に女性アーティストの参加率が高いのが特徴。Ms.Thing、Tami Chin、Cecil、そしてLady Sawが参加。それぞれに個性的な4人が本作をヴァラエティ豊かな内容にしたと言っても過言ではない。この事については…
 
「女性が活躍するのは良い事だからさ。音楽的にバランスを取るのも大事だし、男性の視点、女性の視点双方から話をするのも大切だと思う。あと、このプロジェクトでは基本的にオレが音楽的スタイルを好きだと思うアーティストをフィーチャーしていて、この4人は凄く才能があると買っている人達なんだ。中にはまだ才能が十分に認められていない人もいるから、このアルバムを聴いた人達に彼女達の素晴しさが伝わるといいな。彼女達は多分、平均的な男性アーティストよりずっと才能があると思うよ」
 
全く同感です。リリックスだけを取り上げても彼女達にはオリジナリティと独自のユーモアセンスがありますよね。逆にそれが悪いとは絶対言わないけど、ダンスホールのリリックスにはある一定のパターンを逸脱しない部分が確かに存在する訳で。そんな中にあって彼女達の感性のしなやかな事。今回参加しているLady Sawは中でもパイオニア的存在。Maximum Respectです。で、若手のTami Chinはどうだったかと言うと…
 
「今回参加してくれたアーティストは皆、どんな人達か知っていて曲を作っているから、意外な一面というのは無かったんだけど。でもTami Chinにはこっちが頼んでなくて、Beenieがフック・アップしたから、出来上がった曲を聴いて彼女の声が出来てきた時はびっくりしたね」
 
このTami Chinの曲と並んで印象的なのが、FlexxとMs.Thingとの「I Like It」。ジャマイカではプロモ・ヴィデオの反応も上々な様。
 
「今、『I Like It』のヴィデオがジャマイカでガンガンかかっていて評判はかなり良いね。上半身がヌードになっているシーンで物議をかもしているけど(爆笑)。皆、あれでオレとMs.Thingが付き合っていると思ったらしいけど、そんな事はないから。まあ、話題になった方が良いから、そのままにしているけど」
 
おやおや。ところで、T.O.K.の新作も初夏のリリースを目指して進行中との事。2月にはプロモ・ツアーで来日予定と大忙し。
 
「基本的に2月の日本では、一人でT.O.K.全員のパートを歌わないとダメかな(笑)。それは冗談だけど、Bay Cが一緒だから、ある程度今までのヒット曲も出来ると思うし、このアルバムからの曲もバッチリ披露したいね。お楽しみに」
 乞うご期待。
 



"D'Link"
Flexx From T.O.K.
[Victor / VICP-64036]

 

MOOMIN / うまれたての瞳

MOOMIN
うまれたての瞳
 
Text by Naohiro Moro / Photo by Bruce Osborn
 

去年は8thアルバム『SOWAKA』やミックスCD『MOOMIX』とリリースが相次いだMoomin。年が変わっても勢いそのままにマキシ・シングル「うまれたての瞳」をリリース。これがまたMoominならではの滋味に満ちた名曲に仕上がった。


男女の恋愛の感情。世界平和を願う人類への愛。仲間や友人への愛。これまでも彼自身のスタイル、スタンスで、様々な形の“愛”に、メッセージを添えて表現して来たムーミン。そして今のムーミンに最も相応しい愛情の形が、最新シングルとして結実した。新たな彼の代表曲のひとつとして、今後、リスナーの記憶に刻まれるだろう「うまれたての瞳」がそれだ。
 
新曲「うまれたての瞳」は、実際、二児の父でもあるムーミンが、子供たちへの愛情を表現しただけにとどまらず、子育てを通じて知り得た気持ちを自らの両親にも捧げた、3世代家族愛ソングだ。日本の音楽界全体を見回しても、ありそうで、あまりないテーマに思えるし、それをこんなにまで、堂々と感動的に美しいメロディにして歌えるアーティストはムーミンしかいないだろう。
 
レゲエにおいては、ジャマイカでも日本でも「母」に捧げられた曲は珍しくはない。実際、最近の国内アーティストの作品の中にも、お母さんソングをよく耳にするし、ダンスの現場でも、親への感謝を表明するMCのコメントにもよく出くわす。だが、「うまれたての瞳」は、そうした作品ともまた違った、ムーミンにしか歌い得ない、美しさ、風格、貫禄、リアリティを感じさせる曲だ。それはおそらく、ムーミンは今日昨日父親になったのではなく、5年以上の子供たちとの歳月の中での経験を持ってして、あえて今、書き上げたリリックであり、紡ぎ上げたメロディなのだからだろう。歌うべきテーマに出会い、向き合った結果、優しい語り口の中にも、力強い意思表明を伴った名曲が誕生した。シンガーとしてのスケール・アップも感じさせる。
 
メイン・ヴァージョンのプロデュースは、これまで、ケツメイシやクリスタル・ケイなど、多くのヒット曲を手掛けて来たYanagiman。ノン・レゲエのアプローチで、ムーミンの良さを引き出すことに成功している。
 
また今作においては2つのリミックス・ヴァージョンも秀逸だ。スティーリー&クリーヴィ制作のレゲエ・ヴァージョンの「Steely & Clevie Remix」と、そのレゲエ・ヴァージョンにナンジャマンをフィーチャーした「DeeJay Mix」がそれだ。スティクリらしい気持ちのいいレゲエ・トラックは、この曲のメロディの良さを別の角度から再認識させてくれる。更に兄貴ナンジャマンこそ、父親になったばかりの人であり(おめでとうございます)、そのフレッシュな感動、喜びをリリックの中で爆発させている。
 
カップリングの「ここにおいで」は、美しいアコースティック・ギターのアンサンブルとパーカッションのみで構成されたシンプルなアレンジに、ソウルフルなムーミンの歌声が印象的な“海”を感じさせるナンバー。ギターとプロデュースは、Reggae Disco Rockers、Stoned Rockers、Jungle Rootsなど多くのレゲエ・バンドを掛け持つ、多忙な若きギタリスト小林洋太が担当。ムーミンによく似合った新しい方向性でもある。
 
08年、ムーミン始動の曲「うまれたての瞳」。自信に溢れ、堂々としている。この10年、シーンを牽引してきたムーミンだけに、今年、更なる大きな飛躍を期待したい。
 



"うまれたての瞳"
Moomin
[Universal Sigma / UPCI-5060]

 

Anthony Red Rose / Unmissable Story extra pieces from Ruffn' Tuff vol.14

Anthony Red Rose
UNMISSABLE STORY extra pieces from Ruffn' Tuff Vol.14
 
Interview by Tadahiro Konoe / Translated by Mizuho Takahashi / Photo by Masataka Ishida
 

映画『Ruffn' Tuff』の為に取材した数十時間のテープから本編や書籍からも頁数の制限でもれてしまった人達や発言を採録する当コーナー。最終回となる今回はキング・タビーの門下生のシンガーとして「Tempo」を大ヒットさせ、現在はテリー・リネン等の若手育成に尽力を注ぐプロデューサー、Mr.Tempoことアンソニー・レッド・ローズが登場。
 
もう長いこと、この業界でやってきてます。1984年にキング・タビーのところからヒットを出して以来ずっと、ですね。「Tempo」に「Under Mi Fatty Ting」。もちろん、どちらもタビーのプロデュースです。『Two Big Bull And One Pen』というアルバムをレッド・ローズ&キング・コング名義でタビーが出してくれました。タビーからのアルバムでは『Red Rose Makes You Dance』もあります。この作品の後にタビーは亡くなったんです。でも、私はこの道を歩き続けて、タビーからプロデュースについて教えてもらったことを糧にプロデュース業を始めました。最初のプロデュース作品は93年。その頃はマイキー・ベネットやガッシー・クラークといった人たちとも仕事していました。他の人ともやってますよ。アメリカの方々や、新人アーティストとも。作品が世に出るまで全容は秘密にしておきたいと思います。
 
キング・タビーのことですか? 彼は電気関係の技術者でもあり、エンジニアでもあり、なんでもする人でした。たくさんのアーティストをプロデュースもしました。私は彼のところを通過したアーティストの中では最後の方です。スリラーUも、シュガー・マイノットもタビー経由のシンガーですね。アル・キャンベルもそうですね。あの頃のアーティストは何らかの形でタビーと関係がありました。I-Roy やU-Royといったヴィンテージ・アーティストと俺を引き合わせてくれたのもタビーです。タビーは神聖な人。それ以上のことは何も言えません。彼には本当にお世話になりました。私があの頃、神様だと思っていた人、それがキング・タビーです。
 
レゲエは暖かい音楽です。あなたもこの音楽に惹きつけられた一人でしょう? 世界中の人々がレゲエを鷲づかみにするのは、それが暖かい音楽だからです。レゲエが扱っている題材はあなたの日常生活にあるようなことです。とてもリアルです。これほどリアルな音楽は他では見つけられないでしょうね。今、この業界の中心にいる世代は、今までのどの世代よりも恩恵を受けています。レゲエはかつてアンダーグラウンドな音楽でした。以前はボブ・マーリーが一人で旗を振っていましたが、今はあらゆる種類のアーティストがいます。シズラにケイプルトンにタービュランス。彼らのような人たちは次の段階へと進んでいます。シャギーやショーン・ポールといった人たちもそうですね。
 
ヴィンテージではアルトン・エリスが大好きです。基本的にはヴィンテージのアーティストはみんな好きですけどね。こういった音楽から私は学んできました。私が今、こうして音楽をやるきっかけを作ってくれたのもヴィンテージです。ヴィンテージは俺にとっては素敵なものですね。ヴィンテージ・ミュージックには耳を傾けるべきです。特にプロデュース業を志す人には学ぶことがたくさんありますから。もちろん、今でも影響されています。今、音楽で何かをしようと思ったら、あの頃の音楽まで聴き戻らなくちゃだめですよ。そこから新しいものが生まれます。当時の音楽はすごく特別なものがあるんです。考えてみてください。1964年に作られた曲が未だに聴かれ続けているんです。それはその音楽が本物だっていう証拠ですよね。私の「Tempo」は84年にリリースされた曲ですが、今もなおプレイされています。それが本物の音楽だからです。
 
レゲエの定義? 超難しい質問ですね。そうですね……レゲエとはジャマイカ人の心臓の鼓動です。レゲエによってジャマイカ人は世界へ通じることができました。たとえばイスラエルに行って「ボブ・マーリー」と言えばわかってもらえます。なぜ知っているのでしょう? 音楽ゆえです。レゲエはこの島の人々の鼓動なんですよ。
 



"Two Big Bull And One Pen"
Red Rose & King Kong
[Firehouse]


■DVD
「Ruffn' Tuff 〜 Founders of The Immortal Riddim」DVD
監督:石井 "EC" 志津男
[Dex Entertainment / DXDS-0064]


  
■CD
「Ruffn' Tuff 〜 Founders of The Immortal Riddim」
O.S.T.

[Overheat / OVE-0100]
¥2,625(tax in)カリプソ、スカ、レゲエなど全16曲のベスト・セレクション。

 
■BOOK
「Ruffn' Tuff:ジャマイカン・ミュージックの創造者たち」
監修:石井“EC”志津男
A5判/192ページ

リットーミュージック¥1,890(tax in)

出演者の中から13名のインタヴュー+石井、石田、落合のエッセイ集。

Mighty Massa / The Ska Revolution

Mighty Massa
The Ska Revolution
 
Text by Eico / Photo by Hiroto Sakaguchi
 

日本のルーツ・シーンを代表するサウンド・マン、Mighty Massaの最新作『The Ska Revolution』。その圧倒的なVibesをアツい現場で体感。氏の音世界は広がり続けることを止めない。多くの人たちが待ち望んだルーツ・スカの名盤誕生!
 
新年1月某日、新作の話を訊く為、代官山サルーンへMighty Massa(以下M.Massa)を訪ねる。Jah Light Sound Systemの定例イベントに客演する氏は富士の麓のDub Creation Studioより登場。
 
'02年、スタジオ設立時より更に意欲的な創作活動を続けるM.Massaの最新作は、スカのフル・アルバムだ。結成20年超The Ska Flamesのオリジナル・メンバーでもあるM.Massaであれば当然の作品の様に思われるが、その作風はThe Ska Flamesのそれとは一線を画すものの様に感じる。あくまでもM.Massaのスカ、独自の世界を持つサウンドなのだ。ルーツ・スカと呼ぶべきそのサウンドは、ジャマイカに於いて当時The Skatalitesがいち早く持ち込んだラスタの精神性を感じさせる。そのVibesは圧倒的だ。
 
「スカはもう一般的だからさ、(この作品は)それにちょっと思想なり、メッセージなりを足して、よりパンチの強いコトを発信していると思う。色んな方面から言い切れるよ、Ska Revolutionって」
 
『The Ska Revolution』は間違いなくM.Massaのスカ革命なのだ。同業界人、各方面よりデジタル打ち込みスカである事が賛否両論、物議を醸している模様。
 
「演奏云々じゃないんだよね。ただ単に曲がかっこよかったらいいじゃん、て話」
 あっさりそう言い切るM.Massaの制作は、デジタル・プログラムとは云うものの、単なるループ音楽制作ではない手弾き同然のスタイルだ(ギターのみ盟友シガキ氏担当)。当然とも言える太く響くベース、独特のグルーヴ感、スケール感、リズムの詫び寂びや美しいメロディが沁みる。
 
「バンドだと……メンバーの誰かがアレンジすると違うものになっちゃうんだ」
 あくまで自身の音の世界観を突き詰める。“孤高のダブ職人”と称される所以。
 
「例えば、DJの予定があって新譜を買いに行かなきゃ、っていう時に新譜を作っちゃうみたいな感じ。基本的にはサウンド・システムの為にやってるような所があるから。サウンド・システムの為だけじゃないけど、結局はサウンド・システム中心、現場中心」
 
『I Wah Dub』等のアルバムはサウンド・システムの為に作ったダブ集だと話してくれたDennis Bovellを思い出す。現在、自身のサウンド・システム活動を休止しているとはいえ、M.Massaは本家大御所然りの極レゲエ的な制作を続ける日本唯一の存在なのだ。
 
全12曲中唯一のワン・ドロップ・チューンが今後を予感させつつアルバムを締めくくる。盟友Ras Nicoは勿論、元Determinationsの高津氏らとのセッションも予定されているという今後の活動にも期待大。
 
現場は既に熱く、ルーツ界の長を待っていた。来日中のBlack Redemption/Ras Kush(NY)とIliarityhifiクルー(UK)もM.Massaのダブとそのプレイを楽しみに来場。サウンド・システムで体感するM.Massaサウンドの超リアルな音世界が揺れる快感。
 



"he Ska Revolution"
Mighty Massa & The Ska Revolutionaries
[Pictus / DLDB-2002]

2008年1月31日

Riddim Awards 2007 / The Winners

Riddim Awards 2007
Comments from
the winners

 

前号の「Riddim Awards 2007」で見事ウィナーとなったRyo the SkywalkerとZeebra両氏に2007年と受賞作品を振り返ってもらいつつ、やはりファンとしては気になる2008年の動向など、詳しく話を聞いた。

The Reggae Winner
Ryo the Skywalker
Interview by Toshiaki Ohba 

  
●選者の間では満場一致で1位でしたよ。
RYO the SKYWALKER(以下R):ありがとうございます。めちゃめちゃ嬉しいです。
●今回の作品で特に飛躍した部分と言うと?
R:『One-der Land』は、久しぶりのメジャー・フィールドでのソロ・アルバムでした。なので、いかに外側の人を巻き込んでこれるか、という部分には拘りました。ダンスホールを軸に、Hip Hop、Drum & Bass、R&B、Beatbox、歌謡曲まで、レゲエDJを通しての“異文化交流”感が巧く出たので、どちらサイドの人にも楽しんで貰えるものになったと思います。
●対談でもTancoが「他ジャンルの人も結構迎えているけど、どれもRyoの畑に引きづり込んでいる」と発言してますが、リスナーの意見も多分同じでしょうね。
R:そう言って貰えると嬉しい限りです。他のジャンルの良い所を貰いつつも、ダンスホール感は壊したくなかったのですが、自分自身レゲエしか出来ない子だと分かってたんで(笑)、あまり気にせず全開で遊ばせて貰いました。結果、ゲストの方々にも、レゲエの自由な部分を面白がって貰えた事が、いい作品作りにつながったと思います。
●2007年に起こった出来事で最も印象深かった事と言えば?
R:自分の事で言えば、『One-der Land』とベスト盤『The Best Way To Walk In The Sky』という、2枚のアルバムを出せた事もありがたかったし、この賞も頂いたりと、いい事も沢山あったのですが、反対に10年来の友人でもあるアーティスト、Terry The AKI-06が亡くなったりと、つらい出来事もいくつかありました。ただ去年学んだ事は凄くポジティヴで、今後の自分達のレゲエと、それに共感し合える仲間にとっては非常に収穫の多い一年だったと思います。
●この一年のプランを教えて下さい。
R:2008年は、2009年に向けての準備期間にするつもりですが、レゲエ的にはコンスタントにガンガン攻める事も、来年更にあがっていくための準備だと思っています。今年はいつもの倍がんばっていきますので、よろしくお願いします。

CD「ONE-DER LAND」
RYO the SKYWALKER

[Universal / UPCI-5046]
  
 
 
The Hip Hop Winner
Zeebra
Interview Takashi Futatsugi 

 
●本誌でベスト1に選ばれた感想を。
Zeebra(以下Z):嬉しいですよ。やっぱりレゲエ好き=音楽好きで間違いないな〜、と改めて思いましたね。
 
●前作『The New Beginning』とはまた違った意味でクラシック感の強い作品だった、という声が多く…
Z:なるほど。キーワードとして、ジャンル関係なくカッコいい、クールな音楽、それをヒップホップとしてどう表現するか、その可能性をバラエティ豊かに追求できたから俺的にも満足してるし、そのおかげで今は次やるべきことに上手くシフト出来てる感じ、ですね。                       
●アルバムのフィーチャリング・ゲストからも今のシーンをどう捉えてるか、という点は窺えましたが。
Z:若い世代のイケてるアーティストが増えたという部分は、俺自身も刺激になってるし、自然にアルバムにも反映されてると思う。ただ、シーン全体として考えると決して右肩上がりになってないじゃないですか。いわゆる売れ線と本来のヒップホップとの二極化が進んでる現状を変えないと、って課題はあるかな。
 
●では個人的な2007年のベストを挙げてください。
Z:今思いつく限りのトピックだと…ティンバランド込みでのデュラン・デュランの復活、最近の50セントのポジティヴな行動、KRS&マーリーのシングル、D.O.の活躍…スウィズも頑張ったし、アーマンド・ヴァン・ヘルデンにもハマったし…あと、スヌープの新曲にやられたかな〜。近い線狙ってたのもあって。
 
●最後に2008年のマスタープランを。
Z:今年は何気にラップ始めて20年目なんで、その節目に相応しいことをやろうと色々動いてます。ベスト盤も企画してて、その後にはデカいとこでワンマンやって。年末あたりにはコンセプト・アルバムを出そうかな、と。日本中の大人たちが唸るようなスーパーコラボもたくらんでるし、まあ何かと盛り沢山ですね。やりたいことは相変わらず多いんで。近いところだと、3月に『龍が如く』のテーマ曲のシングルが出るのでヨロシク!!

"WORLD OF MUSIC"
ZEEBRA

[PONY CANYON / PCCA-02550]

Soul Rebel Christmas

SOUL REBEL CHRISTMAS
24 DEC 2007 at Liqudroom
 
Photo by Sho Kikuchi
 

 2007年の年の瀬、クリスマス・イヴ。東京・恵比寿にあるリキッドルームで開催された「Soul Rebel Christmas」。この時間、この場所には間違いなく素晴しくホットなヴァイブスが流れていた。
 
 野外で行われているビッグ・ダンスの一年の締めくくりとして、毎年秋、東京は日比谷野外大音楽堂で開催されているOverheat Musicによる「Soul Rebel」。昨年は8回目を迎えビッグなサプライズ・ゲスト=Wayne Smithも登場し、「マジかよー!」という叫び声を会場のあちこちで聞いたが、その模様は2月6日にリリースされる『Soul Rebel 2007』と題されたDVDで拝むことが出来るので、お楽しみに。

 日本最古と言える日本人のダンスホール・アーティストだけによるこの野外イベントは、扇型という会場の構造上、見やすいこともあって、臨場感溢れるライヴが体験出来、それはそれでスコ〜ンと抜けるような気持ち良さなのだが、さらにアーティストとの距離をぐっと詰めてもっと臨場感溢れるステージを体験してもらおう、しかもクリスマス・イヴの晩に、濃いメンツで…と企画されたのが、この「Soul Rebel Christmas」なのだ。

 出演したのはRudebwoy Face、NG Head、H-Man、Pushim、そしてサプライズ・ゲストとしてMoomin、バックを担当するのはHome GrownとWadada、そしてメインMC&セレクターとしてBana(因みに開演前にはOverheatのボス、石井“EC”志津男と『Riddim』の大場俊明もセレクターとして会場内を暖めていた)。確かに「Soul Rebel」にとって肝心要の、もしくは何度も出演しているメンツなのは勿論、毎年新作を出し続け、長年に渡り日本中のダンスホール・ファンをガシッとロックし続けている先鋭ばかり。

 たった3時間程度のショウケースだからグッと引き締まって感じたためなのか、もしくはたまたま全てがうまく絡み合ったためなのか、とにかくどのアーティストも20〜30分の持ち時間を全力で駆け抜け、そしてオーディエンスは時に酔いしれ、時に高らかに声をあげ、常にステージと客席は一体となっていた。Banaによるハーフタイムでさえ、休憩するどころか、さらにマッシュアップするオーディエンス。この場にダレてるオーディエンスなんて殆どいない。ほんと会場の隅々に至るまで、素晴しいヴァイブスが流れていた。

 尚、この「Soul Rebel Christmas」、『Riddim』 300号/25周年記念の一環として開催されたのだが、今年はさらに様々な企みが裏ではなされているようなのでお楽しみに。
 

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