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279    ARTISTS    H-MAN

H-Man
チャンスは今日今夜
 
Interview by Naohiro Moro / Photo by Masataka Ishida
 

馬鹿3部作は、己の芸風の有効性をなぞり、確認するための旅路だったのか。H-Manが到達した境地は、語り芸としての自分のレゲエDee Jayスタイルは「それでいい」という確信だった。“レゲエ求道者” H-Manの4枚目のアルバム『チャンスは今日今夜』は、その妙にカジュアルなタイトルとは裏腹に、いや、だからこそと言うべきか、迷い無く力の抜けた、ほどよい彼のワン・アンド・オンリーな世界が展開された快作となっている。
 
● デジB黄金オケを7トラックも使用!
「そうそう。好きでしょ? ま、オレはDee Jayだから、リリックを用意するまで、って感じだね。ハナからそういうつもりだから。オレはとにかく喋りたいんだよね、韻を踏みながら。それでウケを取る。オケは、オレの話に合わせて反応するツッコミみたいなもんでさ。バンドもそうだけど。
 
デジBはさ、去年夏からライヴで“Kette Drum”のオケ使っててさ。タオル振り回してばっかじゃなくても充分気持ちいいだろ、みたいな感じでさ。それで使わしてもらおうと思って、どうせならってことで他にも借りて」
“Kette Drum”の他に、“Rope In”、“Heaven-less”、“Shine & Criss”、“Far East”、“Heavy Rock”、“Queen Of Minstrel”がアルバムでは使用されている。その他のリディムは、前作から引き続き、カールトン・マニングの甥っ子、ジョシュア・マニングやサンセット(もちろんプラチナム・サウンド)らの手による。デジBオケ曲のミックスはもちろんボビー“デジタル”ディクソン。
 
● スタイル確立の確信
「実はさ、前作はオレなりに売れてみようとか、色気を出した部分もある訳よ。コスプレもしたしさ。いいジャケだけどね、もちろんアレも。とにかくポップな感じをさ、オレなりに考えた部分もあった訳。でも全然コテコテになっちゃってたし(爆笑)。結果、セールスとか特に変わらねぇ。だからそういうんじゃねぇな、少なくともオレは。気にすべきことはそこじゃねぇ。そういうこと感じながら去年の夏はライヴやってて、より冷静にコントロールの効いたステージが出来る様になったんだよね。去年のリキッドのワンマンも何も変わらず平常心。その上、ウケを取れる確信がある。だから今回のアルバムは極端なことを言えば、オケなんてどうでもよかったんだよ。オレが拘ったのは違うとこなんだ」
 
きみまろトランスが、やっぱり「きみまろ>トランス」である様に、聴いてもらうための、ほどよいテンション、喋り声、声色、調子、毒気、そういったものそのものが、H-Manなのだ。話芸キャラとして確立されている、ということは誰でもすぐ出来るという訳ではないだろう。「H-Man>オケ」。彼のスタイルにおけるその比重は大きい。
 
● 2ヶ月
「オレが拘ったのは、テーマがあったんだよ、自分的に。オケが全部揃ってから始めて2ヶ月で終わらせる、ていう。ほら、ジャマイカのDee Jayって録るの、早いじゃん。そういうノリを試したかったんだ」
 
録音期間のことだ。全12曲、ゲスト無しの本作は、2月、3月の2ヶ月間で録音されたという。山岳修験者の山ごもりにも似た、孤独なリリック12番勝負の様な趣である。何故そこを?
「レゲエを好きな人は、それぞれ何かジャマイカを真似したりするでしょ。例えば、パトワ覚えたいとか、髪形だったり、服だったり。オレは、そのジャマイカのDee Jayの録るのが早いとこを真似したかったんだよね。Dee Jayってもしかしたらそういうものじゃねぇのかと、ふと思ったもんだから」
 
制作期間限定という制限を自ら敢えて設ける。この少し「?」な、荒行の様なレコーディングは、箕輪育久の「ヘヴン」にも似たムードすら漂わしている。きっと、彼なりの「道」なのだ。馬鹿3部作を経て、H-Manは、彼の行くレゲエ道のハイヤー・レベルの実践者となったなのだろう。実際、アルバムは難なく完成した。通して聴いても、気負った印象はド頭からしてゼロだが、本作は実は、2ヶ月間の独白の記録でもあるのだ。
 
● チャンスは今日今夜
「タイトル? タイトルはね、オケが“Heaven-less”だから。実は“Heavenless”で今回は歌うっていうのも自分の中でのひとつのテーマだったの。だからかな。意味は無いよ。そのぐらいでいいんじゃねぇのかな、って(笑)。
 
もうこれ出せばさ、ワンマンのライヴ、ノー・ゲストで90分やるのも簡単かな。ま、現場を選ばず、1万人オーヴァーのフェスから100人の小箱まで、全方位でウケを取るのが自分の仕事だと思ってるからさ。どんな場所でもそこに居る人をいい感じに出来りゃいいよね」
 
ステージ上での熱狂のただ中で、思考の片隅に冷静なマインドを保持し、彼は常に客の方を向いている。現場を湧かすのが仕事の最低限の基準。それはH-Manにとっての芸の腕の基準であり、すなわち、レゲエDee Jayの基準でもあるのだろう。
 
観客の共感する部分を突くことは、話芸の基本だろう。H-Manの話芸は、「レゲエ人」という限定されたツボに向けた、あるあるネタ的なレゲエ人の日常を、レゲエ人同士が共感出来るという、世間的には正にピン・ポイントに超マニアックなものなのだ。それでも、その分かる奴には分かる「あるある」感覚は的確且つ、面白い。そしてその演芸は、腰をくねらせ、踊りながら聞くというのが作法なのである。社会的にはきっとおかしいはずだが、日本語のダンス・ミュージックとしては機能的だし、強力だ。
 

"チャンスは今日今夜"
H-Man
[Overheat / OVE-0097]

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