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Tanya Stephens
Rebelution
 
Interview by Minako Ikeshiro
 

我が道を突き進むシンガー・ソングライター、タンヤ・スティーヴンスの最新作が素晴らしい。本人曰く「流血を伴わない意識革命」を意味する『Rebelution』は、ライヴやインタヴューの映像を収録したDVD付きで彼女の全容が分かる仕掛け。新作の前評判と、リル・キムを歌詞の盗用で訴えた件とでなかなか盛り上がっているタンヤの本音満載の最新対面インタヴューだ。
 
●子供の頃、家でどんな音楽を聴いてましたか?
Tanya(以下T):古いロックやR&B…オーティグ・レディングやスモーキー・ロビンソンは今でも好き。ロード・キチナーといったカリプソもうちではかかっていたな。カリプソの歌詞はダブル・ミーニングで、それが好きだった。母はあまりレゲエを聴かなくて、カリプソやカントリー、昔のロックを聴いていたわ。私はレゲエも耳にしていたけど、田舎までダンスホールの波が届くのに時差が少しあったように思う。
 
●レゲエでは女性アーティストが出て来づらい面がありますよね? マーシャ・グリフィスは大好きですが、40年も彼女がトップというのもどうかと思うのですが。
T:アイコンとしてのステータスでは、その見方は正しいわね。彼女の後にもたくさん女性アーティストが出て来ていて、商業的に成功した人達も少ない。ただ、彼女のレヴェルまでリスペクトされるのは難しい。
 
●最近、タミー・チンやアレインといった女性シンガーも出て来てますが、彼女達とは交流はあります?
T:私は業界の中で友達を作らないの。だって、表面的でウソくさいじゃない? 新しいアーティストの中で潜在能力が高い人もいるとは思うけど、女性という理由だけで注目されている場合もあるかな。プロモーションの結果、名前や外見は知られているけれど、実際に人々に深く浸透するような曲はまだ作っていないから、私やレディ・ソウとは開きがあるとは思うわね。
 
●前作『Gangster Blues』で予想していなかった展開はありました?
T:「It's A Pity」など、予想以上にヒットした曲があったわね。「What A Day」はサウンド・システムで人気になって、ダブの注文がいっぱい来たのは驚いた。
 
●リッキー・チューパーが「タンヤのダブをかけ始めたのは俺だ」と言っていたのですが。
T:彼にしては珍しく本当のことを言っているわ(爆笑)。最初、クラッシュでウケなかったって言っていたけど、あれは私のせいじゃなくて、彼自身のせい。おかげでたくさん注文が来たから、私にとっては悪い話ではないけど。
 
●特に仲がいいサウンドはありますか?
T:いいえ、私はつるむタイプじゃないから。キャリアをスタートさせた頃は、よくキラマンジャロでやっていたし、ミスター・ハーパーはいい友人だけど、私がジャロのアーティストだったわけではない。十代の時、セント・メリーにサウンドが来る度にマイクを握っていたのは、いいトレーニングになったと思う。ダンスのお客さんは新人に対して厳しいからね。「楽しませろよ、このアマ」って感じ(笑)。
 
●音数が少ない独特のスタイルはどうやって確立したのでしょう?
T:私とアンドリュー(・ヘントン)で大体の土台を作って、その時点でいい感じだと思ったら、無理して音を足さないことにしている。
 
●アコースティックなレゲエは、とにかく音を足す傾向が強いですよね。
T:私も受け取ったトラックにいろいろな要素が入りすぎて、何に集中していいのか分からない時がある。混乱しちゃうのよ。だから、自分で作る曲はそうしたくない。
 
●子供の頃、教会で歌っていたことはあります?
T:クワイヤーで歌わなかったけど、11才くらいまで教会には行かされていた。牧師の説教がウソだらけ、って気づいてから行かなくなったんだけど(笑)。クリスマス・コンサートで詩を詠んだり、歌ったりして、それで集まった寄付金を全部持っていくのはおかしいと思って、牧師と大喧嘩したこともある(爆笑)。教会で「ドロボー!」って牧師さんを呼んだの。6才の時のことよ。
 
●リリックで女性の絶望的な状況を描くのが上手ですが、実際のあなたはハッピーですよね? そこは想像力を働かせる?
T:想像も入っているけど、まずリアルな状況を歌っているわよ。
 
●「Damn You」も?(注:ほかの女性と結婚する恋人を教会で眺めている内容)
T:以前に近い経験をしたことがあるの。私は式に行かなかったけど、行っていたらどうなっただろう、というところから書き始めた。
 
●愛人の歌も相変わらずありますね。「Still Go A Lose」とか。
T:ダンスホールでは、「私の男なんだから」というアティチュードが多いけど、人間は誰かの所属品にはなれない。男性を取った取られたという話ではなくて、彼は自分の意志でこっちに来ただけでしょう(笑)。あの曲では、私を責める前に自分を何とかしたら、って歌っているワケ。
 
●ジャマイカでは女性の方が男性より圧倒的に多いという事情もありますし、日本のモラルを持ち出しても仕方ないかな、とも思います。
T:大体、3対1くらいの比率じゃないかしら。おまけに、まともで付き合いたいと思うような男性はもっと少ないんだから(笑)。
 
●その場合、シェアーもアリかなぁ(笑)。リル・キムを歌詞の盗用で訴えた件の話をしてもいいですか?
T:弁護士に喋るなと言われているんだけどね。ジャマイカで運転していた時に、ラジオから私の歌詞が聞こえてきたけど、私の声じゃない、ってびっくりして。彼女とは数年前に一緒にスタジオに入ったことがあるの。その時も私のファンだと言って、あの曲を口ずさんでいた。ほんと、頼んでくれたら、タダでもっといいリリックを書いてあげたのに(笑)。相手側にアプローチして、無視されたから仕方なく訴えた。認めないなら、私が書いた分は払ってもらいたい。もう、ジャマイカ人が泣き寝入りする時代じゃないのよ。
 
『Rebelution』
Tanya Stephens

[VP / VPCD1791]

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