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334    MERRITONE

MERRITONE
WINSTON "MERRITONE" BLAKE
 

 
Construct by Toshiaki Ohba / Translate by Ichiro Suganuma
 
Trevor Blake, Winston Blake, Tyrone Blake & Monte Blake (Merritone)

 ジャマイカのサウンド・システム史において、その草創期より活動していたMighty Merritone Sound System。ロックステディ期にはレーベルもスタートし、MerritoneはHopeton LewisやLynn Taitt & The Jetsらの名作も残している。その主要人物であるWinston "Merritone" Blakeにインタヴュー。
 
 ジャマイカンの音楽史を遡って行けば必ずStudio 1やTreasure Isleといった後世に名を残したレーベルの名が思い浮かぶだろうが、当然その二大レーベル以外にも様々なレーベル、例えばBeverley's、Kentone、Gay Feet、Prince Buster等といったレーベルが生まれては消えつつ切磋琢磨しシーンを形成していった。今回紹介するMerritoneもそんな小さなレーベルだが、ジャマイカン・ミュージックの礎でもあるサウンド・システムを母体に持つという意味でも非常に重要なレーベルである。今なお世界中でプレイしているというジャマイカン・ミュージックの生き字引、Merritoneのボス、Winston Blakeを紹介しよう。
 
*     *     *
 
 私の名前はWinston "Merritone" Blake。1940年11月9日生まれだ。Merritone Sound Systemは、St. ThomasのMorant Bayという町で始まったんだ。
 
 我々兄弟がキングストンの学校に通うようになった1950年頃、ちょうどサウンド・システムが始まったばかりの時代だった。クロスロードというバスの停留所近くにレストランがあって、Mr. ChinがSky Rocket Sound Systemを出していたんだ。それが、私が最初に出会ったサウンド・システムだった。午後にはそのシステムから音楽が流れていて、バスに乗って帰宅する際、そのレストランに寄って兄が帰ってくるのを待ちながら毎日聴いていたんだ。度々「そんなに音楽が好きなら、父親に相談してサウンド・システムをやってみればいいよ」って言われた後、お店の外に出ると兄弟同士で笑ったものだよ。だって50年代頃のミドル・クラス以上の人たちにはサウンド・システムなんて全く無縁だし、子供には大学に行かせて、医者か弁護士になってほしいと願っていたからね。
 
 だが、私がキングストンの学校に通うようになって、半年ほど経った頃、父が私たちに言ったんだ。「このままみんなをキングストンの学校に通わせるには、もう少しお金が必要だ」とね。それで、お金を稼ぐ案を幾つか父親に提案したんだけど、その一つがサウンド・システムを始める事だった。サウンド・システムはまだキングストンで始まったばかりで、Tom The Great Sebastian、Count Nick、Waldronなどがあったが、私たちが住んでいた田舎町にはまだなくて、もし始めれば先駆者になれるからって兄弟で提案したんだ。
 
 父がガラクタのターンテーブル一式と、バッテリーと通常の電気でも可動するPhillipsの20Wのアンプと12インチのスピーカーを2台手に入れて、叔父がスピーカーのボックスを作ってそれと組み合せてMerritone Sound Systemが始まったんだ。1950年のことさ。その頃は、レコードを1、2枚プレイするとターンテーブルのネジを巻き直して、それでまたかけるといった感じで、最後の方になってくるとスローになって音程が変わったりしてね(笑)。50年代はそんな感じだった。とてもいい時代だったよ。
 
 あの頃のジャマイカには、アッパー・クラス、上昇志向のミドル・クラス、そして貧しい人たちがいたんだ。父はミドル・クラス出身だったからアップタウンの人たちからもよく声が掛かったんだ。当時はクリケットが盛んで、試合が終ると必ずダンスを開催していたんだ。St. Thomasには2つほどクリケット場になるような広場があって、とても重要な役割を果たしたんだ。
 
 間もなく父親が亡くなり、サウンド・システムの運営は兄のTrevorと私がメインとなって活動した。彼は運転免許を持っていたし、アンプが壊れても修理もできたんだ。いつも彼が先にプレイして、それから私の番だった。私たちはいいチームだったと思うよ。兄はとても静かに色々なチューンをかけた。私はもっとエキサイティングにプレイした。マイクを使って煽ったりしてね。その後、兄が結婚してサウンド・システムから遠ざかるようになってからは、メイン・タイムはずっと私が回したんだ。
 
 サウンド・システムを始めた頃は、深夜アメリカのテネシーから聴こえてくるラジオ番組「Randy's」や「Ernie's」を選んで聴いていた。そこで流れている曲のレコードを当時のレコード・ショップ、Time StoreやWonardsに買いに行ったものさ。その頃にはCoxsoneもDuke Reidもレコード・ショップを経営していたね。あとは海外に渡航した人たちにレコードを買ってきてもらったりもしていたんだよ。
 そのうち、ラジオで音楽番組が流れるようになった。金物屋を経営していたTomがプログラムを担当していたんだけど、彼はサウンド・システムも持っていた。とても人気で、毎週金曜日、クロスロードで「Super Super」というダンスをやっていた。とても大きなイヴェントでね。「Super Super」は誰もが知っていた。
 
 ちょうどその頃、Duke ReidはBond St.で酒屋をやりながらレコードを輸入していたし、サウンド・システムも保有していたよ。Coxsoneは50年代半ばにはシステムを始めて頭角を現したんだ。ライバルたちはそうやって活動し始めてね。でも僕らは負ける事はなかった。田舎のサウンドだけど、彼らが持ってない様なハードコアなブルースやリズム&ブルースのレコードを持っていたからね。DukeとかTomとはレコードの話をしたり、それぞれ持っていないレコードをトレードしたりして良い関係だった。そうやって、我々はSt. Thomasではとても有名になった。
 
 
Winston "Merritone" Blake (1965) [Right] / Bob Andy, Marcia Griffiths, Harry Johnston, Winston Blake [Left]
 
 ジャマイカでのサウンド・システムのスタートは1949年頃だったと思う。もっと早かったと言う人もいるね。もしかしたら45年頃なのかもしれない。どっちにせよその頃は、スウィングやビッグ・バンドの楽曲をかけていたはずだ。Duke EllingtonやCount Basie、Glenn Millerとかね。それからリズム&ブルースだね。Fats Domino、Big Joe Turner、Rosco Gordonだろ、それからGene Ammons、Jimmy Forrest、Bill Doggett、Louis Jordanとかね。当時、ロックン・ロールがポピュラーになり始めたんだが、サウンド・システムをやっている奴らやハードコアなブルース・ファンは、ロックン・ロールを受け入れることができなかった。軽くて何か物足りなかったんだ。もっと違う他のものを求めてたんだ。その結果、ジャマイカの音楽が始まったんだ。アメリカのR&Bの真似をしてね。初期の頃のジャマイカ音楽を聴くとわかるけど、殆どの曲がブギウギ調のシャッフル・ビートなんだ。古いアメリカの曲と一緒だろ。そうやって、ジャマイカの音楽を録音して、そのレコードをサウンド・システムでプレイして、レコードを売るようになったんだ。Coxsone がそうやってプロデュースを始めて、Duke Reidや他の奴らも同時期に始めた。そうやってジャマイカの音楽シーンは始まったんだ。
 
 ジャマイカ音楽が始まった頃は、ラジオはそれを受け入れてくれなかった。その頃は1つしかラジオ局がなくてZQI、今で言うRJRなんだけど、彼らはそれを好まなかったし、それだけの価値を見い出せなかったんだ。でもサウンド・システムではジャマイカ生まれの曲が人気だったんだ。ラジオにそれらの楽曲のリクエストが集中して、結局プレイするしかなくなったんだ。ラジオ局が進んでかけ始めたのではなくて、そうせざるを得なかったって事さ。
 
 とは言っても当時はまだまだあらゆるプロデューサーから「お前のサウンド・システムでかけてくれ」と頼まれることが多かったよ。まだ自分たちのレコードをラジオでかける事はとても難しかったからね。5〜6曲手渡しても1曲かかればいい方かな。あのBunny Leeでさえそんなもんだったよ。そう言えば、Bunny Leeは、我々のサウンド・システムの事を「俺たちのラジオ局だ」と言ってくれたよ。Lee PerryもRupie Edwardsもそう、全てのプロデューサーから頼りにされていたんだ。Bob Marleyでさえ同様だったね。彼がTuff Gongを始めたばかりの頃、レコーディングされたばかりのダブを夜中に直接持ってきたもんさ。

 私が初めてプロデュースしたアーティストはHopeton Lewisだよ。Federal Recordsと共同プロデュースしたんだ。「Grooving Out On Life」はイギリスでもヒットしたんだ。Hopeton Lewisと一緒に作った曲だったら「Take It Easy」「Sounds and Pressure」「Music Got Soul」は思い出深いし、 Barry Biggsと作った「Please Return Your Love To Me」もいい曲だった。あとはBeres Hammondとの仕事とCynthia Schlossとの仕事が思い出深いね。
 
 Lynn Taittとの思い出? そうだね、私が彼の作品を『Rock Steady: Greatest Hits』としてまとめてリリースしたんだけど、トリニダード出身のLynn Taittがジャマイカ音楽に残した功績というのは、とても、とても重要だと思っている。ジャマイカ人が感謝しきれないぐらい重要だ。当時、彼はLynn Taitt & The Cometsというバンドを持っていてあらゆるところでプレイしていたんだ。バンドは大変人気だったよ。Lynn Taittがいないとレコーディングが始まらないといった感じだったから、その頃の作品には、彼はほぼ参加していたしね。とてもプロフェッショナルで、頼りになった。さらに温かく人柄がよくてね、それでいて謙虚だった。アーティストやミュージシャンにとてもリスペクトされていたよ。とても才能にあふれていた。彼のようにギターを弾ける人はいなかった。ロックステディという音楽の発展には彼は不可欠だった。このジャンルの音楽において、彼はとても重要な役割を果たしたといえる。私のサウンド・システムでも彼の曲もよくプレイしたよ。我々はインスト・チューンをかける事でも有名だったからね。実際、50〜60年代は、インスト・チューンは人気があったんだ。Duke ReidやCoxsoneもインストものをかけていたね。
 
 1973年だったかな。僕らはThe Turntable Clubというクラブをオープンしたんだ。毎晩クラブに入るために人の列が出来てね。118 Red Hills Roadにあって、400〜500人規模のクラブで30年近く続いたんだ。だから我々はサウンド・システムの活動を止めたわけじゃなくて、ロードに出るのを止めてただけなんだ。ただ政治的な問題もあって、週末のみの営業になってしまってね、それもあって90年代に再びロードに出る様になったんだ。
  
 今でもMerritoneが世界で愛されている理由は、そうだね、多様性だと思う。我々のテーマは "Merritone Moments Are Forever"。つまりMerritoneとの時間は永遠、って事かな。我々はヴァラエティに富んだ楽曲をプレイするし、新しいのも紹介する。特に我々はファウンデーションを大切にするからね。新しいのも聴けるけど、昔の曲も沢山聴くことができるんだ。若い子も年配の人々も本当に酔いしれるんだ。
 
 実際にどういったものをプレイするかって? 私はいいメロディが好きなんだ。そしていい歌詞だね。Bob Marley、Sugar Minott、Beres Hammond......挙げればきりがないよ。あと、Boris Gardinerを忘れちゃいけない。彼はジャマイカが生み出した最高のシンガーの一人だと思う。
 
 私は若いアーティストによく言うんだ。人類にとって一番のコミュニケーターは音楽だってね。世界中が一緒になれる。聴けば、その曲は誰が歌ってて、何を言っているか知りたくなるだろ? そこにポジティヴなメッセージがあれば更にそうなる。だから現在では、Elvis PresleyよりBob Marleyの方が偉大だと捉えられているだろ。 "Get Up, Stand Up, Fight For Your Rights"といったね。口から出る言葉は、アーティストの地位を向上もさせてくれるが、問題をもたらす事もあるんだ。長いスパンで考えれば、間違い無くポジティヴなメッセージの曲の方が勝る。例えば、Mavadoでも自分が好きな曲はプレイするよ。ただMavadoの全ての曲をプレイするわけじゃない。曲がよくて、歌詞もよければプレイするってだけの話さ。
 
 とにかく今、自分がやるべきものは、こうやってバトンを若い世代に渡す事なんだよ。若い世代にとってそれが彼らの重要な文化で、重要な歴史だって事を知ってもらうためにね。それは絶やしてはいけないんだ。


 

Merritoneの代表作と言えるLynn Taitt & The Jetsのアルバム『Rock Steady: Greatest Hits』。
 
 

 

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