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281    ARTISTS    MACHACO

Machaco
  
Text by Mitsugu Bizen / Photo by Brian Nejedly
 

とってもいいアルバムだ。レゲエが心底から大好きなシンガーが、長い間あまたの名曲に酔い、柔らかな心を震わせながら、そして自分も歌ってきたという心意気が、すべての曲からヒシヒシと伝わってくる。そんなところが美しく、尊い。
 
このアルバムについて、まず僕が感銘を受けたのは、マチャコ自身のセルフプロデュースという点だった。お膳立てが整った状態ではなく、全て自分の采配で作品を創作するのは、その苦労に比例するように、作者の心構えや気合、あるいは作品に対する想いの込め方に並々ならないものがあるはずだからだ。
 
マチャコはなぜ、そんなイバラの道を選んだのだろうか?・・・・。
「歌だけでなく、創りたいアルバム全体のイメージがまずあったからです。リディムからミックスダウン、それにメロディからリリックまで、こんな日本のレゲエがあったら面白いだろうなっていう構想があって、それを自分の出来る範囲で実現したかったんです」
 
そして、そのために彼女は、日本で雛型をまず作って、それをジャマイカのミュージシャンを起用してオーバーダブ、そしてようやく完成という、いわば二重の手間をかけた。この手間にこそ、彼女のこだわりがあり、このアルバムの意義があるのではないか?
 
「まず単純に、尊敬するミュージシャンと一緒に曲を創りたかった。いつも、どうやったらこんな凄い音が生まれてくるんだろう?って想像してきたことを、自分の目と耳で体験したかったし、彼らの息吹をぜひとも入れたかった、というのがまずあって。だから、ジャマイカで全部録音することも考えたんですが、それだとどうも何か足りない音になりそうで・・・。足りないというのは、もう一手間かければ、もっと良くなるのに、という意味です。その一手間をかけられるのはやはり、リンクのあるミュージシャン同士じゃないと出来ないと思いました。そんなわけで、雛型となるリディムは、日本サイドの森さんにお願いしました。細かいフィーリングやニュアンスも伝わるし、信頼できる人だから」
 
と、マチャコは言う。そうしたこだわりには、彼女のレゲエへの深いリスペクト感を感じる。さらに言えば、歌い手としての自覚と同じくらいレゲエファンとしての姿勢を色濃く感じた。
 
そんな感覚を具体的に言えば、彼女自身のアイディアとなる「Truly」で使われたアビシニアンズの70年代の名曲「This Land Is For Everyone」を大幅にアレンジしたリディム。これには驚いた。それに、ジュディ・モワットが歌ったヴァン・モリソンのカヴァー曲にインスパイヤされた「I Shall Sing」でのスプラガ・ベンツとの絶妙な共演。さらに「Let The Power Fall」の導入部でのマックス・ロメオのフレーズなどが挙げられる。これらは、その元ネタを知らない人にもキャッチーなだけでなく、かなりのレゲエ通をも唸らせる聴き所だろう。
 
そして、使われたリディムも曲も詩もすべてひっくるめて、個人的に最高に胸に来るものがあったのは、このアルバムでは最もダンスホール色の濃い「Machaco Again」だ。厚みのあるゴージャスなホーン陣が強力な“ヘヴンレス”リディム。レゲエのトラックとしては、定番中の定番。もう誰もが・・・というリディムの代表。しかしそこが諸刃の刃で、耳慣れたリディムなだけに、歌い手にレゲエ独特の言葉にならないフィーリングが身体に沁みていないと、形にはなっても、どこか違う、なにかヘン・・・さらにそこに日本語を乗せようものなら・・・一歩外すと、ダサさ満開。にもかかわらず、この危険なリディムを乗りこなし、ゆるぎない安定感でもって、威風堂々の日本語の歌で疾走しきれるのは、レゲエ・シンガーとして誇ってもいいのではないかと、つくづく思った。
 
「マチャコ、やるやんけ」
  
Truly
Machaco
[Speed EX / SX14-0003]

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