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OVERHEAT 30th Anniversary DUB CLASH
December 18 at Ebisu Liquidroom
 
Text by Hajime Oishi / Photo by Masataka Ishida
 

 世界初の試みとして一部で話題騒然だったエンジニア対決は、不慮の事故によってLloyd Barnesが来日不可能となったため叶わなかったが、ヤン富田の友情出演によってまた違った意味で極上のDUB CLASHとなった。
  

  
 DUB CLASHという刺激的なイヴェント名を初めて目にしたのはいつのことだっただろう? NYからはワッキーズ主宰のロイド"ブルワッキー"バーンズがやってきて、Dub Master Xとダブ対決をするという。しかも集結するバンド・メンバーは、ルーツ・ラディクス/ダブ・シンジケートのドラマーとしてルーツ/ダブ史の中で重要な役割を果たしてきたスタイル・スコットを中心に、日本のダブ/レゲエ界を支えてきた重鎮たち。興奮するな、というほうが無理な話である。
 
 だが......本誌読者であればご存知だろうが、不慮の爆発事故によってブルワッキーの来日がキャンセルに(その経緯についてはOverheatのウェブでチェックしてほしい)。これまでに様々な難関をくぐり抜けてきた主催者の石井"EC"志津男(Overheat)も、今回ばかりは流石に「正直、最初に聞いた時は頭のなか真っ白になっちゃった。だって、"2人が卓をイジる"っていうコンセプトが違っちゃうわけだから」と頭を抱えたそうだ。だが、ここで"急遽決定!"として発表されたのが、なんとヤン富田の友情出演。当初から出演が予定されていた面々と共に、なんとも凄まじいメンバーが揃ってしまったわけだ。
 
 では、当日はどのようなものだったか? まずは本誌お馴染みの諸先輩方からのコメントを。
 
 「グレゴリー・アイザックスやシュガー・マイノットのバックで叩き、ニュー・エイジ・ステッパーズでアリ・アップとも共演したスタイル・スコットが生き残っていて、今ここでしか奏でられないダブをやっていて感動した」(石田昌隆)
 
 「日本におけるダブとはこのメンバーと彼らを支える人々によるものなのだ、と改めて感じた夜だった。この認識に反発する人もいるはず。だが、ダブが日本に根付くのに他に方法はあるか? そしてそのあとは?と」(荏開津広)
 
 「Dub Master Xには悪いけど、ステージ一番前でスタイル・スコットと松永孝義のとてもスリリングなリディム・バトルを中音で聴いていた。そこで気付いたのは、演奏するバンド自体はダブを体現してないんだなと......。出音がダブに加工され、不思議な空間を作り出してるのを改めて実感」(ヤギヤスオ)
 
 「まず、あの職人揃いのバンドが登場した時の姿を見ただけで感無量。でもエンジニア2人の生ダブ共演にならなかったのは、本当に残念。シンプルかつタイトでヘヴィな演奏が、ダブワイズでグルーヴを増幅させて行く様に、Mute Beatが切り開いたこのライヴの手法の凄みを改めて実感した」(茂呂尚浩)
 

 
 僕はというと、次々に披露されるファウンデーション・リディムの底なしの魅力に感動、Dub Master Xの確かな仕事ぶりに感動、そしてスタイル・スコットの柔軟なドラムに大感動......といった具合。「ま、うまくいったからいいんだけどさ(笑)」と笑いながら、石井はこう話す。
 
 「出演者のみんなはピリピリしてたと思うよ。だって、リハーサルは1回だけ。しかもメンバーみんな忙しかったから、ほとんどぶっつけ本番だよ? ムチャ振りだよ(笑)。でも、終わった後にみんな『おもしろかった』って言ってくれたのが嬉しかった。スタイル・スコットも『このバンドでレコーディングしたい』って言ってくれたしね」(石井志津男)
 
 では、ステージに立った面々は、石井の「ムチャ振り」をどう受け止めたのだろうか。
 
 「リハーサルで音を出した瞬間、衝撃を受けた。まるでキングストンのスタジオでジャマイカのミュージシャンたちとレコーディングしているかのように感じたからだ。実際、あれ以上の音はなかなか出せるものではない。私的にはロンドンのどのレゲエ・バンドよりも素晴しかったと断言できる。観客の皆さんも本当に最高だった。今回のこの旅は、ここ何年かの中で一番素晴らしいものだった。最高に楽しませて頂いた。日本を愛している。最高のご多幸を」(スタイル・スコット)
 
 「ブルワッキーが不慮の事故に巻き込まれるという形で不完全な物になってしまった。が、結果的にそのアクシデントがよりスタイル・スコットを核としたバンドの本質をさらけ出した。そんなライヴだったように思う。最初は今まではほとんどやらなかった"演奏中の楽器をMute"する手法でライヴ・ダブを分かりやすく聞かせ、あとはバンドのグルーヴやコンビネーションの妙を楽しんで貰えるよう、あえて独り善がりなダブをやりすぎぬよう注意した。ダブはエンジニアの独善的な音楽だが、ライヴ・ダブはみんなで作るもの。素晴らしいバンド・メンバーの音を紡ぐことができたことを誇りに思う。全てのOverheatスタッフに感謝します」(Dub Master X)
 
 「スタイル・スコットと共に演奏できたこと、ご来場の皆様、Overhea30周年に感謝します。 ありがとうございました」(こだま和文)
 
 「スタイル・スコットのポジティヴかつフレンドリーなノリに感動。おかげで僕も、自然な自分のノリで絡めたと思います。こんなライヴに呼んでいただきとっても幸せです。30周年おめでとうございます」(松竹谷清)
 
 「バンドのメンバーはよく知った仲間なのでいつも通り楽しくやれましたけど、やっぱりドラムのスタイル・スコットは違いますね。その場でレコードを聴いているような音色も申し分なかったし。一緒に演奏していて感じたのは、リズムに解放されるというか、音が鳴りだした瞬間に生まれるグルーヴ感がある。今はレゲエも打ち込み系が主流になってきましたけど、生の素晴しさとルーツ的なもの、つまり原点を生で見せられたのは良かったのではないでしょうか」(朝本浩文)
 
 「Muteがグラディやローランドと共演した当時、僕はその周辺にいて、"いつか自分も!"と思ったのが僕のミュージシャンとしての方向性を決めているので、"DUB CLASHを観た若い人にもそんな気持ちを持ってもらえたら"ということを密かな目標にして今回のライヴに臨みました」(エマーソン北村)
 
 「スコット氏が左腕を振り下ろし、スネアの音が炸裂した瞬間からはじまった夢のセッション。The DUBWISE 一人一人の真剣勝負の緊張感の中で、一つ一つの音を楽しむことができました。参加できて本当に光栄です。感謝&Respect!!!」(The K)
 
 「緊張の一言っすね。考えないようにはしていたけど、やってる最中も針のムシロですよ(笑)。自信ももらったけど、課題ももらいましたね。もしかしたらダブって、音楽の中でも技術なんていらない音楽かもしれないですよね。それでも成り立つ音楽というか。音楽=テクニックに走りすぎている現代やからこそ、音楽の本質を伝えられたんじゃないかなと思います」(タツミアキラ)
 
 ライヴ直前、石井は「今日のDUB CLASHを体験した人の音楽人生を変えてやる」とTwitterで息巻いていたが、ひょっとしたら本当に人生変わっちゃった人もいるかも。僕は本気でそう思う。
 
(追記:紙媒体としてのRiddim最終号で執筆させていただき、光栄に思います。大場編集長はじめ、Overheatのみなさんに感謝!)

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