HOME > 285 > Straight From True School

topics

Straight From True School
 
Text by Yuta-man(Mad Pop/DNA) / Photo by Joe Conzo
Special Thanks / BBPBX(bbpbx.com) & Liquor, Woman & Tears
 

NYから海を越え、Afrika BambaataaやJazzy Jayの「今年は革命の年だ」という言葉が何度か耳に入った。厳密にそれが何を指し、実際それが実現されたかはわからない。けれどここ日本、東京で、その片鱗を感じさせる事があったので、その周辺の話をさせて頂きたい。
 
まず、全く個人的観点から、ヒップホップ文化の核心に迫ると自分が思い込んでいる魅力と機能について明確にしたい。少なくとも自分はそれを見出しているから好き嫌い云々を超え、表面的にブレイクダンスも何も嗜まないのに自分自身がヒップホップであると言いたいほどあるがままに太く、在る。
 
お金も学力も社会的地位も勿論ない人間達の、その状況下でできた最大限の創造力だけで成立したような純粋無垢な遊びが、結果的に世界に飛び火して億単位を軽く動かす巨大ビジネスになったという事実そのもの、ポテンシャルの大きさそのものが、ヒップホップの魅力と言えるような気がする。どうしてもスケールの大きさを金銭の大きさで量らざるを得ないこの社会のしょうもなさには目をつむりつつ、どんな人間にも無限の可能性が溢れていることを、無条件に教えてくれること。自分にいまいち自信をもてきれないでいる人間に、生きる勇気を与えてくれるもの。他に勿論、ヒップホップを形成する要素はアフリカからきたリズム感もあれば、彼等にとっては脅威だったブルース・リーのアジア人特有の肉体、精神性とその動き、ストリート・ギャング達の特性にカリブ海から直送の感性と文化もある。
 
でも、興味も持って文化を掘り下げれば掘り下げるほど、ヒップホップの4つの要素と言われるDJ、MC、ブレイクダンスにグラフィティといった表面的な魅力の根底に共通して流れる、人間の可能性を無条件に鼓舞するその性能に行き着いてしまう。身近な例えで言えば、手塚治虫が人生をかけて漫画を通して伝えようとしたことが、まったくそんなことを意図しなかったNYの社会的最下層の遊びからも強烈に結果的に伝わってしまった、というようなことだろうか。
 
 ヒップホップは当初、公園にジャマイカのマナーでスピーカーを積み上げ、レゲエでなくブレイクビーツを反復してかけてパーティを行う“ジャム”と呼ばれていた。その名がついたのはメディアの介入があってから、と聞いたし、純粋無垢な状態をヒップホップの最高形態とするなら、メディアの介入で名前がつき、そこから世界中で唸るビジネルのツールとして発達していった様は、その当初の眩い魅力を失っていく様とも言い換えられるのかもしれない。しかし、日本の何百年と経って創始者の勿論亡くなっている伝統芸能と違い、NYで1973年に産まれた世界最新かもしれない伝統芸能の先駆者達は、まだ生きていて現役最前線で未だ当時の創造性を発揮しているのが、なんとも嬉しい事実なのである。
 

 
 伝説であり現存する最古で最高なラップ・グループ、Cold Crush BrothersのDJ、チャーリー・チェイスが23年振りに来日を果たした。今年の9/1より始動したUnited Arrowsの新店舗Liquor, Woman & Tearsのオープニング・イヴェントに合わせて招聘されたかたちで、ヒップホップ史に残る金字塔『Wild Style』(82年制作)公開時以来の来日だ。本人は「当時海外旅行なんて考えもしなかったブロンクスの子供だった自分や他の出演者約30人が、映画のプロモーションという名目で初めて訪れた海外が日本。外国に来た!という当時の感動もすごくて、自分にとっては第2の母国のような感覚なんだ」と感慨深げ。同時に開催された、中毒者には垂涎の的である当時のブロンクスの“ジャム”の空気を唯一現代に伝えるJohan Kugelburgのパーティー・フライヤー・コレクションと、最も初期から最も至近距離で写真を撮ってきたJoe Conzoの写真展。よく考えるとすごいのは、チャーリーは日本で初めてテレビとタモリを介して、お茶の間にDJの何たるかを伝えた人物であること。当時誰がここまでDJという行為が日本で広まり、ヒップホップやラップがポップ・チャートに入る曲でまで引用されるようになると思っただろう。
 
 時代錯誤か何か未来を示唆する事例か、望むほどチャーリーのDJに注目を集めることはできなかったものの、その場に居合わせた人間はことごとくDJ歴31年を誇るそのプレイに衝撃を受けた。“オールドスクール”と括られ、“古い”イメージがつくのは正確ではない。普遍的躍動感を提示し続ける姿勢を“トゥルー”つまり“真実”と区別し、“トゥルー・スクール”なチャーリーのプレイが東京で聴けたことを、あまりに本物が評価されない現状を打破する“革命”の一歩としたい。

top
top
magazine

magazine

magazine

magazine

magazine

magazine

columns

GO BACK

ISLAND EXPRESS
UK REPORT
WHAT THE DEAL IS
PLAY IT LOUD
RECORDS & TAPES
RAW SINGLES
CHART
RING RINg RING
BOOM BAP
Day In Da West

columns
columns

columns
columns
columns
columns
page up!
Riddim Nation

"Riddim"がディレクションする
レゲエ番組「Riddim Nation
第19配信中!

Go RiddimNation!

nation