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285    ARTISTS    BUJU BANTON

Buju Banton
Too Bad
 
Interview by Minako Ikeshiro / Photo by Jonathan Mannion
 

7作目に当たる『Too Bad』で、ブジュが怒濤のDJを聞かせている。神への聖なる愛は一切歌わず、ダンスホール特有の性愛にフォーカスしている。彼に何が起きたのか。ガーガメイル・ミュージック総帥として張り切っている彼の注目の最新インタヴューだ。
 
最新作『Too Bad』は、こちらの「ブジュ熟知度」を試すような作品だ。

 「イメージが違う!」という人は『Til' Shiloh』以降のラスタなブジュで育ったクチだろうし、「お帰りなさい!」と感じた人は90年代初頭に丸坊主だった彼を覚えているのだろう。年齢のファクターもあるから優劣の問題ではないが(ただし、ブジュをちゃんと聴いたことがなくて“レゲエ・ファン”を名乗るのは禁止)後者チーム代表として「今回はダンスホールのカラーが強くて、あなたのルーツに戻ってますね」とインタヴューを始めたら、全力で反撃されてしまった。
 
 「それ、よく言われるけど意味が分からないよ。俺は『Mr. Mention』以来、ダンスホールを作るのを止めたことはない。インタヴューで似たようなことを繰り返し言われる度にナンセンスだって反発してるんだ。アルバムに取り組む時は世界があるべき姿、正しい方向に導きたいという明確な目的があるから、それに沿った曲を多く収録したけど、俺はいつだってダンスホールをやっていたし、ダンスホール・フレーバーを含まないアルバムはなかったハズだよ。“帰ってきた”みたいな言い方をされると、そっちこそどっかに行ってたんじゃないか、って言い返したくなる」。あ、怒られちゃった。15年前、同性愛バッシング・ソング「Boom Bye Bye」のヒットで『News Week』誌ほかに叩かれて以来、基本的にインタヴューが嫌いなのは知っているから、ビビらないけれど。本作は、しばらく前から45マーケットで見かけていた<ガーガメイル・ミュージック>からのリリースだ。古巣のペントハウス、音楽的な父と呼んでいるドノヴァン・ジャーメインから独り立ちした気分を確認した。「俺は“Destiny”で“運命は自分で決めろ”と歌った男だ。あのリリックで世界中の人々にインスピレーションを与えた当人が実例として、自分の運命に従ったんだ。自らレーベルを運営して自分のために働いて、ほかの才能を育てる、という運命だ」と語る。「ジャーメインから学んだことは大きいし、彼には感謝している。でも、今はその学んだことを示す時なんだ」とも。
 
 ここ最近は流行のリディムを余裕で乗りこなし、数々のダンスホール・ヒットを放っているのは、ご存じの通り。その辺りも、新作にキッチリ収録されている。若返ったと書いたら、本人からさらに反撃を喰らうだろうけど(さすがに言いませんでした)、楽しんで作った雰囲気は伝わってくる。制作陣も若手を起用。「レゲエ業界が時々停滞するのは、同じ人達にばかり仕事が回っているのが理由の一つだ。スライ&ロビーやジャーメイン、ボビー・デジタルばかりが前に出ていたら、音楽そのものが育つ余裕がない」とハッキリ。セルフ・プロデュースの割合も増えている。
 
 一方、唯一の客演では先輩へのリスペクトを表したのか、時流を読んだのか、「Don & Dupes」で人気沸騰中のピンチャーズを招いている。これが、懐かしくて楽しくて最高なのだ。「俺の子供の頃の大スターだから、光栄だったよ。俺自身も楽しんだから、みんなも同じ風に取ってくれると嬉しい」。もう一つ、懐かしい話題。「Hey Boy」のクレジットにペントハウス卒業生のデイヴ・ケリーの名前を発見。仲違いをしているのを承知で、彼の名前を出して意図的に地雷を踏んでみた。「ジャマイカでもアメリカみたいに昔のリディムをまた使ってリヴァイバルさせるのが流行っているから、92年に作られたリディムを引っ張り出したんだ」と、デイヴのデの字も出さない用心深い答え。ここで、個人的に今年一番、印象的だったレゲエ関係者のコメントを本誌読者とシェアーしたい。シャムのパーティーで拙著を見せた時、“Great 90's”のアルバム・ガイドをチェックしたデイヴに「『Mr. Mention』が入ってないなんて、アリエナイでしょ!」と突っ込まれたのだ。あぁ、自分とブジュの事実上の出世作を自慢に思っているんだ、と意外に思い、感激したのは数ヶ月前のこと。それをブジュ本人に伝えたのが、2発目の地雷。受話器の向こうでしばらく沈黙した後、「『Mr. Mention』は90年代を決定づけたアルバムだからね」と一言だけ返してきたブジュが、少し微笑んでいた気がした。対面だったら良かったのに!
 
 『Too Bad』を通して一番伝えたかったことを確認してみよう。「これがダンスホールだということ。ジャマイカ産の個性的な音楽で、クロス・オーヴァー云々は関係ないけれど、みんなが共感できて楽しめる音楽なんだ」と含みのある言葉が返ってきた。同世代のレゲエ・スターの中でいち早くアメリカのレコード会社からアルバムを出した彼が言うと、何となく達観した趣がある。別に突っ張っているワケではなく、実は、この原稿を書いている途中で取材に行ったエイコンのショウケースにブジュが来ていた(で、挨拶したらフツーに感じが良かった。メディアに媚びを売らないだけで、イヤな人ではないのだ)。ジャマイカではジャーメインからの独立を疑問視する人も多いようだが、長いキャリアで最も良かったことを尋ねた際、「自分でレーベルを持てたことだね」と即答した彼の温故知新の新機軸サウンドをチェックしつつ、次の動きをサポートするのが、06年暮れ現在の正しいブジュ・ファンのあり方だろう。
 
『Too Bad』
Buju Banton

[Victor / VICP-63637]

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