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2008年3月 アーカイブ

2008年3月26日

Reggae Academy Awards 2008

Reggae Academy Awards 2008
 
Texst by Yumiko Gabe (Aisha House) / Photo by Julian Schmidt - reggaephotos.de
 
BUNNY 'STRIKER' LEE & NINEY THE OBSERVER & TAPPA ZUKIE


PRESSURE & TARRUS RILEY & DON CORLEON & TONY REBEL 
 
 2月24日、ナショナル・インドア・スポーツ・センターにてレゲエ・アカデミー主催による「第1回レゲエ・アカデミー・アワーズ」が開催された。アーティストもメディア関係者もドレス・アップ。今までのジャマイカには無い、まるで外国のアワード・ショウ。ショウの始まる前にバックステージではワインやオードブルが豪華に振る舞われ、華やかな業界の社交の場が繰り広げられた。レゲエ・アーティストだけでなく、往年から今イケているプロデューサー達、去年のミス・ユニヴァース・ジャマイカ代表のZahra Redwood、ジャマイカのスーパー・モデルなどセレブもレッド・カーペットを踏みながら続々登場。海外からのメディアも数多く目についた。
 
 アワードは授賞式とショウが上手く組み込まれたプログラム。Tarrus Rileyが「She's Royal」をパフォーマンスした時はRita Marleyを筆頭に女性達がステージ上をパレード。この曲でTarrus Rileyはベスト・ソング賞、最人気曲賞、ベスト・レゲエ・レコーディング賞、ベスト・レゲエ・ビデオ賞、ベスト・ソロ男性ボーカル賞などを総なめ。文句なしにこの夜の主役。更にElephant Man、Ceciel、Queen Ifricaらがダンサーを引き連れてパフォーマンス。締めはMarcia Griffithsの「Electric Boogie」。ステージ前の最前列に陣取ったジャマイカ首相、文化大臣、Rita Marley、アイランド・レコード元社長Chris Blackwellら超VIPもノリノリ。
 
 Don Corleonは、Alaine、Pressure、右腕のCool Faceを引き連れて登場したが、ベスト・ダンスホール・リディム賞でライバルのStephen McGregorが “Tremor” で受賞し、更にベスト海外アーティスト賞でもCollie Buddzが受賞したのが分ると、ショウの途中で会場をクールに退去。これが私的には凄く印象に残ったシーン。実際、ダンスホールの部門にMavadoやBounty Killerが全くノミネートされていないことから不評の声も聞こえたけど、レゲエ・アカデミーの創始者の一人、Lloyd Stanburyが後日、新聞で「暴力的な歌詞の曲、それを歌うアーティストをサポートしない姿勢をとっている」と語っていた。
 
 ともかく「レゲエ・アカデミー・アワード」が投げかけたものが今後、ジャマイカのレゲエ業界にどういう影響を及ぼすのか? 第1回目ながら非常にクォリティの高いアワード・ショウだったので、早くも来年のアワード・ショウが楽しみですね。
 
【WEB】
Reggae Academy/www.reggaeacademy.com
Aisha★House/www.aishahouse.com.jm/
 

STEPHEN McGREGOR
 
 

WINNERS IN ALL CATEGORIES FOR THE REGGAE ACADEMY AWARDS 2008
 
◆Best Reggae Song (Songwriter's Award)
She's Royal - Omar Riley
 
◆Best Solo Male Reggae Vocal Performance
She's Royal - Tarrus Riley
 
◆Best Solo Female Reggae Vocal Performance
Roots - Etana
 
◆Best Reggae Album
Mind Control - Stephen Marley
 
◆Best Instrumental Recording or Album
Making Notes - Robbie Lyn
 
◆Best Solo Male Dancehall VocalPerformance
Nah Go A Jail - Busy Signal
 
◆Best Female Dancehall Vocal Performance
Chat To Me Back - Lady Saw
 
◆Best Dancehall Vocal Performance Duo, Group
Love Is Wicked - Brick and Lace
 
◆Best Dancehall Album
Intoxication - Shaggy
 
◆Best Dancehall Video (Video Director's Award)
Church Heathen Remix - Jay Will
 
◆Breakthrough Reggae Artist
Tarrus Riley
 
◆Best Dancehall Riddim
Tremor - Stephen McGregor
 
◆Best Gospel Album
Prodigal Son - Prodigal Son
 
◆Best Gospel Song (Songwriter's Award)
Can't Stop Now - Kemoy Rowe, William Barclay and Courick Clarke
 
◆Best Music Producer
Stephen Marley
 
◆Best International Artist
Collie Buddz
 
◆Best Reggae Compilation Album (Executive Producer's Award)
Jamdown Riddim Driven - Delmar
Drummond/Dangerzone
 
◆Best Reggae Video (Video Director's Award)
She's Royal - Rupert Campbell
 
◆Best Reggae Recording (Engineer's Award)
She's Royal - Romel Marshall
 
◆Best Reggae Vocal Performance - Duo, Group, Collaboration
On My Mind - Da'Ville & Sean Paul
 
◆Best Dub Recording or Album
Live As One Album - Zion Train
 
◆Breakthrough Dancehall Artist
Munga Honourable
 
◆Best Reggae Riddim (Producer's Award)
Guardian Angel - Arif Cooper / Fresh Ear
 
◆Best Dancehall Song (Songwriters' Award)
Nah Go A Jail Again - Reanno Gordon
 
◆Best Dancehall Compilation- two or more artistes (Executive Producer's Award)
Tremor Riddim Driven - Stephen McGregor / Big Ship Music
 
◆Best Dancehall Recording (Engineer's Award)
One Loaf a Bread - Jammy James
 
◆Best Solo Male Vocal Gospel Performance
This Place - Prodigal Son
 
◆Best Solo Female Vocal Gospel Performance
Pray For Peace - Chevelle Franklyn
 
◆Best Vocal Gospel Performance by a Group, Duo or Collaboration
Ketch A Fyah - Prodigal Son and Jason Mighty
 
◆Best Gospel Music Video (Video Director's Award)
Gully People Cry - Andrew Grey, Calvin Whilby and Mark Scott
 
◆Most Popular Song
She's Royal - Tarrus Riley
 
◆Most Popular Artist
Beenie Man
 
SPECIAL AWARDEES
◆Reggae Trailblazer Award
Chris Blackwell
 
◆Reggae Legend Award
Ernie Ranglin
 
◆Reggae Icon Award
Bob Marley
  
TARRUS RILEY interview
Interview by CB Ishii

●「Reggae Academy Awards」で6冠、おめでとうございます! まずプロフィールからお願いします。
Tarrus Riley(以下T):Tarrus Riley a.k.a. Omar Riley。Omarとは“King Son”という意味なんだよ。ラスタマンで、ジャマイカ人で、シンガー・ソングライターだよ。
 
●音楽を始めたのはいつ頃ですか?
T:13歳の時だね。でもその時はDeeJayとして始めたんだ。Buju BantonやSuper Catの世代だからね。最初は父(Jimmy Riley)のレーベルのLove & Promotionでレコーディングをして、あとはHeavy BeatのWillie Lindo、Main StreetのDanny Brownieとやったかな。でも最初は絶対にDeeJayになりたかったんだ。
 
●では、どのようにしてシンガーに移行していったんですか?
T:DeeJayとして成長していったんだけど、常に出来る限り音楽に貢献したり学んだりしたいと思っていたんだ。家にはピアノがあってよく遊びで弾いて歌っていたんだよ。それで友達や知り合いにはよく「シンガーになるべきだよ」って言われてたんだ。僕の母でさえも「TarrusはDeeJayじゃなくて歌ってみたら? 素晴しいヴァイブスを持っているわよ」って言ってた。当時は、僕にはそんなヴァイブスなんてないよって信じてなかったんだけど、その内、少し自信が出る様になってきてね。
 
●お父さんからの影響はありますか?
T:そうだね、でも音楽的な影響を受けたというよりは、たくさんの経験をさせてもらったよね。父と一緒にいた事でスタジオに入ったりしていたからずっと音楽とは一緒だったし、ずっとこの世界で何が起きているのかを見てきたって感じかな。
 
●あなたの作った「She's Royal」でBest Reggae Songを受賞しました。どんな気分ですか?
T:最高だよ! これからの曲作りへの大きな自信にもなったし、ミュージシャンとして人々のために音楽を作っている身としてはとても嬉しいね。ジャマイカ人を含め世界の色々な人々にサポートしてもらって一生懸命にやっていくエネルギーになるよ。
 
●そうだ、Sly & Robbieとやった曲で、お父さんのJimmy Rileyとのコンビネーション・チューンについて聞かせて下さい。
T:ウィッキド・サウンドだよ。「Pull Up Selector」っていう曲でSugar Minottが有名にした "Tune In" リディムを使っているんだ。父と2人で作詞して「戦争なんて要らない」って歌ってるんだ、聞いてみて。
 
●今後の予定について教えて下さい。
T:曲作りはしていくけど、そんなにすぐにレコーディング出来るわけではないから、急いでアルバム制作に取りかかろうとは思っていないんだ。
 
●来日予定はありますか?
T:そうなるといいね。日本人はとても親切だしクリーンだから日本人が好きなんだ。日本の文化についても知りたいしね。 

 
CLIVIE BROWNIE interview

CLEVIE BROWNIE & STEELY JOHNSON
●「Reggae Academy Award」の母体であるRIAJam(The Recording Industry Association Of Jamaica Limited)の目的は? また、具体的にどういった活動をしているのでしょうか?
Clevie Brownie(以下C):RIAJamはジャマイカのレコード業界の各企業の利益を守るために2003年に設立された団体で、レゲエのレコード業界で活動していれば誰だってメンバーになれるんだ。委員会は様々な分野のエキスパート達…例えばプロデューサー、ヴィデオグラファー、エンターティメント弁護士、出版、製造、配給業者らで組織され、それぞれの利益を守るために活動している。私はその委員会の議長なんだ。
 
 我々はまず初めに違法コピー/ダウンロード等の海賊行為に対して取り組むべきだと考え、そのための行動をしているんだ。また、当初からレコード業界内の素晴しい作品やクリエイティヴなものを讃えるため、毎年アワード・セレモニーを行う事は決めていた。それが今回の「Reggae Academy Award」なんだ。
 
●違法コピーと言えば、Audio Maxxxの一件に関しては?
C:ニュースが早いね(笑)。Audio Maxxxの違法コピーは以前から問題になっていた。ジャマイカでリリースされたほぼ全ての曲が無許可でAudio Maxxxで販売されていたんだからね。だから我々はAudio Maxxxを閉鎖に追い込むために色々な手段に出ていたんだ。去年はEMIカナダのトップを通じてカナダのレコード協会に依頼したり、最近ではジャマイカの大蔵省に政府対政府として働きかける様にお願いしたりね。でも先日、グッド・ニュースが舞い込んだんだ。Audio Maxxxが閉鎖に追い込まれたってね。本当に嬉しかったよ。
 
●こういった違法ダウンロード・コピー等の海賊行為にどう対応していけばいいとお考えですか?
C:現状、例えいくつかある違法ダウンロード・サイトが閉鎖したとしてもどこかで新しいサイトがまた出てくると思うよ。だから我々は、需要に対してきちんと供給をする必要があると提唱している。つまり認可したダウンロード・サイトで正式に販売するって事だよ。例え違法ダウンロードできるとしても、本当にそのアーティストのファンで、その音楽を聞きたかったら、正式に販売しているサイトを探してくれると思うんだ。勿論、更にテクノロジーが進化して、インターネット上での海賊行為に対抗出来る様になって欲しいとは願っているよ。でも消費者に負担になってはいけない。だから、価格を上げずに音楽を正しく入手してもらえる画期的な方法を我々が考えなければいけないんだ。
 
●では、ダブ・プレートのMix CDに関してはどうお考えですか?
C:ダブ・プレート自体には歴史があり、それはジャマイカの文化でもある。それぞれのサウンド・システムにとって、スペシャルでユニークな音源は常に求められているしね。ただ、無許可で勝手に作成して、それから収入を得る行為は違法だ。それに対しては警告を与えている。ただ、きちんと認可されている音源であれば全く問題ないと考えている。Mix CDを作成するのも勿論OKだ。ただ楽曲のオーナーから許諾をもらっていればの話だけどね。
 
●それでは「Reggae Academy Awards」の事をお聞かせ下さい。
C:レゲエ業界内で、優秀さを祝い、認知し、称賛するというのが第一の目的だ。現役のアーティストは勿論だけど、亡くなられた方を称える賞もあるんだよ。レゲエの成長に多大なる貢献を与えてくれた人々を称えたり、スポットライトを当てていく事によって、新しい世代のレゲエ・ファンの記憶に留めてもらいたいという想いもあるんだよ。
 
●賞は数多くの部門に分類されてますが、基本的な選考基準は?
C:レゲエの同志による同志のための音楽賞だから、Reggae Academyのメンバーでなければノミネートも出来ないし、投票も出来ないんだ。メンバーになるには、アーティスト、ミュージシャン、プロデューサー、ライター等々、レゲエ業界に携わってなければならない。つまり基準はレゲエなんだよ。最人気アーティスト、最人気楽曲の2つのカテゴリーに関しては一般の人々も選考に参加できるんだけど、他のカテゴリーに関しては、Reggae Academyのメンバーによって専門的な見識による優劣を基準に投票が行われるんだ。つまりレゲエと共に生きているプロフェッショナルな人達に評価されるという事さ。だから賞のハードルが上がり、水準を高くキープ出来るんだ。例えチャートに入っていなくても、優れた楽曲、優れたプロダクション、優れたパフォーマンスだったり、ミックスが優れていれば受賞する可能性はあるんだよ。ただ今回、ダンスホールの評価が低く過ぎるとアーティストやプレイヤーからの批評はあった。でもそれは、彼らが受賞のプロセスを知らないからなんだ。そういった批評を持つ人は大体、Reggae Academyのメンバーではないからね。勿論、もっとたくさんの人にReggae Academyのメンバーになって欲しいと願っているよ。多数の人が参加して投票してくれた方がより幅広い見方になるし、正確な選択が出来るからね。こうやって、年を重ねる毎に徐々に良くなって世界の代表するレゲエ音楽賞になっていくと信じているよ。
 
●今年のノミネートや受賞者の中で一番印象的だった人は?
C:Chris Blackwellかな。彼が残した功績は知っての通りだよ。ボブ・マーリーを擁してレゲエを世界に広めた張本人だからね。彼はレゲエ業界にとても重要な役割を果たしたし、今現在のレゲエ・シーンがあるのは彼のお陰でもある。その功績が認知されたのはとても喜ばしい事だよ。
 
 Reggae Academyは一つの大きなユニヴァースであり、家族であるって事を日本や他の国でレゲエに携わっている人々に知ってもらいたいんだ。世界中どこにいてもレゲエ・ビジネスに関わってさえいればReggae Academyのメンバーになれるし、そうして皆が参加すればレゲエの世界は一つの家族になれるんだ。勿論、レゲエ業界が抱える問題は存在するけれど、皆で議論を重ねれば解決出来るはずだよ。Unity は Strength(強さ)だからね。だから、レゲエに携わっている世界中の方々がReggae Academyに参加してくれる事を望んでいるよ。勿論、基準はあるけれど、ウェブ・サイトにアクセスして、フォームに記入して申請すればいいだけなんだ。 

CHRIS BLACKWELL & ERNIE RANGLIN
 


A Report On The Global Conference

A REPOTRT ON THE GLOBAL CONFERENCE

Text by Shinichiro Suzuki
 

Mystic Revelation of Rastafari
 
レゲエの本場ジャマイカでは、音楽業界とアカデミズムの距離も案外と近い。レゲエ月間となった今年2月、現地の最高学府・西インド大学で、世界中からレゲエ研究者・ジャーナリスト・業界人・音楽家を集めて「地球レゲエ会議」が開催された。以下はその報告。
 
2月18日から約1週間にわたるこの会議は、西インド大学レゲエ研究ユニットと社会科学部の主催。招待講演や総勢約70名にのぼるパネル発表あり(筆者も「日本でレゲエについて教えること」の困難と意義について発表)、各種エンタテイメントあり(アルファ・ボーイズ・バンドやミスティック・レヴェレーション・オヴ・ラスタファーライの演奏、ビギーのファッションショウなども)。しかもほぼ毎日が朝9時(ジャマイカン・タイムの、だが)から夜8〜9時までという盛り沢山ぶり。
 
パネル発表から感じたことを4つほど。まず、スカやジャズやメントなどのジャマイカ大衆音楽黎明期について、地元の研究者らがめざましい成果をあげつつある。これまで外国の評論家が占めてきた分野だが、そうした仕事も参照しつつ地元の研究者らが往年のキーパーソンたちから口述を集め、いっそう豊かなジャマイカ音楽史を書こうとしている。
2つめに、ジェンダーやセクシュアリティの視点からの研究の隆盛。ダンスホールに女性の戦略を読み取るいくつかの発表ではタニヤ・スティーヴンスへの言及が抜群に多く、彼女の人気のありかを再認識させられた。質疑応答では、音楽が社会をいかに変えうるかという議論にまで発展し、聴講に来ていたDJのアッサシンが発言する一幕も。
 
3つめ。もはやレゲエは研究の題材としても表現の媒体としても視覚的なものと切り離せない。ある発表は、70年代のアイランド・レコーズがレゲエをロックの聴き手向けに売り出していく上でどんなレゲエ像を構築したのかを、LPジャケットからたどった。別の発表は、キングストンが舞台のレゲエ関連映画の中に、危険な美を放つディストピアというゲットー像を読み取り、グローバル市場ではそうした像自体が娯楽鑑賞用に消費されていると指摘した。また、コンピュータアニメ作成の教材をカリブの学生の日常に合わせるためにソフトの中でレゲエを用いるという興味深い試みについての発表もあった。
 
4つめに、とくに業界関係者のパネルでは、ウェブでの合法的な楽曲配信においてジャマイカのプロダクションやアーティスト自身が主導権を取ることの大切さが強調された(7インチ市場のことはほとんど話題に上らず)。
以上がパネル発表の感想。招待講演の顔ぶれも豪華で、レゲエ・アーキヴィストのロジャー・ステファンス、古典的名著『Jah Music』のセバスチャン・クラーク、話題の著『Dub』の音楽学者マイケル・ヴィール、日本のレゲエについて調べておりいずれ本も出るという人類学者マーヴィン・スターリングなど。
 
ある意味でこれはレゲエによるジャマイカ発展を志した「産学協同」会議だったわけだけど、日本でいうそれとはかなり議論の熱気が違う。フロアからの発言者含めて各人がレゲエについて一家言持っており、次々にマイクの前でそれを披露する姿は、まるでラバダブの場に居合わせたかのようだった。
 

Dermott Hussey, Klive Walker, Roger Steffens (L to R) /
Alpha Boys Band, パネル発表の模様

 

Terry Linen / Give Thanks And Praise

TERRY LINEN
GIVE THANKS AND PRAISE
 
Interview by Rockers Island
 

 
まるで空からのギフト……恵みの雨のように人の心を潤わせるシンガー、Terry Linenのセカンド・アルバム『Give Thanks And Praise』が4月23日にリリース。豊穣なレゲエの地で、彼が7年もの長い時をかけて丹念に芽吹かせたものとは? 近況報告込みの最新生声、とくとご賞味あれ。
 
●まずはおさらいも兼ねて自己紹介を。
Terry Linen(以下T):Terry Linenだよ。本名はKiplin Simpson。セント・エリザベス生まれのマンデヴィル育ち。
 
●名前の由来は?
T:昔、Garnet Silkの人気が出て来た頃に、友人に声が似てるって言われたんだ。それで、彼のSilk(絹)になぞらえて僕はLinen(亜麻)、Terry Linenという名前にしたのさ。Garnetとはマンデヴィルで一緒だった。まだリリース前の僕に、他では得られないインスピレーションをくれた人だ。彼は、声も、歌詞も、思考も、何もかもが気高くて本物。エネルギーの固まりだった。僕の心を震わせるアーティストだったよ。
 
●シンガーとしてのキャリア・スタートは?
T:マンデヴィルでサウンド・システムのBlack Catとリンクし始めたのがきっかけさ。彼らが初めて僕のダブを録り、現場で何度もかけてくれてさ。それで皆が気に入ってくれた。その後93年頃、Million International Soundとキングストンに行った時、Anthony Red Roseと出会って、僕にとって初めてのナンバー1チューンとなった「Rainbow Never Touched The Ground」をReggedy Joe Recordsからリリースした。それ以来、ずっとRed Roseと一緒に音楽を作っているよ。
 
●間もなくリリースされるセカンド・アルバム『Give Thanks And Praise』について教えてくれる? 今回のリリースまで7年もの時間がかかったのはなぜ?
T:…確かに長かったね。というのも、僕自体、街を出てカントリー・サイドにいたからなんだ。当時の僕と、音楽そのものとのヴァイブスの何かが違っていてね。上手く向き合えなかった時期があったからリフレッシュしたかった。海や川へ行って泳ぎ自然と接し、湧き水を飲み、瞑想し、身体を締め、ヴァイブスも力も蓄えた。世界に向けての準備を整えて、再び、こうやって戻ってきたんだ。だって特別な音楽は、歌う本人そのものすら特別に扱う事が必要だからね。
 
●常に様々な想いが込められたあなたの作品ですが、今回はどのようなメッセージが?
T:“人への癒し”さ。巷では犯罪や暴力がはびこっているけど、僕は、皆に一丸となって生きて欲しいし、正しい道に導きたい。その為に歌うし、今回のアルバムにも、正しい道筋をたくさん刻んで、伝えようと思った。だって音楽にはその力があるから。心に直接触れて、変える事が出来ると信じてる。
 
●「Storm Is Over」、「Your Love Is My Love」など、既に日本の現場でも人気の曲も収録されていますが、特に気に入っている曲は?
T:全部(笑)。スピリチュアルな曲あり、恋人同士の曲あり。全て、今の業界で失われつつある、本物のジャマイカ音楽だよ。制作も、Sly & RobbieやDean Fraser、Lenkyに演奏協力してもらって、いい曲が作れた。プロデュースはもちろんRaggedy Joe Recordsさ。
 
●普段はどう生活しているのですか?
T:気持ちよく生きていく、これに限るね。今は僕自身、限界を感じないんだ。天井はなく、頭上には空、歌えば心地よい。いつも笑顔で、心にも良い曲を楽しく作ってる。毎日、Terry Linenでいる事に集中して、本物の音楽を伝えるようベストを尽くしてるよ。
 
●最近、特別な恋をしたと聞きましたが…。それについて尋ねても?
T:うん。素晴らしい娘と出会い、恋に落ちたよ。子供もできた。彼女は僕の愛そのもの、心の底から大事な人。彼女の為の曲もアルバムに入っているよ。…というより、全ての曲が彼女に向けて、かな(笑)。
 
●今回は日本でのリリースとなりますが、日本についての印象は?
T:何回か訪ねたけど、日本は素敵だよね! キレイだし、人々は信用できて素晴らしいよ。常に行きたい大好きな国。だってショーをやっても、ものすっごく達成感を感じるんだ(笑)。
 
●夏までの予定は?
T:「Moon Follow」と「No Time To Lingua」って新曲のプロモーションに、ライヴに、ラジオに……忙しくなりそうだよ。ヨーロッパ・ツアーも一ヶ月程予定してる。日本やアメリカにも行きたいから、皆、僕の曲をたくさんかけて、聴いてね!
 

"Give Thanks And Praise"
Terry Linen
[Koyashi / KHCD-007]

Kiprich / Drama King

KIPRICH
DRAMA KING
 
Interview by Natsuki Toi / Photo by Naoto Ikeda (D-Cord)
 

 
“Keep Rich(豊かな)In Talent(才能)”、略してKiprich。Cappachino(現Chino)と組んだデビュー・シングル「Leggo Di Bwoy」でブレイク、その後、世界進出したElephant Manのイケイケな弟分的存在としての認知度を一気にあげたと思いきや、女グセの悪いダメ男の悲哀をコミカルに歌った「Telephone Thing」で大ボス。そして通算2作目となる『Drama King』をドロップしたキッポ君に新作について聞いた。
 
まずこの業界に入るまでのバック・グラウンドを教えて。
 「生まれはキングストンのウォーター・ハウス。近くにKing Jammy's Studioがあって、小さい頃からよく出入りしてたよ。ハイ・スクール卒業後も音楽へのパッションが捨てきれず、その時のミッション(法学)を諦めてスタジオ通いをしていて、ある日ビッグ・シップでダブ録りをしていた(Tony)Matterhornに“オレにも歌わせてくれ”ってDJしてみせたんだ。そしたら“お前才能あるよ”って言われてね。それが結局デビューにつながった事になるかな」
 
 05年「Telephone Thing」の大ヒット以降、「ようやくソロ(一人前)としてのキャリアが始まった」というくらい、それまでElephant Manの“弟分”的印象が強かった彼だが、そもそも最初は二人ともLexxusのツアーに同行する取り巻きの一人だったとか。狭いジャマイカのレゲエ・シーンでは、下克上は当たり前、凄いスピードでその力関係が塗り替えられていく。そうした状況の中、若手を積極的に育てるアーティストがいる一方で、「We Nuh Inna Dem」でも歌っているように、新人の脚をひっぱる過去の成功者もいると? 「そう、この業界にさえ、そんなバッド・マインドなヤツがいるなんて信じがたいよね。何の進歩にもならない、世界を狭めるような事は本当にバーニンしなきゃだめだ。オレは常に新しい才能と新しい事を試したいと思ってる。それによって、自分も刷新されるだろう?」。彼は常にポジティヴなサークル(輪)の中に自分を置くように努力しているようだ。
 
 今作『Drama King』というタイトルは、「常に何かしらハプニングが起こってるんだ」という彼自身を指している。それはどんなドラマかというと…「Joe Grind(ジャマイカン・スラングで「浮気相手」の意)」「Bun Fi Bun(浮気には浮気を)」等の曲名を見れば一目瞭然、そう、彼は常に多重恋愛中。その恋愛観は日本人とはあまりにもかけ離れているけれど、当のご本人はあくまで大真面目で、それでいてアッケラカンと楽しんでいる様子。その「(良い意味で)こだわらない」「物事はうつろい変わるもの」という達観したような、ズバリ「諸行無常」そのものの感覚をもって、日常のドラマを傍観し、喜劇役者よろしく自身の音楽の中でおどけてみせる。そんな彼のミディアム・チューンは何故かとても大らかな説得力があって、じつは誰でも日常のドラマを生きているんだという事に気づかされるのだ。ということは、「40&Over」でも歌っている通り年上の女性が好きなの?「いや、確かにジャマイカの男の中にはすごい年上好きがたまにいて。いや、けっこういるかな(笑)。これはJuni Platinum(大ヴェテランa.k.a Lady Junie)の誘いで録ったんだけど、個人的には同年代が好きだな」
 
 恋愛ドラマ以外にも、珍しく(!)社会ネタ・チューンもある中、最強の変り種がこちら、「Zebra & Tiger」。そう、往年の名DJ、Tigerとそのフォロワー、Zebraの物まねを、彼とLeftsideが繰り広げる。「Tiger、お前オレみたいに刑務所入りたい?」「Zebra、お前オレみたいにバイクで事故りたい?」など実は笑えないネタでの駆け引きが延々と続く、漫才のようなコンビネーション。「この曲が去年のサンフェスでのTigerの復活パフォーマンスに繋がったんだよ。彼のモチヴェーションになったなら凄く嬉しいよね。獄中のZebraの感想は、まだ聞いてないんだけど…」
 Deejayとしてのキッポも全開の今作だが、ついに正統派ラヴ・ソングも披露。「初めて(Singjayではなくて)歌っちゃったよ(笑)」と照れくさそうに教えてくれたのがFirst Nameレーベルの抜群に気持ち良い “All Stars” trkを使った「On My Mind」。
 
 その飄々とした彼の佇まいに惑わされていると、実はDJとしてもシンガーとしても完成度の高いアーティストだということをつい忘れてしまう。威圧感の無い、優しく控えめな声で質問にも答えてくれた彼だけど、熱を込めて語ってくれた言葉で締めよう。
 
 「現在のジャマイカ・シーン? そうだね、今は確かにギャングスタ・ミュージックを聴きたがる傾向にあるけど、それは“いつも”でも、“永遠”にでもない。その時のフィーリングだから、またいずれ変わるだろうね。もちろん、キップリッチはいつでも自分を信じているし、どんな流行があっても、自分のスタイルをそれに合わせるような事は絶対にしないよ。それに、音楽はジャマイカ国内だけのものじゃなくて、もっと広いものだ、そうだろう? まだキップリッチを知らない世界中の人達が、どんどん受け入れてくれるだろうし、だからキップリッチは皆を楽しませるこのスタイルで世界中の人と繋がれるって信じているんだ。だから皆も、自分のやっている事を何よりも信じて、胸を張って前を向いて欲しい。それが全てだよね」
 

"Drama King"
Kiprich
[Pony Canyon / PCCY-01867]

笑連隊

笑連隊
 
Interview by Toshiaki Ohba / Photo by Fumitaka Miyoshi
 

 
一度見たら忘れられないアクの強い四者四様のルックスと、そのルックス通りの期待を裏切らないトボケたパフォーマンスを武器に全国隅々まで回った甲斐あって、すっかり人気者となった3 Deejay+1セレクターの笑連隊。昨年リリースされた様々なレゲエ作品の中でも異彩を放っていた『人間合格』に引き続き、「学校」をテーマにしたファースト・フル・アルバム『ウキウキ反抗期』を完成。作品が完成しウキウキ気分な彼らにインタビュー。
 
●昨年はデビュー・ミニ・アルバム『人間合格』と全国の大小様々なダンスですっかり人気者になりましたね?
高橋ルー:いやー、全く身に覚えがないんですけどね…(笑) でも、Rockers Channelで「笑連隊に“まるなげ!”」って企画を持たせてもらったり、テレビ出演等、以前よりも活動の幅はすごく広がったので、今年はもっと色々な事に挑戦していきたいですね。
 
●昨年の「Riddim Awards」の討論会でTancoさんが笑連隊をプッシュしていたようにレゲエ・アーティスト内でもなかなか評判がいいですね?
DJヨンコン:ありがとうございます。まだまだ未熟な俺達に色々なアドバイスをして頂いているので、本当に良い先輩に恵まれ日々勉強させてもらってます!
 
●ネタ作りの基本テーマは誰がメインで作って、それをどんな風に具体化していくのですか?
ブルーバード:基本的な流れは高橋ルーが考え、横から4×4と俺が悪ふざけを言い出し、それを高橋ルーが最小限に食い止める…っていう構成でショーの流れは決まります。それをヨンコンはひたすらメモしてます(笑)。
 
●ネタは現場では毎回少しずつ変えて行くのですか?
4×4:そうですね! 他のアーティストの方もきっと同じだと思いますが、毎回少しずつ歌の内容や見せ方を変えて、遊びに来てくれた人達を飽きさせないように心掛けています。
 
●以前のインタビューの際に高橋ルーさんが「“笑連隊のお笑い”をもっともっと固めていきたい」と言ってましたが、この半年ちょっとで“笑連隊のお笑い”は固まりましたか? またそれは新作『ウキウキ反抗期』に生かされましたか?
高橋ルー:そんな事言ったかなぁ…(笑)。そうですね、まだまだ笑連隊のお笑いは模索中ですけど、『ウキウキ反抗期』では以前よりももっとパワーアップした俺らの笑いを入れられたんじゃないかな?って思います! かなりワガママ聞いてもらったので…(笑)。だからより自分達らしい作品に仕上がってると思いますね!
 
●今回は『人間合格』以上にDJヨンコンさんの父親であるオスマン・サンコンさんを宣伝で多用してますが、それはちょっと卑怯なのは?
ブルーバード:そうなんです! 卑怯は俺らの褒め言葉なんです!(笑) 使えるもんは使っとけ、みたいな?(笑) って言うのは冗談ですけど、ライヴを観に来てくれたり、ご飯連れてってくれたり、いつもサンコンさんにはお世話になってて、本当に良い方なんです! 「笑連隊のファン」と言ってくれているので、つい甘えてしまってるのが出ちゃってますね。(笑)
 
●フィンガー5「学園天国」というこちらも卑怯な曲に手を出してますね。アルバム全体のテーマも学校かもしれませんが、何となく学園祭の営業狙いの臭いも…。
4×4:学園祭の営業狙い? それもありかもしれないですね(笑)。今回のテーマが「学校」に決まった時点で、「この曲だけは絶対カヴァーしたいです!」ってお得意のワガママ言ってやらせてもらっちゃいました。
 
●バックトラックを制作したSEIJIman、Hassie、Ya-Low Production、Alps Bandに対してそれぞれ感想を。
高橋ルー:SEIJImanとAlps Bandの正村さんとHunter Chanceの屋代さんは前作からやってもらっていたので、今回も俺達の笑いを最大限に引き出してもらえました。逆にHassieさんとYa-LowのAkahigeさんには、是非このオケで歌いたいってお願いして作らせてもらったんです。Alps Bandは「学園天国」の演奏&レゲエ・アレンジをしてもらったのですが、本当にかっこよく仕上げてもらえました!
 
●「笑連隊のテーマ」を聴いていると「笑い」のためならばあらゆるものを投げ出すようにも思われますが、最終的に「笑い」と「レゲエ」、どっちを取りますか?
4×4:勿論、レゲエです! やっぱりレゲエっていう表現の場があるからこういう事させてもらってるし、逆に俺達からレゲエを取ったら「悪ふざけばかりする変わった人達」ですから(笑)。目指すは日本語レゲエ界のTwin Of TwinsやCaptain Barkey & Wicker Manです!!

 

"ウキウキ反抗期"
笑連隊
[P-Vine / PCD-20027]

Chop Stick / ラガマフィン道

CHOP STICK
ラガマフィン道
 
Interview by Takashi Futatsugi / Photo by Hiroto Sakaguchi
 

 
ただひたすらにラガマフィン道を歩み、東西南北、大小、ホーム/アウェイ、数々の現場を沸かせてきたオリジナル・スタイルDEEJAY aka 世界の割り箸、キャリア初のフル・アルバムが到着! その“語り部”としての確かな腕前をしっかり味わえる(一部抱腹絶倒!箸休めナシ?)この全20トラック、73分強の一大傑作を肴に、レペゼン人形町の“真の芸人”が、ここに至るまでのあれやこれやの珍道中を噺家さながらに語ってくれた。
 
 レゲエにハマったキッカケは、一言で言うとレゲエ特有の環境です。ジャマイカに行ってみてハッキリ分かりました。東京下町育ちの自分の環境に似てるなって。勝手にそう思いました(笑)。
 DEE JAYを始めようと思ったキッカケは、成り行きと言うか単純に喋るの好きだったからです。DEE JAYの名前の由来は、実家のそば屋に配達されてきたChopsticks(割り箸達)。日本ぽいし、字ズラもいいし、なにより配達してきたのが外国の人だったし(笑)。これだ!って。
 
 ジャマイカでの忘れられないエピソードは、珍道中的な思い出なら売るほどあるんです。あとは、ジャマイカでマイク握らしてもらった時は最高でしたね。翌日、スタジオに行ったらいつも「オレとコンビネーション録れ! タウザンUS!」って、うるさかったDEE JAYが「お前、昨日ボスしたらしいな!」って。そん時は、DEE JAYやってて良かったなって。もちろんその後、「オレと組めばもっとショーにも出れるからコンビネーション録れ!」って言われましたけど(笑)。
 
 始めてのレコーディングは、当時のメンバー(King Weapon)と作ったTop Starってレーベルから出した「Media Drunkers」です。全くオレのかけらもない曲で(笑)。まぁ、若気の至りってヤツです。

 ドクプロに合流し、アルバムを制作することになったキッカケは、ムネ先生と初めて会った時の最初の一言ですかね? 「アルバムやらない?」って(笑)。初対面の人間に挨拶もなしに(笑)。アレには食らいました(笑)。こりゃ面白そうだなって。そこからですね(笑)。
 (音源をアルバムにまとめることで最も気を使ったことは)今までのチューンは出さないと言うことくらいですかね。選ぶのが面倒いと言うこともあるし、出せそうにないというのもあるし(笑)。それよりもボジョレヌーボじゃないけど、2007年〜2008年のChop Stickを見てくれ!みたいな(笑)。
 
 ブロ・バントン、レジー・ステッパーとのコンビ曲は正直、武者震いでしたよ。なんせダミ声界のメジャーリーガーというかTop A Topじゃないですか? 経験といい体型といい全てが大人と子どもの関係(笑)。そこに挑むと言うか、絡ませてもらえるということは光栄であり、また脅威であるというハムレットの心境にも似た(笑)。今年の2月の渡JAの時、ご両人と再会出来て、アルバムを聞いてもらって、喜んでくれた時は嬉しかったですね。
 苦労した曲と言うのはないですね。時間がかかった曲もあれば、一時間もかからなかった曲もありますけど、全ては挑戦の範疇なんで(笑)。もうハツピー・ホルモン出まくりです。自分的に新しいなと思うのは、所ジョージさんの曲(「心配Song」)を歌わせてもらったってことかな。人様の歌を歌わせてもらうという新たな試み。「ジャマイカ ジャマイカ」はダブ・ミックスにしてみたんですが、とにかくアパッチ(田中)さんのミックスが激ヤバでコッチが食らっちゃいました(笑)。あとは「満員御礼」「飛んで真っ赤」「なんて大胆!」などで使ったダミ声以外の何種類かの声。それと「ラガカモン」でやったハモリ。録音中、ムネ先生がニヤニヤしてましたよ(笑)。

 2008年の大まかな予定ですか? Cheeちゃんとのコンビで「愛してます。レゲエミュージック2」(仮)を今夏に出す予定です。それとTHCKgにエチモカにGundan、今回アルバムに参加してくれた卍君やミッキー・リッチという素敵な仲間達がいるので、彼らと可能な限りリリパやらなんやらで動けたら面白いなと。あくまでもこちらサイドの(楽観的な)希望的観測と言うことで(笑)。あとは、ラガマフィン草野球団“東京さささクラブ”の応援団長として頑張っていければと。
これからも皆さん世界のワリバシをよろしくご贔屓に!!


 

"ラガマフィンウェイ"
Chop Stick
[Dr.Production / DRCD-0015]

Joe Gibbs 1945-2008

JOE GIBBS 1945-2008
 
Text by Takeshi Fujikawa
 

 
スタジオ・ワンやトレジャー・アイルに続きジャマイカの音楽シーンを60年代半ばから牽引してきたプロデューサー、ジョー・ギブスが亡くなった。彼がレゲエ界に残した宝物をこれからも聴き継ぐために、ここではごく簡単ではあるが彼の偉大な足跡を振り返る。
 
 ジョー・ギブスことジョエル・ギブソンは、バニー・リーらと共にデューク・リード、コクソン・ドッドらの次の世代として60年代後半に台頭したジャマイカ音楽界の新興勢力だった。最初期は、Roy Shirley「Hold Them」や、映画『ラフンタフ』でも再演されたStranger & Gladdy「Just Like A River」等のヒットで注目を浴びた。60年代末には、コクソンと袂を分かったリー・ペリーと組み、パイオニアーズ等の多くのヒットにも恵まれた。ペリーも自身のレーベル名とする「I am The Upsetter」をリリースするなど、ペリーとの蜜月、隆盛は続くかに思われたが、ペリーに「People Funny Boy」で絶縁状をたたきつけられた後はナイニーと組み、アマルガメイテッド等のレーベル等を通じてリリースを継続した。
 
69年にはレコード・ショップと、裏に小さなスタジオも建設、制作を増加させていく。そのスタジオ以前から利用していたのがランディーズ・スタジオで、そこのエンジニアがエロル・トンプソンだった。トンプソンとギブスはマイティ2と称されるレゲエ界屈指の制作チームとして数多くのレゲエの傑作をものにするが、彼らが本格的に始動するのは、ギブスが1975年、リタイアメント・クレッシェントに新しい16チャンネルの新スタジオを建設し、エロルを専属エンジニアとして引き抜いてからのことだ。Culture「Two Sevens Clash」、Jacob Miller「Shaky Girl」、Prince Far I「Heavy Manners」、Trinity「Three Piece Suit」、Althea & Donna「Uptown Top Ranking」、Black Uhuru「Rent Man」、Leo Graham「A Win Them」…等、ヒットは数え切れない。

"The Mighty 2"
Joe Gibbs & Errol Thompson, V.A.

[Heartbeat / CDHB 361]

"Joe Gibbs Production"
V.A.

[Soul Jazz / SJR CD76]

 ヒットの一部は英ソウル・ジャズからの『Joe Gibbs Productions』や、米ハートビートからの『The Mighty 2』等の編集盤等で聴くことができるのでお勧めしておく。それらと併せてエロル・トンプソンのエンジニアとしての評価を決定的にした『African Dub』シリーズは外せない。エロルの実験精神とスタジオ・ワークが結実したこのシリーズ、特に第3集の素晴らしさは筆舌に尽くしがたい。そして、それらの素晴らしい作品が、プロフェッショナルズと呼ばれるロイド・パークスやスライ&ロビー等のジャマイカを代表する手練れ音楽職人達の演奏に支えられていたことも特筆しておきたい。

 ジョー・ギブス自身は、シンガーとしての派手なキャリアがあるわけでもないし、映画『ロッカーズ』でのメガネ姿と、ビジネスマンとしての印象が強いのだが(左写真)、今回原稿を書くにあたり彼の手がけた作品を振り返るとき、改めてその偉大さと凄さを感じずにはいられない。特に70年代のジョー・ギブスの諸作品は様々なタイプのレゲエが揃っている。その多様性ゆえにレーベルの特徴に欠けるという指摘もあるが、70年代のルーツ・レゲエ黄金時代にこれからもずっと聴き継がれるだろう素晴らしい宝物を残してくれた名プロデューサーであった。心からご冥福を祈りたい。
 

セオドロス・バファルコス監督による映画『Rockers』で
主役のホースマウスに「I Will Give You One Chance」と叫ぶジョー・ギブス。
( c / Blue Sun Film)

 
 
ニューヨークのラジオ局、Sirius Satellite RadioのReggae Rhythms Channelが週に一回放送する「Sunday Classics」(ディスクジョッキーはPat McKay)にて2008年3月2日に放送されたJoe Gibbs生前最期のインタビューの一部を再現。収録は彼が亡くなる2週間前だったそうだ。
 
●調子はいかがですか? 
Joe Gibbs(以下J):それなりにオーライだ。OKさ。
 
●健康問題はありますか?
J:多少問題はあるけど、そこまで悪くはないよ。
 
●ジャマイカのどちらで生まれたのですか?
J:モンテゴベイで生まれた。
 
●今はキングストン在住ですか?
J:そうだ。覚えている限りずっとキングストンだ。20代からさ。
 
●Joe Gibbs Live On“Reggae Rhythms”。みなさん、私たちはJoe Gibbsさんと放送中です。伝説的なプロデューサーであり、Amalgamatedレーベルの創始者でもあり、その前はレコード・ショップのオーナーで、ジャマイカ生まれの実業家であり、ずっと昔からジャマイカの本物のレゲエ・ミュージッックを作ってきた方です。いつ自身のキャリアをスタートさせましたか?
J:1963年だったかな。32 Beeston Streetから始まった。
 
●その頃の様子を教えて頂けますか? Beeston Streetはジャマイカのどこですか?
J:自分のお店があったBeeston Streetはアーリン・ストリートの近くで、アーリン・ストリートは、常に音楽があふれていたから、ビート・ストリート、またはミュージック・ストリートとも言われてたな。Coxsone(Dodd)もいたし、Duke Reidはすぐ近くのチャールズ・ストリートにいた。Prince Busterもその近くにいたし、その狭い地区では音楽の仕事をすることは独特であり、また当然のようなことでもあったんだ。少し歩くだけでレコードを持っていけるからね。レコードを買いに来た人にとってもそうだし、便利だったんだ。
 
●それが今のジャマイカ音楽業界の基礎となっているんですね?
J:そうだな。
 
●あなたの長いキャリアの間、初期にはレコーディング・アーティスト、Lynn Taitt & The Jetsを、そして70年代にはPrince Far I や Trinityら、他のプロデューサーが余りレコーディングしてこなかったアーティストも手がけられてますよね?
J:そうだね。チャイニーズの誰かがダブ・アルバムを作って僕もダブに夢中になったんだ。それで『African Dub』を作った。
 
●そして去年、その『African Dub』の1〜4が17 North Parade Recordsから再発されました。17 North Paradeという名前の由来は?
J:自分のショップが 20 North Paradeにあったんだ。17 North Parade にはVincent(Chin)の Randy's Studioあった。ダウンタウンにあって、人々がバスを降りるとそのまま17 North Paradeにあるミュージック・ショップに入って行ったよ。スター・アーティストがそのコーナーに集まっていたから、そのストリート・コーナーは“スター・コーナー”って呼ばれたりもしてたな。
 
●Lee“Scratch”Perryにとってあなたと仕事をした事は、彼のキャリアにおいてもとても重要な出来事だったと思います。どうして彼と一緒に仕事し始めたのですか?
J:Lee“Scratch”Perryは、最初はプロデューサーとして僕らとやり始めたんだ。彼は最初Coxsoneと一緒にやってたけど、あまりハッピーじゃなかったんでね。僕は彼にもう少し自由にやらせてあげられたし、一対一のコミュニケーションを図っていたから、とても幸せな時間を過ごせたよ。彼とはJunior Byles、Dennis Brown、Gregory Isaacsや、その他たくさんのアーティストと仕事したよ。Lee Perry自身のレコードも制作したよ。
 
●あなたのAmalgamatedレーベルは当時、Chris Blackwellによってイギリスで配給されていましたが、イギリスのマーケットの重要性は?
J:確かに重要だった。年に何回もイギリスに行けたわけじゃないし、Blue Beatとか他にあったレーベルの中で、Amalgamatedというレーベルをイギリスで確立してくれたからね。ジャマイカでのレコード発売と同時にイギリスでもレコードを発売できたからとても重要な役割を果たしたと思うよ。ジャマイカを離れてイギリスに住んでいたジャマイカ人達は僕の新曲をとてもハッピーな気分で受け入れてくれてたよ。
 
●レゲエ・ミュージックの将来についてはどうお考えですか?
J:未だにレゲエが知られていない極東の、例えば中国や他にもまだあるだろうけど、やっと世界で認知されてきているところだと思うよ。いつの日か、レゲエは他の音楽と同じようにもっと影響を与える音楽になっていくと思うよ。 

R.I.P. JOE GIBBS

 

Kon "MPC" Ken / 拳 Powa Production

KON "MPC" KEN
拳POWA PRODUCTION
 
Interview by Naohiro Moro / Photo by Hiroto Sakaguchi
 

 
丁度、1年前位からその活動開始を耳にしていたHome GrownのKON“MPC”KENのレーベル/プロダクション、拳POWA Production名義の第一弾コンピレーション『拳POWA』が、いよいよリリースされる。現在に至るまでのムーヴメント全体に関わってきた人物による新たなレーベルの発足だけに、現行シーンにおける精鋭が集結した充実の内容となっている。そのプロデューサーであり、レーベル主宰者であるKON“MPC”KENに話を聞いた。
 
●実は1年ぐらい前から、レーベル第一弾のコンピを作ろうっていうプロジェクトは立ち上がってんですよね?
KON“MPC”KEN(以下K):そうだね。でも、(フェスティバル・)シーズンが来てしまったので、すぐに中断みたいな(笑)。でも、その間にブッキングしたっていうか、2007シーズンのバックステージで、その時の閃きで「やってくれないかな」みたいな感じで、皆にオファーしていったのが、その時期かな。それでOKの人にはオケを渡して…。
 
●で、レコーディングが始まったのが、去年のオフというか、11月辺りから?
K:そうだね。実際に録り出したのは、その頃だね。でも、いつでもやれる状態にあったから、その間、渡しておいたオケをエディットしたり、ゆっくり進んでいった感じだね。
 
●じゃあ、去年のひと夏は準備期間として必要な時間だった訳ですね。
K:そうだったかも知れない。
 
●「拳」って、そもそも発端は『拳プロジェクト』っていうテープ作品ですよね。あれって何年頃でしたっけ?
K:99年か2000年、その頃だよね。あれはオレとi-WATCHでオケを作って、曲を録って、オレがトラック・ダウンして、その曲と、普通のレコードをSleepyが併せて、90分のテープにした、ってヤツだね。
 
●そこが出発点ですよね。それまでライヴ中心の活動をしてきて、テープとは言え、作品として世の中に最初に送り出した、っていう。
K:そうだね。最初、i-WATCHが「やろうよ」って言ってくれて。なんかその時、i-WATCHがエンジンを点火してくれた感じで。その当時のオレの機材、MPCと、ローランドの音源1個と、安いコンプ1個と、VSの16チャンネルだけのセットで始まったんだよね。でもその曲をi-WATCHがジャマイカでダブ・プレートに切ってきてくれたんだけど、全然録音とミックスに納得がいかなくて。やっぱり、ジャマイカのレゲエの音とはかけ離れていて。結局、いつもそれの繰り返しなんだけど、もっといい音、もっといい音って、どんどん求めていく様になっていって…。て、感じだよね。
 
●で、今回のコンピ第一弾な訳ですけど、割とプロデューサー主導で「あーしてくれ、こーしてくれ」みたいな部分が多かったんですか? 何となくレーベルとしてのコンセプトみたいなものを感じたんですけど。
K:そう、あるよね、統一感。でも、ある程度(意見を)言った曲もあるんだけど、そんなに強くお願いとかはしてないんだよね。
 
●え、そうなんですか? 何か全体的なコンシャスな感じというか、僕的には統一された感があったんですけどね。じゃあ、BOXER KID & NANJAMANみたいな、新しいコンビネーションは、プロデューサーのアイディアで?
K:あれもね、実はBOXERがやりたいって言って。それでNANJAMANに言ったら「ええで」って感じで(笑)。MOOMINのところにAKANEに入ってもらったのは、オレのアイディア。ちょっとしたブリッジの部分なんだけど、本人と違う声を入れた方がいいな、と思って。
 
●じゃあ、自然にアルバムがこういう正義感の強い感じに向かっていったということは、アーティストの皆が「訳の分からないレーベルが立ち上がったのとは違うぞ」って思ったからなのかもね。
K:そうかな。だとしたら、うれしいんだけど。
 
●メンツも、シーンの濃いところのトップ・アーティストばかりだし。
K:それは意識してた訳じゃなくて、皆、オレの好きな、尊敬する人たちに頼んだ結果なんだけど。でも、リリース・パーティをやりたいな、なんて考えてるとフェスになっちゃうんだよね(笑)。「それってフェスじゃん」みたいな(笑)。
 
●まさしく(笑)。基本的にはKON“MPC”KEN自身のミックスだけど、何曲かはジャマイカでミックスしてきたんですよね。
K:そう、4〜5年前にホーム・グロウン全員で、ミックスのためにジャマイカ行ったんだけど、それ以来、そういうスタジオ作業のためにオレは行って無かったから。見ておきたかったんだよね、自分でミックスする前に。やっぱり、全然違うって言うか、勉強になったね。
 
●じゃあ、その感覚の残ってるうちに、残りの曲を自分自身でミックスして。
K:そう。だけど、こう、やってても、中々、答えが見つからない時も多くて。その代わり、答えが出た時は「キター!」って感じ(笑)。でも、次の日に聞いてみたらダメだったりして(笑)。
 
●ひとまず最初の名刺代わりがもうすぐ完成する訳ですが、今後の抱負はどうですか?
K:ホーム・グロウンでの活動もあるから、そっちもやりながらっていうのもあるけど、また、第二弾は作りたいと思っている。時間がかかるかも知れないけどね。やっぱり、オレは黒人音楽の、特にレゲエの、レーベルとかプロダクション単位で信頼出来るっていうか、レーベル買い出来る信用みたいな感覚に、すごい憧れがあって。あのミュージシャンとエンジニアなら間違いなくいい、みたいな。あと、レゲエ中心にはなるとは思うけど、多くの人にこのスタジオを使ってもらえるスタジオにしたいな。「KON KENがいるじゃないか」って思われる様なレーベルであり、スタジオにしたいね。
 

"拳POWA"
Kon "MPC" Ken & V.A.
[Overheat / XQEY-1001]
 
Text by Takashi Futatsugi
 
 前ページのインタビューにある通り、自然な流れで生まれた統一感に満ちた『拳POWA』。それは何よりも1曲1曲に込められた“レゲエ心”と、そこに刻まれた“拳印”があってのもの。二木崇がこの充実作がなぜ生まれたのかじっくりと解説してくれた。
 

 
 Kon Kenといえば……その名に“MPC”というミドルネーム(?)が付くだけに、Home GrownのMPC(AKAI製のサンプリング・リズムマシーン)奏者として、数々のレコーディング・セッションやステージで、その“タイミング命”の重要な役割を“センスが問われる音選び”と“確かなアドリブ技術”でもって担ってきた人物、としてご存知のことだろう。同バンドでもリーダーのTancoとともに、リディム・トラック制作における根幹を成す存在である彼は、単独名義でもRyo the Skywalker、Moomin、 Pushim、H-Man、 Rankin Taxi、Nanjaman、 Papa B、Papa U-Gee、Jr. Dee、Munehiro、Lisa等々、多数のアーティストの作品に関わってきた。そうした動きは前ページの茂呂氏による充実の取材記事にもあった通り、Home Grownがまだバック・バンドとしての活動を主体としていた頃にi-Watchと作ったテープ・アルバム『拳プロジェクト』の頃からあった訳で。その頃、といえばRankin Taxiプロデュースの『Bad Bad '98』に収録された「Man Ina De Bashment」に代表されるように“歌い手(DeeJay)”としても知られていたのだが、それだけに“歌心をくすぐり、呼び覚ます”ような核心を突くトラックを連発することが出来るのだろう。
 
 自身のスタジオ=拳POWA Studioで制作された、この“拳POWA”レーベル第1弾となるコンピレーション『拳POWA』から漂う“ただならない熱気”も、そんなKon Kenだからこそ可能になった有機的プロジェクトの意義を伝えるモノだ(右写真をご覧頂ければお分かりの通り、演者のラインナップもありえないくらい豪華!)。用意されたリディムは "Too Much Lovin' "、"Border-less"、"Ignition"、"Parasite" のヒューマン・タッチのミディアムからオールドスクールなコンピューターライズドもの、までタイプのまったく異なる4つだが、“歌い手に合わせて”大胆なアレンジが施されているのでひとつひとつの楽曲としての完成度がすこぶる高い。しかもそれは、ありがちな合成着色料を使ったものではないので、ストレートに“レゲエの心”を感じることが出来る(ラフなほうがいいトコロはラフなまま←これ重要!)。硬派な内容のリリックが多いのも“だからこそ”なのだろう。 

トラック制作から、アーティストのセレクト、プロデュース、レコーディング、ミックスダウンまで、そのすべてに“拳の刻印”がしっかり押されているのは言うまでもないが、「一番好きな音(ジャマイカの)に近づけるため」にかの地へ飛び、大物エンジニア=スティーブン・スタンレー(本誌296号&297号の貴重なインタビュー記事をプレイバック!)や、旬の男=シェーン・ブラウン(父親はトレジャー・アイルやタフ・ゴングなどでならした名エンジニア、エロール・ブラウン)のアディショナル・ミキシングを経て、一切の妥協なく仕上げられたまさに渾身の1作。ライヴMPCマスターらしく機を見るに敏なKon Kenだけに、このタイミングでこの内容というのも納得出来る。シーンのド真ん中に打ち込む、空手で言えば正拳突きのような強烈な一撃×15発、である。なんちゃってファンは聴かないように……って、本誌読者にはそんな奴いないか……。

Hidden Treasure / Discovering Vintage Reggae Vol.6

Hidden Treasure
Discovering Vintage Reggae Vol.6
 
Text by Yasushi Ishibashi
 

 
前回、前々回とは趣を異にして、シングル音源の再発品を軸に紹介する。アルバムを残さずとも、シングル数枚で輝きを放ったアーティストは少なくない。ああ素晴らしきシングルの世界…。ほんの数分、塩化ビニールの溝に刻み込まれた“魂の一芸入試”を聴き逃すな!!!
 

 
 Wackie's再発シリーズでお馴染みのBasic Channel。そこのサブ・レーベルBasic Replayが2004年からリイシューしてきた12" をまとめた『Basic Replay』が、耳の早いリスナーやショップのバイヤーの間で話題沸騰となった。デジタル・ルーツ〜ダブを中心とした内容で、まさに今このタイミングだからこそジャスト! 世に埋もれた楽曲を新たな切り口と同時代感覚で掬い上げる、そんなコンピの醍醐味を体現した、絶頂期の英Soul Jazzレーベルにも匹敵するセレクトが素晴らしい。
 
 一曲目Ackie「Call Me Rambo」がとにかく強烈! ピストルのSEから始まり、気だるいスモーキーな語り調のヴォーカルが入ってきた瞬間にやられる事は間違い無い。この格好良さはどう表現したものか……、身にまとった雰囲気と言ってしまえばそれまでだが、それ以上説明のしようがないのもまた事実。その他にもI Jahman Levi「I Am A Levi」、Jackie Mittoo「Ayatollah」など幽玄にたゆたうダブ・サウンドが、いつもとは違う深みに連れて行ってくれる。

 もっと濃厚な12" 音源を浴びるほど聴きたい方にはこちら。2003年のリリースだが、Trojanの無数のコンピの中でも抜群の内容でありながら、当時全くと言っていい程紹介されなかったコンピレーション盤『Haul & Pull Up Selecta』をあえて取り上げたい。“Heavyweight Dancehall 1979-82”の副題そのままに、70年代末から80年代初頭にかけての、まだルーツ・フレイヴァーを色濃く残した初期ダンスホール・チューンがてんこ盛りだ。激しいワン・ドロップにキメキメのダブ処理、しかもほぼ全てが12" ヴァージョンなのでBarrington LevyやTriston Palmerらのヴォーカルは勿論、後半のダブやDJでもドップリと浸って欲しい。
 

 2007年のベスト再発シングルの一つCreole「Jah Creation」も忘れてはならない。超重量級のトラックに乗っかる静謐なヴォーカルが逆に凄みを感じさせる、Jah Shakaの大のお気に入りチューンだ。しかもこれ、重量盤なのだから堪らない! Tシャツもオンスが重い程有り難がる、アメカジ全盛期に十代だった小生にとって、重さとは絶対的な品質の証だった。7" のくせに100g近くありそうな(過大妄想込み)分厚い盤に心躍らせた事は言うまでも無い。
 
 同じく英Pressure Soundsから出ている7"、Joe Higgs「Let Us Do Something」「Freedom Journey」も要チェックだろう。アルバム収録とはヴァージョン違いで、ボンゴの乱れ打ちに渋いホーンが乗っかる後者のB面は特に愛聴した。ちなみに、同時発売となるアルバム『Life Of Contradiction』は、同レーベルとしては異例中の異例と言えるUKオリジナル・ジャケ、オリジナル収録曲(CDはボーナス2曲追加)での再発。Joe Higgsの生前から足掛け10年を越える再発プロジェクトが実った形で、レーベル・オーナーPete Holdsworthの敬愛の念をひしひしと感じる好仕事だ。
 
 ならば、この流れでBim Sherman『Tribulation』も紹介せずにはいかないだろう。自身のレーベルScorpioやSun Dewからリリースされたシングル音源をまとめたPeteなりの追悼盤とも言えるが、ジャケットや念入りに選び抜かれた各曲の素晴らしさに、注がれた愛の細やかさを感じてならない。New Age Steppersがカヴァーした「Love Forever」なんて、ヴォーカル〜DJ〜ダブを収録と至れり尽くせりで、Jah Wooshが“Children Singing The Love In The Ghetto〜”とカット・インするDJヴァージョンが特に煙い。そして最後は、切な過ぎるステッパー・チューン「My Woman」に男泣きして締め、が正統派のルーツ・マンだ。

 柔らかく飛ばされたい方にはGladiators『Studio One Singles』がお薦め。もともとフランスのブート盤で発売されていたものを、米Heartbeatがリマスタリングして正規盤として再発売したいわく付きのコンピレーション盤だ。Albert Griffiths率いるルーツ・グループの世界進出以前のStudio One音源7"/12" をコンパイルしており、アルバム『Presenting』との重複は無し。耳当たりは良いのにザックリ感のあるガッツ溢れる演奏に、柔らかいヴォーカルが最高の名曲揃いだ。

 そうでは無く滅茶苦茶に蹂躙されたいMなあなたには、アコースティック録音シリーズ“Inna De Yard”でお馴染みの仏Makasoundからリリースされた、歯応えあり過ぎの強烈DJコンピ『Rub A Dub Soldiers』が良いだろう。Channel One産のキンキンに張り詰めた、目眩がする程ダブ処理の効いたトラックに、Ranking JoeやBrigadier Jerryらの曲者どもが水を得た鮫の如く喋る、喋る。きっつい、むせかえるようなレゲエを聴きたい時はやはりDJだな、と改めて感じた一枚だ。

 ここまでは海外盤ばかりだが、“レゲエ愛国”日本も負けていられない。新宿Open校長、レゲエ夜回り先生ならぬ夜遊び先生こと工藤Big "H" 晴康氏の監修によるDennis Bovell音源のコンピ『British Core Lovers』『Arawak Label Showcase』(5月予定)、『British Pure Lovers』『British Roots Rockas』(6月予定)が発売される。本人によるリマスタリングも魅力だけれど、何より校長のセレクトが濃過ぎ! まだ仮のトラック・リスト、ダイジェスト盤CDしか確認していないが、Errol Dunkley「A Little Way Different」のDJヴァージョンやJanet Kay「Silly Games」のヴァイオリン・テイクなどなど、驚愕のレア音源をこれでもかと言うほど満載しており、既に私のルーツ心は期待ではちきれんばかり…。特にDennis Bovellのルーツ・サイドを凝縮した『British Roots Rockas』を大プッシュしたい。

 字数の都合で紹介しきれなかったが、綺麗なカラー盤で一挙に再発されたTop Deck の7"、ジャケ付きで正規再プレスとなったLee Perry「Disco Devil」(UK Trojan/12")、カップリングされたダブ「Black Horns」の凄さに失禁者続出のWayne Jarrett「African Woman」(US Wackie's/10")、人がわらわら居るイラストのカンパニー・スリーヴが楽しいGreensleevesの12" 各種など、2007年から2008年にかけてシングル再発が充実していた。ここ数年でネット配信やミックスCDが音楽の接し方、聴き方を変えてしまったが、仕方の無い面もあるにせよ少なくともチューインガムのような扱いは御免だ。シングル曲に、そしてレゲエにちゃんと向き合った上で楽しむという事、根っ子となる部分だけは決して外して欲しくない。


2008年3月27日

RAW SINGLES from No.301

Raw Singles
Text by Takanori Ishikawa
 
1. Jr.Gong & Stephen Marley / Mission (Tuff Gong)
既に大爆発中! 遂にリリース。決して幅広い芸の持ち主ではないけど、ツボにハマった時の破壊力は凄まじいですね、この人は。ゲットー地区の名称連呼で幕を開け、そこに暮らす若者の厳しい現実をリリックスに。ミリタントな打ち込みリズムが激タイト。オリジナル・トラックです。B面はビンギ・ヴァージョン収録。
  
2. Burro Banton / Cross Da Board (Massive B)
これはDave Kellyの "Show Time" のリメイク・トラ "Da Go Go"。ブツ切りのベースラインが強烈にアタックするオリジナルの特徴をそのまま継承。どんなに自分が女にモテるかをリリックスに。こちらも相変わらず面白い。
 
3. Bugle / Say What You Wanna (Massive B)
"Da Go Go"。話題のPapa B「Reggae Come From」のB面収録曲。ソリッドなサウンドにピタリとマッチするクールなDJ。「お前ら、何が言いたいんだ? 何と言われようと俺は全然気にしないけどな」って感じでBad Mind批判。
 
4. Mavado / Informer (Payday)
オリジナル・ジャグリン "Gang-sta Beat"。冒頭からシンセ・ストリングスが煽情的に盛り上げ、バスドラ&ベースが畳み掛けるナイス・トラック。最近数多いこの手の音作り。これはダークになり過ぎずに華やかさがあって良いインファーマー攻撃ソング。
 
5. Bounty Killer / Gal Soldering (Payday)
"Gangsta Beat"。昔から得意のパターンのライミングでスピーディーにDJ。「オレは何時でも準備万端だぜ」のベッドルーム・リリックス。勿論、自信満々です。Bounty のDJに合わせたミックスも気が効いている。
 
6. Richie Stephens / Go Home (40/40)
メロディアス・ダンスホール・トラックの新作。オリジナルです。キャッチーなリズム・パターンは万人受けしそうな感じ。キーボードは相変わらず遊び心満点で、今回はかなりハウス・ミュージック風の音色を使ってます。ジャマイカでは珍しいジェントルマンなリリックスはRichieならでは。
 
7. Future Fambo / Bad Man Skank (111 Production)
Leftside & EscoのEscoがプロデュースしたニュー・レーベル。オリジナル・ジャグリン "Bad Man Skank"。ド派手な音色のシンセリフと低重心でドライヴするリズム・パートがインパクト大。ニュー・ダンス・ネタ。このDJ、元Future Troubleです。
 
8. Esco / Control This Thing (111 Production)
オリジナル・ジャグリン "The Shows Goes On"。「I Got The Power」のあの音色そっくりなシンセが全体をリードする独創的なサウンド。ビートも90年代ダンス・ミュージック風で今まで無かったパターン。「アーティストが自由に歌えないように誰かがコントロールしている」云々の内容。この人らしいチューンですね。
 
9. Jah Cure / Forever (Nicetime)
Harry Jレーベルの名作Lorna Bennett「Bleak Fast In Bed」のリメイク・トラック。ほぼ原曲に忠実な焼き直し。ホーンもしっかり入っていて驚きました。しかも、生ホーン。全編生演奏で70'sレゲエを再現したラヴ・ソング。いいですよ。
 
10. Kiprich / Bun Fi Bun (Big Yard)
軽快でメジャーなミディアム・トラック使用。「Tuffest」っぽいKiprichのフロウにオールドスクールなベースラインがハマるナイス・チューン。ドラムもパンチがあって小気味良し。最近すっかりストーリー・テラーぶりが板に付いてますね。今回は浮気がバレて彼女にやり返された男のお話。
 
11. Lukie D / How Long (Maximum Sound)
Phillis Dillon名曲「Perfidia」のトラックをサンプリング。正に2008年版Rock Steady。Lukie Dのハイ・トーン・ヴォイスが映える、映える。最高です。シックなオリジナルも良いけど、快活なこちらも良いっすよ。初々しい恋心を歌うラヴ・ソング。
 
12. Richie Stephens / Give You My Heart (Maximum Sound)
こちら、B.Marley「Waiting In Vain」のリメイク・トラック。これも最高。何しろ歌が良い。歌える人が良いメロディを掴んだ時は強いっすね。最初の30秒から引き込まれます。ソウル・マナーのヴェテランだけど、これはレゲエとしか言いようがないです。濃厚なラヴ・ソング。
 
13. Sizzla / Forever For Life (Amplex)
オリジナル・ミディアム "Water Drops"。ギターのメロウな演奏が印象的なスムースなサウンド。ウラ声Sizzlaのラヴ・ソング。彼女とは何時も良い関係でいたい。愛し、愛されたいとシングジェイする甘いリリックス。同時発売Chuck Fendaもいいよ。
 
14. Carol Gonzares / How Come How Long (Da Costa)
ほぼ生演奏のしっとりとしたミディアム・トラック。この人の歌声は衰えないですね。相変らず良いっす。プロデュースはDean Fraser。抑制の効いたサウンド・メイクは流石。歌手の良い部分を引き出してます。恋愛で苦労している女性達を題材にしたチューン。

ISLAND EXPRESS from No.301


"Out of yard, running yard, Who run di yard"
Text by Reiko NAGASE SMITH(協力:アイランドツアー)
 
 2月はレゲエ月間!とジャマイカ政府によって公式に定められ、こんなに表だって語られた事はないほど国をあげてレゲエについて語り、考察し、学んだ月間だった。
 
 ここ数年アフリカの各地で行われていたボブ・マーリー生誕祭が今年、ジャマイカで開催。「スマイル・ジャマイカ——アフリカ——・ユナイト・コンサート」はマーリー・ファミリー総勢、ジャマイカの人気アーティストのほかRihannaやジョン・レジェンドが出演し、レゲエ月間の目玉に。
 
 初の試み「レゲエ・フィルム・フェスティバル」では、スペイン人ジェップ・ジョーバ監督による『レガシー・オブ・リコ・ロドリゲス』とウェイン・ジョブソン監督によるピータートッシュのドキュメンタリー映画『ステッピング・レイザー』、その他ジャマイカを舞台にした海外の映画などが公開された。

 ダンスホール、レゲエ、ゴスペルに関わる音楽関係者が受賞の対象となるビッグアワード、「レゲエ・アカデミー・アワード」。いつのまにか消えてしまったアワードが多いなかで、こちらは定着しそうだ。
 
 このアワードで各賞を総なめしたのはターラス・ライリー。大御所シンガーの息子にして謙虚で控え目。ラスタでディーセント(模範となりうる)なアーティストとして、レゲエやラスタファリズムに共感をしめさないタイプのジャマイカ人からも受け入れられた。ターラスが歌うとびきりの女の子賛歌「She's Royal」は、一人の女性を大切にする稀に見るタイプのヤードマン、なイメージで、女性クリスチャンをも魅了した、貴重な国民的レゲエ・チューンだ。

 西インド大学で行われた「国際レゲエ会議」では、レゲエの歴史、他ジャンル音楽との関わり、社会への影響、ジャマイカ経済への影響、レゲエ・ビジネスなど広い観点でレゲエがアカデミックに考察された。
 
 ジャマイカでレゲエが語られるとき、必ず槍玉に挙げられる理由となるのがレゲエと犯罪との関係。
 
 ジャマイカの人気テレビ番組でホストをつとめる有名ジャーナリストが、レゲエは社会に悪影響を及ぼし、犯罪を増加させていると投石し、レゲエを賞賛するばかりの文化学者との討論が白熱した。人気エンターテインメント番組『ER』ではキラー様が登場し、討論番組ではカーテルが登場、それぞれ生の意見を述べている。

 先日、DJ自らがプロデュースするラム酒が発売される、というポジティヴな話題も提供したヴァイブス・カーテルだが、アイドニアと共に、ヘヴィな銃を抱え、得意そうにポーズをとるスキャンダラスな写真が問題となり、銃器不法所持の疑いで事情聴取を受けた。この出来事はTVのプライムタイム・ニュースにトップで報道されるほどセンセーショナルにとりあげられたが、銃はビデオ撮影用の小道具だったというオチで、一件落着、の模様。
 
 ヴァイブス・カーテルは、ステージ上での不適切な発言で罰則を受けたばかり。プライベートでは離婚調停中と、相変わらず話題が多い。自身が率いるポートモア・エンパイアのアーティストや取り巻きが起こす騒ぎも多く、刑事事件にも発展している。

 歌だけ歌ってりゃいいってもんじゃないのがジャメーカのヤード系アーティスト。
 
 いつかビッグになったら、かつて自分と同じ立場にいる人々のために何かしたい、と思うヤードマンの想いは、具体的で、奉仕の域を越える。学校に行けない子供たちや仕事のない男たち、シングルマザーなど、まずは身近なブレスレンやファミリーをサポートしていき、そしてコミュニティへと、人気があがるたびにその範囲が広くなる。たくさん持ってる者が持ってない者に与えて当然、そうでないとまわっていかないのが現状であるジャマイカの社会。期待は常にについてまわる。バンドワゴン的な才のあるアーティストは、政治家やギャングの親分とはまたちがった役割分担で、コミュニティの責任まで背負っていく図式ができあがる。
 
 たとえば今なら、ポートモアのヴァイブス・カーテル、カサーバ・ピースのマヴァド、オーガスト・タウンのシズラ。
 
 自分のコミュニティを出ていったり、外国に住んだりするのもアーティストの生き方だけど、ジャマイカでリアルないまをBUSSするなら、ヤードを養うほどの技量が要求される。

 2月は、クリスマスやイースターとともにレゲエのイベントが多く、雨が少なく暑すぎなくて、気候的にもおすすめ。来年はぜひレゲエ月間にジャマイカへ。

What the deal is from No.301

(U KNOW)What the deal is
 
 本誌に携わる様になって10年になるが、こうも様変わりをした音楽のシーンというのは、他にないという位、ヒップホップも変わって来た。
 
 もはやNYがシーンの中心で、審議の委員会でもなく、インターネット、メイジャー・レコード会社のネットワークで展開されないと一般には届かない、という本来のヒップホップの精神には全く関係がないところに行ったしまった気がする。更に年々深刻となっているCDセールスの下降、レコード店の相次ぐ閉店と、音楽ファンには非常に寂しい状況となっている。こういった状態が続くと、シーン自体が成長出来ない感があるが、それはあまりにも悲観的な見方である事を望む?
 
●今月のストライキ
 放送作家協会のストライキが続いていたアメリカだが、それをもじった「ライターズ・ストライキ」なるアートショウが、2/21にドライヴイン24スタジオで行われた。70年代から活動するコープ2、トレイシー、Tキッド、80年代のエース、クラーク、セスなどが"非合法"とされるアート作品や、写真を展示、更に会場に用意された"壁"に参加アーティストが昔をしのんだスタイルのタグや、ピースをその場で書き込んでいた。久々の"リアル"なアートショウだった?

●今月の婚約
 狙撃犯として裁判を待っているレミ・マーとパプースが婚約発表した。周知の通り、既にデュエット曲でその関係を公にしていた二人だが、共通点はファット・ジョーであり、現在は二人ともジョーとビーフ関係にある。先月、ファット・ジョーと口論から殴りあいになったパプースと、テラー・スクワッドのレーベルの待遇に不満があり、既に何枚かのジョーへのディス曲をリリースしているレミ、お幸せに?

●今月のクランク・イン
 昨年からキャスティングがはじまっていたビギー・スモールの伝記映画、『ノートリアス』の撮影が3/24からNY市ではじまる。その主役のブルックリン出身のラッパー、ジャマル"グレイヴィ"ウーラードが抜擢された。ちなみにビギーの母親にアンジェラ・バセット、2パックはアンソニー・マッキーが演じるそうである。フェイス役、チャーリー・ボルティモア役は今でも募集しているとの事?

●今月のツアー
 パブリック・エネミーの裏方で著名なボム・スクワッドの兄弟、ハンク、キース・ショックリーが同名のグループとしてツアーをはじめる。発売が未定で、タイトルも決まっていないアルバムをサポートするという事で、3月後半からワールド・ツアーがはじまると発表した兄弟だが、アイス・キューブ、スリック・リック、ジャネット・ジャクソンなどのプロダクションで80年代後半から90年代のサウンドを大きく変革した。今回の気になるサウンドだが、彼等によると、より"エレクトロ"という事で、ステージも兄弟がひたすら機材を操り、未来的なライティングのショウになるという事?

●今月のお沙汰
 先月書いたブロンクスのセドグウィック・ハウジング・プロジェクトが、NYの議員チャック・シューマーとクール・ハークらによってその売却が無効となった。クール・ハークの初期のパーティが、そのレクリエーション・ルームで行われた。更にシューマーとハークが、国に"歴史的建造物"としての登録を働きかけているとも発表、住民はとりあえず、立ち退きを逃れた?

●今月の入所
 ラッパー、ザ・ゲームが3/2、60日間の懲役をはじめたと彼のパブリシストがメディアに公表した。昨年、銃の不法所持で有罪が決まったが、様々な理由から保釈されていたザ・ゲームだが、今回は自分から警察署に出頭、即日、入所となった。同時にキアヌ・リーヴスの新作、『キング・オヴ・ストリート』への出演が決まったとも発表、ストリートの評価はこれでばっちり?

   
沼田 充司
DJ/プロデューサー。 レーベル<ブダフェスト>主宰。 雑誌『ブラスト』でも執筆中。 ニューヨーク在住。 [Photo by Tiger]

UK REPORT from No.301

Photo & Text by SIMON "MAVERICK" BUCKLAND

Mutabaruka 
 
Greetings Friends,
 
●僕は度々、「VPは世界中のレゲエ・マーケットを牛耳りたいようだ」と冗談半分に言ったことがあった。どうやらこれが現実のものとなりそうなのだ。TrojanがSanctuaryの舵取りを失敗したため、ユニバーサル傘下になったのはご存知だろう。今度はGreensleevesが310万ポンドでVPに買収された。Greensleevesは創始者、Chris CracknellとChris Sedgewickにより2006年3月、Steve Weltman率いるZestに売却されていた。しかし、音楽業界の景気が急激に悪化したせいで、Zestは利益を出せずに苦しんでいたのだ。Greensleevesの新たな売却先として、旧譜を専門に扱うレコード会社3社が興味を示していたようだ。
 
しかし、Greensleevesがもしそれらの企業に買収されてしまったら、歴史あるレーベルの音源が、ガソリンスタンドで売られているような廉価版CDとしてのみ発売されるという悲しい未来が待っていた…。そこにVPが白馬に跨った王子のように颯爽と登場したというわけだ。NYに拠点を置くVPは、GreensleevesとJetstarの競争相手でも好敵手でもあったわけだが、Jetstarが消滅してしまった今では、彼らが世界のレゲエ・マーケットを支配することになるだろう。VPはマーケティング、宣伝、そして他ジャンルへの売込みが非常に上手い。同社は単にレコード市場ばかりではなく、レゲエ音楽を統括するような圧倒的な勢力になるに違いない。これによって行き場が狭まったのは、VPに所属していないアーティストやプロデューサーだ。おそらく、彼らはウェブを主な販路とするインディペンデント・レーベルをたくさん立ち上げるに違い。どんな風にマーケットが変貌していくのか、僕らにはしばらく見守るしかない。
 
●Mighty Diamondsのショーを、現在住んでいるフランスで観た。彼らはMakasoundからリリースされた最新作『Inna De Yard』のプロモーションも兼ねたヨーロッパ・ツアーの一環で、フランスにやって来たのだ。グループ結成から40年近く経過しても、彼らの素晴らしいヴォーカルは健在だった。それに、「Tamarind Farm」「Heads Of Government」「Long Time」など、僕が今まで一度もライヴで聴けなかった曲を演奏してくれたのだから、うれしさ倍増だ。無神経なフランスの主催者のせいで、メディア関係者の僕が入場するのにかなりの労力と時間(The Diamondsが僕のことを「家族だ」と言ってくれてもだ!)を要したが、それ以外は文句なしに楽しいライヴだった。
 
●最近、宝物のVHSの映像を保存するために安価なDVDレコーダーを購入した。僕の家は川のそばにあり、かなり湿度が高い。中には25年前のテープもあり、劣悪な環境の中でダメになってしまったものも多い。残念だが300本近いテープを破棄しなければならなかった。僕のVHSコレクションには、ジャマイカに関しての音楽&政治ドキュメンタリーやライヴ映像が多数ある。『Beats Of The Heart - Roots Rock Reggae』(1977) 、『Deep Roots Music』(1982)、『Reggae Sunsplash 1982』といったライヴの他、1994年までに制作されたドキュメンタリー(『Stir It Up』『Yardies』『Travelogue』『Omega Rising - Women In Rastafari』『Darker Side Of Black』)なども見つかった。これらの映像を改めてチェックして感じたことがひとつある。
 
それは、映像を制作した監督が、当時のレゲエ音楽界において誰が重要であったかを知らなかったことだ。ほとんどの監督が撮影中にたまたま撮りやすかった人物や出来事ばかりを追っているのだ。例えば、高評価の『Deep Roots Music』シリーズでは、Lee Perryの奇行やCount Machuki、そして街中の不良少年たちにかなりの時間を費やしている。Annie Lennoxの夫により撮影された『Stir It Up』はマンネリ化した映像のオンパレードで斬新な切り口は見当たらない。1982年の「Sunsplash」の映像はMutabaruka、Chalice、Marcia Griffithsらをジャマイカ以外に売り込む、という目的があったらしい。
 
だからといって、The Mighty DiamondsやIsrael Vibrationがほとんど登場しないのはおかしいではないか。初期の「Sunsplash」映像の重要性は、1981年にBob Marleyが死去するまで認知されていなかった。「Sunsplash」はレゲエの黄金時代といわれていた1977年にスタートしたのだから、悔やまれずにはおれない。繰り返しになるが、これらの映像は今となっては大変貴重だ。今では映像でしか見ることができないアーティストが、多数出演していることを考えると非常に残念だ。

 Till Next Time, Take Care................
(訳/Masaaki Otsuka)


Mighty Diamonds 

CHART from No.301

REGGAE 7" | REGGAE LP | REGGAE CD | REGGAE CLUB
HIP HOP 12" | HIP HOP LP | R&B | HOUSE | ABSTRACT

 
REGGAE 7
 
●CISCO(渋谷)03-5458-6625
1. Jr.Gong & Stephen Marley / Mission (Tuff Gong)
2. Demarco / Sort Dem Out (Juke Boxx)
3. Papa B / Reggae Come From (Massive B)
4. YT, Million Stylez, Mr.Williamz, Blackout, JA & Iverse / Champion Sound (Necessary Mayhem)
5. Estelle / Come Over (Black Chiney)

 
(1)Marley家同士のタッグ!最強コンビかも知れませんね。(2)今や時の人って感じですね。オケもカッコ良いです。(3)USの人気レーベルからのリリース、同オケ一連人気ですがやはり日本人アーティストは人気です。(4)最近、再びUKのアーティスト、レーベルの人気が高くなっているような気がします。(5)先月から続いて人気です。
 
●LION MUSIC DEN(名古屋)052-953-1386
1. Black Judah Feat.Warrior King / Mercy Please (Teflon Blood)
2. Lutan Fyah / Out Of Line (Taxi)
3. Q / One Day (Sean&Shemar)
4. The Revolutionaries / Angola (Well Charge)
5. Audrey / English Girl (Ariwa)

 
(1)勢い有りStepper!キャッチーなメロの神様ネタIrieFMでお馴染みの好チューン。(2)S.マイノット"Tune In"trk追加リリース!これのみ"Dub Organizer"のホーン入りMix。(3)IrieFMヘヴィープレイの爽やかVo.物、パンダと鍵盤の斬新なレーベルデザインに脱帽。(4)"Daker Shade Of Black"クールなホーンインスト音質良好の再発盤。(5)UK Roots名曲'7再発!パーカッションはJah Shaka!
 
●ROCKER'S ISLAND(大阪)06-6537-6233
1. Jr.Gong & Stephen Marley / Mission (Tuff Gong)
2. Da'Ville / Dreaming (Big Yard)
3. Queen Ifrica / Daddy (No Doubt)
4. Malijah feat. Zenny / No Combo (Nicetime)
5. Papa B / Reggae Come From (Massive B)

(1)今最も話題のニュー。壮大で厳つい音使いのジョグリン・リディム "Mission"。Mavadoも要チェック!! (2)同レーベルらしいほのぼの楽しげミディアム・リディム "High 9" 。(3)ジャマイカでチャート上位をキープ中。父からの性的虐待について訴える話題曲。(4)名曲Lorna Bennett「Breakfast In Bed」をリメイクしたリディムに乗せ「本物のラスタな俺はジャンク・フードはくわねぇ」と歌います。(5)DJ暦20年を迎えるPapa B!! 日本を代表し同レーベルより "Da Go Go" リディムに乗せレゲエが生まれたジャマイカをリスペクト!
 
●ORANGE STREET(新宿)03-3365-2027
1. Sister Naima / My Country (Digital Rockers)
2. King General / Put Down The Gun-Steppers Remix (Jah Warrior Records)
3. Overproof Soundsystem / The Model (Nuffwish)
4. Fustep / Mr.Greedy (Conscious Sounds)
5. Wayne Paul / Guns Them Down (Indiginous Records)

 
((1)フランス発。ヘヴィーなオケに妖しい女性Voが◎のデジタル・ルーツ。(2) 10年前リリースされた名曲をリミックス。ミックスはDisciples Studio。(3) レゲエ・リスナーには馴染みが薄い彼らだがサウンドは現場対応のTuffな四つ打ち系。Kraftwerkの名曲カヴァー。(4) 初登場のアーティストを起用したヴォーカル・トラック共に抜群の重厚なステッパー。(5)エッジの効いたステッパー・オケ。Vo&ダブ。 ※次回Dub Club Tokyoは5月3日(土)札幌Sonic Ark Sound Systemを迎えて。http://blog.livedoor.jp/directimpactsound/。
 
 
REGGAE LP TOP 5
 
●REGGAE SHOP NAT(新宿)03-5337-7558
1. Sizzla / Black Woman And Child (Greensleeves)
2. Captain Sinbad / Seven Voyages Of Captain Sinbad (Greensleeves)
3. V.A. / Carib Soul (5th Avenue South)
4. Inna Heights : 10th Anniversary Edition (VP)
5. V.A. / Joe Gibbs Productions (Soul Jazz)

 
(1)97年リリースの大名盤が久々に入荷! UK盤で音質最高! タイトル曲他、初期の代表曲であり、シングルは入手困難な“Love Is Divine”収録。(2)こちらもなんとUK盤で入荷! 80年代初期にリリースされた隠れた名アルバム。Volcanoレーベルのリズム・トラックを使用したDJモノ。とにかく、(1)と共に、Greensleeves盤での再発という点に注目。(3)Ruddy Thomas、54-46等によるLovers人気曲を多数収録。(4)久々入荷! 97年リリース。(5)70年代のレーベル代表作ばかり、歌モノ、DJモノ、Dubをバランスよく収録。R.I.P. Joe Gibbs…。 ※当店主宰の野外ダンス、今年もやります! www.rs-nat.ne.jp。
 
●DRUM & BASS RECORDS(大阪)06-6211-1044
1. V.A / The Bunny Lee Rock Steady Years (Moll Selecta)
2. Alton Ellis / Im Still In Love With You (Heartbeat)
3. Johnny Osbourne / Truths & Rights (Studio One)
4. Steel An Skin / Reggae Is Here Once Again (EM)
5. A M L / Clashed (Scorchers)

 
(1)Bunny Lee制作の貴重なロック・ステディを集めたコンピレーション盤。ヤバすぎます!(2)Alton & Hortense兄妹のスタジオ・ワン音源集。ご病気の早期回復をお祈りします。(3)レゲエ史に残るスタジオ・ワン・ルーツ大傑作!(4)70年代のロンドンで活躍したスティ−ル・パン・レゲエ・ファンク・グループのシングルを未発表音源+DVD付きで世界初CD化!(5)ドイツのバンドによるThe Clashのスカ〜レゲエ・カヴァーしたアルバム。ジャケも見事にパクってます! ※ポッド・キャスト、パイレーツ・チョイス毎週日曜日アップデートwww.drumandbass-rec.com。
 
 
REGGAE CD TOP 5
 
●TOWER RECORDS(渋谷)03-3496-3661
1. Lee Everton / Inner Exile (Root Town)
2. Luciano / Jah Is My Navigator (Kilo)
3. J-San & The Analogue Sons / Sound Resistancev (Victor)
4. Busy Signal / Holding Firm (Victor)
5. V.A. / Reggae Kingdom : Don Corleon Best I (Koyashi)

 
(1)アコースティック&スウィート・サウンドがたまらない、渋谷店大プッシュ・アーティスト!! (2)間違いなく歌物レゲエ最高峰。Dean Fraserプロデュースで最強タッグ再び!! (3)ロック・スピリッツが鋭く突き刺さる、ただ者では来音が響きます。(4)現在、絶好調DJの新作。リズム・トラック、DJ全てが飽きのこないスーパー・ダンスホール・レゲエ。(5)ヒット・メイカー、Don Corleon RecordsのベストCD。これを聴けばレゲエが楽しくなります。
 
●HMV(渋谷)03-5458-3411
1. V.A. / Reggae Kingdom : Don Corleon Best I (Koyashi)
2. Slackers / Boss Harmony Sessions (Ska In The World)
3. Melony / Hemo & Moofire presents M'lonie (Fomula)
4. Buju Banton / Inna Heights : 10th Anniversary Edition (VP)
5. Satelite Kingston / Mensajes (Scatter)

 
(1)今一番の人気プロデューサーのヒット・リディムを集めた1枚。絶対チェックです。(2)期待の新譜はやはりヤバイ! 聴くほどに良い! 付属DVDには彼らの歴史が…。6月来日、これは楽しみだ!(3)Hemo&Moofireお気に入りの美声シンガーの1st。(4)不朽の名作10周年記念仕様。Wayne Wonder共演のライヴDVD付!(5)アルゼンチンのスカ・バンド。上品で丁寧な演奏が良い。スペシャルズ「Ghost Town」カヴァーと最後に収録されているDubがツボ、好きです。
 
REGGAE CLUB TOP 5
 
●CLUB JAMAICA(西麻布)03-3407-8844 Selected by Dance Pon Di Corner Crew
Crew

1. Jr.Gong & Stephen Marley / Mission (Tuff Gong)
2. Hugh Mundell / Time And Place (Mun Rock)
3. Lukie D / How Long (Maximum Sound)
4. Lady Ann & Alborosie / Informer (Forward)
5. Rodrigo Y Gabriela / Tamacun (Ruby Works)

 
(1)これにはびっくり。これがB面とは!むしろこのBingi Mixをメインにプレイしてます!(2)これは奇跡の7inch化! こちらもB面のVersionは必ずプレイ! 音質も素晴らしいです!! (3) P.Dillonの名曲「Don't Stay Away」をスラロビがリメイク! 全曲良いです! (4)今回は "Heavenless" リディムの代表曲を使用! これ良いです!(Bin Bin) 。(5)分かる人には分かると思います。(Telano) ※毎月第2火曜日はBin Bin & Telanoの独特な選曲の独特な夜です!  Check It!!!
  
●JADE(札幌)011-520-1015 Selected by Green Peace"Mac"
1. Serani / Mama Still Hungry (Daseca)
2. Serani / Srickin Rich (Daseca)
3. Movado / I'm On The Rock (Baby-G)
4. Jr.Gong & Stephen Marley / Mission (Tuff Gong)
5. Bounty Killer / Gal Soldering (Payday)

 
(1)2008年は間違いなくこの人の年になるであろう、そして今回はシリアスなMamaチューンですが、激シブです◎ (2)続いても、Serni!この曲もWicked!! (3)今、ジャマイカでヘヴィー・プレイ中の "The Mission" リディム! Movado以外もGood。(4)続いても、"The Mission" リディム。出ました、レゲエ界最強の兄弟! 必聴です!! (5)こちらは、現在発売中です、女の子は絶対に満足させると番長自信の一曲です。
 
●CLUB I to I(大阪)06-6252-4201 Selected by Dodge from Killasan Movement
1. Bounty Killer / Gal Soldering (Payday)
2. Burro Banton / Cross Da Board (Massive B)
3. Malijah feat. Zenny / No Combo (Nicetime)
4. Richie Spice / So Many Youth (Amplex)
5. Kip Rich / Bun Fi Bun (Big Yard)

 
(1)"Gangsta Beat" Trk。勢いあっていい感じです。他、MavadoもいいんですがBouonty Killerをピック・アップ!! (2)Massive Bからのニュー・リディム "Da Go Go"。"Show Time"のリメイク。Burro節炸裂です。(3)「Breakfast In Bed」Trk。こちらもリメイクです。他にもJah CureもGood。(4)渋めの雰囲気な "Water Drops" Trk。オケにパッチリはまってます。(5)"High" Trk。明るく爽やかなリディムです。Da'Villeもいいですよ。 ※毎週月曜はブランニュー・メインのダンス「Run De Place」をやっているのでヨロシク!!
 
 
HIPHOP 12
 
●CISCO www.cisco-records.co.jp
1. DJ Rilla / Future Dub Sessions Vol.1 -Techno, Dub and Dance- (PPP Sounds)
2. Flash Callahan / Do You Know The Truth EP (Jalapeno Records)
3. Empty Chair / An Echo Of The Future (Living Space)
4. V.A. / A+ TV - Street Visionary - (Legendary Inc.)
5. B.A.D Rep / Nothing Can Stop Us Now (Pay Roll)

 
(1)アブストラクトのセレクトはピカイチの<半分人間・半分アニマル>、DJ Rillaが贈る極上Ropa-Recサウンズ・ミックス。(2)ブレイカーにオススメのブレイクビーツ。凝った作りで聴かせます。(3)地味な一曲ながらもマッドな曲調が◎。カラーヴァイナル。You Know It。(4)Den、D.Oが仕切る東都発のイベント[A+]をDVD化! やっぱり現場!(5)Bizzie Boyzで御馴染みのレーベルから貴重な一枚再発! ミドラー's マスト・アテム!
 
 
●Dance Music Record(渋谷)03-3477-1556
1. M.I.A. / Paper Planes - Street Remixes (Interscope)
2. Santogold / Creator (Downtown)
3. Spinnerty / Feels Like Rain (Trazmick)
4. V.A. / Bersa Discos vol. 1 (Bersa Discos)
5. DJ Sandrinho / Rio Baile Funk Breaks (Man Recordings)

 
(1) Rich Boy、Bun Bをフィーチャーしたストリート向けVer.に加えて、Scottie B、Braqstarr、DFAと言ったメンツによるリミックスを収録。(2)SwithプロデュースでM.I.A.にそっくりな声質もキュートな、期待の新人!(3)叙情的なビートに、Portishead風なヴォーカルがナイス。(4)アルゼンチン発、ダブステップ等を織り混ぜたデジタル・クンビア。(5)バイレ・ファンキのブレイク集が遂に登場! ※http://www.dmr.co.jp DMR Online Shopがリニューアル・オープン! 入荷商品随時更新中!
 
 
HIPHOP LP TOP 5
 
●TOWER RECORDS(梅田大阪マルビル店) 06-6343-4551
V.A. / In Ya Mellow Tone (Goon Trax)
2. 45 / Hello Friends (Origami Production)
3. Jazz Liberatorz / Clin d'Oeil (P-Vine)
4. Pete Rock / NY's Finest (Rambling Records)
5. Nomak / Carlm (Huge Soul/One Peace)

 
(1)当店激押し&激売れ中。アングラ、ジャジー系リスナーの心を満たす極上レーベル・コンピ。(2)日本のJamバンドJam Nutsのキーボーディスト45の1st。70'sソウル・テイストを盛り込ん だ軽やかなトラックに心躍る!! Steph Pocketsらも参加。(3)内容はもちろん、ジャケも秀逸、フレンチ・ジャジー・ヒップホップ。(4)NY Hip Hop Is Alive!! ピート御大のサウンド調合の妙技か らニヤリとさせられる遊び心にも音の未来を感じさせる。(5)ロングセラー中。4/2発売Remix集も楽しみ!!
 
 
R&B TOP 5
 
●DISK UNION ONLINE SHOP hiphop@diskunion.co.jp
1. Janet Jackson / Discipline (IDJMG)
2. Erykah Badu / New Amerikah Part One (Motown)
3. Grind Mode / She's So Fly (Universal Republic)
4. Sean Garrett feat. Ludacris / Grippin' (Interscope)
5. Cheri Dennis / In And Out Of Love (Bad Boy)

 
(1)新パートナー、J.デュプリと共に全てを一新して挑む勝負の新作。年相応ではなく時代相応に、ポップ・アイコンとしてとことん鍛え直した結果の快作です。(2)まんまファンカデリックな導入から、ディープな精神世界へグイグイ引き込まれていきます。抗いようのない「格好良さ」に溢れた一枚。(3)T-Pain路線の3人組。すっきりまとまっています。(4)またもやソング・ライターからの転身組。(5)やっと出ました。オーソドックスなヒップホップ・ソウルがかえって新鮮です。
 
 
HOUSE TOP 5
 
●CISCO www.cisco-records.co.jp
1. Leona Lewis / Bleeding Love - House Mix (White)
2. Removable Disco / Removable Disco 3 (White)
3. Atraxx Ft. Rudy / Hard To Love (Bangee)
4. Makai / Garden EP 2 (U's Music)
5. Ogawa & Unic / Departure (Nitelist Music)

 
(1)やっぱり出てしまったハウス・リミックス! でも、ピアノ・ヴォーカル物として極上です!(2)"Lovely Day"と"Strings Of Life"って、盛り上がらないワケがない反則ブチアゲ盤です!(3)イタリアからのプロッギーなピアノ・ヴォーカル物、コレもめちゃくちゃ盛り上がります!(4)メジャー移籍第二弾! サトシ・ヒダカ(GTS)ミックスで盛り上がりはお約束の一枚です!(5)名古屋の重鎮が遂に!既に国内外のビッグ・ネームにパワー・プレイされまくりの大本命盤です!
 
 
ABSTRACT TOP 5
 
●DISC SHOP ZERO(世田谷)03-5432-6129
1. RSD / Prophecy (AE0117)
2. V.A. / An England Story (Soul Jazz)
3. Sabo & Uriel / Release The Beats (Sol Selectas)
4. The Lions / Jungle Struttin' (Ubiquity)
5. Henry & Louis / Love Like (2 Kings)

(1)ブリストル重鎮が変名でダブ・ステップ。反則スレスレのZero独占先行販売。(2)英国MCの25年を総括するテーマながら、サウンドの冒険ぶりも露になった好編集。(3)ラテンとダブを結び付けたブレイク・ビーツで常に人気!(4)Sound DimensionミーツThe Metersなファンキー・ダブ。L.Colynsカヴァーが最高!(5)ブリストル産ニュー・ルーツの重鎮のシングル。www.discshopzero.com ★携帯サイト割引クーポン有★ 下北沢駅南口徒歩2分 ミスド裏手路地 通販可。

RECORDS & TAPES from No.301

Review by TAKASHI FUTATSUGI
 
ALBUM 
 
1. Flo Rida / Mail On Sunday (Atlantic)
人気ダンス・ムービー『Step Up2』のサントラからシングル・カットされ、新人ながら見事“10週連続全米No.1”となった「Low」(feat.Tペイン)を含む“マイアミの新星”の初アルバム。アンクの「Walk It Out」他で知られるDJモンテイが制作した同曲を始め、トランス込みのダンサブルなトラックや、哀愁のサグ物等のドラマティックな路線、と何でも来い!の身体能力の高いラッパーだけに、アルバム単位でも十分楽しめる。流石に“旬”の存在だけに、ティンバランド他制作陣も豪華。大物ゲストに気後れしない堂々とした姿勢も行く末を決定付ける(?)まずは上々のデビュー作。
 
Rick Ross / Trilla (Def Jam)
マイアミ、とくればこの男。大物ドラッグ・ディーラーから勝手に名前を引き継ぎ、客演でもひっぱりダコの“ラップ・ハスラー”が延期に次ぐ延期を重ねていた“デフジャム”からの2作目を遂にドロップ。Tペイン、ジェイ・Z、マニー・フレッシュ、リル・ウェイン、ヤング・ジージー、トリック・ダディ、ネリー、R.ケリー、トレイ・ソングス…と予想通りオールスター・キャストで攻めてきた“ボス・キャラ”の彼の懐の深さが否応なく味わえる“ハリウッド映画”の様な抜け目ない大作。J.U.S.T.I.C.Eリーグ制作のマイバッハの歌に涙する者も? 全米チャート初登場1位にも納得。
 
3. Jim Jones / Harlem's American Gangster (Victor)
敵対するジェイ・Zの『アメリカン・ギャングスター』へのアテツケでリリースしたストリート・アルバム(しかもホストはデイモン・ダッシュ)にリミックス、リマスターを施した“完全版”。本国ではリリース初週にインディー・チャートを征し、相変わらずの人気ぶりを見せ付けたディップセットの首領だが、確かに例の「ボォォォリィィン!」という掛け声の威力云々だけで片付けけられない魅力がある訳で(第2弾アリ)。自他共に認める今の“ハーレム王”の生き様を映し出したリリックスと、サウス風味のギラっとしたビーツ満載なのは言わずもがな。日本盤はさらに4曲追加、とか!
 
4. Group Home / Where Back (Lastrum)
DJプレミア古典曲のひとつに誰もが挙げるデビュー曲「Supa Star」から早13年。ブルックリンの悪童コンビ=リル・ダップ&ナットクラッカーが約7年ぶりとなる3rdを完成させた。プロデューサー陣は、前作に続き“売れっ子”アルケミストや、現在はディップセット一味のアガラー(パープル・シティ)といった面々に、ビートも精製するリル・ダップ、とイマの彼等を照射したファットかつドープなプロダクションとなっている。制作期間に服役中だったナットの出番こそは少ないが、リーダー=ダップの頑張りでそれもカバー。DJ Deckstream作のトラック(RMX)もアリ!
 
5. Rakim / The Archive : Live, Lost & Found (Traffic)
神様ラキムの未発表新曲×4と、聖地NYでのライブ(バックDJはキッド・カプリ!! )を収めた変則的な新作。ドクター・ドレーの“アフターマス”離脱後は、昨年のカニエ、KRS、Nasとの「Classic」以外はコレといったリリースのなかった彼だけにファン垂涎のアイテムであることは間違いないだろう。“生”の方は「Microphone Fiend」、「I Ain't No Joke」、「I Know You Got A Soul」、「Follow The Leader」、「Move The Crowd」、「Juice」、「Don't Sweat The Technique」、「Guess Who's Back」とエリック・Bとのコンビ時代からソロ期までの必殺曲雨アラレの構成。DVD付がオススメ!
 
6. Common / This Is Me Then: The Best Of Common (Sony)
7作目となる最新作でまた新境地に達したシカゴが生んだ孤高のコンシャス・リリシスト=コモンの“リラティヴィティ”在籍時(コモンセンス期を含む)の3枚のアルバム収録曲を中心に編集された初期ベスト。デビュー曲「Take It Ez」から、孫引きされることも少なくなかった「Braker 1/9」、アイス・キューブとの確執を生んだ「I Used To Love H.E.R」、ローリン・ヒルを招いて中絶問題にメスを入れた「Reminding Me (Of Def)」等々、サントラ提供曲を含め全15曲で同曲名から取ったタイトルも冴えてる一枚。'92〜97の雰囲気が蘇るPV満載のDVDコンボが◎。
 
7. The Braille / The IV Edition (P-Vine)
日本にも熱狂的な支持者の多いライトへディットの頭脳ブレイルの最新作。当の本人も「今回は凄く特別なアルバム。タッグを組んだアーティストの出身地のファンに届けられると思うとワクワクする!!」と語るように、前3作と比較しても2ランクほど内容度が上がった印象。盟友オメガ・ワッツからDJスピナ、88キーズ、ストレンジ・フルーツ・プロジェクトのS1にマルコ・ポーロ、オー・ノーらのビート、プロカッションズのMr.J、LAシンフォニーのポエムズ、セオリー・ハジット、スピーチ、ロブ・スウィフトらとの絡みでも、その淀みない語り口は己を貫き通している。力作! 
 
8. ASM - A State of Mind / Cosmic Flavour (Miclife)
MidicronicaとImajinionのMC陣4人と渋谷Familyの看板イヴェント「神の足元」レジデンツDJ2人、そドイツの某国際学校で出会った、というフランス/カナダ、ドイツ、チリ/USとそれぞれにルーツの異なる4人組のデビュー作。信頼のレーベルが推すだけあって、そのそれぞれにファンキーで声質やスタイルの違う2MC(英詩)の掛け合いといい、ジャジーでツボを心得たサウンド・プロダクションといい、サブ・メンバー的なフルート奏者の存在といい、減点要素が全く見当たらないフレッシュなグループ、である。彼等がナニに魅了され、何処を目指しているのかは至って明白。それだけに気持ちよく接することが出来る。日本盤にはワックス・テイラー名義の例の曲が追加収録されてるYo!
 
9. Nate Krooks / Still True (CD Baby)
トゥルースクールの申し子はここにも! 米西海岸はベイエリアより現れたMCのカズウェルとトラックメイカー=ディードットからなる2人組のデビュー盤。大物アーティストやプロデューサーの後ろ盾こはないものの、MySpace、MP3.com等で話題を呼び、自力でアルバム発売にまで漕ぎ着けた。その“持ち味”は、センスとヒップホップIQが問われるサンプリング・ビートと、疾走感のあるライム・デリヴァリーというゴールデン・エラの黄金率を守り通している点。サブジェクトやトラックのムードもヴァラエティに富んでいる。今月のめっけもん。
 
10. ユナイトバス / Get On The Bus (Lastrum)
横浜は黄金町から大型バスに乗ってやってきた背高帽子の異能戦士たち=UBの結成6年目にして初のフル作。イントロにもあるように「従来型のラップ・グループとは少し様子が違う」のは、その特殊な編成(2MC+DJ+映像クリエイター)だけではない。“訴える名無しさん”や“クレイマー”など時事ネタに斬り込んだボキャブラリー豊富でヒネリの利いたライム・ワールドに(意味ナシ押韻系も楽しい!)、ポップでいて芯のあるトラックの合成は、最初から“画”が見えてるかのように鮮やか、だ。Gaku-MC、2Backaaらとの『濱MIC』オマージュ曲も“ならでは”の仕上がり。

11. UZI / Natural 9 (Kix)
UBGの門番=UZIの4作目。ギャンブラーなら即反応する(?)“最強の一手”をテーマに、より自然体でマックスのパワーを発揮した本作は、UZIという希代の語り部の人間性の魅力を凝縮したような1枚となっている。Zeebraを始めとするUBGの面々から、城南ウォーリアーズの相方=G.K.Maryan、48.9、秋田犬どぶ六、HI-D、Shiba-Yankee、現在のレーベルメイトとなる神ら気の合う仲間たちや肌の合うサウンド班を呼び寄せ、豪快にマイクをコントロールする(哀愁系もアリ)主役はさらに逞しくなった。かまやつひろし「我良友」のリメイクも沁みる…。
   
12. Bron-K / 奇妙頂来相模富士 (KSR)
神奈川は相模原を代表するSD JunkstaよりBron-Kが噂のソロ作を遂に公開。ハードボイルドな様でいて、どこかあったかいそのカスレ声と、当意即妙なフロウ(しかも歌える)を武器に、描写力の濃いリリカル・ワールドで極めて正攻法の魅せ方を披露する彼は、その“底力”をここに示した、という事だ。アートワーク(表1)にも名前のあるゲストたちから、I-DaA、Bach Logic、Zipsies、Jakk Pot、Yamino、Red Caponeらの情感豊かなトラック群も言う事ナシの充実ぶり。本誌読者には、盟友TKCを迎えた16Flip制作のルーツ・レゲエ曲をまずはオススメしたい。

2008年3月28日

PLAY IT LOUD from No.301

MISSION IN PROGRESS / MORGAN HERITAGE
[VP / VP1779]
NYとSt.Thomas(JAの田舎)に拠点を置き、多ジャンルの要素を混ぜた楽曲にラスタファリとしてのKey-Massageをのせ、ソウルフルなレゲエ・チューンに仕上げる彼ら。3年ぶりの新作はKanye West系譜な曲やロック調な曲があったり全体的にかなりポップ色の強い作品だが、軽やかなメロディに乗ってハートを深く刺すこれぞモーガンズ・チューン「Nothing To Smile About」がやはり彼らの真骨頂かと。[輸入盤](遠井なつき)
 
FIGHT WITH ALL YOUR MIGHT / ANTHONY CRUZ
[PENTHOUSE / VP / VPPHCD2348]
近年のレゲエ・ファンならば5th Elementクルーの一員(現在脱退)として認識しているだろうダンスホール・シンガーのA・クルーズ。93年にレコード・デビューだから既に15年のキャリアを持つ彼だが、本作が1stアルバム。名門ペントハウスのボス、ドノヴァン・ジャーメイン総指揮の下、制作された本作は当然、気合い充分だったはずで抜かりのない作りだが、ヴェテランならではの余裕も感じる佳作。[輸入盤](大場俊明)
  
MOVING 2 THE TOP / ABIJAH
[AZION / 634479664861]
VPからのデビュー盤より5年ぶりとなる2作目。Mystic Revelation Of Rastafariのメンバーを実父に持つ生粋のこのルーツ・マンは、この間Hopi Landにまで足を伸ばす精力的なライヴ活動によって成熟。生音トラック・スタイルを堅持し、Tevin Campbellをfeat.した「Over Come」、大ヒット「Revelation」のBeenie Man Remix、静かなゴスペル調の「I Surrender」など聴き所も多く、新鮮で甘いハーブの様に心をくすぐる佳作。(遠井なつき)
 
MOVEMENT / ROOTZ UNDERGROUND
[RIVER STONE / MU0014]
闘志を全面に押し出したメッセージ性の強いルーツ・レゲエ。コマーシャルな部分は一切無い揺るがない姿勢が聞く人の拳を握らせる。バンドの呼吸はぴったりだ。少ししゃがれた声のリード・ヴォーカルが語るように歌う一曲にしびれました。ディーン・フレイザー・プロデュースの逸品。他にはボビ−・デジタルが2曲手掛けています。アルバムの後半、カツオ推薦ナンバーが収録されてるでえ。[輸入盤](磯野カツオ)
 
INNER EXILE / LEE EVERTON
[ROOTDOWN / RDM13044-2]
スイスのアーティスト。詳細は全く分りません。ただ耳が一目惚れしてしまう確率はかなり高い。カツオもその一人。シンプルなギター&スウィート・サウンドは、何の飾りも無く素朴。初めて会った事を忘れてしまう様な優しい歌声に包まれる至福の時がやってきます。アコースティック・タイプのレゲエを求める方にピッタリですね。触れれば触れるほど温かい音楽に巡り会いました。いつか日本に来てね。[輸入盤](磯野カツオ)
 
TWO ROCKSTEADY RIDDIMS / LONE ARK & VARIOUS ARTISTS
[A-LONE PRODUCTIONS / ARKCD 001 & FAK 062 ]
スペインのA-Loneが昨年リリースしたシングルを編集した本作。ソリッド・ルーツと思いきや、Phil Prattの "Dirty Dozen" リメイク・オケとRobert Sanchezによる60sテイスト溢れるオケ使用のコンシャスなリリックを中心としたRock-steady。各2Vocal+1DJ+Versionを収録。Glen Washingtonは勿論だが一番のお勧めはRanking Forrest。オールド・トースターばりのDJスタイルに思わず聴き惚れること請け合い。[輸入盤](楳原豊人)
  
THE SWEET SOUND OF COCOA TEA / COCOA TEA
[17 NORTH PARADE / VP / VP4123]
Jammy's世代のレゲエ・ファンがパっと名前が出て来るダンスホール・シンガーはサンチェスかこの人だろう。それだけ彼はダンスホール・シンガーの象徴的存在であり、実際、ヒット曲や印象的な曲を量産してきた。本作はそんな彼の84年のヒット曲「Lost My Sonia」(Volcano)から2006年の「Save Us Oh Jah」(Xterminator)までたっぷりと36曲を詰め込んだもの。彼の声そのものがダンスホールと再認識。[輸入盤](大場俊明)
 
OVERDUBBED / DUB SYNDICATE
[GROOVEATTACK / CCT3016-2]
On-U Soundでお馴染み、ニュー・ウェイヴな生DUBを切り開いてきた彼らの新作。過去の楽曲をRob Smith(Smith & Mighty)がメガミックス。過度なオーヴァーダブは控えて原曲の魅力を引き出す流れある世界。職人技が光りますね。DUB愛好家は即座に反応するでしょう。Capleton、Luciano、Junior Reidの声が聴こえた瞬間、心に火が灯る。根は繋がっている事を肌で実感。ワン・ドロップは永遠の合い言葉。[輸入盤](磯野カツオ)
 
ビューティフル・ガールズ〜ザ・ストリクトリー・ベスト・ワークス・コレクション/レゲエ・ディスコ・ロッカーズ&V.A.
[フラワー / FLRC-059]
ここ数年、レゲエ・アーティストによる所謂“外仕事作品集”が数多くリリースされているが、それだけ現在、各方面でレゲエが欲せられているという証拠だろう。しかも誰もが気持ち良くなるラヴァーズ・ロックを得意とするRDRの場合、その振り幅は更に広がり、クラブ系以外にも中島美嘉、伊藤由奈、和田アキ子らの楽曲までも手掛けているから面白い。2曲の初CD化を含む全16曲、どれもとんちが効いてます。(大場俊明)
 
桜レゲエ/ソフト・パンク
[ソニー / SICL-201]
ユニット名からして怪しさを醸し出しているが、やってる事も誰もが知ってるポップスをレゲエ・アレンジでカヴァーしていて、それがツボを得過ぎているのが怪しい。更にミックスはマッド教授と如何にも策士による作為を感じる。と、うだうだ考えずに普通に耳にすれば、この季節にハマり過ぎるほんわか作品。で、その正体の仕掛人はLiquidroom、そして演者はThe K、Icchie、LIkkle Mai、高木一江他。なるほど。(大場俊明)
 
カヴァーズ ノン・ストップ・メガ・ミックス〜ダンスホール・スタイリー/V.A.
[[ビクター / VICP-64084]]
こちらもカヴァー集だが、すっかりお馴染みのジャマイカもの人気シリーズ。今回は今までリリースされた同シリーズ4タイトルの中から27曲を厳選し、元ストーン・ラヴのリッチー・フィーリングスが現場風にノン・ストップ・ミックス。当然リッチーの腕なんだろうが、これがまた如何にも現場的な臨場感があって気持ちがいい。疑似レゲエ・ラジオ番組を体験できる『レディオ・スタイリー』も同時にリリース。(大場俊明)
   
マスター・ブラスター2008/V.A.
[ビクター / VICL-62785]
東京発のジョグリン・サウンド、ペイス・メイカーによる人気ジャパニーズ・ダンスホール・ミックスCD・シリーズ“Master Blaster”の第三弾。本シリーズの魅力は彼らのダンスと同様、とにかくイケイケなノリ。しかも人気日本人アーティストの現場でボスするお馴染みのチューンばかりがこれでもかと詰まっている点でしょうか。ベテランはもちろん、旬な若手アーティストもいつも以上に詰め込んでいます。(大場俊明)
 
ディシプリン/ジャネット
[ユニバーサル/UICL-9067]
1年半ぶり10作目となる新作は、デフ・ジャムへ移籍してのリリースに。盟友ジャム&ルイスとのタッグは解かれているものの、ロドニー・ジャーキンス、ニーヨ、ドリーム、ジョンティ・オースティンらによる仕事は、ジャネット印をきっちり体現している。R&Bのみならずポップ・シーン全体を引っ張ってきたその普遍性とトンがりの妙は、彼女の唯一無二なスウィート・ヴォイスと相俟って、まさに死角なし。(石澤伸行)
 
ニュー・アメリカ・パート・ワン(第4次世界大戦)/エリカ・バドゥ
[ユニバーサル/UICT-1038]
4年半ぶりの4作目。マッドリブ、サーラー・クリエイティヴズ、ナインス・ワンダー、ロイ・エアーズと、ここに居並ぶ音職人の名にまずはアゲさせられるが、実際のサウンド・スケープも、ズブズブ沈んだり、フワフワ浮かんだり、ビュンとどこかへ飛んで行ったりと、エリカ様ならではのマイ・ウェイぶりが全開。そして、そこに彼女が紡ぐ言葉が乗ることで、グルーヴが完成されていく様に震撼させられるのだ。(石澤伸行)
 
ジョーダン・スパークス/ジョーダン・スパークス
[BMG/BVCP-21591]
アリゾナ州出身、アメリカン・アイドル史上最年少での優勝者によるデビュー作。スターゲイトが手掛けるシングル曲「Tatoo」が既にヒット中の彼女だが、アンダードッグス、ブラッドシャイ&アヴァント、そして(あの「C'est La Vie」の!)ロビー・ネヴィルといった錚々たる制作陣が音世界を支える中、フレッシュさ満点ながら、早くも風格さえ感じさせる新人離れした振る舞いには、驚かされること必至だろう。(石澤伸行)
 
イン・アンド・アウト・オブ・ラヴ/シェリー・デニス
[ワーナー/WPCR-12833]
バッド・ボーイから新たなソングストレスがデビュー。初お目見えが99年あたりだった彼女にとって、まさに満を持しての登場だが、レーベルの力の入れ様は招聘された制作陣にも表われる。P・ディディは勿論、マリオ・ワイナンズ、スティーヴィー・J、ロドニー・ジャーキンス、ティンバら錚々たる布陣が、アップデイトされたヒップホップ・ソウルを大判振る舞い。彼女も艶のあるパフォーミングで応酬する。(石澤伸行)
 
イースト・サイド・ストーリー/エミリー・キング
[BMG/BVCP-21593]
22歳の才媛によるデビュー作。アフリカ系米国人の父とイタリア人の母の間に生まれ、幼少の頃から様々な音楽に親しんできた彼女は、チャッキー・トンプソンやサラーム・レミらの協力のもと上梓された本作で、ストリート色の濃いR&Bからクラシカルなジャズまで幅広なアプローチを展開している。しかしながら、そこには彼女のメロディ・メイカーとしての芯が一本通っていて、それがなんとも清々しいのだ。(石澤伸行)
 
ファイアード・アップ/アリーシャ
[DIMID / DMDCD-0011]
UKの3人組ミスティークの顔役がソロ・デビュー。シングル「Lip-stick」が大ヒット中の彼女だが、グループ活動当時から図抜けていた、パワフルなパフォーマンスはそのままに、R&B、ヒップホップ、ダンスホール、ロックを大股で行き来するような音楽性にも、大きな成長をみる。UKシーンの今を支える新進クリエイター勢の入魂ぶりもさることながら、彼女の自信に満ちた立ち姿が眩しい、天晴れな作品集だ。(石澤伸行)
  
ファミリー・ビジネス/アルハカ
[キロ・ミュージック / KILO-002]
ダブ的なダウン・テンポにダンスホールの感覚を取り入れ(旧作にはシズラも参加)、早くからグライム〜ダブステップ〜バイリ・ファンキに呼応していたドイツのユニットの日本限定CD。ヨーロッパらしいミニマル〜テック・ハウスの美意識と深さ持ちながら、あくまでもベース・ミュージックとしての弾力と太さへのこだわりを感じさせる仕上がり。多数のヴォーカリストを起用し、色んなカラーで飽きさせない。(飯島直樹)
  
リモメントス:メモリーズ/JUZU a.k.a. MOOCHY

[クロスポイント/CPSCD-002]
Re-Momentosシリーズ第2弾。前作同様ベトナム、ハワイ、ジャマイカ、キューバ、東京、福岡……など世界各地でレコーディング。聴く者の記憶/既視感を呼び起こしながら様々な(まだ見ぬものを含めた)景色を脳内に浮かび上がらせる、彼の長いDJとしての経験が存分に発揮された、真の意味での“DJミックス”作品と言える。内田直之や大友良英、芳垣安洋など、要所を押さえた参加者の技量も光っている。(飯島直樹)
   
ラサ/ミナクマリ
[エンジェルズ・エッグ/DDCA-5048]
チャラと新居昭乃とのユニットでシタールを弾く姿が話題となっていたシンガー・ソングライターのデビュー作。現地で学んだインド古典の奏法に根ざしつつ、元ガールズ・バンドらしいポップ感覚とエレクトロニカ以降のサウンド・センス、そしてカヒミ・カリイやフアナ・モリーナも連想させるウィスパー・ボイスが、彼女のもうひとつの顔=ティー・ブレンダーのような絶妙さでミックス。言葉のセンスも面白い。(飯島直樹)
  
サイボーグ/ゴマ・ダ・ディジュリドゥ
[ジャングルミュージック/JMCD-007]
キャリア10周年。幾つかのバンド編成でのリリースを経て、6年ぶりとなるゴマ・ダ・ディジュリドゥ名義での新作。世界最古の木管楽器であるディジュリドゥを、最新のテクノロジーを駆使し、ビートから上物にまで使用。ヒップホップ、ハウス、レゲエ(ダブやダンスホール)、サンバ……など多岐に渡るサウンド・スタイルに、太古でヒューマンなDNAが宿る不思議な作品となった。イッチーら4人のミキシングも見事。(飯島直樹)
  
No.1/トウキョウ・ナンバー1・ソウル・セット
[エイベックス/ティアブリッジ/NFCD-27071/B]
昨年末オーラル・バイオグラフィが刊行され話題となった今はなき下北沢のクラブZoo〜Slitsを現在も体現するグループ(と筆者は思う)の新作。それぞれが重ねた歳と経験を反映させたサウンドながら、その芯は変らず。言葉と音にニヤリとしたりグッときたり…この感覚こそが日本であり、彼ら最大の魅力。時代を経てもあの場所から方々へ散った同輩には胸に響くだろうし、当時を知らない若者にも新鮮に響いて欲しい。(飯島直樹)
 
ムジカ・イノセンテ selected by 渡辺俊美/V.A.
[ビーンズ/NBNSCD-8849]
スペインはバルセロナ発ルンバ・カタルーニャをベースに、パンクやレゲエ、ロック、クンビア、アフロ、ジプシー、インド、キューバ……など、ジャンルや国境の壁を超えて混血した音楽=メスティーソ・ミュージック”を集めた日本初のコンピレーション『罪のない音楽』。現地シーン呼応したサウンドを聴かせるZoot 16の顔としても活躍する渡辺俊美による間違いのない選曲。踏み込みたい人にも入門編にも。(飯島直樹)

2008年3月31日

Imanuel Walsh / Deep Within

Imanuel Walsh / Deep Within
 
Interview by Toshiaki Ohba / Transrated by Ichiro Suganuma
 

 
 1990年前後、日本ではエマニュエル(・ウォルシュ)というアーティスト名で活動し、「竹下通り」など思い出深い曲をリリースしていた彼が、久々にアルバム『Deep Within』をリリース。生真面目な彼らしいまっすぐな作品だ。来日当時の話や新作について話を聞いた。
 
●1990年前後、「Imanuel Walsh」ではなく「エマニュエル」というアーティスト名で日本でも積極的に活動していましたけど、そもそも来日のきっかけは何だったんでしょうか?
Imanuel Walsh(以下I):1986年の「レゲエ・サンスプラッシュ」でTigerとRedemption Posseと共演した後、サンスプラッシュのスタッフに当時六本木にあったホットコロッケっていうレゲエ・クラブに出演してくれって頼まれたのさ。それを機に色々な仕事が舞い込んで来たんだよ。
 
●日本での音楽活動で得たものは?
I:色々さ。あの当時、ソニー・レコーズ、そしてアルファ・レコーズと契約していて3枚のアルバムをリリースしたんだ。他にもCMソングを歌ったり、テレビ出演をしたり、日本中をツアーしてたくさんのアーティストと共演したんだ。オリコンのトップ20位にランクされた曲もあったよ。みんな優しく俺をサポートしてくれたし、いい思い出だよ。
 
● 現在のジャマイカでの音楽活動の基盤は? 
I:自分のスタジオを作ったからそこで日々レコーディングしたり、他のアーティストをプロデュースしたりね。ライヴだってよくやっているし、海外ツアーも結構行ってるんだよ。
 
●95年の『Rasta Love』以来となるアルバム『Deep Within』にも収録された「Revolution」が去年、IRIE FMでヘヴィ・ローテーションだったと聞きましたが。
I:IRIE FMで現在、最もイケてるDJ、Ron Muschetteが俺の音を気に入ってくれたみたいで「Revolution」をかけまくってくれたんだ。
 
●『Deep Within』は全体的にモダーン・ルーツ・スタイルで、どの曲もあなたならではの非常にエモーショナルな出来ですね。
I:リリックだけでなくサウンドの細部に至るまで出来る限り自分のフィーリングが感じられるようにしたかったんだ。今の世の中って不安定だろ? だから最初から諦めてしまっているのか、みんなが物事に対してとても無関心になっていると思えるんだ。だからこそ僕はミュージシャン、またメッセンジャーとして、希望や愛や調和の大切さ、そして互いに理解し合うことの必要性などを人々に伝え続けることが出来たら、と思っているよ。
 
●本作にErnest Ranglin、Earl Chinna Smith、Bongo Hermanといったヴェテラン・ミュージシャンが作品に参加した経緯を教えて下さい。
I:長い間みんな、凄くいい仲間なんだよ。特にErnest Ranglinは僕の家のすぐ近くに住んでいてね、ガキの頃から知ってるし、Earl Chinna Smithは僕の過去のすべてのアルバムに参加してくれているしね。Chinna Smithには今後もアルバムを作る度に参加してもらうつもりだよ。
 
●「Revolution」「Jungle」「Blood Of My Children」ではUT-Rasという日本ではあまり知られていないDJが参加してますね。彼について教えて下さい。
I:リリースはUT-Rasは素晴しいアーティストさ。何年か前にMikey Bennettのスタジオでレコーディングしてた時があったんだけど、ある日、スタジオに入る時に出会ったんだ。見慣れないラスタマンが壁にもたれかけてのんびりしてたんだ。何気なく彼に話しかけてみたら意気投合しちゃってね、彼ならきっと本物の何かを俺に与えてくれると思ったんだ。スタジオに入るまでは誰か有名なDJを起用しようと考えていたけどね。それ以来のつきあいだね。
 
● 今後の目標を教えて下さい。
I:とにかくポジティヴなメッセージの音楽を作り続けることかな。この世に生がある限り、俺は神を愛すよ!

 

"Deep Within"
Imanuel Walsh
[Kix / KIX2002]

About 2008年3月

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